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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
昨年度の全国出場校と支部予選から5連勝で勝ち上がってきた都立校の対峙。東海大高輪台と都立狛江のブロック決勝は引き続き駒沢補助競技場です。
支部予選からの登場となった昨シーズンのインターハイは躍進の大会。一次トーナメントで国士舘、創価、実践学園を相次いでなぎ倒し、二次トーナメントでも都立駒場と成立学園に競り勝って、7年ぶりに夏の全国を経験した東海大高輪台。今シーズンはT2リーグで開幕5連敗スタートを強いられましたが、「それが良い薬になったかな」と川島純一監督が話したように、関東大会予選では優勝した関東第一と延長までもつれ込む接戦を演じるなど、チーム状態は確実に上向き。今大会も初戦となった先週の海城戦を2-0で制し、ブロック突破へ王手を懸けています。
昨シーズンのインターハイは支部予選を突破し、一次トーナメントの初戦で大成と好勝負を演じながら、惜しくも延長戦の末に惜敗。選手権予選でも1次予選を盤石の結果で勝ち抜け、2次予選では早稲田実業にこちらも0-1と競り負けたものの、一定の存在感を示して見せた都立狛江。迎えた新チームも新人戦は地区ベスト4にとどまりながら、T2リーグ所属の国士舘に6-0で大勝を収める衝撃のゲームも。今大会は支部予選で再び対戦した国士舘を、今度はPK戦で退けて一次トーナメントまで勝ち上がり、都立小山台を4-1、明大明治を2-1で下してブロック決勝まで。何かを起こしそうな雰囲気は十分に漂っています。さすがに11時半ともなると駒沢の陽射しも先週同様に灼熱模様。注目の一戦は高輪台のキックオフでスタートしました。
お互いに攻め手をちらつかせる中で、「力は五分五分だと思っていたので、あの子たちもそういう準備をしてきた」と川島監督も口にしたように、最初の15分間は一進一退。16分は高輪台。右サイドから松永浩誉(3年・横浜FC鶴見JY)が枠へ収めたシュートは狛江のGK石崎雅也(3年・FC府中)が好キャッチ。17分は狛江。左からキャプテンの米山龍成(3年・バディーJY)がCKを蹴り込み、嶋田泰志(3年・FC多摩)の折り返しに、鈴木怜児(3年・FC町田ゼルビアJY)はシュートまで持ち込めなかったもののチャンスの芽を。漂う好ゲームの予感。
18分は高輪台。中込雅樹(2年・インテリオールFC)の仕掛けで得た右CKを松永が蹴ると、「去年から出ていたのは後ろだと自分だけなので、そういう意味では『引っ張っていかないとな』『もっと去年よりやろう』と意識しています」という小林陸玖(3年・VERDY S.S.AJUNT)のヘディングは枠を捉えるも、ライン上で狛江のボランチを務める廣瀬秀太(3年・FC府中)がスーパークリア。直後の右CKを再び松永が蹴り込み、ルーキーの塚原智也(1年・FC.PROUD)が合わせたヘディングはゴール左へ。狛江も右から木原直輝(3年・コンフィアール町田JY)、大森直斗(3年・コンフィアール町田JY)、嶋田、安藤貴大(2年・東京小山FC)で組んだ4バックを中心に、きっちり相手のアタックを凌いでいきます。
22分は狛江。右から鈴木怜児がクロスを上げ切り、いったん相手ボールになった所を逆にかっさらった鈴木凛(3年・横河武蔵野FC JY)のシュートは枠の上へ。29分は高輪台。センターバックの今井創一朗(3年・C.A.ALEGRE)が縦に付け、志村貢令(2年・ジェファFC)が狙ったミドルは石崎がキャッチ。33分は狛江。左サイドで安藤の外側を回った大森が中へ送ると、米山のスルーを経て松林大斗(3年・稲城第二中)のシュートは高輪台のGK横田萌樹(3年・横浜FC鶴見JY)が丁寧にキャッチ。緊迫した展開。スコアは0-0のまま。
均衡を破ったのはタイガー軍団のゴールデンルーキー。39分に右サイドでボールを受けた松永がアーリークロスを送り込むと、プルアウェイの動きでマーカーの後ろに潜った塚原はフリーでドンピシャヘッド。右スミへ向かったボールはゴールネットへ吸い込まれます。「飄々としているんですけど、アレは点取り屋なんですよ」と指揮官も笑った1年生の塚原はこれで2試合連続の先制弾。密度の濃い前半は、高輪台が1点のリードを奪ってハーフタイムに入りました。
後半のスタートから動いたのは追い掛ける展開となった狛江。松林に替えて横山颯大(3年・町田木曽中)を投入して、まずは返したい1点。41分のチャンスは狛江。左の深い位置から大森が蹴り込んだFKは、米山が飛び込むもわずかに届かずDFがクリア。44分は高輪台。松永の右FKに今井がうまく当てたボレーは枠の右へ。48分も高輪台。ここも松永が今度は左CKを蹴り入れ、突っ込んだ小林は触り切れず。均衡した展開は後半も変わりません。
50分は狛江。鈴木凛、米山と繋いで左へ送り、開いた廣瀬のクロスは悪くない軌道も中と合わず。51分も狛江。ボランチの新井湧大(2年・調布FC)を起点に、鈴木怜児が打ち切ったミドルはクロスバーの上へ。55分は高輪台。志村がミドルレンジから放ったシュートは枠の上へ。56分は9番が見せたストライカーの矜持。小林からパスを引き出した中込は、ゴール右寄りから強烈なシュートを枠内へ。石崎も懸命に触ったボールはクロスバーを直撃しましたが、強烈な一振りで脅威を突き付けます。
すると、追加点はそのCKから。57分に右から松永が蹴ったこの日4本目のCKに、頭から突っ込んだのは「新チームが始まる時から『このチームはコーナーから点を取らなきゃ』と言っていた」と語る小林。弾丸と化したボールは鮮やかにゴールネットへ突き刺さります。「あのゴールも練習通り。そろそろCKで取りたいなと思っていて、みんなで練習していたのでうまく入りましたね」と川島監督が話せば、「最近もずっとコーナーの練習をしていて、良い形ができてきていたので、結果が出て良かったです」と小林も笑顔。都内屈指のセンターバックが叩き出した追加点。両者の点差は2点に開きました。
なかなか後半は攻め手を見い出せない中でビハインドが広がった狛江。61分にはエリア内の浮き球に横山がオーバーヘッドで飛び付くも、横田ががっちりキャッチ。68分は決定的なチャンス。中盤から廣瀬が丁寧にスルーパスを繰り出すと、米山はGKと1対1に。右寄りから打ったシュートは、しかし枠の左へ外れてしまい、頭を抱えるキャプテンと狛江ベンチ。70分にも米山の左FKに大森と嶋田が飛び込むも、ボールはそのまま枠の右へ。2点差のゲームはいよいよ最終盤へ。
73分に川島監督は2枚替えを決断。奮闘した中込と塚原の1,2年生2トップを下げて、影山尋哉(3年・FCトリプレッタJY)と村井悠人(3年・川崎チャンプ)を同時に送り込み、狙う3点目と前からの守備増強。76分にも3枚目の交替として鈴木啓太と箱田詩音(3年・FC渋谷)をスイッチして、「今までも出ていたようなベンチにいる頼もしい3年生」(川島監督)たちに託されたゲームクローズ。
77分は狛江のセットプレー。左から米山が丁寧に蹴ったFKが横田にキャッチされると、これが狛江にとってのラストチャンス。78分には1年生ながらサイドバックを務め上げた藤井一志(1年)と小松崎大樹(2年・クリアージュFC)もスイッチしつつ、80分にはキャプテンの本多翔太朗(3年・GRANDE FC)が繋いだボールから、途中出場の村井が石崎にキャッチを強いるシュートを放つなど、最後まで手を緩めなかったタイガー軍団に凱歌。「終わってみれば危なげない試合で、安定していたかなと思います」と川島監督も手応えを口にした高輪台が、2年連続の全国出場へ向けてまた1つ歩みを進める結果となりました。
「別格だね。アレは凄い。毎試合毎試合あのパフォーマンスを出せるから自信も付いてきて、良いパフォーマンスをしていますよね」と川島監督も認めた小林の空中戦における無双感は際立ってきている印象です。この日も守備時はほとんどの競り合いに完勝した上、CKからゴールまで決めてみせるハイパフォーマンス。ただ、本人は「まだまだ甘いかなという感じです。もっともっと関東予選の関一の時以上にやらなきゃいけないし、去年の先輩たちが全国に出た中で、自分は試合に出ているし、他のヤツらも見て感じているので、そういう所では練習からもっとやって、去年のチームを超えていかないといけないのかなと思っています」と慢心する気配は微塵もなし。この姿勢がチームに与える影響は非常に大きいのかなと。再来週から始まる"ベスト10"の初戦は難敵の暁星。「2年連続で全国に行きたいというのは、コイツら選手たちが一番思っていることなので」と川島監督。高輪台の進撃は果たしてどこまで。 土屋
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