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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年10月20日

高校選手権東京B準々決勝 駒澤大学高×専修大附属@実践学園高尾G

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1016takao2.JPG第2試合はディフェンディングチャンピオンが登場。全国8強を経験した駒澤大学高に、支部予選から勝ち上がってきた専修大附属が挑む一戦は引き続き実践学園高尾グラウンドです。
昨年度の選手権は大躍進。激戦の東京を勝ち抜け、5年ぶりとなった全国では開幕戦で阪南大高を退けると、尚志、神戸弘陵を相次いで撃破し、堂々ベスト8進出。最後は優勝した東福岡に惜敗したものの、一気に注目を集める格好となった駒澤大学高。今シーズンは東京を制した勢いのまま、関東大会でも頂点まで登り詰めてみせましたが、インターハイ予選では準決勝で関東第一に0-1で敗れ、全国出場とは行かず。連覇を狙う今大会は初戦で大成を1-0で下して、このクォーターファイナルまで。「ケガ人が全部帰ってきて、今は誰を使っていいかがわからない状況」と大野祥司監督も嬉しい悲鳴を上げる中、西が丘を巡る80分間に向かいます。
新人戦は地区予選の準決勝まで勝ち上がりましたが、強豪の実践学園に屈する格好で関東大会予選出場はならず。インターハイ予選は支部予選の初戦で都立狛江に0-2で敗れるなど、なかなか結果の出ないシーズンを過ごしてきた専修大附属。ただ、この選手権予選は1次予選の初戦で都立城東をPK戦で下すと、都立深沢に13-0と大勝し、中央大附属との"附属"対決は激しく打ち合った末に4-3で競り勝って、2年ぶりに都大会へ。そこでも駒場学園に2-1、創価に3-0と1次予選から数えれば5連勝で東京8強に。好調をキープしたまま、前回王者に全力でぶつかります。スタンドには引き続き満員に近い観衆が。準々決勝第2試合は専修のキックオフでスタートしました。


ファーストシュートは開始1分経たずに専修。ミドルレンジで前を向いた村山佳吾(3年・横浜篠原中)は果敢にフィニッシュまで持ち込み、駒澤のGK鈴木怜(3年・S.T.FC)にキャッチされるも、積極的な姿勢を披露しましたが、先制点が記録されたのはそのわずかに1分後。左から矢崎一輝(3年・大豆戸FC)がクロスを放り込むと、こぼれに反応した影山克明(3年・ヴェルディSSレスチ)がプッシュ。ボールはゴールネットへ到達します。わずか2分で駒澤が1点のリードを奪いました。
勢いそのままに追加点は6分。右サイドで獲得したCKをレフティの村上哲(3年・FC府中)が蹴り込むと、ファーへ突っ込んだのは「去年も選手権の都予選ではゴールを取っていて、ゴールに対する強い想いがあった」という高橋勇夢(3年・Forza'02)。きっちり押し込んだボールはゴールネットを確実に揺らします。「自分はセットプレーで攻撃参加するんですけど、チームが苦しい時に自分がチームを救うという気持ちでやっています」と話すキャプテンは2戦連発。早くもスコアは2-0に。
止まらない赤黒軍団の猛ラッシュ。14分にはドイスボランチの一角を任された西田直也(2年・横浜F・マリノスJY追浜)は、エリアの右サイドへ侵入すると右足一閃。GKも懸命に手を伸ばしましたが弾き切れず、そのままボールはサイドネットへ飛び込みます。普段はセンターバック起用が多いものの、「捌けるのでちょっと前で使った」と大野監督も話した"ボランチの西田"が攻撃面で一仕事。点差は3点に広がりました。
ただ、以降は「2点ぐらい取って動かしても良かったんですけど、最初は『それでやれ』と言っていたので、そうはなりませんでしたね。『拾ったら動かせ』という形で言っているんですけど」と指揮官も振り返った駒澤は、少し攻撃に停滞感が。逆に右から前航太郎(2年・新宿牛込第二中)、橋本翔(2年・杉並FC)、山口たいら(2年・杉並アヤックスU-15)、平野達也(2年・さいたま木崎中)と全員2年生で組んだ4バックの最終ラインも少しずつ駒澤の圧力に慣れ始め、攻守にアグレッシブさが出てきたのは専修。「自分たちのミスから相手の流れになって、そこでガツンと構えて勢いを引っ繰り返すことができなかったので、そこがまず前半の反省です」とは高橋。大きなビハインドを負った専修もやれる雰囲気を醸し出しながら、それでも駒澤が3点のリードを手にして、最初の40分間は終了しました。


後半はスタートから駒澤に交替が。国体3位を引っ提げて岩手から帰ってきたセンターバックの齋藤我空(1年・Forza'02)に替えて、ボランチに服部正也(3年・S.T.FC)を送り込み、西田はセンターバックにスライド。さらに46分には影山を下げて米田泰盛(3年・VIVAIO船橋)を投入し、着手する全体のバランスと推進力の向上。狙うのはさらなる追加点。
47分は専修にチャンス。フォワードの福井滉佑(3年・川崎宮前平中)が少し時間を創って右へ流し、大島恵吾(3年・蕨第一中)のクロスは鈴木にキャッチされたものの、悪くないサイドアタックを。48分は駒澤。右から村上が入れたCKは、専修のキャプテンマークを任された白井達哉(3年・ヴェルディSS相模原)がきっちりクリア。53分も駒澤。西田が裏へうまく落とし、走った矢崎のシュートは専修のGK千本遼太(2年・横浜川和中)ががっちりキャッチ。54分は駒澤に決定機。栗原信一郎(3年・FC多摩)を起点に右から高橋が上げ切ったクロスを、菊地雄介(3年・VIVAIO船橋)が頭で枠へ収めたシュートは、千本がファインセーブで応酬し、左で拾った服部のクロスに米田が合わせたボレーも千本がキャッチ。乗ってきた専修の守護神。
それでも55分の主役は帰ってきたストライカー。右サイドで縦に運んだ高橋は低いボールで高速クロスを上げ切ると、中央へフリーで飛び込んだのは「ケガから復帰したては裏切り続けてきたんですけど、最近は点が取れている」と話した矢崎。きっちり合わせたシュートは左スミのゴールネットへ吸い込まれます。「自分がケガをしてチームを離れている時に関東で優勝したりして、悔しかった部分もありますけど、自分が結果を出し続ければみんなが認めてくれると思います」と語ったエースのゴールに、彼の苦しい時期を知っている応援団も沸騰。4-0。大勢は決しました。
56分には駒澤に3人目の交替。ゴールを決めたばかりの矢崎と米谷拓海(2年・FC東京U-15むさし)を入れ替え、前線に高さをプラスさせますが、ここからは少し専修の時間帯に。56分には右サイドをドリブルで切り裂いた鈴木康容(3年・東京久留米FC U-15)が好クロスを送ると、走り込んだ佐藤伸哉(3年・足立第十四中)はシュートを打ち切れず。59分にも自らの仕掛けで得たFKを、左から村山が蹴り入れるもDFが大きくクリア。60分には1人目の交替。奮闘した前に替えて高秀栄(2年・埼玉朝鮮中)を投入し、まずは何とか手にしたい追撃弾。
66分は駒澤。高橋、武智悠人(3年・Forza'02)とボールを繋ぎ、村上が枠へ飛ばしたミドルは千本がキャッチ。67分も駒澤。村上の左CKから混戦が生まれ、最後は西田が放ったシュートは枠の左へ。68分も駒澤。武智が右へ送り、米田のシュートは千本がファインセーブで回避。69分には駒澤が最後のカードとして椿原悠人(3年・ふじみ野福岡中)を、70分には専修も2枚目のカードとして川上悠人(3年・三鷹F.A.)をそれぞれピッチヘ。残された時間は10分間とアディショナルタイムのみ。
72分に「アイツは本当に努力家で、自分が出るためにロングスローを磨いたんでしょうね」と大野監督も評価した椿原が、そのロングスローを投げ込み、米谷のシュートは千本にキャッチされたものの、椿原のスーパーな一投に大盛り上がりの赤黒応援席。すると、74分に訪れた5度目の歓喜。左から菊地が上げたクロスを米田がシュート気味に叩き、ファーに入った米谷がプッシュしたボールはゴールネットへ。流れに乗ろうと2年生ストライカーもきっちり一仕事。スコアは5-0に変わりました。
3分が掲示されたアディショナルタイム。80+1分には専修も右サイドで獲得したFKを橋本が放り込むも、飛び出した鈴木が冷静にキャッチ。80+3分にも専修は川上がカットインしながら、思い切り良くシュートを放ちましたが、この軌道はDFに阻まれ万事休す。「今日はちょっと選手権仕様でスピード、パワー、フィジカルで押しました」と大野監督も話した赤黒軍団は、終わってみれば佐藤瑶大(3年・FC多摩)を中心に相手を無失点で抑えながら、5点を強奪しての快勝劇。駒澤が2年連続となる西が丘へ歩みを進める結果となりました。


チームの4点目を決めた矢崎は、シーズン序盤から好調を維持しながら骨折で戦線離脱。8月の終わり頃にようやく復帰してきたものの、「復帰する前より自分のメンタルや試合勘がなかなか戻らなくて、最初の方は苦しんでいた」そうです。そんな時に彼を信じて言葉を掛け続けていたのが「矢崎に関しては自分も強い想いがあって、今シーズンはずっとケガしていて、たぶん個人的に苦しい想いをしているんですけど、自分の中ではエースストライカーは矢崎だと思っているので」というキャプテンの高橋。「勇夢がずっと普段の練習から『お前が決めるんだぞ』というのを言ってくれた」と明かした矢崎は、ゴールを決めると真っ先にアシストした高橋の元へ走り寄って歓喜の抱擁。「勇夢のアシストじゃなかったら応援団とかベンチの方に行っていたと思うんですけど、アイツが俺に決めさせてくれたので、それが嬉しかったです」と笑顔を見せた矢崎。2人の信頼関係が生んだゴールに、応援団もそれまで以上に盛り上がっていたのが印象的でした。セミファイナルの相手は東京朝鮮。U-19北朝鮮代表を2人抱え、都内屈指の実力を誇る強豪との激突となりますが、「最近は点が取れているので、西が丘では自分が点を取って、チームを全国に連れていかないとなと思っています」という矢崎のプレーには次の試合も要注目です。     土屋

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