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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年08月03日

クラ選準決勝 神戸U-18×清水ユース@西が丘

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0802nishigaoka2.JPGセミファイナルの第2試合は共にファイナルを経験しているプレミア勢同士の対峙。ヴィッセル神戸U-18と清水エスパルスユースの一戦は、引き続き味の素フィールド西が丘です。
近年はリオ五輪に挑む岩波拓也を筆頭に、松村亮や小林成豪、小川慶治朗などトップチームで活躍する選手を輩出しながら、全国レベルでの結果もきっちり残しているヴィッセル神戸U-18。とりわけ2013年には強豪ひしめくプレミアWESTを堂々制覇。最後は流通経済大柏にPK戦で競り負け、日本一にはわずかに届かなかったもの、その一定以上の実力は証明済み。迎えた今大会はグループステージを1勝2分けの2位通過で切り抜けると、ラウンド16では横浜FMユースを延長後半アディショナルタイムの連続ゴールで振り切り、準々決勝のJFAアカデミー戦でも、ルーキーの小林友希(1年・ヴィッセル神戸U-15)が後半アディショナルタイムに決勝ゴールを叩き込み、劇的に準決勝まで。チームのムードという意味では最高潮に近い形で、大事な90分間を戦います。
こちらも犬飼智也、石毛秀樹、北川航也など下部組織からトップチームへ選手を送り込みつつ、ジュニアユース、ユース共に全国での存在感も放っている清水エスパルスユース。トップチームはJ2での戦いを強いられていますが、「『何かエスパルスらしいものを』ということで、育成の中でみんなで考えてやっています」と話したのは平岡宏章監督。今大会は1勝1敗で迎えたグループステージ最終節で、鳥栖U-18と壮絶な撃ち合いを演じた末に、5-5のドローという結果を受けて2位通過で決勝トーナメントへ。すると、3試合で8失点していた守備陣が奮闘を見せ、大宮ユースを1-0で退けると、グループステージで黒星を喫した三菱養和ユース相手にこれまた1-0で逃げ切って、3年ぶりのセミファイナルへ。一戦必勝の覚悟で難敵へと立ち向かいます。19時キックオフということもあって、気温は28.0度と若干過ごしやすくなった感も。楽しみなゲームは清水のキックオフでスタートしました。


最初の決定機は神戸。2分に現役時代の平岡監督のお株を奪うようなロングスローを前川智敬(2年・ヴィッセル神戸U-15)が投げ込み、その流れから永澤竜亮(3年・ガンバ大阪門真JY)が枠内へ打ち込んだドリブルシュートは、清水のGK水谷駿介(3年・FC.フェルボール愛知)のファインセーブに阻まれるも、先にチャンスを創出。8分の決定機は清水。中野優太(3年・F.C.コーマラント)のパスから望月陸(3年・清水エスパルスJY)が右に抜け出し、放ったシュートは神戸のGK鶴田海人(3年・ヴィッセル神戸伊丹U-15)がファインセーブで応酬。お互いに得点の可能性を漂わせながら、ゲームは立ち上がります。
ただ、「ヴィッセルさんは非常にボールの動かし方もうまくて苦しみました」と平岡監督が振り返ったように、アンカーの谷川勇磨(2年・ヴィッセル神戸U-15)がボールを引き出しながら、安井拓也(3年・ヴィッセル神戸U-15)と野田樹(3年・神戸FC JY)のインテリオールが絡みつつ、ボールを左右に散らした神戸が攻勢に出た中で、先にスコアを動かしたのは清水。22分に左サイドで中野のパスを受けた平墳迅(2年・岐阜VAMOS)がクロスを入れると、ニアに飛び込んだ滝裕太(2年・清水エスパルスJY)はパーフェクトなバックヒールでゴールネットを揺らします。王国のオレンジが1点のリードを手にしました。
すぐさま反発した神戸。26分に前川のロングスローから、野田のミドルがDFに当たってCKを獲得すると、右から入れたボールは再びキッカーの安井の足下へ。すかさず入れ直した低いクロスに、うまくバウンドを合わせた佐々木大樹(2年・レスポール濱田FC)のハーフボレーは、ゴールネットへ飛び込みます。22番を背負ったストライカーの力強い同点弾。たちまち両者の点差は霧散しました。
以降は共に出し合う手数。30分は清水。佐野皓平(3年・清水エスパルスJY)の鋭いカットから、平墳が放った35mミドルは枠の右へ。33分も清水。前を向いた中野はグングン加速し、そのまま打ったシュートは枠の上へ。35分は神戸。左からカットインしながら、永澤が打ったミドルは水谷がキャッチ。45分も神戸。サイドチェンジを引き出した向井はトラップでそのまま縦に持ち出し、マイナスクロスを送るも、走り込んだ安井のシュートは枠の左へ。「先制したのは良いんですけど、それ以降はなかなか落ち着かなかった」と平岡監督。最初の45分間はタイスコアで終了しました。


ハーフタイムを挟むと、「『失うものはないんだから楽しんでやっていこう』と。『みんな出たい中で、出ている11人は責任を背負っているんだから、君たちに託しているんだから、思い切ってやれ』ということで後半は送り出した」(平岡監督)清水のペースに。53分には右サイドバックの吉田峻(2年・清水エスパルスJY)がドリブルから中へ付け、滝のシュートは平墳の頭に当たってしまいましたが、果敢なアタックを。56分に左サイド、ゴールまで約30mの位置から平墳が直接狙ったFKは大きく枠外も、勝ち越しへの気概を2トップを軸に押し出します。
61分は神戸。5分前に投入されたばかりの佐藤昴(2年・長岡JY FC)を起点に、永澤を経由したボールを上がってきた左サイドバックの白石健(3年・スマイス・セレソン)がマイナスに折り返すと、安井のシュートは佐野が果敢に体で弾き出し、佐藤のミドルは水谷がキャッチ。64分は清水。ここも吉田のオーバーラップから、センターバックの梅村豪(3年・清水エスパルスJY)が繋ぎ、平墳のシュートは大きく枠外へ。66分は神戸の左CK。佐藤が蹴ったボールを清水のキャプテンマークを巻く立田悠悟(3年・清水エスパルスJY)がクリアすると、一転してカウンター。走った中野はシュートまで持ち込めなかったものの、ほとんど互角に近い展開で進み続ける時計の針。
ギアの入った神戸の猛攻。69分に佐藤が右FKを蹴り込み、混戦から佐々木が打ったシュートは伊藤研太(2年・名古屋グランパス三好FC)が頭でブロック。その左CKも佐藤が放り込み、ニアで佐々木が当てたヘディングはわずかに枠の右へ。71分にも安井とのワンツーからシビアなゾーンへ入ってきた向井のシュートは、ここも伊藤研太が体でブロック。72分には清水も1人目の交替として平墳を下げ、切り札の鈴木魁人(2年・清水エスパルスJY)を投入。残りは15分間とアディショナルタイム。
78分は神戸。野田、安井とボールが回り、佐々木が落としたボールから安井が狙ったシュートは水谷がキャッチ。81分は清水。吉田の右クロスに飛び込んだ鈴木のヘディングはクロスバーの上へ。86分は清水に2人目の交替。「ウチの10番はやっぱり10番なので、最後まで引っ張ろうと思ったんですけど、ちょっと勝負に徹して多田を出して、彼のスピードで勝負しようと」平岡監督は望月と多田愛稀(3年・サンフレッチェ広島JY)をスイッチして、最後の勝負に。
87分は神戸。前川、向井、佐々木とスムーズにパスが回り、安井のシュートは佐々木にヒット。88分も神戸。右から向井がドリブルで突き進んで持ち込んだシュートはマーカーが体で阻み、水谷がキャッチ。89分も神戸。右から佐藤が上げたクロスに、ファーで永澤が合わせたヘディングはゴール左へ。「良く頑張って本当に走っていましたね」と平岡監督。神戸は堂鼻起暉(3年・千里丘FC)と小林、清水は立田と伊藤駿光(2年・清水エスパルスJY)と、双方のセンターバックコンビも高い集中力を保ち続け、両者の守備陣に破綻なし。ファイナルへの切符は、さらに前後半10分ずつ加えられた延長戦で奪い合うことになります。


煌めいたのは指揮官も「得点の嗅覚を持っている選手」と評する途中投入のストライカー。92分に多田が右サイドでボールを繋ぐと、懸命に上がってきた吉田は丁寧にクロス。ニアに走り込んだ鈴木のヘディングは、左スミのゴールネットへゆっくりと吸い込まれます。「素晴らしかったですね。あの時間帯であのクロスをしっかり上げられるというのは、彼がこの半年間ぐらいプレミアを戦った中で非常に成長してくれたと思います」と平岡監督も称賛した吉田のスプリントが生み出した勝ち越し弾。ようやく清水が一歩前に出ます。
最終盤に試合を決めたのはストライカーのドッピエッタ。やや焦りの色が見え始めた神戸はファウルも多くなり、時計の針ばかりが進んでいく106分。右サイドで立田が1つタメて外へ出すと、梅村の正確なクロスに中野はドンピシャヘッド。鶴田もライン上で必死に掻き出しましたが、ここに詰めていた鈴木がボールをゴールネットへ押し込んで勝負あり。「テクニックというのもあると思うんですけど、やっぱりサイドからの攻撃というのが静岡のサッカー、エスパルスのサッカーだと思っているので、そういう所は常々トレーニングでしていますし、そういう所が結果として出たのは非常に良かったなと思っています」と平岡監督も言及したように、生まれた3つのゴールはすべてサイドを崩したクロスから。清水が延長までもつれ込んだ激闘を制して、ファイナルへと勝ち上がる結果となりました。      土屋

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