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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
5勝2分け2敗で3位に付けるFC東京U-18(B)にとって約1か月ぶりのホームゲーム。FCトリプレッタユースを迎える一戦はおなじみ小平グラウンドです。
昇格初年度となった昨シーズンのT1リーグは5位でのフィニッシュとなりましたが、「各チームのウチに対する本気度が本当にありがたくて、練習試合とは全然雰囲気も違いますし、それをこのベースで体験できるというのは非常にありがたいです」と右田聡コーチも話したように、経験値を積む上では個人としてもチームとしても大きな1年を過ごしたFC東京U-18(B)。今シーズンのT1でも、既に関東第一や駒澤大学高といった全国経験者の残る強豪も撃破するなど、その擁するタレントを考えても優勝を狙えるチームであることは間違いない所。次のゲームまでは1ヶ月近く時間が空くだけに、勝って夏のトレーニングへと向かいたい90分間です。
昨シーズンのT2リーグは國學院久我山(B)、東京朝鮮に続く3位に入り、3年ぶりにT1リーグへの昇格を決めたFCトリプレッタユース。迎えた今シーズンは年始の東京都クラブユースU-17選手権でも、ライバルの東京武蔵野シティFC U-18を下して西が丘まで辿り着くと、敗れはしたものの三菱養和SCユース相手に0-1と肉薄。先月末のクラブユース選手権関東予選でも、東京ヴェルディユース相手にPK戦まで持ち込むなど、その実力は証明済み。不思議とT1ではなかなか白星に恵まれていませんが、難敵相手のアウェイゲームでリーグ戦初勝利を目指します。平日19時キックオフにもかかわらず、ゴール裏のスタンドには保護者の皆さんも含めたサッカー大好き人間たちが集結。楽しみな一戦はトリプレッタのキックオフでスタートしました。
まずはセットプレーで窺う相手ゴール前。5分はトリプレッタ。左からキャプテンの進藤佑(3年・FCトリプレッタJY)が蹴り込んだボールは、FC東京のGK大本竜司(2年・FC東京U-15深川)がキャッチ。6分はFC東京。右サイドで得たCKを「左足には少し自信があります」と謙虚に話すレフティの金誠敏(1年・西東京朝鮮第一中)が蹴ると、ここはニアでDFがクリアしましたが、お互いに1本ずつセットプレーでチャンスを創り合います。
7分はFC東京。寺山翼(2年・FC東京U-15むさし)を起点に、少し強引に運んだ芳賀日陽(2年・FC東京U-15深川)のシュートは、DFに当たってトリプレッタのGK島田航樹(2年・PELADA FC)がキャッチ。9分はトリプレッタ。ミドルレンジで前を向いた坂東亜門(3年・FCトリプレッタJY)のシュートは枠の上へ。12分はFC東京。寺山が左へ流すと、上がってきたサイドバックの鈴木智也(2年・FC東京U-15むさし)はミドルを枠の上へ。ややフィフティの立ち上がりから、ペースは徐々に「入りはチームで意識していた」(金)FC東京へ。
すると、19分の主役は青赤の"日向小次郎"。左サイドからバングーナガンデ佳史扶(1年・FC東京U-15深川)が中へ付けると、「ちょっとこねていて、『左で切り返して左で蹴ろう』と思っていたんですけど、1回打とうとしたら相手の股が開いたので、もう1回触ってから」今村涼一(2年・FC東京U-15むさし)は右足を強振。左スミギリギリに飛んだボールはゴールネットへ転がり込みます。「あそこの位置は得意ですね」と言い切るストライカーがきっちり一仕事。FC東京が先にスコアを動かしました。
追い掛ける展開となったトリプレッタも、20分に今村がミドルを枠の右へ外したシーンを経て、ビッグチャンスを創出。22分に細かいパスワークからエリア内へ侵入すると、GKをうまくかわした谷本竜一(3年・FC.GIUSTI世田谷)は角度のない位置から巧みなループシュートを選択。ゴール方向へ向かったボールは左のポストを叩き、同点弾とはいきませんでしたが、「相手の動きを見てのターンとかは自分の持ち味だと思っている」という10番があわやというシーンを演出します。
23分はFC東京。今村が左へ展開したボールから、バングーナはファーサイドへピンポイントクロスを届けるも、走り込んだ芳賀のボレーはゴール左へ。24分もFC東京。密集に飛び込んだ小林里駆(1年・FC東京U-15むさし)が3人をかわして放ったシュートは、何とかDFがブロックして島田航樹がキャッチ。27分はトリプレッタ。オーバーラップしたサイドバックの森本瑶治(3年・FC Consorte)が絡んで奪った左CKを進藤が蹴ると、島田佑樹(2年・PELADA FC)が飛び込むも、ここはFC東京のセンターバックに入った木村誠二(1年・FC東京U-15深川)が大きくクリア。「前半は結構難しくて拮抗していたと思います」とは今村。次のゴールは果たしてどちらに。
28分の歓喜はセットプレーから。左サイドでFKを奪ったのはFC東京。ボールをセットした芳賀が丁寧なボールを蹴り入れると、ファーサイドに飛び込んだ高橋亮(2年・FC東京U-15深川)がダイレクトボレーにトライ。綺麗にミートしたボールはゴールネットを確実に揺らします。右サイドバックを務める高橋の美しいボレーが見事結果に。FC東京のリードは2点に広がりました。
小さくないビハインドを負ったトリプレッタは31分に反撃の一手。坂東が粘って奪ったFKは中央、ゴールまで30m弱の位置。スポットに立った進藤が直接狙ったキックは枠を捉えるも、ここは大本がファインセーブで応酬。その左CKも進藤が放り込み、ファーで岩﨑海里(3年・FCトリプレッタJY)が残したボールを榎戸龍平(3年・FC VIGORE)がクロスに変えるも、大本が丁寧にキャッチ。34分はFC東京。左サイドでルーズボールを収めたバングーナのミドルは枠の右へ。40分もFC東京。金の左FKに寺山が合わせたヘディングはクロスバーの上へ。最初の45分間はFC東京が2点のリードを携えてハーフタイムに入りました。
後半はスタートからトリプレッタに1人目の交替。右ウイングの川野優太(3年・FCトッカーノ)に替えて、森友紀(2年・学習院中)をそのままの位置に投入し、インサイドハーフの坂東と左ウイングの船越毅郎(3年・FCトリプレッタJY)のポジションも入れ替えると、いきなりの決定機は48分。左サイドで粘った船越が中央へ折り返したパスを、谷本は確実にインサイドでフィニッシュ。ボールはわずかに枠の右へ外れ、谷本もベンチも頭を抱えたものの、このワンプレーで引き寄せたペース。
49分もトリプレッタ。船越を起点に谷本が左へ振り分け、坂東のクロスに森が合わせたヘディングはDFのブロックに遭うも、サイドアタックからきっちりシュートまで。直後に進藤が続けて蹴ったCKの2本目はニアの谷本にドンピシャも、ヘディングされたボールは枠の左へ。3たび蹴り込んだ進藤の右CKから、今度は船越が打ち切ったシュートはここもDFが体でブロック。52分もトリプレッタ。センターバックの孫立河(2年・FCトリプレッタJY)が絶妙のフィードを送り込み、フリーで抜け出した谷本のシュートは枠の右へ外れ、ゴールには至りませんでしたが、「やられている感じはありました」と金も話したように、勢いは明らかにトリプレッタ。
「ああいう所がまだ子供っぽいというか、慌てちゃって前に急いで蹴っ飛ばしたりとか、焦って後ろを向いている選手に食い付いちゃって引っ繰り返されたりとか、そういう部分がまだ甘いですよね」と右田コーチも後半開始からの15分余りを振り返ったFC東京でしたが、60分に芳賀の右FKから金が枠へ収めたシュートが島田航樹にファインセーブで阻まれたシーン以降は、ようやく攻撃にスムーズさが。小林と谷地田陸人(1年・FC東京U-15深川)の交替を挟み、62分には高橋が右のハイサイドで残したボールを谷地田が左へ流し、バングーナのシュートは枠を越えたものの好トライ。変わりつつあるゲームリズム。
66分はトリプレッタ。右サイドをドリブルで谷本がえぐり、中へ返したボールを森はダイレクトで狙うもゴール左へ。67分はFC東京。谷地田がヒールでワンツーを敢行し、左から今村が放ったシュートは島田航樹がファインセーブ。直後もFC東京。鈴木智也のパスから谷地田が打ち切ったシュートは島田航樹がキャッチ。そして、少しずつ手数の増えたFC東京へ再び歓喜をもたらしたのは22番の点取り屋。73分に芳賀からエリア内でパスを受けた今村は、「ディフェンスにはちょっと当たっていたんですけど、パスが良い軌道でそのまま流れてきて、キーパーの横のコースが見えたので流し込むだけでした」と冷静にゴールネットへボールをグサリ。これで今村はドッピエッタ。両者の点差は3点に開きます。
苦しくなったトリプレッタは、74分に2人目の交替として坂東と濱田真(3年・FCトリプレッタJY)を入れ替え、75分にはここも進藤がゴールまで約25mの位置から枠の右へ逸れる直接FKを放ちましたが、容赦ないストライカーが牙を剥いたのはその直後の77分。金が右へ振り分けたパスを芳賀がスルーで流すと、待っていた今村は「ニア上をぶち抜こうかなと思って」右足一閃。想定通りにニア上をぶち抜いたタイガーショットは、ゴールネットへ豪快に突き刺さります。「中学校の時はありましたけど、高校になってからはたぶん初めてのハットトリックで、本当に久しぶりだったので気持ち良かったです」と笑う今村の持ち味全開。4-0。試合の大勢は決しました。
止まらないホームチーム。77分に「パス1つ1つの質だったりを改善できていればもっと点が入っていたし、もっと楽なゲーム展開だったと思うので、全然納得は行っていないです」と反省を口にした金と森田慎吾(1年・FC東京U-15むさし)を2人目の交替として入れ替え、直後に今村がミドルを相手にぶつけてCKを得ると、左から芳賀が蹴り込んだボールはエリア内にこぼれ、いち早く反応した草住晃之介(2年・FC東京U-15深川)がゴールへ押し込みます。キャプテンマークを託されたセンターバックの一撃でスコアは5-0。一層盛り上がる青赤の応援席。
残り10分を切ると次々に切られた交替カード。FC東京は80分に高橋と湯本創也(1年・FC多摩)を、82分に芳賀と武井翔輝(1年・FC東京U-15深川)を、83分に草住と岡哲平(1年・FC東京U-15深川)を相次いでスイッチ。最終ラインには右から岡、湯本、木村、鈴木が並び、ボランチは森田と寺山、サイドハーフは右に武井、左にバングーナ、前線に今村と谷地田を配して狙う次のゴール。トリプレッタも82分にアンカーで奮闘した岩﨑を下げて、三浦龍一(3年・FC.PROUD)を送り込み、最後の勝負に打って出ます。
最終盤の主役は「点差が付いた分だけ余裕を持って入れて『ここで自分を出そう』『ここでアピールしてやろう』という気持ちは凄く伝わってきたし、躍動してくれた」と右田コーチも評価を与えた途中出場の1年生。90分に今村の落としを受け、前を向いた森田はミドルレンジからシュートにチャレンジ。糸を引くような軌道は左スミギリギリのゴールネットに突き刺さり、森田はピッチ上で「やった!やった!」と大喜び。90+4分にも森田が右サイドへパスを通すと、少し縦に運んでから、最初から決めていたかのようなコース取りで鋭くカットインした谷地田は左足を振り抜き、左スミのゴールネットへボールを送り届けます。右田コーチも「これでまた2年生と良い争いができるので、凄く良い刺激になったなと思います」と認める1年生が2つのゴールを決め切り、ファイナルスコアは7-0。FC東京が力強く勝ち点3を積み重ねる結果となりました。
「点差は離れたんですけど紙一重というか、後半の10分くらいまではバタバタしていましたし、あそこで1点2点やられていたら全然内容は変わっていたのかなと思います」と右田コーチも話したFC東京は、それでもその時間帯を凌いだことで結果的には快勝を引き寄せた格好になりましたが、「1個2個落ち着いちゃえば良くなるんですけど、その時間がどうしても長くなっちゃうというか、どこに対しても真っ向から受けちゃうというか、そこでいなす余裕とかが出てくれば少し変わってくると思います」と右田コーチが言及した"相手の時間帯"のやり過ごし方は、ここからの課題として挙げられるかもしれません。試合後、T1リーグへの取り組み方を右田コーチへ尋ねると、「事前の準備はほぼしないので、通常のトレーニングの中で選手を見て、メンバーも前日やそれこそ当日に選考していく中で、個が何をこのステージで見せられるか、それがどうチームの勝利に結び付いて、自分たちの目標を達成するという所にどう繋がっていくかという所をやっていく中で、自分の価値を高めていこうと選手たちとも話をしてやっています」とのこと。そういう意味でも、個と組織の融合をこのレベルのステージで体現していく作業は、1,2年生を中心に構成されている彼らにとって非常に重要であることは疑いようがありません。「今年は彼ら自身が年間の目標を立てる時に、初めて自分たちで『プリンス昇格』というのを挙げてきたんです。その目標は本人たちが掲げている所なので、そこを見据えながら、そこには責任を持ってという所で、食らい付いていきたいですね」と最後に明かしてくれた右田コーチ。個人の成長。組織の成熟。その両者の融合。いろいろな面で今年もFC東京U-18(B)には注目していく必要がありそうです。 土屋
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