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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年12月26日

プリンス関東参入決定戦 千葉U-18×昌平@市原スポレク

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1225ichihara.JPGわずか2枚のチケットを奪い合うクリスマス決戦。プリンス関東参入を懸けたジェフユナイテッド千葉U-18と昌平の一戦は市原スポレクパークです。
2部制の廃止に伴い、6シーズンに渡って守り続けたプリンス関東の座から陥落したのは2013年。翌2014年シーズンは千葉を制することができず、昨シーズンも千葉制覇こそ達成したものの、参入決定戦で武南に2-3と競り負け、関東復帰は持ち越しとなったジェフユナイテッド千葉U-18。迎えた今シーズンのクラブユース選手権は関東予選で川崎フロンターレU-18にPK戦で屈し、Jユースカップも2回戦で京都サンガU-18に敗れるなど、トーナメントコンペティションではなかなか結果が出ませんでしたが、県リーグは2位に10ポイント差を付けての圧倒的な成績で連覇を達成。2日前の参入決定戦初戦も日本航空を2-0で下して、この最終決戦へ。「一発勝負の所で結果を出すための戦い方をしてきた」とは江尻篤彦監督。一戦必勝というメンタルで最後の1試合に挑みます。
今年の夏は躍進の時。広島へ乗り込んだインターハイでは、初戦で中津東を5-0で一蹴すると、2回戦でディフェンディングチャンピオンの東福岡を打ち合いの末に3-2と撃破。以降も前橋商業、静岡学園と名門を相次いで倒し、最後は市立船橋に0-1で惜敗しましたが、初出場で全国ベスト4と一躍その名を轟かせることになった昌平。ただ、「相手がある意味ケアをしてくるとか、それも顕著にという部分が見られる試合が増えてきた」と藤島崇之監督が話したように、各校から警戒の的となった選手権予選は準決勝で正智深谷に0-1と敗れ、2年ぶりとなる冬の全国出場権は獲得できず。そこから約1ヶ月半。日大藤沢と激突した今大会の初戦は磐田内定の針谷岳晃(3年・FC古河)、広島内定の松本泰志(3年・クマガヤSSC)がそれぞれゴールに絡むパフォーマンスを見せて、このステージへ。2年ぶりのプリンス復帰へ準備は整いました。会場には両チームの応援団を含めた少なくない観衆が。注目の90分間は のキックオフでスタートしました。


ファーストシュートは4分の昌平。右サイドバックの真辺庸介(3年・CLUB ATLETICO ALEGRE)が果敢に攻め上がり、カットインしながら放った松本のシュートはクロスバーを越えるも、初戦で2ゴールをマークした10番がまずは積極的なトライを。千葉も7分には左に開いた古川大悟(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)がドリブルから中へ送り、安光将作(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)はシュートまで持ち込めなかったものの、2年生コンビでチャンスの手前まで。9分には昌平が左CKを獲得すると、針谷のキックはDFのクリアに遭いましたが、お互いに手数を出し合ってゲームが立ち上がります。
以降は昌平のパスワークに対して、1トップを務める古川と左サイドハーフに入った中村駿太郎(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)の推進力が目立つ千葉が少しずつ押し込む時間を創り始めましたが、関根浩平(1年・栃木SC JY)と石井優輝(2年・CLUB ATLETICO ALEGRE)で組んだセンターバックコンビを中心に、昌平の守備陣も高い安定感を誇り、なかなかフィニッシュを取り切れずやや膠着状態へ。23分は昌平。本間椋(3年・FOURWINDS FC)のパスから松本が巻いたミドルはクロスバーの上へ。25分は千葉。中村が短く付け、安光が狙ったミドルは枠の上へ。33分は昌平。針谷を起点に星野蒼馬(3年・三郷JY)からのリターンを受けた松本のシュートは、千葉のGK魏黽哲(3年・カナリーニョFC)がセーブしたものの、ジワジワとペースを引き寄せる埼玉王者。
36分は昌平。左サイドで前を向いた松本が裏へ落とし、走った星野のシュートは千葉のセンターバック柳田健太郎(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)がタックルで回避。38分は千葉。右から北原渓(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が蹴ったFKは、ファーに飛び込んだ古川もシュートは打てず。40分は昌平。キャプテンの新垣理生(3年・クラブドラゴンズ柏)を起点に、左サイドを駆け上がったサイドバックの篠山立(3年・クマガヤSSC)が股抜きドリブルでサイドを崩し、速いボールを中に送り込むも本間は届かず。45+1分は千葉。右からセンターバックの竹嶋裕二(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)がロングスローを投げ込み、柳田が競り勝ったボールを安光が頭で狙うもわずかにゴール左へ。全体で見ればやや昌平攻勢の前半は、スコアレスで45分間が終了しました。


後半はスタートから千葉に勢いが。47分に左CKを北原が蹴り込むと、古川のヘディングは昌平のGK緑川光希(2年・FC古河)がファインセーブで阻止したものの、いきなり到来したビッグチャンス。その直後に北原が蹴った右CKは中央でオフェンスファウルを取られ、50分に左から北原が蹴ったFKもDFのクリアに遭いましたが、51分にも越後快(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が奪ったスローインを竹嶋はロングで投げ入れ、DFのクリアを竹嶋が自らミドルに変えるも枠の左へ。さらに52分には右からのクロスに林一輝(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が枠へ収めたシュートは、DFがほぼライン上でクリア。「ロングスローの指示なんかは僕がする前にアイツらが自分たちで判断してやっていること」とは江尻監督ですが、そのロングスローも含めたセットプレーを中心に千葉が一段階踏み込んだアクセル。
昌平も56分には松本が右へ流れながら、右スミへ収めたシュートは魏がファインセーブで応酬。千葉も57分には右からカットインしてきた安光が左足でミドルを狙うも、緑川が丁寧にキャッチ。すると、59分に中村が枠の上へ外したミドルを経て、千葉に相次いで交替が。60分に安光に替えて渡辺啓太(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)を左サイドハーフへ送り込み、中村が右へスライドすると、62分には北原を下げて榎本啓吾(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)を投入し、アタッカー陣にパワーを増強します。
63分は千葉。左から竹嶋が投げたロングスローは、石井が大きくクリア。64分も千葉。渡辺の強引なミドルはDFに当たり、緑川が丁寧にキャッチ。66分も千葉。中村が右からクロスを上げ切り、収めた古川のシュートは枠を越えたものの、千葉が続けて繰り出す手数。72分に昌平も松本の左クロスを星野がボレーで枠の上へ外すと、江尻監督は直後に3枚目の交替を決断。キャプテンマークを巻きながらボランチで奮闘した武藤真平(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)と深川大輔(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)をスイッチして、着手する中盤の強度向上。
78分は千葉。右からドリブルで運んだ中村のシュートはクロスバーの上へ。84分も千葉。竹嶋がフィードを右へ通すと、駆け上がった堀博昭(1年・ジェフユナイテッド千葉U-15)がダイレクトで折り返し、反転した榎本の左足シュートは枠を越えるも、ダイナミックなアタックに湧き上がる応援席。85分には昌平も1人目の交替を。星野と佐藤大誠(3年・S.T.FC)を入れ替え、こちらも前線の顔触れに変化を加えて最後の勝負に。
86分は昌平に千載一遇の先制機。後方からのフィードに本間が競り勝つと、抜け出した佐相壱明(2年・緑山SC)はGKと1対1に。思い切って右足を振り抜くと、ここは魏が魂のスーパーセーブ。87分にも右サイドで獲得したFKを針谷が蹴ると、突っ込んだ石井のヘディングは枠の上へ。89分にも昌平に決定機。松本が左へスルーパスを送り、本間は巧みなラインブレイクからシュートを枠に飛ばすも、再び魏がファインセーブで仁王立ち。「最終的な精度でのまだまだな課題が出てしまったかなと思っています」とは藤島監督。90分では決着付かず。ゲームは前後半10分ずつの延長戦へともつれ込むこととなりました。


延長前半は千葉が攻勢に。96分に中村が右へ付けると、サイドバックの堀がクロスを上げ切り、古川のヘディングは枠を越えるも、「18番の選手がフィジカル的にも高いですし、一発のスピードなんかを持っている中でもマネジメントをしようと言っていた」と藤島監督も言及したように、際立つ古川のアグレッシブさ。97分にも竹嶋が左ロングスローを放り込み、こぼれを叩いた中村のボレーは緑川がキャッチ。98分には林が鋭いスルーパスを通し、抜け出した榎本がマーカーと接触してエリア内で倒れるも、主審のホイッスルは鳴らず。100分は昌平にもFKのチャンス。左寄り、ゴールまで約30mの距離から、2日前もスーパーな一撃をFKで沈めている針谷が無回転気味に打ち込むも、ボールは枠の左へ。スコアは変わらず。ゲームはいよいよ最後の10分間へ。
102分は昌平。左サイドでボールを引き出した松本は思い切り良くミドルを狙うも、軌道はゴール左へ。105分も昌平。本間が粘って奪ったFKはほぼ正面、ゴールまでおよそ25mの位置。スポットに立った針谷の右足から繰り出されたキックは、しかしわずかにクロスバーの上へ。108分は千葉。左から中へ切れ込んだ渡辺のミドルは枠の右へ。ほとんど残された時間もなく、PK戦が濃厚かと思われた最終盤に待っていたドラマ。
110分のラストチャンス。センターライン付近で得たFKの流れから深川が大きく相手ゴール前に蹴り込むと、古川が気持ちで折り返したボールに竹嶋が反応。頭で飛び付いたボールは、確かな意志を持ってゴールネットへ飛び込みます。土壇場での先制弾にピッチの選手、ベンチメンバー、応援団が入り乱れ、何重にも渡って咲いた歓喜の花。「ここ2試合は思い描いたようなサッカーではなかったですけど、僕はプリンスに昇格することが一番だと思っていました」と語る江尻監督に率いられた、反骨心を携える集団の大願成就。千葉が劇的にプリンス復帰を引き寄せる結果となりました。


インターハイでの躍進以降は前述したように各チームのマークも厳しくなり、なかなか思うような結果は残せなかった昌平。それでも「ウチがある意味主導権を持って常にやれていた状況からスタートを切って、そこからは相手の分析的な部分で、割と自分たちのやりたいことが制限を掛けられる状況になったのも、選手が創り上げたステージアップだなと思っている」と話した藤島監督は続けて、「全国のトップレベルのチームはそれを経験していると思いますし、スタートラインとしてここをもう1つ乗り越えていけば真の力が付くかなと思うので、今は悔しいですけど、次に繋げていかないといけないです」ときっぱり。ハッキリした結果を出すことによって、チームの目指すべき位置を一段階引き上げることに成功した今シーズンの昌平に大きな拍手を送りたいと思います。
昇格を決めた試合後、今回の参入決定戦について「Jの下部組織のクラブのサッカーとしたらもっと美しくとか、色々なことがあるかもしれないですけど、それは次のステージでやれればいいと思っていたので、僕はあえてこの戦いで挑んで勝たせることだけ考えていました」と話してくれた江尻監督。「僕はこのクラブに育ててもらったし、このクラブを落としてしまったという負い目は常に持っていて、僕がやれることをやっぱり全力でやるのが自分の仕事だと思っているし、今はこのユースを何とかするというのがミッション」という信念を持った指揮官が到達したのが、「最後に勝ったチームが一番」という境地。勝利を目指す上で、それに伴って付いてくるものが個々の選手を最も成長させてくれると信じ、貫き通したことがこの結果を呼び込んだように、指揮官の話を聞きながら感じました。「サッカーの本質から外れない所で、マグネットがサッカーをしていないし、映像がサッカーをしていないので、そこは自分たちが本当にゴールを奪いに行く姿勢と、ゴールを守る姿勢、相手にボールがあるのだったらそれを奪いに行く姿勢も含めて、みんながその想いを持って助け合えば絶対に守れるという話をしていたので、本当に今日はそういう表現をしてくれたなと思いますね」と選手たちを称えた江尻監督は「僕もこの2年間は本当に色々なことがあって、悔しい想いとか、グッと耐えなきゃいけないということを本当に学ばせてもらったし、選手やスタッフと一緒に耐えて、今日のクリスマスプレゼントに繋がったので、これを繋げて僕は継続したいなと思っています」と最後は笑顔。"昇格"という最高のクリスマスプレゼントを共有した千葉が関東の舞台に帰ってきます。     土屋

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