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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年12月26日

プリンス関東参入決定戦 成立学園×鹿島学園@市原スポレク

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1225ichihara2.JPG最後の1枚となったプリンス関東参入への切符を巡るファイナルバトル。東京王者の成立学園と茨城王者の鹿島学園が対峙する一戦は市原スポレクパークです。
関東大会予選こそ準優勝で本大会出場を勝ち獲ったものの、インターハイ予選は全国を懸けた準決勝で東海大高輪台にPK戦で敗れ、決勝まで勝ち上がった選手権予選でも、最後は関東第一相手に押し込みながらも0-1で屈し、全国にはあと一歩で手の届かなかった今シーズンの成立学園。ただ、「チーム的にも夏より全然レベルアップしていた」と大野泰成(3年・FCゼブラ)が話したように、都内随一の総合力を誇ったチームは堂々のT1リーグ制覇を達成。迎えた今大会も初戦で佐野日大を2-1と逆転で下して、関東昇格に王手を。シーズン最後の1試合に持てる力のすべてをぶつけて挑みます。
前の試合で昇格を引き寄せた千葉U-18同様に、2部制廃止のタイミングで県リーグへ降格。昨シーズンは茨城を制しながら、参入決定戦で横浜FCユースに2-6と悔しい大敗を喫し、関東復帰とはならなかった鹿島学園。それでも今シーズンは全国ベスト16と躍進したインターハイで、プレミアEAST王者の青森山田と互角に渡り合うと、選手権予選でもファイナルでディフェンディングチャンピオンの明秀日立をPK戦で振り切って、4年ぶりの全国出場を決めるなどここまでも十分な結果を。2日前の初戦もエースの上田綺世(3年・鹿島アントラーズJYノルテ)の決勝点で前橋商業を1-0と撃破。6日後に迫った選手権へ良い形で繋げる意味でも、大事な90分間へ向かいます。ゴール裏には1試合目同様に両校の応援団と多くの観衆が。楽しみな"学園"対決は鹿島学園のキックオフでスタートしました。


「最初は自分たちのペースで動いていた」と大野が話したように、成立学園はセンターバックの長草優之(3年・鹿島アントラーズJYつくば)と小山珠里(3年・成立ゼブラFC)から丁寧に繋いでいく、いつものスタイルで立ち上がったものの、大野と高橋恒樹(3年・成立ゼブラFC)がそれぞれ放ったシュートはゴールを破れず、先にスコアを動かせません。
すると、26分に先制点を奪ったのは鹿島学園。中央で前を向いた木次谷和希(3年・FC東京U-15むさし)が右へ振り分け、中野大飛(3年・SCH)がクロスを上げると、中央でこぼれたボールに反応した木次谷は右足一閃。ボールは人垣をすり抜け、左スミのゴールネットへ吸い込まれます。チームのファーストシュートが得点に直結する効率の良さで、まずは鹿島学園が1点のリードを手にしました。
一気にリズムを引き寄せた茨城王者。30分には右サイドへドリブルで持ち出した上田の、対角を狙ったシュートはわずかに枠の左へ。成立学園も31分には大野と竹本大輝(3年・成立ゼブラFC)の連携で右CKを獲得するも、大野のキックにニアへ飛び込んだ鈴木龍之介(3年・成立ゼブラFC)はシュートまで持ち込めず。37分は鹿島学園。高い位置でボールを奪った中野がエリア内から打ったシュートは、長草が懸命のタックルで回避したものの、「キーパーとフォワードまで連動して、圧力に応じて組織的に戦って行こうと言っていた」(鈴木雅人監督)という鹿島学園の統一された連動性。
39分の歓喜はまたも鹿島学園。ここも中盤でボールをかっさらったボランチの竹内利樹(3年・ACアスミ)が左へラストパスを送ると、膨らんで待っていた上田は丁寧にシュート。インサイドで右スミを狙った軌道は、きっちりゴールネットへ到達します。「大事な時に点を獲る選手」と指揮官も評価する10番はこれで2戦連発。44分にも中野があわや追加点という惜しいシュートを放つなど、中盤以降は攻勢を強めた鹿島学園が2点をリードして、最初の45分間は終了しました。


ハーフタイムに動いたのは追い掛ける展開となった成立学園。初戦でゴールを記録した町田ジェフリー(3年・浦和レッズJY)に替えて、「佐野日大の試合も後半から出したんですけど、相当リズムが変わった」と話す宮内聡監督は窪田稜(1年・フッチSC)を最前線へ送り込むと、そのルーキーが大仕事。51分、大野の縦パスをスイッチにボールを回し、高橋のパスを受けた窪田が狙ったシュートは左スミのゴールネットへ突き刺さります。1年生の貴重な追撃弾。両者の点差はたちまち1点に縮まりました。
「1点差に追い付けば絶対相手にプレッシャーが掛かるし、こっちのペースになるぞという話をしていた」(宮内監督)という成立学園の明らかに向上した出足。なかなか攻撃に参加できなかった中能健人(3年・成立ゼブラFC)と西羽開(3年・鹿島アントラーズJYつくば)の両サイドバックも高い位置を取り始め、ようやく引き寄せるゲームリズム。
そんな流れを断ち切ったのはボランチの一撃。59分に宮本陸(3年・鹿嶋鹿島中)を起点に右サイドを崩した中野のクロスから、上田が合わせたジャンピングボレーは成立学園のGK園田悠太(3年・横浜F・マリノスJY追浜)がファインセーブで凌ぎましたが、直後の右CKを小長井大夢(3年・BANFF横浜ベイJY)が蹴り込むと、竹内のヘディングはGKを破り、カバーに入ったDFも掻き出せずにゴールネットを揺らします。中盤の戦えるキーマンがこの重要なゲームでゴールという結果を。再び点差は2点に広がりました。
苦しくなった成立学園。60分には高橋のパスを窪田が戻し、高橋の狙ったシュートが枠の左へ外れると、宮内監督は2枚替えを決断。萩原幹太(3年・成立ゼブラFC)と高橋の両サイドハーフを下げて、鈴木亮祐(3年・AZ'86東京青梅)と田村裕(2年・成立ゼブラFC)を投入。攻撃面にテコ入れを施し、まずは1点を返しに掛かりますが、塩野清雅(3年・S.T.FC)と片倉誠也(3年・アネーロ宇都宮)で組んだセンターバックコンビを軸に、崩れない鹿島学園の堅陣。
疾風怒濤。66分に上田が直接狙ったFKはカベに弾かれるも、ボールを拾った木次谷のクロスからマーカーを左へ外した上田は、きっちりゴールへ流し込んで4点目。69分にも米谷力(3年・横浜F・マリノスJY)が左へ振り分け、圧巻のスピードとパワーで突破した上田が中央にクロスを来ると、飛び込んだ中野が沈めて5点目。71分にも飯塚寿輝也(2年・鹿島アントラーズJY)が短く付け、再び左サイドを独走した上田がそのまま右スミのゴールネットへ強烈な弾道を突き刺して6点目。「やっと自分の能力に気付き、自信を持ってという所がある。凄いと思いますね」と鈴木監督も高評価を口にした上田はハットトリックの大活躍。1-6。試合の大勢は決しました。
73分に成立学園の10番を背負ってきた竹本が、左足ミドルをわずかに枠の右へ外すと、鈴木監督もその1分後に2枚替え。殊勲の上田と飯塚に替えて、橋口凛樹(2年・鹿嶋鹿島中)と島村風雄(3年・鹿島アントラーズJYノルテ)をピッチヘ解き放ち、さらなる攻撃のギアアップに着手。76分には右に流れた橋口が果敢にシュートを放ち、DFに当たったボールは枠の右へ。78分は成立も左に開いた鈴木亮祐のパスから、窪田が叩いた左足ミドルはDFがクリア。既に残り時間は10分間とアディショナルタイムのみ。
82分に鹿島学園は3枚目のカードとして、米谷と大石智輝(3年・SCH)をスイッチ。83分は成立学園。鈴木龍之介が思い切って狙ったミドルはクロスバーの上へ。直後は鹿島学園。中央をドリブルで運んだ大石がシュートまで持ち込むも、飛び出した園田が意地のファインセーブ。85分は成立学園。西羽の左クロスに竹本がボレーで合わせるも、ボールは枠の上へ。89分も成立学園。窪田が枠に収めたミドルは鹿島学園のGK木村壮宏(3年・FC渋谷)ががっちりキャッチ。近付いてくる茨城王者の歓喜。
90+1分はトドメの一発。「ドリブルとパスがあって選べる状況の中で、それが一番ベストなプレーだというのを覚えなさいということは言っています」と鈴木監督が話したように、ドリブルで運んだ橋口は自分でも持ち込める状況の中でラストパスを選択し、中野が7点目となるゴールを叩き込むと、ここで打ち止め。ラストチャンスで鈴木龍之介がクロスバー直撃のシュートを放った成立学園の奮戦及ばず。鹿島学園がプリンス関東へと続く扉を力強くこじ開ける結果となりました。


鹿島学園の鈴木監督は基本的にテクニカルエリアに立ち続け、90分間の大半で選手たちに声を掛け続けています。そのことを問われた指揮官は「一緒に戦うということで原則として戦っていますし、子供にだけ『行け』じゃなくて、選手権もそうなんですけど『死ぬときは一緒だ』と、『勝つときも負ける時も一緒だ』ということを言っているので、『行ける所まで行こう』と言っています」と笑顔。その言葉の通り、選手と一緒に戦っている雰囲気がとにかく良く出ている監督だなあと感じました。「最近の子は頑張ることが恥ずかしいみたいな所があるので、頑張ることがカッコいいことだということを伝えたいなって。言葉にも出しているんですけど、それが中途半端だからカッコ悪いし照れ臭いのかなって。本当に頑張って何かを掴んだ時には、逆にカッコいいと思うはずだと。『恥ずかしがったり照れ臭かったり、時にはバカにされる時もあるけど、でも貫いて頑張っていこうよ』ということは日頃から言っていましたね」というお話も非常に印象的。熱さに満ち満ちた鈴木監督率いる鹿島学園の選手権が一気に楽しみになるような90分間だったのではないでしょうか。
「選手権予選の決勝が終わって1ヶ月、結構マジメな3年生が多かったので、メンタル的に引っ張っていくのも大変は大変でしたね」と語った宮内監督。3年間で培ってきたすべてをぶつけ、内容的には十分なものを披露しながら全国を掴めなかった選手権予選から約1ヶ月。このシーズン最後のゲームに臨むスタメンが全員3年生だったという所に、例年以上にタフで力強い今年のチームの特徴がよく表れていたのではないかなと。「サッカーを通して色々なことを学ぶという年代なので、彼らがサッカーそのものの中身にこだわってやりながらも、『グラウンドだけではなかなか勝利は得られない』ということは、トーナメントとか高校サッカーの文化の中で学んでいるというか、、1年間やってきてそんな感じがしますね」と今シーズンを振り返った宮内監督の言葉を受け、「サッカーに専念して、サッカーに懸けてやっていた分、サッカーで成長できたかなと思いますけど、やっぱりピッチ外の所で、寮生活だったり学校生活だったり、そういう所が結局はピッチに出るので、そういう部分で成長できたかなと思います」と口にした大野は、指揮官の想いを汲み取った高校生活を過ごすことができた様子。その大野を筆頭に10人を越える寮生も含め、最後まで強い気持ちを持って戦い抜いた成立学園の3年生たちに、今後への大きな期待を込めてエールを送りたいと思います。      土屋

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