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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年01月07日

高校選手権準決勝 東海大仰星×青森山田@埼スタ

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頂上決戦への最終関門は激戦必至のセミファイナル。初めて全国4強まで駆け上がってきた東海大仰星と、2年連続となるこの舞台へ帰ってきた青森山田の一戦は埼玉スタジアム2002です。
近年は国内屈指の激戦区となっている大阪予選で、関西大北陽、近畿大附属と全国経験のある学校を退け、決勝でもプリンス関西を圧倒的な成績で制した阪南大学高を3-2と振り切って、4年ぶりに大阪王者へ輝いた東海大仰星。迎えた今大会は初戦で藤枝明誠に2-1で競り勝つと、鹿島学園、富山第一と難敵を相次いで下し、前回出場時と同じベスト8まで。さらにそのステージではセンターバックの吉田純平(3年・門真沖SC)が挙げた1点を守り切って、連覇の懸かる東福岡も堂々撃破。初めてとなる全国4強の舞台でさらなる躍進を狙います。
FC東京U-18とのプレミアEAST最終節、サンフレッチェ広島ユースとのチャンピオンシップと、タイトルの懸かった負荷の高い連戦で揃って勝利とタイトル獲得を経験し、充実した状態で最大の目標とも言うべき選手権に挑んでいる青森山田。2回戦からの登場となった初戦で鵬翔を、郷家友太(2年・ベガルタ仙台JY)の2ゴールなどで5-0と一蹴すると、続く3回戦でも聖和学園に5-0と快勝。準々決勝も正智深谷に鳴海彰人(3年・新ひだか静内中)の3戦連発弾を含む3ゴールを見舞って、昨年涙を飲んだセミファイナルへ。まずは「昨年達成できなかった準決勝で勝利をするということ、ファイナリストになるという昨年の先輩たちが果たせなかったこと」(黒田剛監督)を成し遂げるべく、勝負の90分間へ挑みます。埼玉スタジアム2002には多くの子供も含めた16,456人の観衆が集結。注目のゲームは青森山田のキックオフでスタートしました。


「立ち上がりから我々が1年間積み重ねてきた経験値をうまく相手に伝えて行ければいいと、そのような入り方でスタートさせたんですけど、予想以上に硬さがあったかな」と黒田監督も話したように、ゲームは静かなスタート。7分は東海大仰星。左から面矢行斗(3年・京都サンガU-15)が蹴ったFKは、青森山田のGK廣末陸(3年・FC東京U-15深川)が丁寧にキャッチ。12分は青森山田。右から住川鳳章(3年・FCバイエルン ツネイシ)がFKを入れるもシュートには至らず。直後には東海大仰星の10番を背負う松井修二(3年・ガンバ大阪門真JY)が廣末にキャッチを強いるこのゲームのファーストシュートを放ちましたが、ボールは小山内慎一郎(2年・青森山田中)と橋本恭輔(3年・クリアージュFC)のセンターバックを起点に青森山田の持つ時間が長い展開の中で、お互いに手数は出てきません。
ところが突如としてスコアが動いたのは23分。左サイドでドリブルを開始したサイドバックの三国スティビアエブス(3年・青森山田中)は、グングン加速してエリア内へ侵入すると、マーカーを切り返しで外すやいなや右足一閃。綺麗な弧を描いて巻かれたボールは、右スミのゴールネットへ鮮やかに吸い込まれます。元々東京出身であり、関東開催の選手権を「友人や家族に見てもらえる機会なのでメチャクチャ楽しみです」と話していた三国が衝撃のゴラッソ。青森山田が1点のアドバンテージを手にしました。
ただ、追い掛ける展開となった東海大仰星もすぐさま反撃。24分には前線の藤山海星(2年・枚方FC・マシア)が左へ流し、3列目から上がってきた原田紘汰(3年・FC TIAMO交野)のクロスはDFに当たって枠内へ。ここは廣末が驚異的な反応で掻き出しましたが、26分に生まれた同点弾。3本連続で左から面矢が投げた3本目のロングスローから、こぼれをボランチの大崎航詩(3年・大阪セントラルFC)がピンポイントクロスに変えると、ファーに飛び込んだ松井は丁寧にインサイドでボレーを敢行。ボールは左スミのゴールネットへ転がり込みます。失点からわずか3分での同点劇。両者の点差はあっという間に霧散しました。
「前半で1点でもリードをして終わりたいというプラン」(黒田監督)に暗雲が立ち込めた青森山田。34分には住永翔(3年・コンサドーレ札幌U-15)が右クロスを上げ切り、収めた鳴海の左足シュートはわずかに枠の右へ。36分にも郷家の右ロングスローがこぼれ、小山新(3年・青森山田中)が叩いたボレーは東海大仰星のGK宮本一郎(2年・門真沖SC)が確実にキャッチ。38分にも郷家が投げ入れた右ロングスローから、小山が頭で合わせたボールはゴールキックになりましたが、郷家の"飛び道具"を使いつつ、ジワジワ押し込み始めたプレミア王者の高い圧力。
すると、41分の歓喜はやはりロングスローから。左からここも郷家が飛距離のあるボールを投げ込むと、小山のシュートは宮本が素晴らしいセーブで弾き出しましたが、こぼれに反応した高橋壱晟(3年・青森山田中)が打ち切ったシュートは豪快にゴールネットへ突き刺さります。「何とか苦しい中でも1点リードで終えられたことが、気持ち的にちょっと楽にさせてくれたのかなと思います」と黒田監督。再び青森山田が1点のリードを強奪して、最初の45分間は終了しました。


後半はリードを手にした青森山田に勢い。47分には高橋、嵯峨理久(3年・ウインズFC U-15)と繋ぎ、小山が上げた右クロスに郷家が合わせたヘディングは枠の左へ外れましたが、まずは好トライで立ち上がると、49分と52分にどちらも郷家が投げたロングスローを経て、52分にも左CKのチャンス。ショートで蹴り出した高橋は嵯峨のリターンからクロスを上げ切り、橋本のヘディングは宮本にキャッチされましたが、追加点への意欲を前面へ押し出します。
東海大仰星もロングスローで反撃。56分に左から面矢が投げたボールはスローワーの元に戻り、思い切って狙ったミドルは枠の右へ。57分にも面矢の左ロングスローがこぼれ、再び面矢が上げた高速クロスは廣末が丁寧にキャッチ。64分には中務雅之監督も1人目の交替を決断。藤山に替えて、谷野龍馬(3年・ヴィッセル神戸伊丹U-15)をピッチヘ送り込むと、直後には新保隼人(3年・岩田FC)のパスから、すかさず前を向いた松井のミドルは廣末にキャッチされるも、吉田と玄尚悟(3年・岩田FC)のセンターバックコンビを軸に守備の集中力も高まっていく東海大仰星に少しずつ見え始める同点への糸口。
68分は青森山田。郷家が頭で残し、鳴海が叩いたシュートはDFに当たって枠の右へ。71分は両チームが同時に交替を。東海大仰星は新保と松山樹生(3年・セレゾンFC)を入れ替え、前線に見野龍太郎(3年・門真沖SC)と松山を並べる布陣へ。青森山田は住川と堀脩大(2年・FC東京U-15深川)をスイッチして、整える攻守のバランス。73分は東海大仰星。面矢の左ロングスローが混戦を生み出し、見野が枠へ飛ばしたボレーは廣末がキャッチ。75分は青森山田。郷家の右ロングスローを嵯峨が拾い、小山のミドルは枠の右へ。78分に東海大仰星は3人目の交替。1年生アタッカーの矢野修大(1年・宇治FC JY)を大舞台へ解き放ち、最後の勝負へ。80分を経過したここからは、準決勝と決勝のみに追加される10分間。いよいよ勝敗のカギを握る最終盤。
81分は東海大仰星。松井が丁寧に蹴り込んだ左CKは、廣末が冷静なパンチングで回避。直後に青森山田は2人目の交替。鳴海と佐々木快(3年・リベロ津軽SC U-15)をスイッチさせ、前からの圧力向上に着手。83分は東海大仰星。右サイドバックの大東史明(3年・岩田FC)がロングスローを敢行し、面矢が利き足とは逆の右足で放ったシュートは枠の右へ。85分に黒田監督が切った3枚目のカードは佐々木友(2年・青森山田中)。「東福岡とのゲームを見ると後半はかなり仰星のエンジンが掛かって来て、凄く前へ前への勢いを感じられるような状況が見えた」という指揮官が振るう勝利への采配。
千載一遇の同点機が到来したのは86分。後方からのフィードに抜け出した大崎はまったくのフリーに。そのまま合わせたボレーは、しかしクロスバーを越えてしまい、頭を抱えた大崎とチームメイト。88分も東海大仰星にビッグチャンス。吉田のフィードに松山が競り勝つと、懸命に体を伸ばして打った矢野のシュートは廣末が気迫のファインセーブで仁王立ち。90+2分にも左サイドから面矢がアーリークロスを放り込み、こぼれを収めた松井のシュートは、それでも廣末が防ぎ切って失点は許さず。最後は鍵山健司(2年・FC東京U-15深川)をクローザーとして送り込み、聞いた勝利を告げるファイナルホイッスル。「最後まで集中力を切らさず、廣末を中心に体を張って守ってくれた所が今回の勝因だったと思います」と黒田監督も話した青森山田が、昨年度を超えるファイナル進出を力強く引き寄せ、悲願の日本一へ王手を懸ける結果となりました。


「チャンピオンシップからあまり日のない中でのモチベーションの管理の中、結構選手に硬さもあったり、疲れもあったりする中で、毎試合毎試合頑張ってくれている印象もあります」と黒田監督も話した通り、12月に入ってからいずれも緊張感を強いられる戦いに挑み続けている青森山田。それでも「選手権というのはまたチャンピオンシップとは違って、負けたら引退という目に見えないプレッシャーが凄くプレーの所々で見えたなというゲームでした」と指揮官も認める一発勝負の選手権でも、きっちり実力を発揮し続け、いよいよ7年ぶりのファイナルまで辿り着きました。「監督を22年間やってきてもなかなか手の届かなかった、一番欲しいタイトルが選手権。次のファイナルのチャンスを何が何でもものにしたいという気持ちでいます」と意気込む黒田監督の下、今や全国屈指の強豪として存在感を放ち続けてきた青森の雄が挑む最後の、そして最も重要な1試合が今から非常に楽しみです。    土屋

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