mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2016/08

S M T W T F S
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年08月26日

T1リーグ2016第10節 駒澤大学高×帝京@大井第二

mas o menos
  • Line

0825ooi1.JPG2月に行われた開幕戦のリターンマッチ。4勝2分け4敗で5位の駒澤大学高と、1勝3分け6敗で9位の帝京が激突する一戦は大井ふ頭中央海浜公園スポーツの森第二球技場です。
関東大会予選は堂々たる東京王者に。勢いそのままに関東も制し、全国切符を懸けて揚々と挑んだインターハイ予選は準決勝で関東第一に0-1で屈し、冬夏連続での晴れ舞台には一歩届かなかった駒澤大学高。「インターハイ予選で関一さんに負けてから4連敗だったんですよ」と大野祥司監督も話したように、やや厳しい夏を過ごしてきたようですが、ここに来てようやく続出していたケガ人も戦線復帰し始めており、ここからは選手権予選を考えても総仕上げの時期に。「リーグ戦の1試合1試合も大事な試合になりますし、まだリーグ戦もかなり残っているので、そこを1つ1つ向き合えばもう1個上が見えてくるんじゃないかと話している」とキャプテンの高橋勇夢(3年・Forza'02)。まずは目の前の90分間に全力で向かいます。
関東大会予選では都立駒場にPK戦で惜敗。インターハイ予選でも一次トーナメント決勝で私立武蔵に1-2で敗れ、なかなかトーナメントコンペティションでは結果の出ていない帝京。リーグ戦でもここまで1勝と、結果という意味では苦しい時期を過ごしていますが、三浦颯太(1年・FC東京U-15むさし)や佐々木大貴(1年・FC東京U-15むさし)、久保莞太(1年・横浜F・マリノスJY)に加え、王国からやってきたストライカーのサントス・デ・オリベイラ・ランドリック(1年・Clube Andraus Brasil)など、実戦経験を積んできた1年生が主力として存在感を放っており、若い力も推進力にシーズン終盤へ向けてギアを上げて行きたい時期であることは間違いありません。16時でも大井は強烈な西日が差し込む真夏模様。注目の好カードは駒澤のキックオフでスタートしました。


ファーストシュートは駒澤。3分にエリア内でのルーズボールに高橋勇夢は左足を強振し、ボールは枠の右へ外れましたが、右サイドバックがゴールへの強い意欲を。ただ、帝京も8分にフィフティのボールをランドリックが収め、最後は中瀬大夢(3年・FCトリプレッタJY)がオフェンスファウルを取られるも、この前後からむしろボールアプローチで上回ったのは帝京。13分には右から高橋心(3年・A.N.FORTE)が蹴り込んだFKをランドリックが残し、三浦のリターンからランドリックが入れたクロスはDFのブロックに阻まれたものの、ゲームリズムはカナリア軍団に傾き始めます。
「やられそうな雰囲気があるぞ」と指揮官に喝を入れられた駒澤は、なかなか攻撃の形が出て来なかった中で、16分にはサイドアタック。武智悠人(3年・Forza'02)を起点に、左サイドで矢崎一輝(3年・大豆戸FC)が流したボールを上がってきた長井虎之介(3年・Forza'02)がクロスまで持ち込み、菊地雄介(3年・VIVAIO船橋)が狙ったシュートは帝京のディフェンスを束ねる菅原光義(2年・S.T.FC)が体でブロックしましたが、このCKを左からレフティの長井がアウトスイングで蹴り入れると、ファーで待っていたのは高橋勇夢。丁寧なヘディングがゴールネットへ吸い込まれます。正式にキャプテンへ任命され、「選ばれたからには責任を持ってやらないといけない」と気持ちを新たにした右サイドバックが一仕事。やや流れの悪かった駒澤が先にスコアを動かしました。
さて、決してリズムの悪くなかった中で、セットプレーからビハインドを負った帝京。18分には中瀬のショートパスをランドリックがヒールで落とし、中瀬が左足で枠へ収めたシュートは駒澤のGK鈴木怜(3年・S.T.FC)ががっちりキャッチ。21分にも三浦のパスから、中瀬が鈴木にキャッチを強いる鋭いミドルを枠内へ。三浦の配球に中瀬とランドリックの推進力で、帝京が漂わせる追撃弾の香り。
それでも次の得点も赤黒軍団。21分にここも矢崎の外を回ってパスを引き出した長井がマイナスへ折り返すと、中央で受けた菊地はマーカーを巧みなステップで外しながら右足一閃。ボールはゴール左スミへ豪快に突き刺さります。「菊地のドリブルがゴールに向かってくると、たぶん相手も怖いと思うんですけどね」と大野監督も言及した、"菊地のドリブル"が生み出したサイドアタックからの追加点。両者の点差は2点に開きました。
29分も駒澤。長井の左クロスから、最後は矢崎が放った左ミドルは帝京のGK和田侑大(2年・FC東京U-15むさし)がキャッチ。31分は帝京。高橋心のクサビをランドリックが捌き、佐々木が繋いだボールを高橋心がミドルに変えるも、ボールは枠の右へ。すると、一瞬のスキを突いたのはまたしても駒澤。37分に相手陣内に入った服部正也(3年・S.T.FC)が頭でラインの裏へ落とすと、飛び出したGKと交錯しながらもしっかりボールを捉えていた影山克明(3年・ヴェルディSSレスチ)のヘディングは、ゆっくりとゴールネットへ転がり込みます。「前半で3点取れたのは良かったと思う」とは高橋勇夢。内容と点差がそこまでマッチしなかった前半は、駒澤が3点のリードを手にして45分間が終了しました。


ハーフタイムを挟むと、まずは駒澤に勢いが。47分に栗原信一郎(3年・FC多摩)のパスを受けた服部のミドルは枠の左へ外れるも、48分にはやはりミドルレンジでマーカーを外した矢崎が思い切ってシュート。ボールはGKを破ったものの、クロスバーを直撃してしまい、4点目とは行きませんでしたが、赤黒のラッシュで立ち上がった後半の45分間。
それでもこの日の帝京の折れないメンタル。51分に三浦からパスを受けた中瀬はスルーパスを通し、ランドリックのシュートは鈴木にキャッチされましたが、2分後にも三浦のクサビをランドリックがダイレクトではたくと、エリア内へ突っ込んだ佐々木が倒され、主審はペナルティスポットを指差します。1年生トリオのコンビネーションで獲得したPKのキッカーは高橋心。短い助走から繰り出されたキックはGKの逆を突いて、ゴールネットをきっちり揺らします。3-1。再び点差は2点に縮まりました。
62分も帝京。左センターバックの青柳寛己(3年・ESA)からスタートしたビルドアップで、三浦、ランドリックとボールが回り、中瀬のスルーパスにランドリックが抜け出し掛けるも、ここは長井がタックルで回避。直後には帝京に1人目の交替。奮闘していたランドリックに替えて、入澤大(1年・FC東京U-15深川)をピッチヘ。67分には駒澤も2枚替え。矢崎と影山が下がり、小池浩然(3年・大豆戸FC)と米田泰盛(3年・VIVAIO船橋)を送り出しつつ、中盤と前線のパワー増強に着手。69分は帝京。三浦と佐々木の連携で奪ったCKを右から三浦が蹴り込むも、駒澤のセンターバックに入った西田直也(2年・横浜F・マリノスJY)が大きくクリア。「ここ最近は後半のラスト15分とか、ポンポンとやられちゃっていたんですよ。だから今日も1点取られてどうなるのかなという感じで見ていましたけどね」とは大野監督。2点差のままでゲームは残り20分間の攻防へ。
76分は駒澤。ルーズボールを拾った菊地が中央をゴリゴリ切り裂き、放ったシュートは和田にキャッチされたものの、赤黒のナンバーセブンが見せ付けるドリブルの切れ味。77分は帝京。右サイドを中瀬がフリーで抜け出すも、折り返しを選択したボールはDFがクリア。78分も帝京。中瀬の左CKを中村祐隆(2年・西東京保谷中)が残し、中瀬が上げた左クロスは鈴木がキャッチ。82分には駒澤に3人目の交替。西田と佐藤瑶大(3年・FC多摩)をスイッチして、安定したプレーを続ける齋藤我空(1年・Forza'02)とセンターバックに並べつつ、着手するゲームクローズ。86分は帝京。入澤の右CKを市川雅(3年・ジュビロSS浜松)が拾い、入澤が再び入れた右クロスもシュートには至らず。進んでいく時計の針。変わらないスコア。
駒澤が椿原悠人(3年・ふじみ野福岡中)を、帝京が関口海(3年・FC.VIDA)を同時にピッチヘ送り込んだ直後の歓喜は"4度目"。90分に小池が右へ振り分け、高橋勇夢が上げ切ったクロスがこぼれると、栗原はすかさずフィニッシュ。ボールはゴール右スミへ飛び込みます。全国8強を経験したアタッカーが圧巻の一撃を叩き込んで勝負あり。駒澤は由川航也(3年・習志野第二中)、帝京は遠藤巧(3年・横浜FC JY)と青木涼(3年・FCトッカーノ)を投入しましたが、そのままのスコアで吹き鳴らされたファイナルホイッスル。「結局後半にどんな形であっても失点してしまうのが自分たちの実力なので、そこはまだ課題ですね」とは高橋勇夢ですが、駒澤が勝ち点3を積み重ねる結果となりました。


「だいぶケガ人が戻ってきて、今までやってみたかったメンバーがやっと揃いそうなんですけど、この1年間揃ったことがないんですよ。フェスティバルのたびに違うメンバーでやっていて、『自己管理がなっていないのも実力だ』ということで、そういう怒りを彼らにぶつけまくったんですけどね」と大野監督も話した駒澤は、決してゲーム内容的に万全という訳ではありませんでしたが、得意のセットプレーに帰ってきた栗原のゴラッソと、ゴールの奪い方を考えれば今後に繋がる90分間だったと言っても良さそうな印象を受けました。ただ、指揮官も「守備から入って、キチッキチッとファースト、セカンド、サードと回収して、ということをやりたいんですけど、上手い下手というんじゃなくて駒澤らしくないんですよね」と苦笑いしたように、今年の駒澤は例年よりテクニカルな選手が揃っている中で、ここからのシビアなゲームを勝ち抜いていくためには、やはりどのチームも脅威に感じているであろう"駒澤らしさ"の深化はマスト。「スタッフに色々なことを言ってもらっても、自分たちでしっかりやらなくては選手権で全国に行けるか行けないかの所までは行けないと思う」とは高橋。2016年バージョンの駒澤が辿り着く先は果たしていかに。      土屋

  • Line