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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年12月21日

インカレ決勝 阪南大×関西学院大@駒場

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どちらが勝っても初戴冠の関西頂上決戦。阪南大と関西学院大が聖杯を懸けて激突する一戦は浦和駒場スタジアムです。
夏の総理大臣杯ではファイナリストになること4度。その内、2回で優勝と結果を残してきている中で、不思議とインカレではファイナルまで届かなかった阪南大。迎えた今大会は初戦で鹿屋体育大を2-1で振り切ると、準々決勝は大阪体育大に延長で競り勝ち、鬼門の準決勝も国士舘大を3-1で下して、悲願に王手を。須佐徹太郎監督が「関学さんとは2008年に関西のリーグが通年制になってから5年間負けなかったんですけど、それを10倍返しぐらいにされてここ3年間は勝ちなし」と説明した通り、相性の悪い相手とのファイナルにも「関学には負け続けてきたんですけど、この決勝の舞台で関学とやって勝てれば最高の終わり方になるなというのはずっと言っていた」とキャプテンの松下佳貴(4年・松山工業)。冬の日本一を奪い取るための舞台は完璧に整いました。
「決勝で負けるというのがこんなに悔しいことなんだというのを学んだ」と成山一郎監督が話したように、昨年度のインカレは決勝で流通経済大に0-1で惜敗し、準優勝という結果を突き付けられた関西学院大。今季は関西学生選手権、総理大臣杯、関西学生リーグと既に三冠を達成しているものの、「冬のインカレを絶対優勝したいという気持ちでやってきました」とキャプテンの井筒陸也(4年・初芝橋本)も認める通り、目指すは昨年のリベンジのみ。初戦で札幌大を3-2と破った今大会は、準々決勝で流通経済大を延長の末に2-1で下して、1つ目のリベンジを達成すると、準決勝ではJリーグ内定者5人を擁する明治大を4-2と一蹴して約束の舞台へ。絶対的エースの呉屋大翔(4年・流通経済大柏)を出場停止で欠く中でも、2つ目のリベンジを目指す気概は微塵も揺らぎません。注目のファイナルを観ようと、スタンドへ詰めかけた観衆は5853人。最後の1試合は関学のキックオフでスタートしました。


「入りは良かった」と須佐監督も語ったように、まず手数を繰り出したのは阪南。4分に康翔貴(3年・大阪朝鮮)のクロスへ、得点ランクトップの前田央樹(3年・アビスパ福岡U-18)が合わせたボレーは枠の右へ外れるも、5分にゴールまで約30mの距離から甲斐健太郎(3年・立正大淞南)が直接枠へ飛ばしたFKは関学のGK上田智輝(2年・京都サンガU-18)がファインセーブで回避。6分にも松下の左CKを甲斐が折り返し、最後は上田がキャッチしましたが、阪南がタイトルへの気合いを前面に押し出します。
一方、「呉屋がいない分カウンターで攻めないと点が取れないと思った」と成山監督も口にした関学も10分に決定機。右サイドに開いた福冨孝也(4年・宝塚北)の折り返しを、上がってきた右SBの高尾瑠(1年・名古屋グランパスU18)が放ったシュートは、阪南のGK大西将(4年・阪南大高)がファインセーブで阻みましたが、そこから3本続けてCKを獲得するなど、徐々に押し込み始める関西王者。
すると、1度目の咆哮は14分。バイタルに侵入した小林成豪(4年・ヴィッセル神戸U-18)のパスを受けた福冨は左から中央へ。待っていた出岡が左へ流れながら体をねじってシュートを放つと、右のポストを軽く叩いたボールはゴールネットへ収まります。呉屋の不在を受け、「本当はトップ下みたいな所なんですけど、守備も一生懸命頑張れるので一番前で使った」(成山監督)9番が大仕事。まずは関学が1点のアドバンテージを手にしました。
追い掛ける阪南も17分に反撃。重廣卓也(2年・広島皆実)、松下とドイスボランチが絡んだ流れから、左SBの金来遠(2年・名古屋グランパスU18)が枠内シュートを狙いましたが、ここも上田がきっちりファインセーブで応酬し、直後に金が蹴った右CKもきっちり凌ぐと、ここからは一気に関学が攻勢へ。20分には森俊介(3年・東山)の右クロスを福冨が頭で繋ぎ、出岡のゴールはハンドの判定で取り消されたものの、27分にも細かいパスワークから福冨、小林と回し、小野晃弘(4年・藤枝明誠)が打ったシュートは大西が何とかセーブ。漂うゴールの香り。
2度目の歓喜は28分。左から小野が入れたCKはゴール前に混戦を生み、阪南ディフェンスが掻き出したクリアが味方に当たって跳ね返ると、抜け目なくゴールネットへ押し込んだのはまたも出岡。高校時代はストライカーを本職にしていた9番が、代役以上の仕事ぶりで堂々のドッピエッタ。関学がリードを2点に広げました。
こうなると「途中球際で選手が負け出すと消極的になって、パッシブなプレッシングになってしまった」と須佐監督も嘆き、「中盤3人のバランスが凄く悪くて偏ってしまった」と松下も認めた阪南を尻目に関学の猛ラッシュ。37分に小野が蹴り込んだ左CKはファーまで届き、まったくのフリーになっていた米原祐(3年・作陽)が合わせたヘディングはゴールネットへ到達して3点目。41分にも「裕大が持った時に結構手前のCBが食い付いていたので、『俺からスルーパスを狙う』みたいなコーチングをしたらチョンって出してくれた」という福冨が、徳永裕大(3年・ガンバ大阪ユース)からのボールを完璧なスルーパスに。エリア内でフリーになった出岡は、左足アウトサイドで冷静にゴール左スミへ流し込み、前半だけでのハットトリック達成となるチーム4点目。「先制点を取れたことで阪南の選手がバタバタしているのは完全にわかったし、中の声とかで『いつもやっていることとちゃうぞ』みたいな声も掛かっていたのでこのまま勢いで行けるかなと思っていた」という福冨の読み通り、先制以降は関学が圧倒した前半は思わぬ大差が付く格好でハーフタイムへ入りました。


「引っ繰り返すのは簡単じゃないですし、そういう中で『割り切ってやろう』というのは監督を含めて全員で言っていましたし、気持ちの切り替えというのも言っていました」と松下も振り返った阪南は、まず着実に1点ずつ返していきたい所。50分には金とのワンツーから左サイドを抜け出した外山凌(3年・前橋育英)が中へ戻し、八久保颯(4年・秀岳館)が叩いたシュートは弱く、上田ががっちりキャッチ。後半のファーストチャンスもゴールには至りません。
56分に須佐監督は三田陽介(3年・帝京長岡)を下げて、岡部拓実(2年・正智深谷)をボランチへ送り込み、重廣を1列上げて1トップ下へ、1トップ下の八久保を右SHにそれぞれスライドさせて打開を図りますが、62分に相手のミスから決定的なシーンを迎えた前田のシュートはわずかに枠の右へ。さらに62分には八久保と松尾雄斗(2年・コンサドーレ札幌U-18)を入れ替え、前線の顔ぶれに変化を加えつつ、何とか見せたい阪南の意地。
63分は関学。森が右サイドをドリブルで運んで中へ付けると、反応した松下のボールをかっさらった出岡はそのままシュート。ここは必死に戻った松下が自らブロックして事なきを得たものの、直後にも小野の浮き球に出岡が抜け出し、最後はトラップミスでシュートを打ち切れませんでしたが、さらなる追加点への意欲をチラつかせます。
阪南もセットプレーに活路を。64分、左から松下が蹴ったCKに前田が頭で合わせるも、上田が冷静にキャッチ。66分にここも松下が入れた左CKはDFが大きくクリア。67分に金が蹴り込んだ左FKもDFがクリア。68分は流れの中から。松下、重廣とボールが回り、金のクロスがDFに当たってファーへ流れると、3列目から走り込んできた岡部の決定的なシュートは、しかしゴールの右へ。前半からの立て直しには成功したものの、「押している割にはシュートまで持ち込める形が少なかった」と須佐監督。変わらないスコア。進んでいく時計の針。
72分には成山監督も1枚目のカードを。森を下げて、魚里直哉(2年・セレッソ大阪U-18)をピッチへ送り込み、サイドのスピードにさらなる変化を。80分には小野の右CKから、左サイドで残した出岡の折り返しはゴールネットを揺らしましたが、出岡の所でラインを割っていたという判定でノーゴール。5点目とは行かなかったものの、「前日の晩に4回生を集めて、『呉屋がいない分、4回生がピッチ内とベンチとかスタッフも含めて、今年のチームをしっかり最後勝たせよう』と約束して今日の試合に臨んだ」という井筒を筆頭に、小野、福冨、小林とピッチの4回生が、スタンドやベンチの4回生にもたらす安心感は終盤に差し掛かっても健在。迫り来る栄光の瞬間。
81分に最後のカードとして江坂巧(3年・神戸弘陵)をピッチへ送り出した須佐監督。86分には重廣が獲得したピッチ中央、ゴールまで約25mの位置からのFK。キャプテンの松下は下を狙うも、反応したカベがきっちりブロック。87分にも金、重廣と懸命にボールを繋ぎ、松下が上げた左アーリークロスは誰にも合わずゴールキックに。「後半立ち直ってくれたんですけど4-0の差は厳しかったですね」と指揮官。どうしても奪い返せない1点の壁。
始まったカウントダウン。89分に福冨と岡山宗星(3年・セレッソ大阪U-18)、90+1分に殊勲の出岡と小野有矢(3年・洛北)と、相次いで来年の主力を担うべき3回生をファイナルのピッチへ解き放った成山監督。そして、3分と掲示された所定のアディショナルタイムを少し過ぎたタイミングで、駒場の空に吸い込まれたファイナルホイッスル。「何か決勝に来てしまったなという感覚が凄くあって、優勝するイメージも明確に描けていなかったので、そこが去年の反省。今年は優勝することを考えて、『必ず優勝する』という気持ちで夏も冬も戦えたので、それが今年のチームに繋がったと思います」と井筒も話した通り、優勝のみを追求するメンタルを共有した関学が1年越しのリベンジを完遂。悲願とも言うべき冬の日本一に輝き、圧巻の四冠を達成する結果となりました。       土屋

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