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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年05月30日

インターハイ東京一次トーナメントEブロック決勝 実践学園×東海大高輪台@実践学園高尾G

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0529jissen.jpg8か月前にも死闘を繰り広げた両雄の二次トーナメント進出を懸けたリターンマッチ。実践学園と東海大高輪台の再会は実践学園高尾グラウンドです。
T1リーグの開幕戦は國學院久我山とスコアレスドローで勝ち点1を獲得すると、第2節で東京武蔵野シティFC U-18に1-0で競り勝ち初勝利。関東大会予選でも最後は本大会出場を懸けた準決勝で駒澤大学高に屈したものの、上々とも言えるシーズンスタートを切った実践学園。ただ、その関東大会予選以降に戦ったT1リーグでは3試合でまさかの14失点と守備陣が崩壊傾向にありましたが、今大会の初戦では早稲田実業相手にきっちり完封勝利を収めて、このブロック決勝まで。4年ぶりとなる夏の全国を手繰る寄せるべく、重要なホームゲームに臨みます。
昨シーズンは選手権予選でベスト8まで進出。最後は成立学園にPK戦で競り負けたものの、アタッカー陣に2年生を多く擁していたこともあり、今シーズンへの期待を川島純一監督も隠さない東海大高輪台。迎えたその今シーズンは、9試合を終えたT2リーグが4勝1分け4敗とまったくの五分。関東大会予選は初戦で修徳に0-3で敗れるなど、ここまで芳しい結果は残せていない中、今大会は支部予選をきっちり勝ち抜くと、一次トーナメント初戦では難敵の国士舘を1-0で、創価をPK戦で相次いで撃破。「色々なゲームを経験して、春の修徳の時から比べてだいぶチームになってきたかな」とは川島監督。こちらも7年ぶりの全国へ向けて、負けられないアウェイゲームを戦います。前述したようにこの両者は昨年の選手権予選でも激突し、その時は壮絶な熱戦の末に東海大高輪台がPK戦で勝利。リベンジか、返り討ちか。注目の一戦は実践のキックオフで幕が上がりました。


ファーストシュートは2分の実践。左から川村彰良(3年・ARTE八王子FC)が蹴ったCKを、榛谷廉明(3年・FC渋谷)は高い打点でヘディング。ボールは高輪台のGK角田篤生(3年・FC PROUD)がキャッチしたものの、まずは実践が先にフィニッシュを。3分は高輪台もセットプレーのチャンス。武川剣進(3年・AZ'86東京青梅)の左CKを実践のGK中村貴之(3年・立川第四中)がパンチングで弾くと、木次悠(3年・インテリオールFC)のミドルはクロスバーを越えましたが、お互いにCKからシュートを打ち合ってゲームは立ち上がります。
ただ、少しずつペースを掴んだのは「アタッカー陣にも『みんな仕掛けて、とにかくウチらのサッカーをやろうぜ』と言って送り出した」と川島監督も話した高輪台。8分に高い位置でボールを奪った小林慶伍(3年・目黒第四中)は、左へ流れながらそのままシュートを打ち切るも中村がキャッチ。10分にも相手の横パスをかっさらった武井成豪(3年・GRANDE FC)が、ドリブルで持ち出しながら枠へ収めたシュートは、ここも中村がキャッチで凌いだものの、相手のミスを続けて決定機の一歩手前まで。
一方、通常は4-4-2や4-2-3-1をベースにしている中で、この日は3-4-3気味のシステムを敷きながら、なかなか攻撃面でその強みが出て来なかった実践も、15分には決定的なチャンス。バイタルで複数人が関わるパスワークで相手を翻弄し、荒川耀士(3年・FC.GONA)のラストパスで、窪園流星(3年・町田成瀬台中)はGKと1対1になりましたが、このシーンでの選択はシュートではなくパス。流れたボールを川村が残し、武田義臣(2年・FC Branco八王子)が放ったシュートは角田がキャッチ。18分にも右サイドでマーカーを外した窪園がクロスを送り込み、ニアに突っ込んだ荒川のヘディングは枠の右へ。ようやく佐々木良和(3年・稲城第六中)と浅貝崇裕(3年・VIVAIO船橋)を中心にセカンドを回収し始めた実践にもリズムが出てきたものの、手痛い決定機逸。
21分には高輪台にビッグチャンス。右から武川が蹴り込んだCKを武井が頭で合わせ、DFに弾かれたボールを高野颯翔(3年・ジェファFC)は躊躇なくエリア外からダイレクトボレー。鋭い軌道はクロスバーを直撃して枠の上へ消えましたが、鮮やかな一連に場内からもどよめきが巻き起こると、スコアが動いたのはその3分後の24分。それまでも再三に渡ってドリブルを見せており、「今シーズンからトップチームに入ってきた子で、ドリブルはチーム一番」と指揮官も認める小杉康太(3年・ACアスミ)がここも仕掛けて後ろに戻し、サイドバックの小林陸玖(2年・ヴェルディSS AJUNT)が上げた右クロスを、「ちょっと下がってから勢いを付けて行こうと思って駆け引きしていた」という小林慶伍が高い打点のヘディングで打ち下ろしたボールは、クロスバーとGKに当たってそのままゴールネットへ飛び込みます。今シーズン初スタメンの小林慶伍が「シュートの怖さは一番持っている」と評価する川島監督の起用に応える先制弾。高輪台が1点のリードを手にしました。
止まらないタイガー軍団。先制から2分後の26分。右サイドでボールを持った高野は、持ち前の切れ味鋭いドリブルでそのまま中央を横断しながら、左へ流れつつグラウンダークロス。これを武井が丁寧に落とすと、走り込んだ武川は右足一閃。ボールは一直線に左スミのゴールネットへ突き刺さります。昨年から攻撃の主軸を担ってきたトライアングルの共演で、最後は「チームの中心となって、『高輪台と言えば7番』と言われるくらいになりたい」と今シーズンに懸ける意欲を隠さない武川が堂々の一撃。たちまち両者の点差は2点に広がりました。
小さくないビハインドを背負った実践ベンチは30分に決断。早くも1人目の交替として藤尾圭悟(3年・VIVAIO船橋)をピッチヘ送り込み、最終ラインに右からキャプテンの齋藤翔(3年・フレンドリー)、浦寛人(2年・GA FC)、清水喜一(3年・フレンドリー)、浅貝を並べ、4-4-2へシフトチェンジして整え直す攻守のバランス。36分には齋藤のフィードに荒川が走るも、ここは高輪台のCB木下勇樹(3年・インテリオールFC)がきっちりクリア。40+2分にも右から齋藤が投げ込んだロングスローを荒川がすらすも、木次が大きくクリア。「先制点から自分たちのペースになったと思います」とキャプテンの袖山翼(3年・インテリオールFC)も話した高輪台が2点のアドバンテージを握って、最初の40分間は終了しました。


後半はあとのない実践が予想通りに立ち上がりから猛ラッシュ。46分に右から蹴り込んだ川村のFKはシュートまで至りませんでしたが、47分にもバイタルで前を向いた武田が裏へ落とし、ワントラップで抜け出した荒川はわずかにオフサイドという判定。49分にここも右から川村が入れたFKは袖山が懸命にクリアしたものの、「相手も止まらずにどんどん前に蹴ってきて、そこで競られてセカンドを拾われるというのが結構危なかった」と袖山。これが実践本来の勢い。
55分に実践は2人目の交替を。ロングスローとチームを鼓舞し続ける声で奮闘した齋藤を下げて、坂井啓希(3年・FC府中)を前線に送り込み、藤尾を右サイドバックに入れる攻撃的な布陣でさらなる圧力を。57分には右のショートコーナーから、川村のリターンを藤尾がクロスに変えるもDFがクリア。高輪台も58分に殊勲の先制弾を叩き込んだ小林慶伍に替えて、水野団(3年・ESA)を左サイドハーフへ投入し、武井が2トップの一角へスライド。61分は実践。ルーズボールを拾った浅貝のミドルは枠の右へ。右サイドを中心に実践が攻撃を繰り返すものの、なかなか創り出せない決定的なシーン。
逆にここで主審が指示した給水タイムで帰ってくる選手に、「よく凌いだなあ」と一声掛けた川島監督は、「後半は聞いていたら『この勢いを凌ぐぞ』という声をみんな掛けていたので良かったと思います」とピッチの選手たちに確かな手応えを。63分に3枚目の交替として川村と前原龍磨(2年・三菱養和調布JY)を入れ替えた実践は、66分にも藤尾が蹴った左FKのこぼれを武田がボレーで狙うも、ボールは枠の右へ。68分にも藤尾がCKも含めて左から連続でボールを放り込むも、木下も力強いクリアの連続で応酬。「良い補完関係ができている」と川島監督も信頼を寄せる木下と佐々木駿(3年・三鷹F.A.)のCBコンビも集中力高く、高輪台ディフェンスが跳ね返し続ける内に、気付けばゲームは残り10分間とアディショナルタイムへ。
70分は高輪台にチャンス。小林陸玖、小杉、武川とスムーズにパスが繋がり、エリア内まで潜った小林陸玖のシュートは中村がファインセーブで弾き出したものの、後半のファーストシュートはいきなりの決定機。71分にも水野のパスを引き出した武川が、鋭い反転から振り抜いた右足ミドルはクロスバーにハードヒット。詰めた武井のヘディングもゴール右へ外れましたが、ようやく出てきた高輪台らしいアタック。
73分の追加点機はスタメン唯一の2年生から。水野を起点に小杉が繋ぐと、ここも右サイドを駆け上がった小林陸玖はエリア内へ侵入。後追いになったマーカーともつれたプレーをディフェンスのファウルと判定した主審は、ペナルティスポットを指差します。キッカーは10番を背負う武井。左スミを狙ったキックは中村が執念のファインセーブでストップしましたが、こぼれを何とか武井が自ら押し込んで追加点。スコアボードの数字は"3"に変わりました。
75分に2人目の交替として、高輪台は小杉と中込雅樹(1年・インテリオールFC)をスイッチ。76分は実践。藤尾の左CKへニアに荒川が突っ込むも、ヘディングは枠の左へ。77分は高輪台。武川の右CKをファーで木下が折り返し、中込が競ったこぼれを佐々木が打ち切ったボレーはDFに当たってクロスバーの上へ。クローズに入った高輪台は78分に明野卓馬(2年・インテリオールFC)を、79分に臼井研(3年・AZ'86東京青梅)を相次いでピッチヘ解き放ち、いよいよ熱戦も最終盤へ。
何とか1点を返したい実践の執念。80分には清水の左CKからエリア内を坂井が運ぶも、シュートはニアを消した角田がファインセーブ。その左CKを藤尾が蹴り込むも、ここはDFが大きくクリア。80+2分にも投入されたばかりの石井惇平(3年・FC多摩)が右CKを蹴り入れるも、木次が確実にクリア。80+4分にも左サイドで藤尾がタメを創り、上がってきた浅貝のクロスは、しかし中央と合わずにこれがこのゲームのラストチャンス。「後半のように押されていても、強いメンタルを持った考え方ができるようになりましたよね。あれは苦しいゲームを国士舘戦、創価戦とやってきたことが生きてきたと思います」と川島監督も笑顔を見せた高輪台が激戦のEブロックを制し、二次トーナメント進出を勝ち獲る結果となりました。


「川島先生から『去年は追い付かれてPKでギリギリ勝ったので、今年は完全に勝つぞ』という風には言われていました」と試合後に明かした袖山。このゲームは、2人の数的優位にも関わらず追い付かれ、何とかPK戦を制した選手権予選から8か月の時を経て、「去年はギリギリでしたけど、今日は最後にダメ押しも行けたので良かったですね」と指揮官もある程度は納得の80分間で、高輪台が返り討ちに成功した一戦でもありました。ただ、「もっとやれると思うんですけどね。コイツら意外と緊張するんですよ。もっといい加減なヤツらかと思っていたら。そこでいつもの状態で出してやれるかは大事でしょうね」と川島監督は今後のゲームへの課題も口に。二次トーナメントについて問われ、「自分たちのプレースタイルというのを格上相手にいかに見せられるかというのが大事になってくると思うので、自分たちが積み重ねてきたことをしっかりやっていきたいと思います」と話したのは袖山。支部予選から数えると7連勝で辿り着く"全国"という目標地点を、ようやく高輪台はハッキリと視界に捉え始めているはずです。      土屋

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