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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年06月28日

北信越フットボールリーグ2016 1部第9節 JAPANサッカーカレッジ×坂井フェニックスサッカークラブ@JAPANサッカーカレッジG

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0626seiro.JPG北信越フットボールリーグも前節からはいよいよ2巡目に突入。JAPANサッカーカレッジが坂井フェニックスサッカークラブをホームに迎える一戦はJAPANサッカーカレッジグラウンドです。
最後に北信越を制した2011年以降は、4シーズン続けてのリーグ2位。サウルコス福井というライバルの壁に阻まれ、近年はなかなか地域決勝へと進出できていない時期が続いているJAPANサッカーカレッジ。「まずはこのチームでJFLに上がれるように、自分がしてきた経験も伝えて、周りの選手も底上げできればいいとは思っています」とチーム最年長の山城純也(30・ツエーゲン金沢)も話したように、JFLという明確な目標を掲げて挑んでいるリーグ戦は、現在首位を走るアルティスタ東御と4ポイント差の3位。残り試合数を考えても勝ち点を落とせないゲームが続きます。
2014年に初めて昇格した北信越1部では降格の憂き目を見たものの、昨シーズンは再び2部で2位という好結果を収め、2年ぶりに1部へと帰ってきた坂井フェニックスサッカークラブ。「ボールを動かしながらやりたいというスタイルが徐々にちょっとずつ浸透してきた」と花岡靖則監督も手応えを感じつつあるチームには、今シーズンから丸岡高校出身で川崎や栃木でもプレーしていた棗佑喜(27・松本山雅FC)やインターハイで全国優勝の経験を有する平尾優頼(23・駒澤大学)など、強烈な個性も加入しており、「徐々に自分たちのサッカーが落ち着いてできるようになってきているかなとは思います」とはGKの田中大樹(33・天理大学)。さらなる上位進出を窺うべくアウェイゲームに挑みます。キックオフ前にはFIFAアンセムが鳴り響く中、JAPANサッカーカレッジ高等部の選手が掲げるフェアプレーフラッグと共に選手入場。ゴール裏には両クラブのフラッグも掲揚され、雰囲気も十分。楽しみな一戦はJSCのキックオフでスタートしました。


開始20秒のファーストチャンスはJSC。左サイドを抜け出した清水雄登(19・尽誠学園高校)の折り返しに、3列目から走り込んだ高木俊輝(20・愛媛FCユース)はシュートまで持ち込めなかったものの、いきなり好機を演出すると、直後の2分にも山城を起点に清水、石塚功志(18・開志学園JSC高等部)とスムーズにボールが回り、御宿貴之(23・アスルクラロ沼津)がエリア内で倒されたプレーに、主審はペナルティスポットを指差します。大事なPKのキッカーは御宿自ら。右を狙ったキックは田中が抜群の反応で弾き出しましたが、こぼれを「いつも練習から右に蹴っていたので、こぼれてくるなら右かなと思って走ったら、たまたまこぼれてきました」と笑った石塚が抜け目なくプッシュ。わずか3分でJSCが1点のリードを奪いました。
いきなりビハインドを負った坂井フェニックス。「PKを取られるまでは中盤のラインが下がり過ぎていた」(花岡監督)「向こうが格上ということで少し引いてしまって、積極的になれなかった部分もあったと思います」(田中)と2人が声を揃えたように、やや引き気味に立ち上がった序盤を経て、15分過ぎからは少しずつボールアプローチのスピードと強度も向上。18分には古巣対決となるキャプテンの渡邉優希(31・サウルコス福井)が左へ振り分け、林広之(22・中央大学)のパスから中嶋峻也(22・日本体育大学)が放ったシュートはDFに当たって枠の左へ外れたものの、ようやくファーストシュートを放つと、直後に左から林が蹴ったCKはJSCのGKキム・ウンド(21・坡州市民サッカー団)にパンチングで掻き出されましたが、チャンスを創り始めます。
21分はJSC。高木のパスカットから清水が繋ぎ、御宿のミドルはクロスバーの上へ。22分は坂井フェニックス。小西将人(24・姫路獨協大学)のスルーパスに林が走るも、ここはJSCの右サイドバックを務める駒形俊文(19・開志学園JSC高等部)がきっちりカット。23分も坂井フェニックス。ミドルレンジから西村勇人(23・サウルコス福井)が狙ったシュートは枠の上へ。25分はJSC。左から石塚が蹴ったCKは中央でオフェンスファウルに。「少し冷静になってポジション取りも良くなって、ボールが落ち着いた所もあったと思います」と花岡監督が話せば、「1点取ったこともあって守りに入ってしまったかな」とは山城。変わりつつあるゲームリズム。
30分は坂井フェニックスの決定機。小西が右へ展開した流れから、西村がカットインしながら左足で放ったシュートは、わずかにクロスバーを越えたものの好トライ。32分にも右に開いた小西が左足でクロスを上げ切り、林が頭で繋いだボールを西村が左足で叩いたボレーはゴール左へ。36分の決定的なチャンスはGKの田中から始まったカウンター。西村が右へ流し、少し溜めた近藤将人(24・産業能率大学)がクロスを放り込むと、ゴールに背を向けて飛び上がった西村は完璧なオーバーヘッドを枠内へ。キム・ウンドもきっちりファインセーブで応酬し、同点とは行かなかったものの、「1点入れられてから気持ちが入り出して、少しずつ前に出始めたかなと思う」と田中。坂井フェニックスが踏み込むアクセル。
ところが、そんな流れを断ち切ったのは10番を背負ったティーンエイジャー。40分に石塚のスルーパスを受けた御宿のシュートは、平尾優頼の果敢なタックルに阻まれましたが、その2分後の42分。石塚が左へ流し、サイドバックの安藤裕麻(23・東京学芸大学)が中央へ戻したボールを御宿は右へ。あまり角度のない位置でパスをもらった石塚は、「もうシュートしか考えていなかったです」と右足一閃。意外なタイミングで良いコースを辿ったボールは左スミのゴールネットへ吸い込まれます。「あまりゴールは見ていなくて、ディフェンスが来ていることだけわかっていて、そのディフェンスの股を狙ったらたまたま良い所に行っちゃいました」とは石塚ですが、これで早くもドッピエッタの大活躍。流れが坂井フェニックスに移り掛けていた前半は、それでもJSCが2点のリードを手にして45分間が終了しました。


後半最初のビッグチャンスはJSC。48分に粘って前を向いた御宿は、そのまま運んでミドルにチャレンジ。ここは田中のファインセーブに阻まれるも、変わらないゴールへの意欲を披露したものの、直後の48分は坂井フェニックス。右から西村がドリブルで持ち出し、強引に狙ったシュートは右サイドネット外側へグサリ。角度的には入ったようにも見えたシュートに、坂井フェニックス応援席も歓声と溜息を瞬時に味わいますが、前半からとにかくシュート意識の高かった両ストライカーの打ち合いで、後半の幕が上がります。
それでも手数は坂井フェニックス。56分に伊藤のミドルはDFに弾かれ、再びこぼれを拾った伊藤のミドルはキム・ウンドがキャッチ。57分にも小西の右クロスに、突っ込んだ林のヘディングはクロスバーの上へ。58分には1枚目の交替として、林と東平大佑(30・SAGAWA SHIGA FC)を入れ替えると、59分にも左サイドバックの平尾和広(27・サウルコス福井)を起点に西村が中へ送り、粘った近藤のリターンを西村が上げた左クロスはゴールラインを割り、思わず頭を抱える西村と坂井フェニックスベンチ。直後の59分にも西村が中途半端な相手のバックパスをかっさらい、中へ折り返したボールは「どれだけ周りがやりやすくできるかということも考えながらプレーはしているつもり」という山城が鋭い出足で何とかカット。果敢なアタックは繰り出すものの、鴇田周作(25・松本山雅FC)と恩田巧巳(23・東海学園大学)のCBコンビを中心に、集中力の高いJSCディフェンスの壁は厚く、どうしても1点に届きません。
逆に60分はJSC。右サイドから小林定人(27・ヴァンラーレ八戸)がグラウンダーのクロスを送ると、山城は「僕の所に入った時にディフェンスラインが全部下がったのが見えていたので、『スルー』という声も聞こえたんですけど、横に出した方が打ちやすいかなと思ってヒールで出してみた感じです(笑) 感覚ですね」と超絶ヒールパスを敢行。御宿のシュートはまたも田中のファインセーブに阻まれましたが、30歳のテクニシャンが場内を沸かせると、清水と細野港(20・CUPS聖籠)をスイッチする61分の交替を挟み、ようやく実ったストライカーの得点意欲。
63分にバイタルに潜った御宿は粘って粘って石塚へ。「最初にパスをもらった時にボールが結構遅めに出てきて、相手に囲まれたので迷ったんですけど、『スペースに落とせばいいかな』という感じで、ループで落としたら良い所に行った」という石塚のワンツーを受けた御宿は、飛び出したGKの肩口を冷静に破るフィニッシュ。自身6本目となるシュートは、ゆっくりとゴールネットへ転がり込みます。「結構相手のセンターバックの所にスペースが空いてボールが入っていたので、そこからのコンビネーションで攻めようということで、狙い通りのワンツーで崩して取れた」と野上毅監督も納得の一撃は大きな大きな3点目。JSCがさらにリードを広げました。
苦しくなった坂井フェニックスは64分に2人目の交替。右サイドバックの伊藤を、加入したばかりの井筒庄吾(27・サウルコス福井)に替えて、攻守におけるサイドの主導権奪還に着手。70分には渡邉のクサビを上手く浮かせてターンした近藤のボレーが枠を襲うも、キム・ウンドがファインセーブで回避。72分にも左から西村が折り返し、近藤が枠へ収めたシュートはキム・ウンドがキャッチ。74分にJSCが駒形と佐藤皓生(19・CUPS聖籠)を入れ替えると、坂井フェニックスも76分に渡邉、小西とボールを回し、近藤が叩いたシュートはJSCのキャプテンマークを託された鴇田が体できっちりブロック。78分には坂井フェニックスも最後の交替としてCBの宇城康太(28・同志社大学)を下げ、上原諒(25・三国クラブ)をそのままCBに送り込みながら、高さのある平尾優頼を最前線へスライドさせつつ、いよいよゲームは最後の10分間へ。
82分は坂井フェニックス。小西の右クロスから平尾優頼が高い打点のヘディングを放つも、キム・ウンドが冷静にキャッチ。82分はJSC。佐藤の右アーリーに細野が頭で合わせるも、ここは「今年はコンスタントに練習に行けているので、体が動いて楽しくなってきているんですよ」と話す田中がこの日4本目のファインセーブで仁王立ち。83分もJSC。高木のパスから御宿が打ち切ったドリブルシュートは枠の左へ。84分に野上監督は高木を下げて、小原巧樹(19・CUPS聖籠)をピッチヘ解き放つ最後の交替を施し、取り掛かるゲームクローズ。
85分は坂井フェニックス。右から近藤が蹴り込んだCKを、ニアに突っ込んだ井筒がボレーで枠へ収めるも、キム・ウンドが丁寧にキャッチ。87分も坂井フェニックス。左から小西が右足で送ったクロスを、東平がヒールボレーで狙ったシュートもキム・ウンドがキャッチすると、これがこのゲームのラストシュート。「点を取るか取らないかの差が出た試合だったのかなと思います」とは花岡監督。きっちり3ゴールを奪い切ったJSCがホームで勝利を収め、選手たちが歓喜の"スギサキアイスモナカ"をサポーターへ手渡しする結果となりました。


「中身はウチも良かったなと思いますし、中盤もウチが先手を取っていて、その部分は良かったんですけど、フィニッシュが...(笑)」と花岡監督も苦笑いを浮かべたように、坂井フェニックスは内容を考えても3点差で負けるゲームではなかったと思います。ただ、「内容は良くて点が取れないというゲームが続いている」(花岡監督)「形は良いかなと思うんですけど、やっぱり決め切れない所の差が出てきているかなと思います」(田中)と2人が声を合わせた部分は最大の課題といった様子。どのカテゴリーのどのチームも抱えている悩みだとは思いますが、「本人たちもわかっているので、普段のシュート練習がまだまだ甘いのだと思いますし、いつも『練習で出ないことは試合でも出ない』と言っているので、またそこを意識しながら練習させるしかないですね」と指揮官も気持ちを新たにしていたようです。それでもチームとしては「今日もパスを回しながら崩すことはできていたので、あれがどんどんできれば上位のチームとも渡り合えるかなと思います」という田中の言葉通り、スタイルの深化に手応えを掴んでいるのは間違いない所。少なくない人数でアウェイに詰め掛けていたサポーターのために、来週のホームゲームは白星を送り届けたい所です。
「ちょっと行き過ぎて運動量が少し落ちたという所と、カウンターが結構ハマっていた所もあったんですけど、もう少し流れの中で自分たちがゆっくりリズムを創りながらやる時間帯も必要だったのかなという所は反省として残りましたね」(野上監督)「もうちょっとボールの所にプレッシャーを掛けないと、ああいう風に簡単にやられてしまいますし、それに対する後ろの準備も遅かったかなと思います」(山城)「もっと自分たちで支配してやっていきたかったですね」(石塚)と試合後は反省の弁が各々から口を衝いて出てきたJSC。とはいえ、連敗中だったJAPANサッカーカレッジグラウンドで、開幕戦以来となる2か月半ぶりの勝利を挙げたことが何よりの収穫。試合後は石塚が学生のヒーローインタビューに初々しく応える一幕もあり、来場したサポーターにとっては満足の行く90分間プラスアルファだったのではないでしょうか。個人的にはすべてが学生主体で運営されているホームゲームが非常に新鮮でした。学生が自ら獲得してきたスポンサーの横断幕がピッチ脇に掲げられ、試合中には学生による選手交替や「ゴール!!」というアナウンスも。チーム広報を務める学生にはインタビュールームまで用意して頂き、監督や選手には"206"教室でお話を伺うことができました。『サッカーの仕事をする』という大きな目標を持って聖籠の地へ集っている若者たちの息吹を感じることができ、改めてサッカーと真摯に向き合うことの大切さを教えられた貴重な体験でした。    土屋

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