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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年05月17日

インターハイ東京一次トーナメントBブロック1回戦 修徳×東京実業@駒沢補助

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0515komaho2.jpg一次トーナメント屈指の好カードが早くも1回戦で実現。夏の全国大会出場9回を誇る修徳と初の全国を狙う東京実業の一戦は、引き続き駒沢補助競技場です。
関東大会予選では選手権で全国8強まで駆け上がった駒澤大学高を撃破して、準々決勝まで勝ち上がったものの、インターハイ予選は堀越に初戦で敗れると、選手権予選も成立学園に初戦で屈し、5年ぶりに西が丘行きを逃す格好となった昨シーズンの修徳。迎えた今シーズンは新人戦をきっちり勝ち抜き、関東大会予選では都立東久留米総合に延長戦で競り負けたものの、T3リーグでは2試合で8ゴールを叩き出しての開幕連勝と好調をキープ。"トーナメントマスター"の称号を取り戻すべく、難敵との初戦に挑みます。
昨シーズンのインターハイ予選は駿台学園、実践学園とT1勢をなぎ倒して二次トーナメント進出を果たすなど、その実力を都内へ示したものの、さらなる躍進が期待された選手権予選は準々決勝で多摩大目黒に敗れ、東京制覇という目標には届かなかった東京実業。各ポジションに主力の残った今シーズンは、関東大会予選こそ駒澤大学高に0-2というスコアまで肉薄しましたが、直近のリーグ戦は3試合で17失点を喫しての3連敗と苦しい状況下でこの一戦へ。「今までの結果は結果で終わってしまったことなので、『この大会はこの大会でしっかり1つずつ勝ち進もう』という話をしてきた」とはキャプテンの渡辺巧輝(3年・大田糀谷中)。ある意味で今シーズンの今後を左右するようなキーゲームに向かいます。実力者同士の対戦に会場にはかなりの観衆が。注目のビッグマッチは東実のキックオフでその幕が上がりました。


序盤からペースを握ったのは「ここ3試合は続けて立ち上がりに失点することが多かったので、最初は難しいことをやらないで前でシンプルにやろうと話していた」(渡辺)東実。3分にシンプルなフィードへ赤松正典(2年・プロメテウスEC)が競り合い、こぼれを叩いた泰大樹(2年・北区赤羽岩淵中)のミドルは修徳のGK鈴木晟一(2年・FC ESFORCO)にキャッチされたものの、フィニッシュへの意欲を打ち出すと、5分には決定機。右から笹森柊吾(3年・杉並FC)が蹴り込んだFKに、フリーで合わせた萩原陸(3年・LARGO.FC)のヘディングは枠の右へ外れ、その萩原も頭を抱えましたが、東実の勢いがゲームを活発に立ち上がらせます。
8分も東実。泰のドリブルで獲得したFKはピッチ右寄り、ゴールまで約25mの位置。スポットに立った森翔太(3年・横浜FC鶴見JY)のキックは、カベに当たってわずかにゴール左へ。直後に森が蹴った左CKはシュートまで至らず、14分に今度は右から森が入れたCKは鈴木のパンチングで弾き出されましたが、セットプレーを中心に攻勢は東実。
一方、最前線に位置する長身ストライカーの望月翔(3年・草加松江中)を生かしたい修徳でしたが、CBの佐野百元(3年・世田谷FC)が望月と互角以上に競り合い、「そこから全員でのチャレンジアンドカバーを、インターハイ前から意識してずっとやっていた」(渡辺)という東実ディフェンスにセカンドも拾われ、なかなかアタックを繰り出せず。15分には左からSBの千代田和樹(2年・ヴェルディSSレスチ)がアーリークロスを放り込み、飛び込んだ薄井亮祐(3年・S.P FUTE)はダイレクトボレーを敢行もヒットせず。18分に浅田元貴(3年・三郷JY)が蹴ったFKも、萩原が気迫の絶叫クリア。効果的な形を創り切れません。
20分以降は少し膠着した流れの中で、サイドバックの浅田とサイドハーフの薄井が連携を見せた修徳の右サイドに動きが出始め、セットプレーを続けて獲得。30分に浅田が蹴った右CKは、東実のGK増田大輝(3年・フレンドリー)がフィスティングで掻き出し、35分に浅田が左から蹴り込んだFKは萩原に跳ね返されますが、40分には決定的なシーン。薄井が積極的なドリブルで得た右CKのキッカーはここも浅田。ニアに選手が殺到する中で、浅田が選択したのはがら空きになったファー。フリーで走り込んだ千代田のヘディングは枠を捉えたものの、勘良くカバーに入っていた泰がライン上でスーパークリア。両者譲らず。スコアレスのままで最初の40分間は終了しました。


後半の序盤は一進一退。42分は東実。左から森が入れたCKは、修徳の前線を任された松岡侑輝(3年・ジェファFC)が大きくクリア。44分は修徳。左サイドからカットインした牧野純己(3年・フレンドリー)が、そのまま打ち切ったミドルは枠の右へ。48分は東実。日名悠太(3年・東急SレイエスFC)を起点に萩原が右へ振り分け、赤松がエリア内まで侵入するもシュートは打てず。51分は修徳。牧野のパスからエリアへ潜った松岡がDFとの接触で転倒するも、主審のホイッスルは鳴らずに思わず立ち上がる修徳ベンチ。ただ、牧野の推進力が目立ち始めた修徳に、少しずつゲームリズムは傾き始めます。
52分に動いたのは東実。赤松を下げて、そのまま最前線に赤井優太(3年・インテリオールFC)を送り込み、アタッカーの顔触れに変化を加えるも、53分は修徳に決定機。右から薄井が鋭いクロスを蹴り込み、ニアで望月がフリックしたボールを松岡はボレー。フリーで合わせたシュートは、しかしクロスバーを越えてしまい、今度は揃って頭を抱える修徳ベンチ。59分も修徳。左サイドで千代田が縦に付け、巧みなスクリーンで抜け出した松岡のクロスは、懸命に戻った佐野が何とかクリア。流れは古場幹郎(2年・K.Zヴェルメリオ)と吉田龍世(3年・柏レイソルA.A TOR02)のCBコンビがことごとく相手のアタックを跳ね返し、佐藤颯(3年・世田谷東深沢中)と中村海斗(2年・K.Zヴェルメリオ)の中盤センターでセカンドも収め出した修徳へ。
運動量も低下し始め、劣勢を強いられ出した東実でしたが、「自分たちの時間もあれば相手の時間もある中で、相手の時間になっただけで自分たちが動けなかった訳ではなかったんですけど、どれだけ自分たちが我慢して守備ができるのかという所が大事だったと思うので、その時は自分が先頭に立って全員に声を掛けて、集中して我慢するようにしていました」と渡辺が話せば、「サイドバックには『もう絶対上がるな』と。 『何が何でも4バックを崩すな』と言っていました」と片山智裕監督。67分の決断は2枚替え。泰と笹森の左サイドを同時に下げて、小笠原隼司(3年・東京ベイFC)と関孝太朗(2年・FC駒沢)を投入すると、その左サイドで放たれた一瞬の輝き。
68分に左サイドでボールを持った赤井は密集するマーカーをものともせず、やや強引とも取れる突破を試みながらエリア内まで粘って持ち込むと、そのまま右足でシュート。ボールはゆっくりと、それでいて確実に右スミのゴールネットへ転がり込みます。「あれはプラン通りです。『誰を使おうか』と夜の2時とか3時ぐらいまでコーチングスタッフみんなで会議もしましたから」と片山監督が笑えば、「練習の時からああいうゴリゴリのヤツなんです。でも、僕は小中とずっと一緒なので、ちょっと泣きそうになっちゃいました」と渡辺。劣勢の中で東実が先制点を強奪しました。
押し込んでいた中で失点を喫した修徳は、すぐさま1人目の交替を。少し足を痛めた薄井に変えて、体調不良でベンチスタートとなっていたエースの根岸航(3年・ジェファFC)をこのタイミングでピッチヘ解き放つと、71分には決定機が。浅田のFKに古場が競り勝ち、再びフリーで放った松岡のシュートはここもクロスバーの上へ。75分にも浅田が左CKをショートで始め、松岡のリターンをクロスに変えるも、中央とは合わずゴールキックに。右から高田裕斗(3年・東京ベイFC)、渡辺、佐野、小笠原で組んだ4バックを中心に集中高く凌ぎ続ける東実。気付けば残された時間は5分とアディショナルタイムのみ。
76分は修徳。望月が粘って残し、浅田が上げ切ったクロスは昨シーズンからゴールマウスを託されている増田が冷静にキャッチ。79分は東実。右から森が放り込んだCKを、萩原が頭で合わせるもゴール左へ。「難しいことはやらないで相手コートに入れてそこでキープするなど、終盤は『絶対に点を取られちゃいけない』と全員で意思統一していた」と渡辺。アディショナルタイムの掲示は4分。正規の時間に付け加えられた240秒のラストバトル。
80+2分にはヒートアップした両チームの選手にイエローカードが提示されるなど、双方が負けたくない意地を前面に。80+3分は東実に最後の交替。サイドで攻守に走り回った朝日凱大(3年・LARGO.FC)と竹内海斗(3年・川崎チャンプ)を入れ替え、ベンチも少しでも時間を潰し切る執念を。80+5分は修徳のラストチャンス。自陣から浅田が大きく蹴り込んだFKを増田が丁寧にキャッチすると、程なくして吹き鳴らされたのはファイナルホイッスル。白熱の好勝負を制した"蒲田のデンマーク"が日大三の待つブロック準決勝へと勝ち進む結果となりました。


「ケガ人が主力に4人もいて、やれるかやれないかは半々でしたけど、もういる選手でやるしかないかなと思っていました」と試合後に明かした片山監督。前述したようにリーグ戦で大量失点の続く3連敗を喫したことで、どうしても雰囲気も悪くなりがちなチーム状況の中、「この1週間はみんなで盛り上げてミーティングもしてチームで一致団結して、応援団の選手も毎日朝に応援の練習してくれたので、そういうこともあって自分たちはやらなきゃいけないというのがあった」と渡辺。最後は総力を挙げてこの一戦にチーム全体で臨んだ東実の執念がわずかに上回ったのかもしれません。「今日は1年生が修学旅行でいなかったんですけど、応援団全員を含めて気持ちも入っていたので、自分たちが息を吹き返す意味でも本当に大事な試合で勝てて良かったです」というキャプテンも試合後は満面の笑顔。息を吹き返した東実のインターハイはまだまだ終わりません。       土屋

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