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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年01月04日

高校選手権3回戦 山梨学院大附属×駒澤大学高@駒沢陸上

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0103komazawa.JPG6年前にも同じ3回戦で対峙した両者のリターンマッチ。山梨学院大附属と駒澤大学高がベスト8進出を巡って再会する一戦は駒沢陸上競技場です。
初出場初優勝というセンセーショナルな形で日本一に輝いたのは第88回大会のこと。以降は8年で5回の全国出場を誇り、一気に山梨を代表する強豪へと成長を遂げた山梨学院大附属。昨シーズンの選手権予選は、決勝で帝京第三に2-0からの逆転負けで全国切符を逃し、今シーズンのインターハイ予選もやはり決勝で日本航空の後塵を拝するなど、なかなか目に見える結果が伴ってこなかった中で、今回の選手権予選は「今年から安部(一雄)監督に変わって、夏にボールを使わない走り合宿もあったりして、本当に走り込みをやってきたので、それはみんなの自信になっていると思います」とキャプテンの小林友也(3年・FC東京U-15むさし)も言及した運動量を生かして見事2年ぶりの県内制覇を達成。今大会も岡山学芸館に1-0、尚志に2-1と共に1点差で競り勝って3回戦まで。2つの勝利で得た自信をベースにさらなる上位進出を狙います。
全国8強まで勝ち上がった昨年度の選手権を経験しているメンバーがほとんど残り、「今の目標は全国に出ることだけではなくて全国制覇」とキャプテンの高橋勇夢(3年・Forza'02)も明言するなど、チーム自体の目線が確実に上がってきた駒澤大学高。ただ、盤石の4戦連続無失点で東京制覇を成し遂げ、自信を持って迎えたはずだった今大会の初戦は高松商業を相手に苦戦を強いられ、途中出場の米田泰盛(3年・VIVAIO船橋)の決勝点で何とか1‐0と辛勝。「こういう公式戦で良いゲームができないと一発で終わってしまうので、自分たちはもう1回チャレンジャー精神を持ってやっていくだけ」とはボランチの武智悠人(3年・Forza'02)。もう一度ネジをきっちりと締め直し、重要な80分間に向かいます。関東対決ということもあって、両校応援団を含めてスタンドには5,700人を超える観衆が。楽しみな3回戦は山梨学院のキックオフでスタートしました。


先にチャンスを掴んだのは山梨学院。4分に左から西野隆男(3年・ACアスミ)が蹴ったCKはDFのクリアに遭いましたが、直後に逆サイドのCKを今度はレフティの左サイドバック森田和樹(2年・AZ'86東京青梅)が好キックで中へ。ニアに突っ込んだ相田勇樹(3年・あきる野FC)のシュートは枠の右へ逸れたものの、「2試合を通してチームとして一歩一歩成長しているなと感じます」と小林も話した山梨王者がセットプレーで駒澤ゴールを脅かします。
ところが、ファーストチャンスを結果に結び付けたのは東京王者。7分に高橋の積極的なシュートから手にした左CK。レフティの長井虎之介(3年・Forza'02)がアウトスイングで蹴り込んだボールがGKを越えると、走り込んだ村上哲(3年・FC府中)が叩き付けたヘディングはゴールネットへ弾み込みます。「前半の始めで相手も取られたら嫌だろうと思っていましたし、メチャクチャ気持ち良かったですね」という左サイドバックの全国初ゴール。駒澤が先にスコアを動かしました。
以降のペースは一気に駒澤へ。12分に右から高橋が投げたロングスローがこぼれ、再び高橋が入れたクロスを影山克明(3年・ヴェルディSSレスチ)は押し込み切れず。直後にも高橋が右ロングスローを投げ込み、ルーズボールを叩いた武智のミドルは枠の右へ。14分には村上の左ロングスローを影山が落とし、矢崎一輝(3年・大豆戸FC)のシュートは枠の左へ外れましたが、「立ち上がりから自分たちのサッカーができた」(矢崎)駒澤の続く攻勢。
2度目の歓喜は「みんな期待してくれていた分、今日は絶対決めてやろうという想いがあった」という10番によって。16分、ここも左CKを長井が蹴り入れ、山梨学院のGK大野郁哉(3年・AZ'86東京青梅)がパンチングしたボールをDFがクリアするも、高く上がったボールは矢崎の元へ。「たまたま自分の所に来たので胸トラップして、ボールを見て振り抜くということを意識した」シュートは、反応していたGKの手を弾く強烈な弾道でゴールネットへ突き刺さります。一時はケガで長期離脱を強いられ、10番を剥奪されたストライカーが、その10番を背負って全国初ゴールを記録。早くも点差は2点に広がります。
止まらない赤黒軍団。長井、矢崎と繋ぎ、村上が枠に飛ばしたミドルが大野のファインセーブに阻まれた18分のシーンを経て、1分後には3度目の咆哮。左サイドで「点を決められるとあれぐらいのプレーもノリにノッてできる」という矢崎が華麗なステップのドリブルで中へ持ち込み、好調を維持する栗原信一郎(3年・FC多摩)のラストパスを西田直也(2年・横浜F・マリノスJY)が左足で叩いたボールは、右スミのゴールネットへ吸い込まれます。2年生ボランチも見事に全国初ゴール。3‐0というスコアにスタンドにも小さくないどよめきが。
3点のビハインドを負った山梨学院。「蹴っていても全部跳ね返されて相手ペースになっていた」と小林も振り返った劣勢の中、ベンチも28分には早くも1人目の交替を決断。センターバックの西雅人(3年・東急SレイエスFC)に替えて、今大会のラッキーボーイとなっている宮崎純真(1年・FC多摩)を最前線へ送り込み、中盤アンカーの大竹悠生(3年・FC.GIUSTI世田谷)を一列落として草地勇輝(3年・インテリオールFC)と最終ラインの中央に並べ、右に出ていた小林をボランチに、前線の降矢涼平(3年・ヴァンフォーレ甲府U-15)を右サイドハーフにスライドさせて、反撃態勢を整えます。
30分は駒澤。矢崎が右へ流し、影山の左足クロスへ頭から飛び込んだ栗原のダイビングヘッドは、大野がファインセーブで回避。35分も駒澤。高橋のフィードに長井が飛び出すも、シュートは当たらず大野がキャッチ。37分も駒澤。カウンターから矢崎のパスを受けた影山の狙いすましたシュートは右のポストを直撃し、長井の落としに武智が放ったミドルはゴール右へ。40+1分は山梨学院。小林とのワンツーから宮崎が狙ったミドルは枠の上へ。「昨日の試合は自分たちのやりたいことばかりになってしまって、今日はチームとしてやるべきことをまずやろうという風にして臨みました」とGKの鈴木怜(3年・S.T.FC)も口にした駒澤が、3点のリードを保って最初の40分間は終了しました。


後半もスタートから勢いは駒澤。41分に武智が縦に付け、影山を経由して矢崎が打ったシュートはヒットせず、大野にキャッチされましたが「結果を出さないと10番として認めてもらえないですし、結果というのを意識してやりたい」というストライカーが滲ませる4点目への意欲。46分にも栗原を起点に矢崎がスルーパスを通し、抜け出した影山のシュートは大野がファインセーブで立ちはだかりましたが、ハーフタイムを挟んでもゲームリズムは変わらず。
47分に2人目の交替として西野と雨宮壮(3年・ヴァンフォーレ甲府U-15)を入れ替えた山梨学院は、矢崎のシュートを大竹が果敢に体でブロックしたシーンを経て、49分に降矢と須藤航太(3年・アスルクラロ沼津U-15)をスイッチすると、直後に決定機。右サイドで宮崎、須藤、藤原拓海(3年・名古屋グランパス三好FC)と細かく繋ぎ、小林が枠内へきっちりシュートを収めるも、「こういうトーナメントは40分ハーフで短いこともあって、ゼロで抑えられるチームがやっぱり勝ち上がっていくと思うので、守備を大事にしたい」と話す鈴木がファインセーブで応酬。「キャプテンとしてはみんなの想いを背負って決めたかった」と小林。追撃弾とは行きません。
すると、52分に生まれたのはさらなる追加点。左から長井が蹴ったCKを、「誰かの代わりとかじゃなくて、勝利に貢献できるようなプレーをしないとメンバーに入れなかった3年生の人たちに顔向けできないと思っている」と語るルーキーの齋藤我空(1年・Forza'02)がドンピシャヘッド。大野も懸命に掻き出しましたが、高橋が体でねじ込んだシュートはゴールネットへ到達します。「チームの一番上に立ってやるからには全部の責任を背負ってやらなきゃいけないと思っている」と自身にプレッシャーを掛け続けてきたキャプテンも全国初ゴール。スコアは4-0に変わりました。
56分も駒澤。長井の右CKを、ニアで合わせた高橋のヘディングはDFがクリア。58分も駒澤。ここも長井の右CKに、ニアへ飛び込んだ村上のヘディングは枠の上へ。60分も駒澤。右へ開いた矢崎のクロスを影山が頭で狙うも、大野が執念のファインセーブ。61分に山梨学院は最後の交替。藤原に替えて野澤智哉(3年・三井千葉SC)をピッチヘ解き放ちましたが、62分は再び駒澤。村上の左ロングスローから、栗原がヘディングで枠へ収めたシュートは大野がキャッチ。「昨日がちょっと悪すぎたのもあって、アレが良い薬になったと思う」とは大野監督。緩む気配のない駒澤。
残り15分から指揮官が相次いで切った交替カード。65分に齋藤を下げて菊地雄介(3年・VIVAIO船橋)をボランチへ送り込み、西田が佐藤瑶大(3年・FC多摩)と並ぶセンターバックへ。68分に矢崎と米田をスイッチすると、71分にも「良く体を張れていたと思います」と指揮官も高評価を下した影山に替えて、服部正也(3年・S.T.FC)を最前線に配し、強化する前からのプレス。75分に山梨学院は右から森田がCKを蹴り込み、草地が競り勝つも佐藤がきっちりクリア。さらに大野監督は4人目の交替として、武智と小池浩然(3年・大豆戸FC)を入れ替える万全の采配で、取り掛かるゲームクローズ。
78分は山梨学院。大竹が大きく蹴り込んだFKは鈴木ががっちりキャッチ。80+2分も山梨学院。右サイドバックの野田椋雅(3年・アスルクラロ沼津U-15)が気迫で運んで左へ送るも、雨宮のグラウンダークロスは鈴木がキャッチ。80+4分は山梨学院のラストチャンス。小林が右へ振り分け、野田のクロスから相田が右足を振り切ったシュートが枠の左へ外れると、程なくして吹き鳴らされたファイナルホイッスル。「こんなゲーム、1年に1回できるかできないかだと思う」と大野監督も認めた駒澤が強さを見せ付ける格好で、2年連続となるベスト8へ駒を進める結果となりました。


「一発トーナメントで大きい舞台になると、流れの中だとなかなか点が取れないと思うんですよね。なので勝ち上がるには『守備、セットプレー、カウンター、PK』と言っているんですけど、だいぶセットプレーの準備はしてきたので、たまたま今日はそれが出たのかなと思いますけどね」と試合後に話した大野監督。山梨学院の小林も「相手の特徴はセットプレーだったので、今日のミーティングでもそれは確認していたんですけど、マークに付き切れずにほとんどの失点がセットプレーだった」と認めた通り、4ゴールの内の3ゴールはCKから生まれたもの。「今日はうまく行き過ぎたので、こんなことはもうないと思いますけどね」と苦笑したのは指揮官ですが、予選から威力を発揮してきたセットプレーはやはり駒澤の絶対的な武器と言っていいでしょう。「去年を超えるためにも『埼スタに行きたい』というのを散々言ってきたので、準々決勝に進めたことは良かったんですけど、ここがゴールではないですから。ここで慢心せず、チームの反省点をしっかり洗い出して準備しないと、次は本当に勝てないと思うので、万全の状態で臨んで、1点差でもPKでも何でもいいので勝ちを掴み取れたらいいなと思います」と次のゲームを見据えたのは高橋。ベスト4のその先へ。駒澤にとって新たな歴史の扉をこじ開ける覚悟は整っています。      土屋

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