mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2016/03

S M T W T F S
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2016年03月15日

T2リーグ2016第4節 東海大高輪台×暁星@大井第二

mas o menos
  • Line

0314ooi.jpg春休みに開催されるT2リーグは水曜のデーゲーム。東海大高輪台と暁星が対峙する一戦は大井第二球技場です。
昨シーズンの選手権予選では、ベスト16で優勝候補の一角にも挙げられていた実践学園との大激戦をPK戦で制し、準々決勝でも成立学園と互角以上の勝負を繰り広げ、最後はPK戦で散ったものの、間違いなくその先に待ち受けるものを視界に捉えつつある東海大高輪台。前線と中盤のレギュラーがほとんど残った今シーズンは、「攻撃は"1"からじゃなくて、"5"ぐらいからやれると川島先生も言っていたので、完成度は他のチームよりも高いと思う」と本藤悟(2年・横浜FC JY)も話した通り、ある程度のベースを築いた位置からのスタートに。ここまでのリーグ2試合は1勝1敗とまったくのイーブン。ここで難敵をしっかり叩き、白星先行と行きたい所です。
関東大会予選は堀越に1-2、インターハイ予選は駒澤大学高に0-2、選手権予選は國學院久我山に0-1と、トーナメントコンペティションではすべて選手権予選のファイナリストに敗れたものの、いずれも好勝負を繰り広げるなど、相変わらずの実力を見せてくれた昨シーズンの暁星。さらにT3リーグも8勝1敗という好結果で見事に昇格を果たし、今年は3シーズンぶりにT2の舞台へ。現在は開幕2連敗中ということもあり、きっちり結果を出して浮上のキッカケを掴みたい90分間に臨みます。大井は折からの冷たい雨で真冬のようなコンディション。注目の好カードは高輪台のキックオフでスタートしました。


スタートから勢いを打ち出したのは暁星。「前半はやっぱり硬かったですね」と川島純一監督も話した高輪台を尻目に、前線の石本嶺(2年・暁星中)をシンプルに使いつつ、セットプレーを続けて獲得。9分に左から10番を背負ったCBの田嶋翔(2年・三菱養和調布JY)が蹴り込んだCKは、風にも乗ってそのままクロスバーを直撃。10分に右から廣田尚(中学3年・暁星中)が蹴ったCKは、ニアで高輪台のCB木下勇樹(2年・インテリオールFC)がクリアしたものの、11分に再び廣田が入れた右CKはファーまで届き、原田英明(2年・暁星中)の折り返しはシュートまで繋がりませんでしたが、まずは暁星が高輪台ゴール前を脅かします。
「バックラインで回していたんですけど、結構前から相手が来ていた」と武川剣真(2年・AZ'86東京青梅)も振り返った高輪台は、暁星の圧力になかなか持ち前の技術を生かしたアタックを繰り出せず。12分に「ここ最近で凄く良くなってきた」と指揮官も認める臼井研(2年・AZ'86東京青梅)が蹴った左FKは暁星のGK竹内瑠架(2年・暁星中)にキャッチされ、13分にここも臼井が蹴った左CKもシュートには至りませんでしたが、16分にはようやく決定機。この日はキャプテンマークを託され、「自分がやらなきゃいけないなとは思っています」と語った本藤が右へスルーパスを送ると、水野団(2年・ESA)はGKと1対1に。左を狙ったシュートは、しかし逆を取られながらも竹内が残った足でファインセーブ。先制点は奪えません。
以降もボールこそ高輪台が握り始めたものの、「もうちょっと真ん中で繋いだりして、中盤を使いながら行きたかったんですけど、中盤で繋ぐのはちょっとリスクがあって前に急ぎ過ぎた」と武川も振り返った通り、ポゼッションはスムーズな攻撃に繋がらず。逆に23分は暁星にチャンス。CBの田嶋が右へ流し、SBの中村凌輔(2年・暁星中)はゴールまで35m近い距離からミドルを枠に収め、高輪台のGK角田篤生(2年・FC PROUD)にキャッチされましたが、果敢なフィニッシュへの意識を。30分にも中村が粘って残し、利田健人(1年・暁星中)がマイナスに折り返すと、北本達拓(中学3年・暁星中)は思い切ったダイレクトボレーを枠の上へ。田嶋と西澤秀都(1年・暁星中)の両CBも安定感を披露し、北本と廣田の"中3コンビ"もきっちり試合の流れに乗り切った暁星が、シュート数では高輪台を上回ります。
35分には高輪台にこの日2度目の決定機。高い位置でボールを奪った高野翔颯(2年・ジェファFC)が繋ぎ、右へ流れた本藤はGKと1対1の局面に。ところが、「GKも出てきたので浮かせて入れようと思ったんですけど、蹴り損ねてしまった」シュートは枠の右へ。39分には右へ開いた高野が中へ付けると、武川は「『そこで置け、替われ』というのがあって、入れ替わったりするような敵を外すトレーニングをずっとやっています」という高輪台らしい足裏コントロールでボールを置き、入れ替わった武井成豪(2年・GRANDE FC)は浮き球パスをラインの裏へ送るも、味方とは合わず竹内がキャッチ。少しずつ狙いの一端は見え始めましたが、「マンツーマンで前から相手が来ていて、今の時期はああいうのに怖がっちゃうんですよ」と川島監督。暁星も41分に植木朝也(2年・暁星中)と北本の連携で得た左CKを北本が自ら蹴り込み、ファーで原田が収め掛けるも高輪台のCB佐々木駿(2年・三鷹F.A.)がきっちりカバーしてゴールキックに。前半はスコアレスのままで45分間が終了しました。


後半に入るとゲームリズムは高輪台へ。48分に武井、水野とテンポ良くパスを回し、武川が狙ったシュートは枠の右へ外れましたが、昨年からの主力陣で良い形のフィニッシュを。58分に武井のドリブルで奪った左CKを、臼井が蹴ったボールは武内のキャッチに遭いましたが、59分にもシュートシーン。左からSBの木次悠(2年・インテリオールFC)が浮き球を付けると、「いつもよりはヘディングとかも勝てていたので、相手に攻められている時に基点になれれば良いなと思って、そこは結構頑張れるようには意識していました」という本藤は胸トラップから反転して左足ボレー。ボールは枠の左へ逸れたものの、徐々に圧力を強めるタイガー軍団。
すると、「アレはウチの形ですね」と川島監督も胸を張った先制劇は66分。前半の主戦場に置いていた左サイドから右サイドに移っていた武川は、その右サイドでボールを持つと、ワンテンポ溜めてから短く縦へ。ここに駆け上がってきていたSBの小林陸玖(1年・ヴェルディSS AJUNT)が強いボールで中へクロスを送ると、走り込んでいた武川の前でDFが懸命にクリアしたボールは、そのままゴールネットへ突き刺さってしまいます。「実はオウンゴールでした。もうちょっと前に来ていれば決められたんですけど」と苦笑いした武川が「"回る"というか2枚目が行くという感じで、そこで1回タメを創ってクロスを上げるというのは結構多いです」と話せば、川島監督も「武井が素直に出さなかったでしょ。持ち出してそこから使ったから、走る時間ができましたよね」とニヤリ。オウンゴールではあるものの、狙い通りの形がしっかり出た高輪台が1点のリードを奪いました。
ビハインドを負った暁星もすぐさま反発力を。70分には利田が右へ振り分け、稲葉保(2年・暁星中)がシンプルに上げたクロスがこぼれると、原田が枠へ飛ばした強烈なミドルは角田が冷静にキャッチ。71分には川島監督が1枚目の交替を決断。奮闘した臼井を下げて、永野颯人(2年・横浜F・マリノスJY追浜)を右SBへ送り込み、その位置にいた小林をボランチにスライドさせて、中盤の安定とサイドの推進力アップを図るも、72分に原田が枠の上へ外したミドルを経て、74分は暁星の決定機。右から田嶋の蹴ったFKは少し風で押し戻され、飛び出したGKは触れずに石本がヘディングで枠内へ。必死に戻った高輪台のDFがライン上で掻き出したものの、あわやというシーンにスタンドもどよめきます。
「セットプレーの守備はまだ安心して見ていられないですね」と渋い顔の川島監督は、ここから相次いで交替を。75分には小林を下げて、キャプテンの袖山翼(2年・インテリオールFC)を久々となるピッチヘ送り込み、81分にも水野と高野に替えて、小杉康太(2年・ACアスミ)と本多翔太郎(1年・GRANDE FC)を同時に送り込む2枚替えを敢行すると、83分には久々のシュートシーン。ここも右サイドで武川が時間を創り、中をオーバーラップしてきた永野のカットインミドルはクロスバーを越えましたが、冴え渡る右の連携。
待望の追加点もやはり"右の連携"から。85分にボールを持った武川が1つ溜めて外へ付け、上がってきた永野は中に切れ込みながらショートパスを繰り出すと、受けた本多は右足一閃。強烈な弾道を描いたボールは、そのままゴール左スミへ豪快に飛び込みます。「アイツはドリブルが凄いんですけど、1年生なのでメチャクチャ遠慮しているんですよ」と指揮官も笑った途中出場の1年生が貴重な追加点。高輪台が最終盤で点差を2点に広げました。
1点でも返したい暁星は88分に中塚剛佑(中学3年・暁星中)をピッチヘ解き放ち、何とか反撃したい意欲を打ち出しましたが、90+2分には中央で収めた本藤が30m近い左足ミドルを放ち、竹内が何とかファインセーブで回避。90+3分にも永野の左CKがこぼれ、ファーで木下が叩いたシュートは枠を越えると、これがこのゲームのラストシュート。「後半はだいぶパスが繋がりながらシュートまで行くケースが増えて、やりたいことができていたと思います」と武川も話した高輪台が、勝ち星先行となるリーグ戦2勝目を手に入れる結果となりました。


残念ながら3連敗となってしまった暁星ですが、とりわけきっちりオールコートのマンツーマンでハメながらセットプレーでチャンスを窺う前半の戦い方は、本来の彼らが例年併せ持つ力強さ健在といった印象も。最前線の石本、ボランチの原田、CBの田嶋とセンターラインには軸になる2年生を据えつつ、北本と廣田のように入学前からその力を十分に証明してみせるルーキーの存在もあって、今後が非常に楽しみなチームであることは間違いありません。あとは、ここ3試合で奪えていない得点がいつ生まれるかといった所。その得点パターンが確立されて来れば、今年の暁星も各校にとっては脅威となっていくはずです。
「守備は相手のやりたいことをほとんど摘んでいたと思うのでまあまあ良かったです」と話した川島監督も、「もっと攻撃はやって欲しいよね」と注文を付け、武川も「シュートまで行けないケースが多かったので、雨でしたけどもうちょっとカウンターの質や精度を上げていくことと、簡単にはたいて相手を外しながらやれればなと思いました」と口にするなど、勝利こそ収めたものの攻撃面の迫力には課題の残った高輪台。ただ、その厳しい目線も「去年関一や久我山がああいう形で証明してくれたので、何とかウチなんか全然実績はないですけど、あれに続きたいですよね。とにかく『日本一を獲る』とかじゃなくて、『日本一にチャレンジしよう』と。胸を張って『チャレンジしてますよ』と言える取り組みやサッカーをしようと言っています」と川島監督が言及したようなはっきりとした目標があるから。「今年は良いサッカーを見せられると思います」と武川が言い切った高輪台の"チャレンジ"にも大いに注目していきたいと思います。         土屋

  • Line