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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年05月30日

インターハイ東京一次トーナメントDブロック決勝 都立高島×國學院久我山@東久留米総合G

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0528kurume2.JPG先週のゲームを奇跡的な展開でモノにした都立校と2年ぶりの全国を目指す強豪の邂逅。都立高島と國學院久我山のブロック決勝は引き続き都立東久留米総合高校グラウンドです。
なかなか地区大会や1次予選の壁を打ち破れなかった昨シーズンから一転、新チームで臨んだ新人戦では東京成徳にPK戦で競り勝つなど、堂々の地区準優勝。迎えた関東大会予選では関東第一に0-3と敗れたものの、今シーズンは一味違う所を披露し始めている都立高島。今大会も支部予選を2試合8得点の攻撃力で勝ち抜けると、一次トーナメントでも都立国分寺を2-1で退け、先週の専修大附属戦は3点をリードされながらも執念で追い付き、最後はPK戦をモノにする大逆転劇を。その勢いを持って難敵とのブロック決勝へ挑みます。
昨シーズンは全国準優勝チームと周囲から見られる中で、インターハイ予選、選手権予選と全国に繋がるコンペティションで結果を出せず、苦しい1年となった國學院久我山。今シーズンは5試合連続完封で地区予選を勝ち抜けた新人戦を経て、関東大会予選では駒澤大学高をPK戦で下したものの、準決勝で実践学園に2-4で屈して本大会出場はならず。今大会は先週の初戦も、日大豊山相手に12-3という何とも大味なゲームを展開しており、「僕もかなり厳しく今はやっています」とは清水恭孝監督。「インハイ、選手権、T1と三冠を獲って、全国でも久我山サッカーで勝ち上がりたい」と司令塔の三富嵩大(3年・横河武蔵野FC JY)が口にした目標に近付く意味でも、重要な80分間に向かいます。1試合目同様にピッチの周囲には幾重にも渡る観衆の層が。二次トーナメントへの進出権を巡る戦いは、照り付ける陽射しの中でキックオフを迎えました。


早々に決定機を掴んだのは久我山。5分に三富のパスから木下陽(3年・S.T.FC)が左スミへコントロールしたシュートは、先週のゲームでPKを3本ストップして、チームを勝利に導いた高島のGK橋本聖(2年)がファインセーブで回避。直後の左CKを内田祐紀弘(3年・Forza'02)が蹴り入れると、ここは高島の10番を背負う佐藤廉(3年)が大きくクリアしましたが、開始早々から久我山が攻勢に打って出ます。
ただ、「ブロックを作られて真ん中をこじ開けるのは難しいというのは試合前から想定していた」と三富も話したように、右から藤白純輝(2年)、川村優志(2年)、小金井匠(3年)、安田凌(3年)で組んだディフェンスラインを中心に、高島がきっちり敷いた堅陣。19分に久我山は右サイドバックの山口隼介(3年・東急SレイエスFC)がアーリーを入れるも、木下のシュートは枠の上へ。20分に右サイドを永藤楓(3年・Forza'02)がえぐって上げたクロスは、高島の右サイドハーフを務める成嶋光(2年)が懸命に戻って間一髪でクリア。21分にも三富が左へ振り分け、内田を経由して竹浪良威(2年・FC東京U-15深川)がカットインからニアを狙ったシュートは、橋本がファインキャッチ。久我山も決定機は創り切れません。
そんな展開の中でスコアを動かしたのは「もう少しゴールに貪欲になってやっていかないといけないと思います」と話していた18番。26分に内田が左へ短く付けると、上がってきた竹浪は中央へクロス。永藤の折り返しを鵜生川治臣(3年・前橋JY)が頭で合わせたボールは、左のポストを叩きながらゴールネットへ飛び込みます。「ボールに回転が掛かっていたので入ったんですけど、ポストの前に永藤くんがいたので『触るな』と思いました(笑)」という鵜生川の貴重な一撃。久我山が1点のリードを奪いました。
畳み掛けた久我山。先制から2分後の28分。今度は内田が左CKをショートで蹴り出すと、ここも竹浪が正確なクロス。走り込んだ鵜生川がやや角度のない所から狙ったヘディングはクロスバーを叩きましたが、こぼれにいち早く反応した永藤が難なくボールをゴールネットへ流し込みます。「永藤は『こういうことをやろうよ』と言ったことに対しては一生懸命やれるんですよ。鵜生川はヘディングもうまいですし、『センターフォワードでは彼が一番かな』と思って使いました」と指揮官も評価を口にした2人が絡んで連続ゴール。両者の点差は2点に広がります。
「前半は1点入るまでバタバタしちゃいましたね」と三富が話した久我山は、リードを得て徐々にゲームをコントロール下へ。33分には高橋黎(2年・ジェファFC)のパスから永藤が放ったドリブルシュートは枠の上へ。高島も34分には川村のFKに成嶋と佐藤が飛び込むも、DFが確実にクリア。35分は久我山。最終ラインでボールを持ったセンターバックの澤田雄大(3年・FC多摩)が左サイドへ好フィードを送り、走った内田の折り返しに永藤が合わせたボレーは橋本がファインセーブで掻き出し、こぼれに詰めた永藤のシュートはゴールネットを揺らすも、ボレーの時点でオフサイドの判定。38分も久我山。鵜生川、竹浪、高橋と細かく繋ぎ、三富が打ち切ったミドルはクロスバーの上へ。39分は高島。右からここも川村が蹴り込んだFKに、左サイドハーフの大熊海都(2年)が競り勝つも、シュートには至らず。最初の40分間は久我山が2点のアドバンテージを握って、ハーフタイムに入りました。


後半はスタートから久我山に1人目の交替が。木下に替えて松本雄太(3年・成立ゼブラFC)を左ウイングへ投入し、内田が右ウイングへ、永藤が3トップ下へそれぞれスライド。46分に三富が蹴った左FKはDFのクリアに遭いましたが、48分には澤田のパスを引き出した鵜生川が、左サイドを切り裂いてクロスを上げ切り、永藤のダイレクトボレーは枠の右へ。49分にも「相手を剥がして前にどんどん推進力を持っていきたい」と語る三富がドリブルで突っ掛け、こぼれを拾った内田は枠越えミドルまで。久我山が狙う3点目とその先。
53分に訪れたのは高島にとって千載一遇の得点機。ボランチの金原諒太(3年)を起点に、右サイドで粘って粘って前へ運んだ佐藤は完璧なクロスを中央へ。これまた完璧なコース取りで3列目から飛び込んできた丹治蒼登(2年)は、完璧なヘディングを左スミギリギリへ叩き付けましたが、ここは久我山のキャプテンを託された平田周(3年・FC東京U-15むさし)がこちらも完璧なファインセーブで仁王立ち。素晴らしい流れからのフィニッシュも追撃弾とはいきません。
ただ、わずかに変化したゲームリズム。54分も高島。丹治の決定機で得たCKを左から金原が蹴り込み、DFがクリアしたボールは平田がキャッチしましたが、惜しいシーンに。久我山も55分に山口と川野裕大(3年・横浜F・マリノスJY追浜)を2人目の交替としてスイッチしたものの、57分も高島。左に開いた小金井のパスから、金原が打ち切ったミドルは枠の左へ逸れるも、ワンランクボリュームが上がったのは高島サイドからピッチへ掛かるサブメンバーの檄。
58分は久我山。左サイドを単騎で崩した鵜生川は、左スミへ低空シュートを打ち込むも、橋本がファインセーブで対抗。60分は高島に1人目の交替。藤白を下げて、渡辺絢太(3年)をピッチへ送り込み、整える反撃態勢。64分は久我山。中央右寄り、ゴールまで約25mの位置から自分で獲得したFKを三富が直接狙うも、軌道はクロスバーの上へ。65分は高島。高い位置でボールを奪い切り、丹治のパスを橘田陸(2年)が繋ぐと、佐藤が落としたボールは味方と呼吸が合いませんでしたが、高島にも攻撃のコンビネーションが。
それでも67分のゴールは久我山の追加点。「キックにも自信を持ってやっている」三富の左CKに、ニアへ突っ込んだ松本のボレーはGKも弾き切れずにゴールネットへ収まります。普段はT2リーグを主戦場に置いているという3年生アタッカーが見事に結果を。大きな3点目が久我山に記録されました。
69分に久我山は3人目の交替。高橋に替えて、こちらもT2リーグで結果を残してきた豊田歩(2年・横河武蔵野FC JY)がボランチの位置へ。直後には高島も大熊のスルーパスに渡辺が走るも、久我山のセンターバック上加世田達也(3年・Forza'02)が的確なカバーでカットすると、72分には左サイドで創ったアタックから最後は永藤がゴールネットへ流し込み、これで9番はドッピエッタ。スコアは4-0に変わります。
「インターハイの1次予選はいつも苦しむので、そんなに楽ではないと思った」(清水監督)中でも4点を奪った久我山は、73分に「フォワードとして先制点が取れたので、その部分では良かったと思います」という鵜生川を下げて、粕川寛太(2年・FCコルージャ)を最前線へ。75分には中央で細かく繋ぎ、豊田が枠へ収めたシュートは橋本がファインセーブで回避しましたが、終盤まで衰えない次の1点への意欲。
一矢を報いたい高島も76分に橘田と岡裕介(2年)を2人目の交替として入れ替えると、80+1分には佐藤が奪ったFKを川村が中央へ蹴り込むも、オフェンスファウルという判定に。直後にも小金井と加藤陽(2年)をスイッチしたものの、1点は遠いまま。逆に久我山は80+4分に竹浪が左スミを狙った強烈なミドルを放ち、橋本がこの日6本目のファインセーブで凌ぐと、これがこのゲームのラストチャンス。「相変わらず集中力も途切れ途切れだし、その中では頑張っていた方だと思うんですけどね」と清水監督は辛めの評価を口にしましたが、久我山がDブロックを勝ち抜き、帝京とのリベンジマッチへ駒を進める結果となりました。        


「元々トップ下とかで、一番前でやることはなかった」と自ら話す鵜生川は、チーム事情もあってのセンターフォワード起用に応える活躍を披露。「自分は結構動き過ぎてしまって、サイドに流れることが多くて、監督に『それが良い方向に出る時もあるけど、真ん中で残ってほしい時もあるから』というのは言われていたので、少し真ん中で残ることを意識しました」と振り返ったように、いつもとは違う役割を全力でこなそうとした姿勢の対価が1ゴール1アシストだったようです。もともとは群馬の出身。「自分でも思っていたんですけど、『誰も知り合いがいないような場所に行った方が人間としても成長できる』みたいなことは親にも言われていて、自分も『挑戦してみたいな』という気持ちがあった」ために久我山へと進学してきた鵜生川にとって、最上級生となった今年の1年は「いつも他の人以上に親から協力してもらっている分、『やらなくちゃいけない』という使命感はあります」という勝負の年。一皮むけつつあるアタッカーの今後にも要注目です。         土屋

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