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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年01月02日

高校選手権2回戦 駒澤大学高×高松商業@駒沢陸上

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0102komazawa.JPG前年度は全国ベスト8まで駆け上がった赤黒軍団の登場。東京王者の駒澤大学高と香川王者の高松商業が激突する一戦は、駒沢陸上競技場です。
5年ぶりの晴れ舞台は飛躍の時。開幕戦で阪南大学高を退けると、尚志、松山工業を相次いで撃破し、堂々の8強進出。最後は夏冬全国制覇を成し遂げた東福岡に惜敗したものの、昨年度の選手権における台風の目として日本中にその名を轟かせた駒澤大学高。ほとんどの主力が残って迎えた今シーズンは、関東大会こそ本大会優勝という大きな成果を手にしましたが、準決勝で関東第一に敗れ、全国出場を逃したインターハイ予選を経て、選手権予選は盤石と言っていい戦いぶりで無失点優勝を達成し、2年連続で冬の全国へ。「本当にこの選手権に懸けてやってきたので、目標は全国制覇です」と言い切るのはキャプテンの高橋勇夢(3年・Forza'02)。まずはそのために通過すべき初戦に部員268人の総力を結集して臨みます。
最多となる22度の香川制覇を誇る古豪も11年ぶりの全国見参。近年は四国学院大香川西の勢いに押される格好で、なかなか県内でも存在感を示すことができない時期を過ごしていた高松商業。今シーズンもインターハイ予選はベスト8敗退と悔しい結果を突き付けられる格好になりましたが、その思いを胸に挑んだ選手権予選では、準決勝で最大のライバル四国学院大香川西を0-0からのPK戦で倒すと、決勝でも寒川に0-0からのPK戦で競り勝ってこのステージまで。「我々の身上は粘り強くプレーすること」と陶山輝佳監督もキッパリ。11年ぶりの全国優勝を目指し、"アウェイ"の初戦に挑みます。駒沢陸上には東京勢の登場ということもあって5,599人の観衆が。楽しみな2回戦は高松商業のキックオフでスタートしました。


1分に左から村上哲(3年・FC府中)が、3分に右から高橋が相次いでロングスローを投げ込むなど、らしいアタックで立ち上がった駒澤。6分には武智悠人(3年・Forza'02)のパスから高橋がエリア内へ侵入し、マーカーともつれて転倒。ホイッスルは鳴らずにPKとはいきませんでしたが、まずは縦への圧力を前面に押し出すも、ファーストシュートは9分の高松商業。キャプテンの右サイドバック安西真輝(3年・東かがわ大川中)がクロスを上げ切ると、ニアへ飛び込んだ宮本蓮(3年・丸亀東中)のヘディングは駒澤のGK鈴木怜(3年・S.T.FC)がキャッチしたものの、あわやというシーンを創出します。
すると、10分には矢崎一輝(3年・大豆戸FC)の左クロスに、栗原信一郎(3年・FC多摩)が合わせたヘディングが枠の左へ逸れてからゲームは膠着。「立ち上がりの最初の5分くらいは良かったんですけど、そこからどうもペースを握れない時間が続いてしまった」とは武智ですが、むしろ右サイドハーフに入った青大祐(3年・FCディアモ)の仕掛けを中心に、高松商業にもアタックの勢いが。「立ち上がりの20分をどう戦うかが我々にとって凄く大事だった」と陶山監督が話した"立ち上がりの20分"は均衡状態に。
23分は高松商業。10番の西島勇気(3年・香川大教育学部附属中)がドリブルで運び、こぼれを拾った青井信也(3年・三豊仁尾中)のミドルは鈴木がキャッチ。26分は駒澤にセットプレーのチャンス。レフティの長井虎之介(3年・Forza'02)が入れた左CKから、佐藤瑶大(3年・FC多摩)が高い打点のヘディングを放つも、ボールはわずかにクロスバーの上へ。27分も駒澤に決定機。左サイドで長井が縦に付け、栗原の折り返しへフリーで突っ込んだ西田直也(2年・横浜F・マリノスJY)のシュートはここもわずかに枠の上へ。32分も駒澤。矢崎、栗原と繋いだボールを高橋が右から折り返し、武智が放ったミドルは長井に当たって枠の右へ。ようやく出てきた駒澤の迫力。
33分は高松商業に決定的なチャンス。ボランチの宮脇昂汰(3年・三観JY FC estrela)がスイッチを入れた波状攻撃。右に出ていた西島がグラウンダーでクロスを送ると、ニアで打ち切った矢野樹(3年・FCディアモ)のシュートはわずかにゴール右へ逸れましたが、際どいシーンにどよめくスタンド。34分は駒澤のロングスロー。村上が左から投げたボールを長井がすらし、こぼれを収めた矢崎のシュートは枠の上へ。35分も再び駒澤のロングスロー。今度は高橋が右から放り込んだ軌道に服部正也(3年・S.T.FC)が頭で触り、矢崎が反転から枠へ飛ばしたシュートは高松商業のGK尾崎省吾(3年・高松木太中)が指先でファインセーブ。やり合う両者。上がる応援団のボルテージ。
37分は高松商業。安西、宮本と回ったボールを矢野はシュートまで持ち込むも、駒澤のキャプテンを務める高橋が体を投げ出してブロック。38分も高松商業。矢野がドリブルで突っ掛け、青が放ったミドルは鈴木が丁寧にキャッチ。40分は駒澤。佐藤を起点に栗原が左へ流し、長井のクロスに走り込んだ矢崎のヘディングはゴール右へ。「前半があまりにもひどすぎた」(大野監督)「前半はズルズル行っちゃったという感じはあります」(武智)と2人が声を揃えた前半は、スコアレスで40分間が終了しました。


「危ないシーンもあったのですが、自分たちが何とかゲームをコントロールしようということで、そういう所は力を発揮してくれたと思います」と陶山監督も話した高松商業。右から安西、高橋彩人(3年・三観JY FC estrela)、遠藤啓輔(3年・FCディアモ)、高野凌央(3年・FCディアモ)と3年生で組んだ4バックも高い集中力でゴールに鍵を掛けつつ、43分には右から安西が入れたスローインを青が受け、ドリブルから枠の右へ外れる後半ファーストシュートを打ち切ります。
一方の駒澤も48分には高橋の右ロングスローに、矢崎が飛び付いたシュートは尾崎にキャッチされ、50分にも矢崎のパスから西田が叩いたシュートは、DFにブロックに遭って尾崎に収められると、大野監督は51分に1人目の交替を決断。1年生ながら「勝利に貢献できるようなプレーをしないとメンバーに入れなかった人たちに顔向けできないと思っている」と力強く話す齋藤我空(1年・Forza'02)に替えて、菊地雄介(3年・VIVAIO船橋)をボランチヘ送り込み、西田を齋藤のいたセンターバックへスライド。最終ラインの顔触れは昨年の全国を戦った4人に。
この前後から「背後に入れるということがしっかりできて、相手の中盤を間延びさせて、セカンドボールも回収できていた」と武智が振り返った通り、駒澤の"縦"が勢いに直結。53分に村上が左から蹴ったFKは尾崎にキャッチされましたが、54分には高い位置でボールを奪い、矢崎のシュートは尾崎に防がれるも駒澤らしいアタックを。56分にも栗原が右から中へ戻し、矢崎のシュートがブロックされたこぼれ球を高橋が直接狙った軌道はわずかに枠を越えたものの、畳み掛ける赤黒軍団。
57分の主役は"ファーストタッチ"でその座に。大野監督は2人目の交替として長井と米田泰盛(3年・VIVAIO船橋)をスイッチさせると、直後に高橋が投げた右ロングスローがエリア内で弾み、うまく落下地点を見極めた米田は左足一閃。右スミへ飛んだボールはそのままゴールネットへ吸い込まれます。「アレはうまく行き過ぎです」と苦笑したのは大野監督ですが、ピッチヘ解き放たれたばかりの19番が大仕事。駒澤が1点のリードを手にしました。
1点を追い掛ける展開となった高松商業。59分に迎えた決定的なピンチを尾崎のファインセーブで何とか凌ぐと、60分にはルーズボールを収めた高野がミドルレンジから強烈なシュート。鈴木も巧みなパンチングで枠の上へ逃げましたが、同点への意欲は衰えず。その左CKを矢野がショートで蹴り出した一連はシュートまで持ち込めなかったものの、64分に栗原に打たれたシュートも尾崎がファインセーブで仁王立ち。勝利への望みを守護神が懸命に繋ぎます。
65分は高松商業に1人目の交替。青井とのスイッチでルーキーの船田光希(1年・FCリフォルマ)をピッチヘ。71分は駒澤に3人目の交替。高橋に替えて、「最近はずっと良かった」(大野監督)という小池浩然(3年・大豆戸FC)をそのまま右サイドバックへ。73分は陶山監督も2枚替えを敢行。高野と西島を下げて、安藤彪華(3年・三観JY FC estrela)と溝渕冬馬(3年・FCディアモ)を送り込んで最後の勝負へ。残り時間は5分間とアディショナルタイム。いよいよ迎える最終盤の攻防。
それでも「一番相手のストロングの方にそういうボールを配球してしまったりとか、もっと下からとかサイドから行くようなメンバー交替もしたのですが、相手の力の方がそれを封じるくらい強くて、攻撃が十分できなかった」と話したのは陶山監督。長いボールは「空中戦は全国で絶対負けたくないと思っていた」という佐藤がことごとく跳ね返し、セカンドボールも「2ボランチの中では自分が後ろでバランスを取りながらという感じ」と言及する武智を中心に回収し続けた駒澤の堅陣は最後まで揺るがず。終わってみれば予選から続く無失点を5試合に伸ばした赤黒軍団が、3回戦へと駒を進める結果となりました。


「我々も初めてシードを戴いたので、確かに調整も経験がなくて、今まで開幕戦で盛り上がって、そのまま同じような勢いで試合ができたんですけど、年が空けてなんかのらりくらりしていて緊張感がないというか、『自分たちで雰囲気を創り出して入らないと、アッという間に80分終わっちゃうよ』という話は今日もしていたんですけどね」と試合後に渋い顔を浮かべたのは大野監督。武智も「変な感じでフワフワしちゃって、自分たちは『できるだろう』という自信と過信が紙一重という感じなんですけど、それが今日はちょっと過信の方に行ってしまったかなと思います。『謙虚にやれ』と言われている中で、そういう風になってしまって修正できなかったのは反省ですね」と語ったように、駒澤にとってみれば非常に苦しい初戦となったのは間違いありません。とはいえ、こういうゲームをきっちりモノにできるのも今のチームの強さ。「スタンドにあれだけ3年生がいる中で『自分たちが代表として出ている』という自覚を持ってやらなくてはいけないですし、恥ずかしいプレーやビビったプレーを見せたら、スタンドがまず納得してくれないので、そこは全部員の代表という自覚を持ってやっています」と武智も口にした最強の応援団を後ろ盾に、本気で頂点を目指す駒澤の全国航海が駒沢陸上から幕を開けました。       土屋

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