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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年10月11日

Jユースカップ1回戦 東京Vユース×水戸ユース@ヴェルディG

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1010verdyg.JPGシーズン最後のトーナメントコンペティション。東京ヴェルディユースと水戸ホーリーホックユースが激突する1回戦はおなじみヴェルディグラウンドです。
クラブユース選手権は広島ユースに0-1と惜敗を喫してベスト16敗退。主戦場を置いているプリンス関東では、15試合を消化した段階でプレミア参入戦圏内の3位と1ポイント差の4位。昨シーズンと比較しても遜色ない結果を、ここまでは残している藤吉信次監督体制2年目となった東京ヴェルディユース。過去2度の優勝を果たしているこのJユースカップも、気付けば最後に頂点へ立ったのはや を擁した1996年のこと。実に20年ぶりとなる日本一を目指して、まずは初戦へ臨みます。
一方、昨年のこの大会は初戦で三菱養和SCユースを延長の末に撃破し、2回戦でもプレミア勢の札幌U-18相手に、敗れたものの1-2と善戦するなど、大きな存在感を披露した水戸ホーリーホックユース。ただ、その主力がほとんどそのまま残った今シーズンは、クラブユース選手権の関東予選決勝トーナメント初戦でSC相模原ユースに屈し、IFA1部リーグでもほぼ鹿島学園に続く2位が確定と、ここまでは悔しい結果に。それでもこの最後の大会で東京Vユースという難敵とぶつかる初戦に向けて、「モチベーションが凄く高くて、相手が格上ということは理解していたので、『チャレンジ精神を持とう』という話をしてピッチに立った」と明かしたのは出口宙呂(3年・つくばFC)。2年連続での"大物食い"を全力で狙います。ピッチサイドにはサポーターも含めた両チームを応援する観衆が集結。楽しみな一戦は東京Vのキックオフでスタートしました。


ファーストシュートはわずかに1分。「シュートは打たないと入らないですし、打たないで全然点に結び付かないというのも結構多かったので、自分で打つというのは心掛けていた」という瀧田隆希(3年・ウイングスSC)が果敢なミドル。ボールはクロスバーを越えましたが、2分にもミドルレンジで前を向いた中川洋介(3年・VIVAIO船橋SC)は、積極的なシュートを枠の上へ。「できれば立ち上がりで点を取りたかったので、『取りに行こう』と話していた」という樹森大介監督の思惑通り、水戸がまずはゴールへの意欲を前面に打ち出します。
それでも徐々にボールを左右に動かしながら、中央からの仕掛けを窺い出したのは東京V。センターバックの綱島悠斗(1年・東京ヴェルディJY)と鳥居俊(3年・東京ヴェルディJY)を中心にビルドアップしながら、キープ率はぐんぐん上昇。15分に細かいパスワークから、上がってきた右サイドバックの小幡祐稀(3年・東京ヴェルディJY)が中へ流し、相馬雄大(3年・東京ヴェルディJY)が叩いたシュートは枠の右へ。ファーストシュートを記録しつつ、狙う中央突破からのフィニッシュ。
ただ、「持たれるのはもうしょうがないという気持ちでみんないたと思う」とセンターバックの金塚海(3年・水戸ホーリーホックJY)も話し、「元から回されることは覚悟の上で試合に臨んだ」と中川も語ったように、この展開は水戸も想定済み。「ヴェルディは中央突破、ペナサイズでサッカーをやってくる印象だったので、サイドに振られても後手を踏んでも問題ないということで、内側を絞って、逆にサイドは使わせていいというプラン」(樹森監督)を遂行しながら、19分には前線の岡安優(2年・FC古河)が高い位置で相手ボールを引っ掛け、受けた中川のスルーパスはわずかに流れ、走った岡安には届きませんでしたが、焦れずに時間をやり過ごしていきます。
21分は東京V。左サイドバックに入った羽生識(2年・東京ヴェルディJY)のパスから、キャプテンマークを託された藤本寛也(2年・東京ヴェルディJY)のミドルは、水戸のGK尾村航(3年・FCおおたJY)が丁寧にキャッチ。25分も東京V。左サイドを藤本とのワンツーで大久保智明(3年・東京ヴェルディJY)が切り裂き、そのままエリア内に潜ってフィニッシュ。ここは尾村がファインセーブで凌ぎましたが、「ワンツーで入ってくるという話をずっとしていたので、あれを一番警戒していました」と樹森監督も口にした、その形で決定機を創り出すのはさすが東京V。31分にも羽生のヘディングを拾い、飯島蓮(1年・東京ヴェルディJY)が枠へ収めたシュートは尾村がキャッチ。手数は東京Vに増えるも動かないスコア。
38分は水戸に久々のチャンス。「『自分1人で持てるな』という印象は前半もあったので、少しでもタメを作って、味方が出てくる時間ができればいいなという風に思っていた」という中川が、粘り強いキープから獲得したFKは好位置。中央やや右、ゴールまで約30mのスポットに立ったのは中川と瀧田。「練習している時に瀧田とどっちが蹴るかというのはやっていて、今週は瀧田が練習から良いキックを蹴っていたので、1回任せてみようかなと思いました」という中川が譲る形で、瀧田が直接狙ったキックは大きく枠の上に外れ、これには「縦で落ちるボールを練習していて、その時は結構蹴れていたんですけど、今日はちょっと硬くて」と本人も苦笑いを浮かべましたが、アグレッシブな姿勢は十分。「練習していた通りのプランで前半はずっとできていて、攻撃の面にも繋げられたので、『後半は行けるんじゃないか』という期待感のまま、そのまま耐えようという気持ちになりました」とは金塚。最初の45分間はスコアレスのままでハーフタイムに入りました。


後半はスタートから東京Vに2枚替え。ボランチの村井清太(1年・東京ヴェルディJY)と飯島に替えて、松本幹太(3年・東京ヴェルディJY)と門倉捷人(1年・東京ヴェルディJY)を送り込み、門倉は左サイドバックへ、松本は1トップへそれぞれ配置。羽生がボランチヘ、大久保が右サイドハーフへそれぞれスライドして、残された45分間へ向かいます。
ハーフタイムを挟んでも東京Vがボールを持つ展開は変わらないものの、アタックの手数は水戸に。52分にはカウンターから左サイドバックの村山璃空(2年・ウイングスSC)が運び、脇澤晴日(2年・水戸ホーリーホックJY)は中央へ。中川はシュートまで持ち込めず、脇澤が何とか粘ってCKを獲得しますが、「今週はずっとカウンターで裏に抜けるという練習をやっていた」(中川)という形からあわやというシーンを。キャプテンの金井亮太(3年・ウイングスSC)が蹴ったその左CKは、中央でオフェンスファウルを取られたものの、53分にも中田舞龍(3年・ヴェルディSSレスチ)が中央で反転しながら枠内ミドルを放ち、東京VのGK村田怜穏(3年・東京ヴェルディJY)が確実にキャッチするも、わずかに見えてきた先制への道筋。
すると、57分の歓喜は「自分が絶対に決めようと思っていた」という3年生によって。「若干潰されちゃったんですけど、最後に足が残せた」中川が粘って残し、岡安が繋いだボールを金井は右へ。「もう1回もらって決めようかなとも思っていた」とは金井ですが、受けた瀧田は「金井からパスが来て『絶対打ってやろう』と思って、しっかり良い所に置けたので『とりあえず思い切り打てば良いかな』と」右足を強振。やや角度のない位置から繰り出されたシュートはGKのニアサイドを破り、ゴールネットへ突き刺さります。「アレは本当に入ると思っていなかったので。ここから見えていて、『ああ、もうムリだ』と思っていたんです」と樹森監督が笑い、「あの時は『あそこから打つのか』と思ったんですけどね」と出口も笑顔を見せた一撃に、当の瀧田も「入ったと思わなくて、決まった実感はなかったんですけど、周りのリアクションでゴールとわかって凄く嬉しかったです」と破顔一笑。水戸が堂々と1点のリードを強奪しました。
「1点取ることによって確実にパワーが出ましたよね」と樹森監督も認めた通り、得点以降は一気に出足も良くなった水戸。58分には瀧田のパスから金井がミドルを枠の上へ外すと、61分には奮闘した脇澤と澤田大哉(1年・FC古河)を入れ替える1人目の交替を。東京Vも66分には羽生が右へ振り分け、小幡がピンポイントクロスを中央へ。松本の落としを藤本が打ち切ったシュートはクロスバーの上へ。68分にも綱島が強引にミドルを狙い、こぼれを叩いた小幡の左足ミドルも枠の左へ。70分には3人目の交替として羽生と武眞大(1年・東京ヴェルディJY)をスイッチして、何とか同点への糸口を探ります。
ところが、「点を取ってからの5分はみんな集中して声を掛け合ってやっていけた」(出口)水戸は冷静に時計の針を進めながら、追加点の香りも存分に。71分には村山の左クロスへ岡安が懸命に競り合い、こぼれを収めた金井のシュートは村田が決死のファインセーブで何とか回避。金井が蹴った左CKはDFのクリアに遭いましたが、岡安と蕎麥田龍也(2年・ウイングスSC)を入れ替える75分の交替を挟み、77分にも決定機。右サイドをドリブルで運んだ瀧田がクロスを入れると、フリーで走り込んだのは中川。村田も絶妙のコース取りで飛び出し、そのまま打つことを選択した中川のシュートは枠の左へ逸れたものの、「ウチのチームは動ける方なので、何人かはキツい場面は出てくると想定していたんですけど、頑張ってくれたんじゃないかなと思います」と指揮官も認めたように、金塚と大原彰輝(2年・蹴球団藤岡キッカーズU-15)のセンターバックを中心に続く集中力と、終盤になっても落ちない運動量。
「あんなシーンは自分にあまりないんですけど、自分でもビックリしています」と笑ったのは、チームへ2度目の狂喜を呼び込んだメインキャスト。80分。相手の縦パスに対して、絶妙の読みと勇気ある決断で体を入れた村山のヘディングは中央へ。前を向いた蕎麥田はミドルを打つフェイクを経て、ラインの裏へ最高のスルーパスをグサリ。ここにフリーで抜け出したのは右サイドバックの出口。「完璧に決まった」ファーストタッチから、「GKの股下が空いていて、ここしかないと思って」流し込んだシュートは、そのままゴールネットを鮮やかに揺らします。「出口は攻撃的な選手で、『チャンスがあったら行っていいよ』という話は常々しているので、今日は相当我慢していたと思うんですよ。でも、彼のスピードはチームナンバーワンなので、あそこは本当に良い組み合わせで得点が生まれたと思っています」と樹森監督も称賛した追加点は、両サイドバックが絡んだ素晴らしい流れから。水戸のリードは2点に広がりました。
苦しくなったホームチーム。84分にはバイタルで見事なパスワークを繰り出し、藤本のパスから大久保が決定的なシュートを放ちましたが、ここは尾村がビッグセーブで仁王立ち。87分にも藤本、武とスムーズにボールが回り、河田稜太(2年・東京ヴェルディJY)が放ったシュートはクロスバーの上へ。90分に樹森監督は中田を下げて、渡辺裕也(1年・水戸ホーリーホックJY)を3枚目のカードとして解き放ち、取り掛かるゲームクローズ。アディショナルタイムの掲示は3分。熱戦もいよいよクライマックスへ。
90+1分は東京Vのチャンス。大久保との連携で右サイドを駆け上がった小幡は、クロスを上げる体勢に入るも、必死に戻った村山は抜群の対応でこの一連をゴールキックで断ち切ると、これが東京Vにとってこのゲームのラストチャンス。90+2分に今井涼成(1年・水戸ホーリーホックJY)、90+5分に増田将大朗(3年・石岡アセンブルFC)と交替枠を使い切り、最後まで集中が切れることのなかった水戸が聞いた、勝利を意味するファイナルホイッスル。「『自分たちのチャンスをしっかり決め切ることができれば勝てるんじゃないかな』と思っていて、そこでやっぱり仲間が決めてくれたので、そこが勝因かなと思います」と金井が話し、「今日はサポーターとか保護者とか、ジュニアユースのスタッフや子供たちも来てくれていて、さらに歴史を創ったと思っています」と樹森監督も嬉しそうに語った水戸が強豪の東京Vを打ち破り、2回戦へと駒を進める結果となりました。


「スカウティング通りに相手が戦ってくれたので、今日は本当にハマりました。それでも実際の所は耐えられないと思っていたので、絶対やられると思っていて、前半のワンツーのような形がもっとやられると思っていたんですけど、センターバックも本当に頑張ってくれました。去年はほとんど2年生主体のチームで、そのままのメンバーで来ているので、そういう勢いとか今年もやってやるという想いが3年生は相当強かったはずですからね」と樹森監督も選手たちを称えた水戸。やはり1点目がもたらした勢いは絶大で、「あれまでみんな足が止まりがちだったんですけど、1点取ってからはまた息を吹き返した感じですね。僕たちのチームは結構1本のプレーで乗ったり、1人の頑張りで周りが乗れたりするチームなので、1本良いプレーが出ると周りが変わると思います」と瀧田が話したように、リードを奪ってからの出足の速さやゲームコントロールはほぼパーフェクト。"ノッた"チームの勢いは、試合後にサポーターの前で勝利のラインダンスをする所まで続いており、そのシーンからも雰囲気の良さが見て取れました。次の相手は過去3度の戴冠を経験している優勝候補の広島ユース。「この最後のJユースでは本当に良い相手とやりたいと思っていて、去年も養和とコンサドーレとやれて、今年はヴェルディに広島と。こんなにありがたいことはないので、それが選手のモチベーションにはなっていますし、僕らスタッフもこういう所と本気でやれるというのは数少ないので、本当にありがたいです」と話した樹森監督は、続けて「去年はハッキリ言って養和に勝って満足して、やった感が本当にあって、2試合目もそういう雰囲気で戦えなかったことで、ちょっと悔いが残ったので、『これで終わりじゃないんだよ』という所と、『もう1回やってやろう』という所をまたこの2週間で創り上げていきたいなと思います」ときっぱり。「自分たちはチャレンジャーなので、それこそしっかりみんなでまた集中して、これからの2週間の練習でしっかり準備して、良い形で広島に向かえたらなと思います」とキャプテンの金井。水戸ユースの進撃は果たしてどこまで。      土屋

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