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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年04月11日

関東大会予選東京1回戦 実践学園×大成@私学事業団G

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0409shigaku2.JPG1回戦屈指の好カードは雨脚の強まるコンディション下で。T1リーグで無敗を続ける実践学園と進境著しい大成が激突する一戦は引き続き新小岩私学事業団総合運動場です。
昨シーズンは関東大会予選こそベスト4まで勝ち上がったものの、インターハイ予選は1次トーナメントで姿を消し、選手権予選も準々決勝で成立学園に競り負けるなど、狙った結果には届かなかった実践学園。迎えた今シーズン。「みんなマジメな子が多いですし、自分の与えられた役割を1つ1つやってくれているチーム」と深町公一監督が評したチームは、Tリーグでも昨年度の選手権代表校の関東第一と駒澤大学高を相次いで撃破し、ここまで5戦無敗の堂々首位。各校からのマークも厳しくなってきた中で、シーズン最初のトーナメントコンペティションに挑みます。
近年では上位進出の常連。昨シーズンもインターハイ予選では1次トーナメントで國學院久我山と2-3の殴り合いを演じ、選手権予選でも全国ベスト8まで駆け上がった駒澤大学高を向こうに回し、0-1と最後まで食い下がるなど、確実にさらなるステップアップを視野に捉えている大成。新チーム最初の公式戦となった第7地区新人選手権大会では、2度のPK戦を粘り強く制しながら、5連勝で見事に地区制覇を達成。水曜日のT2リーグでは國學院久我山(B)を逆転で下しており、良いイメージを携えて難敵相手の初戦に向かいます。1試合目以上に激しくなった雨で、ピッチには多数の水たまりが。難しいコンディションの中、実践のキックオフでゲームはスタートしました。


先にチャンスを掴んだのは実践。2分に右サイドで獲得したCKをレフティの山内稔之(2年・AZ'86東京青梅)が蹴り込むと、こぼれを叩いた岩本連波(2年・FC杉野)のミドルは大きく枠の右へ外れましたが、まずはセンターフォワードが果敢なチャレンジを。11分は大成にもファーストチャンス。相手のFKを奪った所からカウンター発動。右サイドをグングン運んだ井上雄斗(3年)のクロスはDFが何とかクリアしたものの、大成も切れ味鋭いアタックを披露します。
ただ、「ちょっと今日はどうしようもなかったですね」と深町監督も言及したピッチコンディションもあって、お互いにある程度蹴り合うしかない展開の中で、徐々に押し込み始めたのは実践。16分に石本耀介(3年・青山SC)の仕掛けで得た右CKを山内が蹴るも、DFがしっかりクリア。直後に3バックの左を務める三澤健太(3年・昭島瑞雲中)がクロスを上げ切り、山内が狙ったミドルはDFをかすめてわずかに枠の右へ。その右CKを山内が入れると、飛び込んだ三澤のヘディングはわずかにゴール左へ。「何気に今年の子たちはセットプレーで取れているんですよね」と指揮官も話すセットプレーを中心に攻勢は実践。
一方、1トップの宮川諒也(3年・S.T.FC)に加え、その下へシャドー気味に入った澤頭元希(3年・ジェファFC)と井上へ早めにボールを入れて攻め切りたい大成。19分には岩下海斗(3年・八王子松が谷中)のパスから井上がクロスまで持ち込むも、実践の右センターバックを務める斎藤彰人(3年・FC多摩)が確実にクリア。逆に20分は実践。ミドルレンジで前を向いた浦寛人(3年・GA FC)がトライしたシュートは枠の上へ。スコアに変化は訪れません。
27分は実践。武田義臣(3年・FC.Branco八王子)のシュートは水たまりで減速し、大成のGK柴田憲伸(3年・府ロクJY)が丁寧にキャッチ。30分も実践。右から山内が蹴ったCKに、走り込んだ斎藤のヘディングはゴール左へ。33分は実践の決定機。左から前原龍磨(3年・三菱養和調布JY)がクロスを入れると、浦のシュートはDFのブロックに遭うも、武田が枠へ収めたシュートは柴田がファインセーブで応酬。38分は大成。澤頭を起点に井上が右からクロスを放り込み、宮川が当てたヘディングは実践のGK成田雄聖(3年・S.T.FC)がキャッチ。「前半はほぼグラウンダーのパスが通せる状況ではなかったので、割り切って前のサイドの所に蹴って、そこにフォワードが感じて走るというスタイルで行きました」と前原が振り返った実践優勢の前半は、スコアレスで40分間が終了しました。


ハーフタイムを挟むといきなり大成にビッグチャンス。45分にボランチの安東瑞生(3年・Forza'02)が蹴った長いFKをGKがファンブルして、ボールはゴール方向へ。ここはカバーに入った実践のボランチ北條滉太(3年・FC杉野)が懸命にクリアしたものの、あわやというシーンに沸き上がる大成応援団。48分にも安東が蹴り込んだ左FKを成田がファインセーブで凌ぐと、並木稜太郎(3年・練馬谷原中)の右CKから安東が残し、水越巧真(3年・FCトリプレッタJY)のボレーは枠を越えましたが、勢い良く後半を立ち上げたのは大成。
「後半の入りという部分でうまく行かなくて、良い形で入れなかった」とキャプテンの尾前祥奈(3年・江東深川第四中)も口にした実践は52分、石本が右からミドルを打ち切るも枠の上へ。60分に山内が蹴った右FKも柴田が確実にキャッチすると、双方が切り合った交替カード。61分は大成。果敢なサイドアタックが目立った井上を下げて、北村将尚(3年)を投入。63分は実践。岩本に替えて重枝俊亮(3年・FC.GABE)を送り込むと、67分にも石本と大関友貴(3年・FC多摩)をスイッチして勝負に出ます。
68分は実践。フィードを巧みに収めた武田が、そのまま持ち込んだミドルはクロスバーの上へ。71分も実践。大関が蹴った右FKに、斎藤が合わせたヘディングは柴田がキャッチ。74分も実践。重枝が粘って手にした右FKを山内が蹴り込み、こぼれを再び山内がクロスに変えるも、宮川が大きくクリア。押し切りたい実践。耐え切りたい大成。
75分は実践。今度は武田が獲得した右FKを山内が入れるも、飛び出した柴田がキャッチ。76分は大成に2人目の交替。安東と内海陸人(3年)を入れ替えて狙う先制弾。77分は実践。大関のFKを柴田がパンチングで防ぐと、こぼれに反応した三澤はシュートまで至らず。79分も実践。北條、重枝と繋いで、山内が打ち切ったシュートはわずかに枠の左へ外れ、頭を抱える実践ベンチ。80+2分には大成に千載一遇の先制機。並木の右CKにドンピシャのタイミングで飛び込んだのは澤入航哉(3年・FC府中)。高い打点で打ち下ろしたヘディングは、しかしわずかにゴール左へ外れ、頭を抱える大成ベンチ。80分間では両者譲らず。勝敗の行方は前後半10分ずつの延長戦へともつれ込むこととなりました。


少し雨脚も弱まり、ピッチコンディションも回復しつつある中で開始された延長。86分は実践。大関の右クロスから、こぼれを左足で打ち切った北條のミドルは枠の右へ。87分も実践。斎藤が右へ送り、重枝のクロスへ山内が走り込むも、果敢に飛び出した柴田が体に当てるファインセーブで何とか回避。「PKはちょっと嫌だった」(前原)「PK戦に入ったらマズいなというのがあった」(尾前)と2人が口にした言葉はおそらく実践の共通認識。大屋颯太(3年・FC多摩)、河原井陸(3年・FC多摩)、澤入で組んだ3バックを中心に、高い集中力でゴールに鍵を掛け続ける大成。残されたのは延長後半の10分間のみ。
実践を救ったのは「もっと点を取りたいし、点を取れない試合があると悔しい」と言い切るナンバーセブン。93分に重枝、浦と回ったボールを左で受けた前原は、少し中央に潜るとエリア外から右足一閃。糸を引くように地を這いながら枠を捉えたボールは、左スミギリギリのゴールネットへ突き刺さります。「もともとカットインからニアへのシュートというのを自主練からずっとやっていて、グラウンド状況もボールが滑るというのがあったので、ちょうどいい感じに滑って練習通りでした」と振り返った前原は、「応援が多くて感謝していたので、すぐ応援団の所に行きました」と雨の中で声を出し続けていた応援団の中央へ一直線。広がった歓喜の輪。とうとう実践が1点のリードを手にしました。
追い込まれた大成の猛ラッシュ。94分には右から河原井が蹴り込んだFKを宮川が執念で押し込み、DFがクリアしたボールはわずかにクロスバーの上へ。95分も大成。左CKを水越が放り込むも、成田が懸命のパンチングで再びCKへ。今度は右から並木が蹴ったキックは、ここも成田が何とかパンチング。3連続CKの3本目を左から水越が入れると、大関が必死にクリア。一転して押し込む大成。耐え凌ぐ実践。
実践ベンチはこの土壇場で2枚のカードを切る決断。97分には山内と山野大地(2年・東京久留米FC U-15)を、98分には浦と人見隼斗(3年・フレンドリー)を続けて入れ替え、1点を守りきる覚悟を鮮明に。100+1分は大成。右から並木が蹴ったCKは実践ディフェンスが何とかクリア。直後にここも並木が入れた右CKは成田がパンチング。延長後半だけで5本のCKを集めた大成の執念。いよいよゲームはクライマックス。
試合を決めたのは途中出場のストライカー。100+2分に押し込まれ続けていた実践のカウンターが炸裂。運んだ前原が丁寧にラストパスを送ると、抜け出した重枝のシュートは柴田がビッグセーブで防いだものの、こぼれを冷静にゴールネットへ流し込んだ重枝の一撃で勝負あり。「結構キツイ試合だったんですけど、最後はフォワードの2人が、シゲとマエが取ってくれたので、とりあえず結果は出たかなという形でした」と尾前も語った実践が延長戦までもつれ込む激闘を制し、2回戦へと勝ち上がる結果となりました。


「もう日替わりでヒーローが出てくるので、誰かに頼るというチームではないですし、あとは失点が少ないのが今年のチームの良さだと思います」と今のチームを評した深町監督。実は今シーズンに入ってから、公式戦で失点を許したのはわずかに1試合のみ。その堅守を支えている尾前は「自分たちは個の力がそんなにないので、チームとしてまとまりを持ってやるとか、当たり前のことを1つずつやっているだけですよね。だから結果が今の所は出ているのかなと思います」と話してくれました。次の対戦相手は成立学園。T1リーグでは4-0で倒している相手ですが、当然成立もリベンジを狙ってくるはず。今から非常に楽しみな対戦であることは間違いありません。      土屋

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