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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年12月22日

プリンス関東参入決定戦 関東第一×矢板中央@大井第二

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DSC_0791.jpgプリンスという新たなステージを懸けたリーグ王者たちのサバイバル。東京王者の関東第一と栃木王者の矢板中央が対峙する一戦は大井ふ頭中央海浜公園スポーツの森第二球技場です。
夏のインターハイは清水桜が丘、大津、広島皆実と名だたる強豪を相次いで撃破し、全国4強まで躍進。ところが、勢いそのままに初めての頂点を目指して挑んだ選手権予選では、準々決勝で堀越に延長戦の末に屈し、今シーズンも冬の全国には手が届かなかった関東第一。ただ、「負けた時は正直立ち直るのも難しかったんですけど、後輩たちを良い舞台でやらせてあげるためにも『残る』といったのが6人だったと思う」とキャプテンの鈴木隼平(3年・Forza'02)が話したように、6人の3年生がこの12月まで引退を先延ばしに。一度は涙で終わった高校サッカーを笑顔で締め括るべく、参入決定戦に臨みます。
今シーズンはインターハイ予選こそ佐野日大の後塵を拝したものの、選手権予選ではその実力を見せ付けて堂々の3連覇を達成。さらに県リーグでもライバルを全く寄せ付けず、2年ぶりに王座を奪還してこのステージへと勝ち上がってきた矢板中央。星キョーワン(3年・下野南河内第二中)と川上優樹(3年・横浜ジュニオールSC)のCBコンビを筆頭に、チーム全体が有する強靭なフィジカルは間違いなく全国トップレベル。ダークホースとの呼び声も高い選手権を良い形で迎えるためにも、プリンス関東昇格の懸かった2試合を全力で駆け抜ける準備は万端です。地元でもある関東第一の登場もあってか、大井第二のスタンドにはかなりの数の観衆が。注目の90分間は関東第一のキックオフでスタートしました。


ファーストシュートは矢板中央。5分にボランチの坪川潤之(3年・札幌ジュニアFC)が30m近いミドルを放ち、ボールは枠の右へ外れたものの、積極的な姿勢を見せると、以降はリスタートからチャンスを連発。7分には左SBを任された真下瑞都(2年・FCアネーロ宇都宮U-15)のロングスローがゴール前を襲い、9分には坪川の左FKに真下が敢行したダイビングヘッドはクロスバーの上へ。13分にも再び真下がスローインを投げ入れ、澤野祐輝(2年・FCV可児)の左クロスに、ファーへ走った大畑亜輝(3年・AS栃木BOM DE BOLA)のシュートは枠の右へ逸れましたが、まずは栃木王者が勢いを持って立ち上がります。
続く矢板中央のセットプレー。16分、伊藤心(2年・ともぞうSC JY)の左CKをファーで星が折り返すも、DFが何とかクリア。18分、ここも伊藤が左CKを蹴り込むと、関東第一のGK山口公太郎(2年・横河武蔵野FC JY)が懸命にキャッチ。20分、右から真下が蹴ったFKがこぼれ、江口大希(3年・ともぞうSC JY)が叩いたボレーはDFをかすめて枠の右へ。直後に坪川が入れた右CKは鈴木友也(2年・VIVAIO船橋)がクリアしたものの、今度は逆サイドから伊藤が上げたCKに川上が高い打点でヘディング。ボールは枠を越えましたが、「相当矢板の圧力は強かったと思います」と関東第一の小野貴裕監督も認めたように、押し込み続ける赤黒軍団。
さて、アンカーの道願翼(3年・VIVAIO船橋)も「いつもよりプレッシャーが速く、受けて逆に展開するということを監督には要求されていたと思うんですけど、あまりサイドを変えられなかった」と振り返った通り、なかなかボールを左右に動かせない関東第一は、時折細かいパスワークの芽は出掛かるものの、相手の出足に圧倒される格好でボールロストを連発。「今日は絶対にラインを深くするなというのは言っていた」という指揮官の指示を受けて、CBの石島春輔(2年・JSC CHIBA)と鈴木友也は必死に高いラインを保ちますが、そのコンパクトさがアタックに繋がっていきません。
26分は矢板中央。伊藤のパスから澤野のミドルは山口がキャッチ。28分も矢板中央。高い位置でルーズボールを収めた澤野が、ボレー気味に狙った30mミドルはゴール右へ。坪川の右CKと真下の左ロングスローを挟み、31分にも大畑が落としたボールを、伊藤は枠の左へ逸れる積極的なミドル。変わらないゲームリズム。際立つ矢板中央のパワー。
唐突過ぎる先制劇は34分。高橋快斗(3年・P.B.J)のパスから、岡崎仁太朗(3年・杉並ソシオ)がドリブルで仕掛けて獲得した左CK。新チームのキャプテンを託された冨山大輔(2年・FC習志野)が鋭いキックを蹴り込むと、ファーへ流れたボールに反応したのは石島。ダイレクトでミートしたボールはゴールネットへ突き刺さります。「なかなか自分たちのペースには持って行けなかった」(高橋)中で、ファーストチャンス、ファーストシュートを見事結果に。関東第一が1点のリードを手にしました。
圧倒的攻勢の中でビハインドを追い掛ける展開となった矢板中央でしたが、あっという間の同点弾は失点からわずかに1分後の35分。上手くボールを回した流れから、澤野のパスをエリア右で受けた江口はシュートまで。DFに当たったこぼれをすかさずかっさらった澤野が右足を振り抜くと、ボールはGKのニアサイドを破ってゴールネットへ飛び込みます。さすがの反発力は強者の証。スコアは一瞬で振り出しに引き戻され、前半は1-1というスコアでハーフタイムへ入りました。


後半はスタートから矢板中央ベンチに動きが。大畑に替えて、超高校級のフィジカルを誇る森本ヒマン(3年・下野南河内第二中)を最前線に投入し、一気に勝負に出ると采配奏功はキックオフから1分経たず。左から真下が投げたロングスローが混戦を生み出し、いち早く落下点に入った森本がヘディングで押し込んだシュートに、山口も飛び付きましたが掻き出し切れず、ボールはゴールラインを割ってしまいます。投入されたばかりの10番がいきなりの大仕事。後半開始早々の衝撃。矢板中央が逆転に成功しました。
元々リズムは悪くなかった矢板中央は、リードという後ろ盾を得て以降も繰り出す手数。50分に左から伊藤がショートで蹴り出したCKは冨山がインターセプトしたものの、53分にもCKの2次攻撃から澤野の左クロスに、星が迫力満点のヘディングをクロスバーの上へ。54分にも右からSBの鈴木康孝(2年)が上げたクロスはゴールへ向かい、クロスバーにそのままヒット。さらに直後の54分にも左サイドを運んだ伊藤がマイナスに折り返すと、澤野のシュートは当たらずにゴール右へ外れましたが、相変わらず坪川と齋藤亮輔(3年・AS栃木BOM DE BOLA)のドイスボランチもセカンドを回収し続け、3点目への意欲を隠しません。
そう簡単に負ける訳にはいかない関東第一も、59分にこの日2本目のCKを獲得すると、左から冨山が蹴り込んだキックはファーでフリーの鈴木隼平へ。右足から放たれたシュートは、しかし懸命に寄せたDFのブロックに遭い、思わず天を仰ぐ鈴木隼平。直後もCKの流れから、道願がエリア内での接触で倒れ、ノーホイッスルでPKとはならなかったものの、わずかながら見え始めたゴールへの道筋。
65分に関東第一へ訪れた千載一遇の同点機。最後方から山口がロングキックを蹴り込むと、軌道を見極めた鈴木隼平はワンタッチでシンプルに裏へ。スピードスターの岡崎がまったくのフリーで抜け出し、そのままシュートまで持ち込みましたが、ここは最高のタイミングで飛び出した矢板中央のGK渡辺優三(2年・川崎フロンターレU-15)がファインセーブで仁王立ち。インターハイ全国得点王コンビの連携も同点には至らず。スコアボードの数字に変化なし。
2枚目のカードを切ったのは矢板中央。70分に江口と吉澤海(3年・大宮西カリオカFC)をスイッチすると、71分には伊藤の左CKに森本が飛び付くも、わずかに届かずゴールキックへ。73分には真下の左FKに川上がヘディングで競り勝つも、最後は森本のハンドという判定。77分には綺麗な崩し。星の打ち込んだクサビを森本が正確に落とし、伊藤とのワンツーから澤野が打ち切ったシュートは枠の右へ外れるも好トライ。79分、伊藤の左CKに川上が合わせたヘディングは枠の上へ。シュート数には大きな差が付いているものの、点差は1点のままで試合はラスト10分間とアディショナルタイムへ。
80分に小野監督が下した決断は何と3枚替え。左SBの佐藤大斗(2年・FC杉野)、道願、鈴木隼平をベンチに下げ、立石爽馬(2年・フレンドリー)、篠原友哉(1年・府ロクJY)、新藤貴輝(2年・フレンドリー)を投入。最終ラインは石島と鈴木友也の間に立石を置く3バックにシフトし、右のワイドに新藤、左のワイドに右SBだった菅屋拓未(2年・POMBA立川FC)を移し、ドイスボランチには冨山と篠原が。前線は岡崎を頂点に高橋と林健太(2年・FC.VIDA)がシャドーに並ぶ3-4-3で、最後の勝負に打って出ます。
84分は関東第一。新藤が仕掛けて獲得したCKを右から冨山が蹴り込むも、DFがきっちりクリア。89分も関東第一。高橋が果敢なドリブルで奪った左CKをここも冨山が蹴り入れるも、中央とは合わずにゴールキックへ。ただ、冨山が一列下がったことで「相手が取れると思って取りに来るけど取れない」(小野監督)効果が生まれ、攻撃の回数は明らかに増加。90分も関東第一。ここも高橋が奪った左FKを冨山が蹴ると、こぼれを菅屋が残したボールは渡辺がキャッチ。掲示されたアディショナルタイムは3分。両者が最後の力を振り絞る180秒間のラストバトル。
90+2分に相手のハンドでFKを獲得したのは関東第一。ピッチ中央やや右寄り。ゴールまで約25mという悪くない位置。決めれば同点という最重要局面で、キッカーを務めるのは言うまでもなく10番を背負うキャプテンの冨山。スタジアム中の視線が集まる中、短い助走から右足で狙ったキックは、しかし赤黒の分厚い壁に跳ね返されて万事休す。最後は伊藤と人見拓哉(3年・AS栃木BOM DE BOLA)の交替で確実に時計の針を進める慎重さも見えた矢板中央が、3日後の決戦へと駒を進める結果となりました。


関東第一の2015年シーズンは、プリンス参入決定戦の敗退で幕を閉じました。「本音を言えば今年の戦力レベルで考えれば良くやれたと思います」と小野監督。実際に過去の関東第一を考えても、単純な技術や個々のタレントという意味で今年を上回る代はいくつもあったと思います。それでも、今年の代は「チーム立ち上げ当初は練習試合でもなかなか勝てなくて、やっぱり何かしら自分がまとめたり自分が試合中に示すことで、きっかけさえあればチームは1つになるかなと思って、そういう意識をしてやってきたつもり」という鈴木隼平を筆頭に、誤解を恐れずに言えば、ある意味で関東第一らしくない"マジメさ"がチーム全体から感じられるチームだったなと。そんなチームが過去最高の成績を収めたというのはサッカーの難しさをよく表していると思いますし、逆に彼らが過去最高の成績となる全国4強まで辿り着いたというのは凄く納得できる部分もあるなあと感じています。「夏が良過ぎたというのはありますね」(高橋)「自信になりましたけど、全体的にインハイのことを引きずっちゃいましたね」(岡崎)と2人が苦笑交じりに発した言葉は間違いなくみんなの本音だと思いますが、12月までサッカーを続けることを選択しながら、結果的にケガの影響もあってこの日の出場機会を得られなかった佐々木功輝(3年・アルドール狭山FC)が話してくれた「自分の印象としては、1,2年生の時はそれほど仲が良かった訳ではないと思いますけど、3年生になって隼平というキャプテンが決まって、隼平を中心にみんながまとまって、そのまとまりが試合の結果として付いてきて、みんなの仲が良くなってきたのかなと思います」という言葉もその通りだろうなと。最終的な結果は彼らの望んだものではなかったかもしれませんが、あの夏の日々をピッチの内外で共有した3年生の彼らが、あの夏の日々をこれからも思い出す時間を共有し続けられるのであれば、きっとそれ以上の幸福はないでしょう。色々なことを勉強させてくれた彼らに最大限の感謝を。        土屋

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