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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年05月18日

インターハイ東京一次トーナメントHブロック1回戦 都立日野台×帝京@駒沢第2

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0515koma2.jpg昨シーズンの選手権予選で考えればベスト8とファイナリストの対峙。都立日野台と帝京の激突はおなじみ駒沢第2球技場です。
インターハイ予選は一次トーナメントで早稲田実業と延長にもつれ込みながら2-4で敗れたものの、選手権予選でも1次予選を圧倒的に勝ち上がると、都大会では難敵の大成相手に4-4という激しい撃ち合いの末にPK戦を制し、ベスト8まで躍進した都立日野台。迎えた今シーズンの関東大会予選は初戦突破を経て、東京朝鮮相手に選手権予選のリベンジとは行きませんでしたが、狙うはこの大会での上位進出。2日前にT4リーグを戦ったディスアドバンテージはある中で、大物食いを誓う80分間に臨みます。
インターハイ予選は成立学園に堀越と、結果的に秋の西が丘まで勝ち上がる両雄を倒し、最後は東京朝鮮相手に延長で力尽きたものの改めて存在感を発揮。選手権予選でもファイナル進出を果たし、全国準優勝の國學院久我山とも互角の勝負を繰り広げるなど、間違いなく復権の時が近付いている印象の帝京。今シーズンは1年生も多くスタメンに名を連ねる中、4月には留学生のサントス・デ・オリベイラ・ランドリック(1年)もチームに加わるなど若い力が躍動中。「古豪と言われていていることが正直悔しくて、去年惜しい所まで行っても『それでもやっぱりダメか』と言われたりもしているので、今年こそはという想いがあります」と決意を口にしたのは中瀬大夢(3年・FCトリプレッタJY)。6年ぶりとなる夏の全国を目指して、まずは大事な初戦に挑みます。駒沢の午後は初夏を思わせるような快晴。14時半を少し過ぎた頃、楽しみなゲームはキックオフを迎えました。


ファーストシュートは7分の帝京。左からサイドバックの山﨑大煕(3年・S.T.FC)がスローインを投げ込み、ランドリックが体を張って丁寧に落とすと、中瀬のシュートは枠の左へ外れましたが、まずはランドリックの体の強さで最初のフィニッシュを。11分に左から中瀬が蹴ったCKは日野台のGK香取声(3年・FC町田ゼルビアJY)にキャッチされたものの、立ち上がりから帝京が攻撃的な姿勢を打ち出します。
13分も帝京。右から三浦颯太(1年・FC東京U-15むさし)が入れた右CKは香取がフィスティングで掻き出し、五十嵐陸(3年・FCトッカーノ)が蹴ったクロスは中央でオフェンスファウルの判定。14分も帝京。CBの菅原光義(2年・S.T.FC)が放り込んだフィードに、走ったランドリックはわずかに届かず香取に収められたものの、「パワーがあるのでスピードに乗せるようなパスとか、体を張ったプレーをさせたらもっともっとランドリックは良いプレーができると思います」とクラスメイトでもある三浦も話したように、ランドリックを生かす形を探りながら引き寄せるゲームリズム。
ただ、日野台も16分にはようやくスムーズなアタック。前線の大渕詩音(2年・立川第九中)が右へ振り分け、マーカーを巧みなステップで外した10番の田中和哉(3年・FC多摩)がクロス。3列目からニアへ飛び込んだ向井皓規(3年・八王子城山中)のシュートは枠の右へ外れたものの好トライ。18分にも向井と田中和哉の連携でCKを奪うと、右から古川竜太郎(2年・FC.VIDA)が放り込んだキックはラインを割ってしまいましたが、向井の展開力が目立ち始めた日野台にも徐々にチャンスの芽が。
20分は帝京にセットプレーのチャンス。三浦が蹴った右FKから、ニアに飛び込んだ原健人(3年・FC東京U-15深川)のヘディングはわずかにクロスバーの上へ。24分は日野台のセットプレー。吉原慶(3年・府ロクJY)の突破で獲得した右CKを短く蹴り出した田中和哉は、田中達也(3年・ARTE八王子FC)のリターンを受けると股抜きで相手をかわし、そのままカットインから枠内シュート。ここは帝京のGK和田侑大(2年・FC東京U-15むさし)がセーブしましたが、お互いに窺うセットプレーからの先制機。
すると、やはり歓喜を呼び込んだのはセットプレー。26分に帝京が左サイドで奪ったFK。レフティの三浦が蹴り込んだ鋭いキックは日野台ディフェンスも掻き出せず、ゴール前で混戦が生まれると、ボールをかっさらったランドリックは少しキープしながら右足一閃。ニアサイドを抜けた軌道はゴールネットへ飛び込みます。「彼なりにいろいろ調べて『是非帝京高校に行きたい』とウチの高校の門を叩いてきた留学生なんですよ」と日比威監督も明かしたランドリックがきっちり結果を。9番を背負う1年生ストライカーの先制弾で帝京が1点のリードを手にしました。
畳み掛けたカナリア軍団。32分に三浦がDFラインの裏へ落としたボールを、ボレーで叩いたランドリックのシュートはクロスバーを直撃しますが、37分に引き寄せた追加点は「イメージ通りに蹴れましたし、中も上手く合わせてくれたので良かったです」と話すレフティから。右サイドで得たFKをここも三浦がピンポイントでニアへ蹴り込むと、突っ込んだ原のヘディングは今度こそ綺麗にゴールネットを揺らします。20分とまったく同じ形での一撃に「動き出しの部分で完全に原が良かった」と辛口の指揮官もきっちり評価を。両者の点差は2点に広がります。
佐宗佑亮(3年・FC Branco八王子)と野中文登(3年・ARTE八王子FC)のCBコンビも集中力の高い守備を披露していた中で、セットプレーから2失点を喫して追い掛ける展開となった日野台も、39分には浮き球を向井がダイレクトで絶妙スルーパス。左サイドを走った古川が放ったミドルは枠の右へ外れましたが、向井が垣間見せる攻撃センス。40分にもやはり向井が入れた縦パスを田中和哉がヒールで残し、田中達也が打ち切ったミドルはクロスバーの上へ。40+2分は帝京。右サイドバックの青柳寛己(3年・ESA)を起点にランドリックがクロスを上げ切り、こぼれを拾った三浦のシュートは枠の左へ。「前半は思うように進まなくて『少しうまく行かないな』とみんなで話していた」とは中瀬ですが、帝京がセットプレーから2点のアドバンテージを奪ってハーフタイムに入りました。


後半がスタートすると最初の決定機は日野台。43分に左サイドバックの羽生新(3年・ヴェルディSS AJUNT)が起点となり、相澤勇太(3年・レッドスターJY)が繋いで向井は左へスルーパス。抜け出した大渕はGKと1対1になりましたが、ここは和田が右手で掻き出すファインセーブ。その左CKを田中和哉が蹴り込み、DFのクリアを再び収めた田中和哉のクロスは和田のキャッチに遭いましたが、後半も向井のチャンスメイクから日野台が追撃弾を狙います。
ところが、次の得点もカナリア軍団。44分にエリア内へ侵入した中瀬の突破は、果敢に飛び出した香取のファインセーブに阻まれましたが、その5分後に二次攻撃から右サイドで中央を見た青柳は、ルーズボールをダイレクトでピンポイントクロス。ここに走り込んだ佐々木大貴(1年・FC東京U-15むさし)のダイレクトボレーは、左スミのゴールネットへ吸い込まれます。ランドリックに負けじと、10番を託された1年生アタッカーも美しいボレーで一仕事。大きな3点目が帝京に記録されました。
53分に日野台は1人目の交替を。古川に替えて鈴木佳裕(3年・TACサルヴァトーレ)を投入すると、直後にキャプテンの佐宗が蹴り込んだFKに大渕が競り勝つも、和田ががっちりキャッチ。続けざまに56分にも大渕と内田悠介(3年・八王子元八王子中)を入れ替えますが、58分は帝京のアタック。大塚迅人(3年・FC東京U-15むさし)とのワンツーで抜け出した青柳が右クロスを送り込み、三浦のシュートは香取にキャッチされたものの、「先輩たちが自分を使ってくれるので、後ろからビルドアップする時にたくさんボールに触って、前に運ぼうという意識はしています」と語る1年生レフティもゴールへの意欲を隠しません。
帝京も64分に1人目の交替。存在感を見せ付けたランドリックに替えて、小田楓大(3年・足立第四中)をそのまま前線へ。66分には日野台も吉原が粘り強い突破からミドルまで持ち込むも、ボールは枠の右へ。67分は日野台にとって3人目の交替。奮闘した向井と安田健(3年・八王子元八王子中)をスイッチして、中盤の運動量にテコ入れを。帝京も69分に佐々木と市川雅(3年・ジュビロSS浜松)を、72分には三浦と青木涼(3年・FCトッカーノ)をそれぞれ入れ替え、フィールドに9人の3年生を並べてゲームクローズに取り掛かります。
74分は帝京。小田が奪った右FKを青木が蹴り込むと、突っ込んだ中瀬のヘディングは枠の右へ。75分は日野台。田中和哉が蹴った右CKは原が大きくクリア。76分に日野台は最後の交替カードとして、高島一輝(3年・TACサルヴァトーレ)をピッチヘ解き放つと、77分には田中和哉のパスから高島がエリア内へ潜るも、シュートまでは至らず。どうしても1点を奪い切れません。
最終盤の主役は「自分はヘタクソなので走って体を張って、プレーで見せようと思っています」と話すナンバーイレブン。77分にミドルレンジから市川が強烈なミドルを放つと、「絶対にこぼれてくるだろうと思って、シュートを打つと同時にこぼれを狙いに行った」中瀬はリバウンドをきっちり押し込んで4点目。さらに80+1分にも、原のクロスに走り込んだ中瀬は「トラップはちょっと浮いてしまったんですけど、2人剥がせたのでミートだけ意識して」ワントラップボレーを敢行。ボールは右スミのゴールネットをきっちり捉え、チーム5点目が生まれてここで打ち止め。「試合では自分がリーダーシップを取ってやらなきゃなという気持ちがある」という中瀬のドッピエッタでゲームを締めた帝京が、ブロック準決勝へと勝ち上がる結果となりました。


「1年生は昨日からルーキーリーグをやっているんですけど、GKの萩原(颯都・1年・FC東京U-15むさし)も含めて4人だけはこっちに戻してやったんです」と日比監督が話したように、既に三浦、佐々木、ランドリックの1年生トリオは欠かせない戦力として、チームを牽引している帝京。それでも三浦は「今日の内容でやっていたら上に行った時に勝てないと思うので、もっともっと質を上げていきたいと思っています」とさらなる向上心を口に。「上級生だからとか下級生だからとか、そういう部分は帝京高校に関しては一切関係なしですからね」という指揮官の言葉を体現するルーキーたちの活躍は頼もしい限りです。ただ、もちろん『ここぞ』という時に必要になってくるはずなのは最上級生の力。「3年生のみんなでよく集まったりしていて、『底上げをしないと』みたいな話はしているんですけど、今は試合に出られていないので、やっぱり3年生が頑張らなくちゃいけないなと思います」と語った中瀬が「『強豪復活』と言われるように高い所を目指していきたい」と続けた言葉を実現するためには、間違いなく3年生の奮起が欠かせません。       土屋

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