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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年01月16日

東京都クラブユースU-17サッカー選手権大会決勝リーグ 町田ユース×杉並ソシオU-18@小野路公園G

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0115onoji.JPG新年最初の公式戦は東京都のクラブユース王者を懸けた重要な大会。FC町田ゼルビアユースと東京杉並ソシオFC U-18が対峙する一戦は小野路公園グラウンドです。
東京ヴェルディユースに昨年は引き分け、一昨年は見事に勝利。また三菱養和SCユースやFC東京U-18とも、敗れたものの接戦を演じるなど、「あの3チームにも勝てないことはないと思いますし、差は縮まっているんじゃないかなと思います」と昨年からレギュラーを務める石田和成(2年・FC町田ゼルビアJY)も話したように、着々とチーム力を伸ばしてきているFC町田ゼルビアユース。とはいえ、この大会はなかなか3位の壁を超えられていないため、今大会は「ヴェルディも養和も食って西が丘に行こうって全員で意思統一できている」とキャプテンの谷口幸太(2年・FC町田ゼルビアJY)。まずはこの新チーム最初の公式戦で勝利を収め、新たなシーズンへ弾みを付けたい所です。
6チーム総当たりで争われる激戦の1次リーグを3大会ぶりに突破し、久々となる決勝リーグへと駒を進めてきた東京杉並ソシオFC U-18。その3年前はFC東京、東京V、町田とJリーグ勢の下部組織に包囲され、いずれも3点差での敗戦を喫しましたが、それでも東京Vからは2ゴールを奪い、FC東京からも1点をもぎ取るなど、確かな実力の一端を披露。今回の対戦相手となった町田は1次リーグで0-7と大敗を突き付けられた相手であり、そこから約2ヶ月でどれだけ差を縮めることができているのかを、肌で確かめる絶好の機会です。会場の小野路は凍った人工芝を踏むとシャリシャリと音がするような、極寒に近いコンディション。楽しみな一戦は17時30分にキックオフされました。


先にスコアを動かしたのはホームチーム。開始1分に金山竜己(2年・FC町田ゼルビアJY)が左から蹴ったFKはシュートまで繋がりませんでしたが、3分にも中央左寄りの好位置でFKを得ると、金山は直接狙ったキックをきっちり枠内へ。杉並ソシオのGK池亀恒毅(2年・東京杉並ソシオFC U-15)もファインセーブで弾き出したものの、詰めていたセンターバックの木村太一(2年・東京ヴェルディJY)がきっちりゴールネットへ蹴り込みます。電光石火の先制劇。町田が1点のリードを手にしました。
以降も流れは「早い時間に点が入ったので気持ちが楽になりました」とボランチの佐藤陸(1年・FC町田ゼルビアJY)も話した町田。13分に柳澤建志(2年・和光ユナイテッド)のパスから、谷口が打ったシュートはDFに当たり、さらに梅本吉弥(2年・東京ヴェルディJY)が叩いたシュートは枠の左へ外れたものの、迫力のある攻撃を。14分にも左サイドを単騎で切り裂いた柳澤の折り返しに、フリーで走り込んだ金山のシュートは枠の左へ。杉並ソシオも18分には山内翔弥斗(2年・東京杉並ソシオFC U-15)を起点に細かくボールを回し、最後は右ウイングバックの篠原快陸(1年・東京杉並ソシオFC U-15)が上げたクロスは、町田のGK市橋和弥(1年・FC町田ゼルビアJY)がしっかりキャッチ。なかなかフィニッシュを取り切れません。
21分は町田。金山が蹴った左CKは再び金山の所へ戻るも、ここは杉並ソシオのボランチ青木徹太(1年・東京杉並ソシオFC U-15)のカバーでゴールキックへ。23分も町田。馬場渓(2年・FC町田ゼルビアJY)が右サイドへ絶妙のパスを落とし、金山が右足で叩いたボレーはゴール右へ外れるも好トライ。25分は杉並ソシオ。相川立(1年・東京杉並ソシオFC U-15)が左へ流し、梅田一輝(2年・東京杉並ソシオFC U-15)のクロスは市橋にキャッチされましたが、少しずつ杉並ソシオにもサイドアタックの目が見え始めたタイミングで、結果を出したのは「1年ぶりぐらいにフォワードで公式戦に出て、正直不安だった」という9番。27分に右サイドから金山が右足でクロスを上げると、ファーに飛び込んだ谷口は高い打点からドンピシャヘッド。叩き付けられたボールはゴールネットへ飛び込みます。"帰ってきたストライカー"の強烈な一撃。点差は2点に広がりました。
追い掛ける杉並ソシオも31分にファーストシュート。1トップ起用の小野雅英(2年・東京杉並ソシオFC U-15)がミドルレンジから打ち切ったシュートは市橋にキャッチされましたが、ようやく掴んだフィニッシュワーク。32分には町田も右から金山がCKを蹴り込むも、何と中学生ながら3バックの中央を任された松本翔(中学2年・和田ブルドッグ)がきっちりクリア。これを見て早くも動いた杉並ソシオベンチ。34分にシャドーの位置へ10番を背負う重野祥輝(中学3年・杉並シーダーズ)を送り込み、創りたいボールの落ち着き所。36分には梅本との連携で谷口が迎えた決定機は、池亀が執念のファインセーブ。徐々に町田のアタックにアジャストし始めた池田秀成(1年・東京杉並ソシオU-15)、松本、小林洋大(1年・東京杉並ソシオU-15)で組む3バック。スコアは変わりません。
43分の歓喜は1年生ボランチから。右サイドバックの須藤友介(2年・FCトッカーノ)からパスを引き出した佐藤陸は、そのままダイレクトでDFラインの裏へ絶妙のラストパス。ここに走った谷口のボレーはゴールネットへ突き刺さります。「本当は手前の選手を狙ったんですけど、あわよくば奥まで行けばいいなと思って蹴りました」とは佐藤陸ですが、「ああいう所を狙えるんですよね」と竹中穣監督も評価を口に。クロースを参考にしているという佐藤陸の好アシストが飛び出し、3-0で最初の45分間は終了しました。


後半はスタートから町田に交替が。左サイドバックで奮闘した野呂光希(1年・ウイングスSC)に替えて、舟橋碧人(2年・緑山SC)をセンターバックに送り込み、「練習ではやっていたんですけど、公式戦では初めてのセンターバックを楽しくやらせてもらいました」という石田が左サイドバックにスライド。最終ラインの顔触れに変化を加えて、残された後半の45分間に向かいます。
49分に町田が掴んだチャンスは右サイドから。金山のパスから上がってきた須藤のグラウンダークロスに、突っ込んだ柳澤のシュートは至近距離も池亀が好キャッチ。50分には石田が左クロスを上げ切り、池亀がパンチングしたボールを谷口が頭で狙うも枠の右へ。52分には杉並ソシオにビッグチャンス。中央をショートパスで華麗に崩し切り、重野がフリーで抜け出しましたが、決定的なシュートは市橋がファインセーブで回避。千載一遇のチャンスを生かし切れません。
すると、次の得点を記録したのも町田。56分、右サイドへドリブルで流れた柳澤がニアへ鋭いクロスを送り、スライディング気味に飛び込んだ谷口のシュートは左スミのゴールネットへ吸い込まれます。「ケガ人がちょっといる中で、『チャンスがあるなら前をやってみたい』という彼の意思も尊重して起用した」と指揮官も話したセンターフォワードは「公式戦では初めてです」というハットトリックの大活躍。スコアは4-0に変わりました。
59分は町田に2枚替え。柳澤と佐藤陸が下がり、佐藤弥咲(2年・プロメテウスEC)と大塚拓哉(1年・横浜FC JY)を投入すると、いきなり交替カードが一仕事。61分に石田からパスを引き出した大塚は、積極的なドリブルでグングン前へ運び、その流れから左に開いた金山が打ち切ったシュートは、DFもクリアし切れずオウンゴールに。「今年に関しては本当に誰が試合に出るかわからないくらい力が拮抗している」という竹中監督の言葉をいきなり証明するかのような大塚の積極性が、チームの5点目を呼び込みます。
何とか1点ずつ返していきたい杉並ソシオは、61分に2枚目のカードとして常安澪(中学3年・和田ブルドッグ)をシャドーの位置へ。64分には重野が粘り強いキープから右へ展開し、篠原のクロスはDFのカットに遭いましたが、惜しいサイドアタックを。66分には中央で複数人が絡んだパスワークが飛び出し、川上龍斗(2年・府ロクJY)が枠へ収めたミドルは市橋にキャッチされたものの、少しずつ杉並ソシオが切り開く得点への道筋。
それでも「攻守にボールに関わる」(竹中監督)というここ最近のトレーニングで意識してきたことを体現し続ける町田の勢いは止まず。70分に馬場のスルーパスから、大塚が挑んだ1対1は池亀がファインセーブを見せましたが、71分には馬場の左CKから谷口が頭で流し込んで6点目。直後に北野拓海(1年・コンフィアール町田)、鈴木舜平(1年・FCトッカーノ)、内野豊羽(1年・FC町田ゼルビアJY)と1年生トリオを同時投入し、75分にも吉岡海渡(2年・名古屋グランパス三好)をピッチヘ解き放つと、78分にも大塚の左クロスから北野が豪快なシュートを叩き込んで7点目。80分にも鈴木の仕掛けから最後は谷口が左スミへ流し込んで8点目。一気に点差が開いてしまいます。
83分に北野が蹴った右CKから、こぼれを佐藤弥咲がきっちり蹴り入れて9点目。86分にも右から入ってきたボールに、巧みな反転で前を向いた佐藤弥咲の左足シュートが決まって10点目。90分にも1対1を迎えた佐藤弥咲が冷静にこれを制し、何と7分間で圧巻のハットトリックを達成。そして90+2分にはショートコーナーから、須藤のクロスを「今日はほとんどワンタッチゴールで、周りがお膳立てしてくれたので、そのおかげかなと思いますね」と振り返る谷口がヘディングでゴール右スミへ流し込み、ダブルハットトリックを記録してここで打ち止め。「とりあえず勝てて良かったですし、点数も入ったので、それは本当にチームとしてもプラスだったと思います」と石田も笑顔を見せた町田が、新チームのオープニングマッチを勝利で飾る結果となりました。


「やろうとしていることがどれぐらいチームとして落とし込めているのかということと、プラスアルファ個人がどう表現できるという所が今回のゲームのコンセプトでした。なので、選手たちは非常に前向きにアグレッシブにやってくれたなと思っていますし、まだまだ多くはないですけど、その中でこっちが意図して、トレーニングでこういうことをやろうねということが少し見えた部分はあったので、また積み重ねていく最初のゲームとしては良かったなと思います」と竹中監督も評価を口にした町田。今シーズンのキャプテンは竹中監督就任以来、初めて投票で選ばれたとのこと。「何で選ばれたのかはわからないですけど(笑)」と首をひねったキャプテンの谷口は「タケさんから投票の時に『プルアップしてくれる、上に引っ張っていってくれるヤツをキャプテンにしろ』という話があって、それで選ばれたので『自分が引っ張る』という気持ちでやろうかなと思っています」と確かな決意を。「僕自身の新しい試みと思っています。世間的にはそうでもないんでしょうけど(笑)」と笑った竹中監督の"新しい試み"は、このゲームに関して言うといきなり奏功したかもしれません。「凄く前向きなキャラクターが多いんですよ。ポジティブなキャラクターが。最上級生が凄くサッカーが好きなグループななんですよね」と楽しそうに話す指揮官は続けて、「彼らには今年1年のコンセプトはもう『勝利を追及する』という風に伝えていますから」ときっぱり。「養和もヴェルディも雲の上の存在では全然ないなという感じがしますし、夢物語というよりは本気で勝ちに行っているので、どうやったら勝てるのかというのを模索しながら練習からやっています」とは谷口。この日の快勝を後ろ盾に臨む次の養和戦で、彼らのさらなる覚悟と真価が試されます。      土屋

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