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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年07月27日

インターハイ1回戦 東海大高輪台×日章学園@コカ・コーラウエスト

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0727ccw.JPG広島を舞台に1週間に渡って繰り広げられる真夏の祭典がいよいよ開幕。7年ぶりに全国へ帰ってきた東海大高輪台と、3年ぶりの出場となる日章学園の1回戦はコカ・コーラウエスト広島スタジアムです。
支部予選からのスタートとなった東京予選は接戦の連続。国士舘に1-0で競り勝ち、創価をPK戦の末に振り切ると、4年前の東京王者でもある実践学園には3-0と快勝。勢いそのままに準決勝では成立学園をスコアレスからのPK戦で下し、すべて無失点で怒涛の7連勝を見事に成し遂げ、川島純一監督が春先に宣言した通り、きっちり全国切符を勝ち獲った東海大高輪台。その流麗なアタックは都内でも屈指の域にあり、「チャレンジャー精神で挑戦していきたい」とドリブラーの小杉康太(3年・ACアスミ)が話せば、「正直全国の人から見たら『高輪台ってどこ?』って感じだと思うので、東京代表として名を広めたい」とはキャプテンの袖山翼(3年・インテリオールFC)。トレーニングから磨き上げてきた高輪台スタイルで、全国の舞台に打って出ます。
ここ10年以上も出場権を分け合い続けている、永遠のライバルとも言うべき鵬翔とのファイナルを8-7という壮絶なPK戦の末に制して、3年ぶりに全国の舞台へ戻ってきた日章学園。ボランチの佐藤颯汰(2年・日章学園中)やフォワードの岩切拳心(3年・日章学園中)、右サイドバックの中武諒(3年・西都穂北中)と昨年の選手権を経験した選手も複数揃えている上に、スタメンには6人の日章学園中出身者が名前を連ねるなど、中学からの一貫した強化も着実に成果を。選手権で2度記録している全国8強の、その先を窺う準備は整っています。2試合目のCCW広島スタジアムは気温33.0度と、まさにインターハイという灼熱のコンディション。高輪台のキックオフでゲームはスタートしました。


先にチャンスを創ったのは高輪台。3分に右サイドを武川剣進(3年・AZ'86東京青梅)がドリブルでグングン加速し、2人のマーカーを振り切って中へ。右に持ち出しながら放った武井成豪(3年・GRANDE FC)のシュートは、粘り強く対応した中武が体でブロックしましたが、その右CKを武川が蹴り込むと、中央でこぼれたボールに本藤悟(3年・横浜FC JY)が飛び付いてボレー。軌道は大きく枠の上に消えましたが、まずは高輪台が攻勢に打って出ます。
さて、「前半は2トップにして、その2人の競り合いから裏に抜け出るとか、そのセカンドを拾うとかを徹底しながらやろうとした」と早稲田一男監督も話した日章学園はセットプレーに活路。9分に左サイドで得たCKを佐藤詩響が短く蹴り出し、受けた神田陸(2年・アリーバFC)はクロスまで持ち込めませんでしたが、11分にも左から佐藤詩響が蹴り込んだCKは、ニアで袖山が何とかクリア。直後に再び佐藤颯汰が入れた左CKもDFに跳ね返されたものの、左を中心に少しずつ侵食していくハイサイド。
13分は高輪台にこのゲーム最初の決定機。バイタルで相手のクリアを拾った武川は、少し運びながら左足で強烈な枠内ミドル。日章学園のGK寺田恭一郎(2年・日章学園中)が懸命に掻き出すも、詰めた本藤は体勢を崩しながらシュートまで持ち込みましたが、ここは寺田が何とかセーブ。14分にも武井が右へ振り分けたボールを、水野団(3年・ESA)は丁寧なクロス。中央に潜った高野颯翔(3年・ジェファFC)のヘディングは枠の上に消えたものの、「自分たちの持ち味のショートパスだったり、ドリブルだったりが使えた所もあった」とは袖山。攻勢は首都のタイガー軍団。
宮崎の赤黒が懐に忍ばせるジャックナイフ。日章学園にとって久々のチャンスは23分。佐藤颯汰が右へ流したボールを、プルアウェイで呼び込んだ岩切は右足一閃。高輪台のGK角田篤生(3年・FC PROUD)がファインセーブで必死に弾き出し、こぼれたボールは小林陸玖(2年・VERDY S.S. AJUNT)が懸命にクリアしましたが、「7番の子はウチの中学の時に代表候補に入ったこともあるんです」と早稲田監督も明かした佐藤颯太のアイデアから、10番の岩切が鋭いフィニッシュ。日章学園のファーストシュートは決定機に直結します。
27分は高輪台。水野とのパス交換から、袖山が高い位置まで持ち上がってラストパス。これに反応した高野が抜け出し掛けるも、飛び出した寺田ががっちりキャッチ。30分も高輪台。右サイドを単騎で抜け出した水野のクロスに、ニアへ本藤が突っ込むも寺田がキャッチ。32分も高輪台。本藤の縦パスを高野が巧みに落とし、本藤が叩いたシュートはクロスバーの上へ。33分も高輪台。武川、小林とスムーズにパスが回り、高野が得意の足裏で落とすも、武川は打ち掛けたシュートを打ち切れず。35+1分は日章学園。左から河原淳(1年・日章学園中)が放り込んだFKはDFが大きくクリア。「シュートらしいシュートも前半は1本ぐらいしか打ってないんじゃないですかね」と早稲田監督が話せば、「前半は良かったですよね。良かったと言っても、60点くらいはやれていたかなと思います」と川島監督。やや高輪台がペースを掴んだ前半は、スコアレスで35分間が終了しました。


後半はスタートから日章学園に1人目の交替が。「持久戦というか我慢のしどころで、効果的な交替をどういう形でするかと言ったら守備ラインはちょっといじれなかったので、前の方をちょっといじりながらやった」という早稲田監督は河崎に替えて、木津蒼(2年・日章学園中)をピッチヘ送り込むと、37分にはいきなりのビッグチャンス。CBの高橋准(3年・住吉大社SC)が好フィードを前方に送り込み、岩切が頭ですらしたボールへ吉田隆之介(3年・セレソン都城FC)がきっちり反応。枠へ飛ばしたシュートは角田がファインキャッチで応酬するも、「もうハーフタイムにも相当やかましいことを言いましたからね」と指揮官も語る日章学園が、後半は好リズムで立ち上がります。
すると、「僕も初めて見るようなセットプレーでした」と早稲田監督も笑った先制弾は日章学園。40分に左サイドで獲得したCKをここも佐藤詩響がニアに蹴ると、ゴール前の密集からフリーになった山元泰志(3年・都城祝吉中)は高い打点でヘディング。右スミへ飛んだボールはゴールネットへ吸い込まれます。「毎試合後半の立ち上がりが良くなくて、自分たちでも声は掛けていたんですけど、ちょっと気持ちの緩い部分があって、そこで隙を突かれました」と悔やんだのは袖山。日章学園が先にスコアを動かしました。
1点を追い掛ける展開となった高輪台。44分には高野のパスに抜け出そうとした武川が倒され、エリアのすぐ外で奪ったFK。スポットに立った武川が直接狙うようなモーションから中へ流し、走り込んだ武井の虚を突くシュートはわずかにゴール右へ。逆に46分は日章学園にFKのチャンス。佐藤颯汰のドリブルで手にした左FKは、ゴールまで約20m。佐藤詩響が直接狙ったキックは角田が丁寧にキャッチ。47分も日章学園。佐藤颯汰がディフェンスラインの裏へ絶妙のロブを落とすと、フリーで走った岩切のノートラップ左足ボレーは枠の上へ外れるも、その一連のスムーズさにどよめくスタンド。リズム反転。勢いは日章学園へ。
51分に動いたのは高輪台。足を痛めた小林と高野を下げ、永野颯人(3年・横浜FM JY追浜)とドリブラーの小杉を同時に投入する2枚替えを敢行すると、給水タイムを挟んだ57分には高輪台にチャンス。水野を起点に武井が右へ展開し、パスを呼び込んだ小杉は2度の鋭い反転でマーカーを振り切ってクロス。最後は寺田がキャッチしたものの、ジョーカーの小杉が切れ味鋭い突破を披露。59分も高輪台。右サイドで永野が粘って残し、スイッチした水野は完全にえぐり切ってマイナスに折り返し、本藤のシュートはわずかにゴール右へ逸れましたが、交替でピッチヘ解き放たれた3年生コンビが試みるペース奪還。
60分は日章学園。岩切が右へ振り分け、木津がカットインから放ったシュートは、高輪台のセンターバックを託された佐々木駿(3年・三鷹F.A.)が決死のブロック。61分は高輪台。右から武川の入れたFKに、本藤が合わせたヘディングはクロスバーの上へ。61分に勝負の一手を切ったのは早稲田監督。佐藤詩響に替えて、ルーキーの比嘉将貴(1年・日章学園中)を送り込むと、「色気を出さなくて良いから、ウチの守備ラインの前の所でプレスを掛けなさい」とドイスボランチに移行した佐藤颯汰と比嘉に指示を送りつつ、その前に佐藤颯汰を配し、前線は右から木津、山元、岩切を並べた4-3-3にシフト。一方の川島監督は「あそこは賭けだったんです。相手が3トップにしてきた時に、後ろに4人か5人配置するかとも思ったけど、もう0-1だったから崩し切っちゃおうというイメージでした」と前重心はそのまま継続。残された10分あまりの時間を巡り、交錯する両指揮官の思惑。
64分は日章学園。山本のリターンを右サイドで受けた岩切は、強烈なシュートを枠内へ収めるも角田がキャッチ。直後のチャンスは高輪台。袖山が右へサイドを変え、小杉が得意のドリブルから低いクロスを上げ切るも、左でこぼれを拾った水野のカットインミドルはわずかに枠の右へ。70分も高輪台。袖山、武井、本藤と慎重にパスを繋ぎ切り、左のエリア内へ侵入した木次悠(3年・インテリオールFC)は2人をかわし切り、中へ折り返すも良く戻っていた佐藤颯汰が何とかクリア。「後ろからしたら『打って欲しい』という場面が何度かありました」とは袖山。あと一歩までは行くもののゴールが遠い高輪台。掲示されたアディショナルタイムは4分。240秒で争われる最後の攻防。
70+2分には相次いで切り合う3枚目のカード。日章学園は最終ラインで奮闘し続けたセンターバックの高田椋汰(1年・日章学園中)に替えて、寶地雄大(2年・日章学園中)を送り込んで取り掛かるゲームクローズ。高輪台は傷んだ武川を諦め、臼井研(3年・AZ'86東京青梅)をピッチヘ解き放つ選択を。70+4分には永野のシンプルなフィードに本藤が飛び付き、こぼれに反応した臼井は前に出ていたGKを見極めてループミドルを狙いますが、ボールはわずかにクロスバーを越えてしまい、頭を抱えるピッチの選手とベンチと応援団。
武川が倒れていた時間もあって、いつ試合が終わるのか不透明な中、70+5分は高輪台。執念の守備を見せ続けていたセンターバックの木下勇樹(3年・インテリオールFC)が右からロングスローを投げ込むも、寶地が懸命にクリア。70+6分も高輪台。右から永野がCKを蹴り込むも、日章学園ディフェンスも気合でクリア。このボールがタッチを割り、木下が再びロングスローを投げようとスポットに向かうと、広島の夏空に吸い込まれたのはタイムアップのホイッスル。「リスタートの点数は久しぶりなんですよ。本当になくて。無失点の試合も本当になかったので、たまたまかもしれないですけどね。子供たちはホッとしていると思いますけど、全国で勝つということが一番の肥やしになるのかなと思います」と早稲田監督も話した日章学園が、2回戦へと駒を進める結果となりました。


今シーズンは早稲田監督が高校選抜の監督を務められていたこともあって、序盤は指揮官不在の時期も長かった中で、「新人戦も獲って、インターハイも獲って、こんなチームが不思議でしょうがないですよ」とその早稲田監督も首を傾げる勝負強さを発揮している日章学園。指揮官の思惑とは裏腹に、やはりこの全国の舞台でも勝負強さは健在だったようです。「人間というのは何かのキッカケや経験を積むことで、良い方にも悪い方にも変わると思います。この子たちは良い経験を積んでいると思うので、このひと夏で一皮も二皮も剥けると、選手権に向けて良いんですけどね」と話した指揮官は、続けて「全国に行っても1つか2つ勝つのが精一杯のチームなので、そういう意味では1つ勝ったことも評価してあげないといけないですね」とニコリ。それでも1,2年生の多いチームの伸びしろが、この夏の短い期間で一気に爆発する可能性は十分ありそうです。
「負けてしまったんですけど、自分たちの形はできましたし、セットプレー以外でやられるシーンもそこまで多くはなかったので、やれなくはないと思いました」と袖山も話した通り、おそらくは十分に全国でも戦える手応えを掴みながらも、肝心の結果が付いてこなかった高輪台。この全国の舞台で感じた課題を問われ、「何にもできなかったという感想ではないですけど」と前置きしながら、「やっぱりサッカーの"ベース"の部分になるかなと。走ったり、ぶつかったり、粘ったり、競ったり、頑張ったりとか気持ちとか、そういう部分の意識を選手権までに上げて行きたいなと。それが一番の課題かなと感じました」と指揮官はきっぱり。いわゆる"スタイル"は一定以上打ち出せた中でも、最後のゴールを奪う所やゴールを守る所で必要になってくるのは、やはり"ベース"の部分。それを全国大会というステージで経験できたことは、彼らの今後に向けての大きな果実であり、それをどう生かしていくかが彼らの今後次第であることも間違いありません。今回の収穫を「これを良い意味で自信に変えて欲しいですね。本当に『一番を獲ろう』と言ってやってきたけど、少し不安な部分もあった中で、ちゃんと東京都の予選を勝って、こういう場でサッカーができたと。みんなほとんど全国は初めてだと思うので、ああいう応援もそうだし、会場もそうだし、グラウンドもそうだし、こういう雰囲気を感じてもらえれば、それが一番の収穫になると思います」と語った川島監督。高輪台の全国初勝利は冬の晴れ舞台まで持ち越されることになりました。      土屋

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