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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年08月17日

高校選手権東京1次予選2回戦 都立八王子桑志×聖徳学園@清瀬内山

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0816kiyose.JPG蝉時雨の中で3年間の全てを懸けて争われる"真夏のセンシュケン"。創部以来初の公式戦勝利を目指す都立八王子桑志と、2年前の新人戦以来となる公式戦勝利を狙う聖徳学園の一戦は清瀬内山グラウンドです。
開学は2007年。サッカー部として初めて公式戦に参加した2009年以降、ここまで1つの白星も手にすることができていない都立八王子桑志。ただ、今年の3年生は創部以来最多となる10人の選手が揃い、「素人も含めた10人でしたけど、それぞれが持ち味を認め合ってというか、チームになれたのかなという感じがしますね」と話すのは荻原幸司監督。2人はインターハイで引退を決断したものの、この日のバックスタンドにはその2人の応援する姿も。「この大会で『絶対勝とうな』と話し合ってきた」と明かしたのは10番を背負う西口陸人(3年)。残されたラストチャンスに"初勝利"を懸けて挑みます。
旧名は関東高校。中学、高校の一貫校であり、「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール」にも指定されるなど、学業面でもその名を知られる聖徳学園。サッカー部は2014年の新人戦でPK戦を制して勝利を味わったものの、以降は4大会連続で初戦敗退を強いられていますが、選手権予選で0-10と完敗を喫した都立東大和に、再び対戦した新チーム結成直後の新人戦では0-1と肉薄するなど、着実に力は付いてきている様子。今大会はオール1、2年生という陣容で、こちらは2年ぶりとなる公式戦勝利を窺います。清瀬の空にはいかにも真夏というような入道雲がモクモクと。9時30分にゲームはキックオフを迎えました。


早々に試合を動かしたのは「みんなで団結して練習してきた」とキャプテンの今本優希(3年)も胸を張った八王子桑志。3分にいきなり今野海都(3年)が先制ゴールを叩き込むと、その2分後にも「夏の合宿とかでシュートにこだわることを意識してきた」というエースの西口がきっちり追加点。開始5分であっという間に2点差が付いてしまいます。
以降もペースは八王子桑志。24分にも近藤温太(1年)のパスから、オーバーラップしてきた左サイドバックの菊谷磨央(2年)がシュートを枠へ収めると、ここは聖徳学園のGK岡柚希(1年)がファインセーブで回避。そのCKを左から金子崇(2年)が蹴り込み、ファーで合わせた柴田倖輝(3年)のヘディングは枠の右へ逸れたものの、惜しいシーンを創出。聖徳学園も25分には関根瑞輝(2年)がミドルを放つも、八王子桑志のGK野嶋一希(3年)がしっかりキャッチ。攻勢は変わらず八王子桑志。
追加点は28分。後方からのフィードを今野が繋ぐと、受けた西口はマーカーを切り返しで冷静に外して、左足でズドン。ボールはゴールネットを綺麗に揺らします。これで西口はドッピエッタ。ただ、聖徳学園も28分に反撃。バイタルで前を向いた関根はマーカーを落ち着いていなすと、思い切り良くフィニッシュまで持ち込み、揺れた右スミのゴールネット。目まぐるしく変わるスコア。前半からゲームは打ち合いの様相に。
次のゴールを記録したのは八王子桑志。33分に基点を創った西口が右へ振り分け、駆け上がった山口兼詠(1年)がピンポイントクロスを上げ切り、西口は頭で確実に押し込んで、これで開始から30分余りで圧巻のハットトリック達成。36分には聖徳学園も右サイドハーフの諏訪陽斗(2年)がドリブルからシュートを放つも、金子が体でブロック。38分にキャプテンマークを巻いた蓮井宏之(2年)がゴールまで約40mの位置からFKを枠の右へ外すと、40+1分に飛び出した八王子桑志のゴラッソ。今本のパスを受けた西口は右足一閃。25m近い距離を一瞬でゼロにしたボールは、豪快にゴールネットへ飛び込みます。「自分の2点目gは行った時に少しウルッと来ていた」という西口は、前半だけでなんと4ゴールの大活躍。「たまたま前半でポンポンと2点取れたので、リラックスしてみんなどんどん取れましたね」とは荻原監督。5-1というスコアで最初の40分間は終了しました。


後半も勢いは八王子桑志。46分に今本のパスでラインの裏へ抜け出した西口は、飛び出したGKの頭上を抜くループを選択すると、ボールはゴールネットへ弾み込み、スコアは6-1。止まらない西口劇場。聖徳学園も46分には高柳雄介(1年)のパスから服部航己(2年)がシュートを狙うも、体で飛び込んだ柴田がブロック。48分は再び八王子桑志。ここも西口が単騎で抜け出しましたが、聖徳学園の守護神を託された岡もファインセーブで応酬。53分に今本が放ったミドルが岡にキャッチされると、聖徳学園は54分に右から近藤茂樹(2年)がCKを蹴り込みましたが、八王子桑志ディフェンスがきっちりクリア。追撃弾とは行きません。
輝いたのは「チーム自体が良く走れていましたね」と笑った1年生。55分に左から今野がアーリー気味にクロスを放り込むと、ファーに潜っていた山口は躊躇なくボレーを敢行。豪快に叩いたボールは左のサイドネットへ一直線に吸い込まれます。「入部して『公式戦で勝っていない』と聞いた時はどういうチームなのかなと思っていたんですけど、そこまで勝てないとは思わなかったです。パスが回せれば勝てると思っていました」と言い切る山口のゴラッソ。スコアは7-1に変わりました。
67分に聖徳学園は1人目の交替。服部航己に替えて、肥後武蔵(1年)をピッチヘ。直後には八王子桑志に決定機。金子が蹴った左CKを西口が残すと、近藤温太が左スミギリギリに飛ばしたシュートは、懸命にカバーへ入った近藤茂樹がライン上でスーパークリア。このビッグプレーを成果へ繋げた聖徳学園。70分に蓮井を起点に関根が粘り、左サイドで拾った中村マツアイヤス祥旭(2年)が思い切り良く振り抜いた左足ミドルは、ゴール右スミを鋭く射抜きます。2年生アタッカーが意地の一撃。7-2。八王子桑志のリードは5点に。
74分に荻原監督は2枚替えを決断。ボランチで奮闘した浅海竜也(2年)と今野を下げて、星野啓喜(2年)と福田祥太郎(3年)を同時に送り込むと、2分後の76分にはエリア内へ侵入した星野がマーカーに倒され、いきなりPKを獲得。これを星野が自ら右スミへ冷静に蹴り込み、スコアは8-2に。そして、ゲームを締めたのは再び1年生。80+5分に右サイドを全力で駆け上がった勅使ケ原海斗(3年)のクロスに、ラインとの駆け引きから飛び込んだ山口が丁寧なシュートを繰り出し、ゆっくりとゴールネットへ転がり込む球体。ファイナルスコアは9-2。「勝った瞬間はとても嬉しくて、言葉が出て来なかったです」と西口が話せば、「正直こんな差で勝てるとは思わなかったです」と笑顔の今本。「3年間続けてきた3年生がやっとここまで来て、3年間の溜まったものがやっと出たのかなという気がしますね」とは荻原監督。八王子桑志が創部以来初となる公式戦での勝利を、この"真夏のセンシュケン"で手にする結果となりました。


勝因を問われて「一番はやっぱりチームワークですかね」と即答したのは西口。「みんな仲が良いんです。1年生の時からずっと一緒にやってきた仲間なので信頼関係がありますから」と続けた言葉に、キャプテンの今本も「人数が少ない分、みんな仲が良いと思います」と同調。その今本は「ウチには初心者に近い、ボール扱いに慣れていない子もいて、できるヤツらがイライラして悪い声掛けになってしまうことがあるので、その時は自分がチームの雰囲気を乱さないような声掛けをしたりして、ムードを崩さないようにしてきました。でも、できない人たちをみんなで成長させていくために練習しているので、そういう人たちが成長してくれた手応えもあります」とも。バックスタンドで80分間声援を送り続けていた2人を含め、この10人が揃った代が3年生になったタイミングで、公式戦初勝利という勲章を手に入れることができたのは、彼らの話を聞いていると決して偶然ではなかったように感じました。「入学前に見た学校紹介のパンフレットに、サッカー部は「まだ勝ったことがない」って書いてありました。最初は「えっ?」と思ったんですけど、入部の見学の時に凄く雰囲気が良くて、『ここだったら入りたいな』と思って入りました」という西口は、「自分たちがいる間に1回は絶対勝ちたかったので、勝てて良かったです」と満面の笑顔。悲願達成。2016年、夏。八王子桑志のサッカー部が新たな歴史の扉を力強くこじ開けました。    土屋

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