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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年11月06日

高校選手権東京A準決勝 都立東久留米総合×成立学園@西が丘

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1105nishigaoka2.JPGセミファイナルの第2試合はお互いに3度目の全国を狙う強豪対決。都立東久留米総合と成立学園の激突は引き続き味の素フィールド西が丘です。
現校名で挑んだ10度の選手権予選の内、今回で西が丘まで勝ち上がってきたのは合計で6度。第88回大会と第90回大会では頂点に立つなど、都立勢の中では圧倒的な結果を残してきている都立東久留米総合。2年連続での選手権予選ベスト4という成果を受けてスタートした今シーズンは、関東大会予選で駒澤大学高に1-2、インターハイ予選で関東第一にPK戦と、共に大会王者となるチームに準々決勝で惜敗という流れに。迎えた今大会は初戦で都立国立を1-0で退け、日大三を2-0で撃破して3年連続の西が丘まで。"鬼門"になりつつあるこのセミファナルを突破し、5年ぶりの全国へ王手を懸けたい一戦です。
1年生だった大津祐樹を擁し、2度目となる冬の全国を経験したのはもう11年前。以降は6度に渡ってベスト4以上まで進出してきているにもかかわらず、肝心の東京制覇には1度も届いていない成立学園。今シーズンは関東大会予選こそ、準決勝で関東第一に2-0で完勝して本大会を経験しましたが、インターハイ予選では全国の懸かった準決勝で東海大高輪台にPK戦で敗れ、2年ぶりとなる代表権獲得とはならず。今大会は都立石神井を2-0、実践学園を逆転で2-1と相次いで撃破して、このセミファナルのステージへ。11年ぶりとなる冬の全国を視野に入れつつ、まずは難敵相手の80分間へ挑みます。スタンドには1試合目を上回る4538人の大観衆が。楽しみな準決勝は成立のキックオフでスタートしました。


ファーストシュートは2分の成立。レフティの萩原幹太(3年・成立ゼブラFC)が果敢にミドルを狙い、ボールは枠の右へ逸れたものの、まずはアグレッシブな姿勢を披露すると、5分には中央でパスを受けた森田裕也(3年・愛媛FC新居浜JY)がエリア内へ侵入し、シュートには至りませんでしたが、持ち前のスピードであわやというシーンを。9分にも竹本大輝(3年・成立ゼブラFC)のパスから、萩原が久留米のGK村松健太(3年・東京久留米FC U-15)にキャッチを強いる枠内シュート。まずは「自分たちはパスサッカーを意識している」とセンターバックの長草優之(3年・鹿島アントラーズつくばJY)も話した成立が、そのパスサッカーで先制機を窺います。
一方、「あれだけ守備的なのは自分の本望ではないんだけれども、もうああせざるを得ない状況」と齋藤登監督が割り切った戦い方を選択した久留米は、右から内山隆弘(3年・清瀬第五中)、谷海斗(3年・HIBARI FC U-15)、古川正悟(2年・Forza'02)、吉田和司(3年・東京久留米FC U-15)の4人で構成した4バックがかなり引き込んだラインを設定しつつ、時間帯によっては右サイドハーフの町田拓也(3年・明星中)と左サイドハーフの米山達也(3年・Forza'02)も落とした6バック気味に後ろを固めて、成立のパスワークに対抗。宮内聡監督も「ボール回しのスピードが人工芝じゃないので遅かったですね。簡単にスライドさせちゃうし」と話した通り、成立もサイドアタックのギアを入れ切れずやや停滞。17分には大野泰成(3年・FCゼブラ)、19分には鈴木龍之介(3年・成立ゼブラFC)、22分には西羽開(3年・鹿島アントラーズつくばJY)と、いずれもフィニッシュはミドルレンジから。なかなか決定的な形は出てきません。
逆に久留米はセットプレーに1つの活路を。22分過ぎから右サイドで獲得したスローインは、内山が2回続けて距離の出るロングスローで成立ゴール前を脅かし、どちらも何とか成立ディフェンスがクリアで回避したものの、ここぞというポイントでパワーを掛けてくる集中力に、滲ませる先制への確かな意欲。
そんな中で均衡を破ったのは頼れるキャプテンの一振り。25分にスムーズなパスワークから、竹本が仕掛けたルーズボールを拾った西羽は、エリアの角々あたりから思い切り良く右足一閃。右スミを襲ったボールはGKもわずかに及ばず、そのままゴールネットへ吸い込まれます。「アレは練習を結構しているので、ちょっと右足で巻いてという所は練習通りじゃないかなと。『やっと入ったね』という所だったと思います」と笑顔で言及したのは宮内監督。昨年の西が丘での敗戦をピッチで経験した左サイドバックが大仕事。成立が1点のリードを手にしました。
「ボールに行けていないというのが失点の原因だけれども、あそこから打たれたら厳しいなと。あそこでガツンと行ってかわされて、中を崩されるというのもあるので、あれはしょうがない。相手のシュートが素晴らしかったと言わざるを得ない」と齋藤監督も、素直に認める失点で、1点を追い掛ける展開となった久留米。27分に米山の放ったミドルは、成立のGK園田悠太(3年・横浜F・マリノスJY追浜)のキャッチに遭いましたが、これが久留米のファーストシュート。以降はやや膠着状態の中でスコアは変わらず、成立が1点のアドバンテージを握った格好で、最初の40分間は終了しました。


後半のスタートから勢いを出したのは久留米。41分に左から吉田が入れたロングスローは中央でオフェンスファウルを取られたものの、47分にはカウンター気味の流れから、キャプテンの坂本泰雅(3年・東京ベイFC U-15)を起点に清川開(3年・FC駒沢)がポストプレーで時間を創ると、町田が当てたボールを纐纈隆輝(3年・FCトリプレッタJY)が右へ振り分け、再び受けた町田のクロスは成立のセンターバックを務める小山珠里(3年・成立ゼブラFC)にクリアされましたが、少しずつ久留米に見え始めたゴールへの道筋。
50分は成立。左から大野が蹴ったCKは小山と長草が突っ込むも、シュートには至らず。52分も成立。鈴木龍之介が右へ展開したボールを、サイドバックの中能健人(3年・成立ゼブラFC)がクロスに変えるも、ここは森田が中央でハンドという判定。56分は久留米。右から内山がロングスローを投げ込み、清川が粘って収め掛けるもゴールキックへ。「ちょっとボールを持たされちゃってるなと。さすがにうまく引き込んじゃってるなと感じましたね」と宮内監督。成立もフィニッシュは取り切れず。静かな展開の中で進んでいく時計の針。
成立1人目の交替は58分。森田に替えて高橋恒樹(3年・成立ゼブラFC)を送り込み、斜めの動き出しに見い出したい新たな活路。60分に竹本のパスから鈴木龍之介が狙ったミドルはクロスバーの上へ。61分はスムーズなパスワーク。萩原、鈴木龍之介、高橋、鈴木龍之介と細かく繋ぎ、大野のミドルは枠を越えたものの、「ゆっくりゆっくりやった中でのスピードアップ」(長草)の一端をフィニッシュへ結び付けます。
久留米は61分と63分に相次いで1枚目と2枚目の交替を決断。まず町田と今井凱斗(3年・世田谷桜丘中)を、2分後には米山と岡野雅也(3年・A.N.FORTE FC)を入れ替え、最も負担の懸かっていたサイドハーフの運動量向上に着手。64分には徳増純太郎(3年・FC府中)のFKを園田がパンチングで弾き出し、今井がダイレクトで叩いたボレーは枠の上へ外れると、67分には纐纈を下げて、下川晴(2年・FC府中)をピッチヘ解き放つ3枚目の交替も敢行し、「前に圧を掛けるような形」(齋藤監督)で最後の勝負に。残された時間は10分間とアディショナルタイム。最終盤。ゲームは最もシビアな時間帯へ。
71分に双方が切り合ったカード。久留米の4枚目は清川に替えて小島悠太(3年・GA FC)。成立の2枚目はサイドで攻守に貢献した鈴木亮祐(3年・AZ'86東京青梅)に替えて、ジョーカーの町田ジェフリー(3年・浦和レッズJY)。すると、決定的なチャンスを創出したのは前者。交替直後の72分。右サイドを抜け出した小島はそのまま運びながら、絶妙のクロスを中央へ。やはり絶妙のポジショニングで飛び込んだ岡野はフリーで右足を振り抜きますが、ボールはわずかにクロスバーを越えてしまい、思わず頭を抱えた齋藤監督。絶好の同点機を生かし切れません。
久留米は76分に右サイドでFKを獲得したものの、吉田が丁寧に蹴り込んだボールも園田にがっちりとキャッチされると、以降はシュートシーンを創り出すことは叶わず。80+1分に竹本と野口斗哉(3年・成立ゼブラFC)も入れ替え、万全のゲームクローズも施したゼブラ軍団に凱歌。「今日は苦しむかなと思っていたので、決勝に向けては今日の勝ち方は良かったんじゃないかな」と宮内監督も話した成立が、3年ぶりにファイナルへと勝ち進む結果となりました。


「『思ったよりできたな』というのが正直な感想です」と開口一番、選手たちを評価する言葉を紡いだ齋藤監督。「1失点も中を崩されてやられた訳ではないので。外からの攻撃に対する守備はこの1週間ずっと練習してきたんですよ。だから、今日はクロスを上げられても崩されなかった。チャンスを与えなかった」と練習の成果がピッチに現れたことも強調した指揮官の表情は非常にサバサバとしたものでした。その理由は「守備のコンセプト、チームコンセプト、戦い方という意味では、本当に彼らは良くやったなと思いますね。後半1点ビハインドで、前に圧を掛けるような形になったらまたチャンスも創れたし、本当に彼らは僕の頭で描く試合のプラン、ゲーム運びを忠実にやってくれたなと。彼らには凄く感謝しています」という手応えがあったから。去年のチームは主力が3年生だけだったこともあって、まさにイチから創り上げた今年のチームも素晴らしいグループに仕上がったことが、今日の80分間で証明されたことは間違いありません。久留米の3年生たちには是非胸を張って欲しいと思います。
成立は先週の日曜に帝京を6-1で下して、T1リーグの優勝を決めたばかりという状況でこのゲームに臨んでおり、「ああいう勝ち方だったのでちょっとその気にもなるし、『今の帝京に6点取ったんだ』というのもあるだろうし、それが影響するかなと思っていた」と宮内監督。それでも、「Tリーグで優勝したことで余裕を持ってしまうというか、調子に乗ってしまうような所もあったんですけど、そこは監督からも『勝って兜の緒を締めろ』ということで言われていたので、気の緩みとかはなかったと思います」と長草も話したように、きっちりと切り替えてゲームに入れたことを証明するような80分間で、全国に王手を懸けたということは、過去のチームと比較しても今年のチームがしっかりとしたメンタリティを兼ね備えていることの表れだと感じました。ファイナルの相手は初優勝を狙う関東第一。「自分たちのサッカーを全国で披露するということを目標にやってきたので、決勝は自分たちのサッカーをやって、絶対に勝って次に繋げたいと思いますし、今年の関一とは1勝1分け1敗なので、そこで決着を付けたいと思います」と長草が言い切れば、「もう最後に全国に出てから10年経っているんだけど、こだわってやってきたことがずっと10年間変わらずやれてきたかどうかという所が、今度の決勝戦で関一に対して出せるかですね。もう彼らが3年間やってきたことを出すしかないので、ここはガチンコ勝負だと。関一も攻撃的な良いチームなので、いずれにしても東京の代表を決める良いゲームをしたいですね」と宮内監督。11月12日。駒沢陸上競技場。11時に決戦の幕は上がります。       土屋

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