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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2015年08月17日

J2第29節 千葉×長崎@フクアリ

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0815fukuari.jpg11勝9分け8敗、得失点差プラス9。28試合を重ねたこの段階に来て、まったく同じ数字で並ぶ7位と8位のサバイバルマッチはおなじみフクアリです。
開幕から一貫して自動昇格圏内への浮上も含め、昇格プレーオフ圏内をキープしてきたものの、ここに来て5戦未勝利を経験するなど、7位という難しい立ち位置を強いられている千葉。前節も昇格を争うライバルのC大阪相手にリードを奪いながら、終了間際に追い付かれる悔しいドローに。徳島戦に続くホーム連勝を達成して、ここから再び上昇気流に乗りたい所です。
序盤戦から好調を維持しながら、16節から7試合未勝利という苦しい時期を迎えてしまい、一時は昇格争いからも脱落しかけましたが、ここ3試合で勝ち点7を積み重ね、再びプレーオフ圏内が手の届く所まで近付いてきた長崎。「しっかり守備から入って、良い入りができれば上位のチームにもうまくゲームを運ぶことができるので、チャレンジャーだという感じでやっていければもっと良い位置に行けると思います」と話すのはキャプテンマークを巻いた高杉亮太。相性の良い千葉を叩いて、一気に浮上したい一戦です。「上位に行くためには今日の戦いは何としても勝ち点3を取って、相手を突き放したい」(千葉・関塚隆監督)という想いは双方の偽らざる想い。注目の一戦は長崎のキックオフでスタートしました。


5分のファーストチャンスは長崎。黒木聖仁のパスを受けた木村裕は、左足ミドルをきっちり枠内へ収めると、ここは千葉のGK高木駿が何とかファインセーブで回避。直後に梶川諒太が蹴った左CKを、フリーで合わせた黒木のヘディングは枠の左へ外れましたが、まずはアウェイチームが勢いを持って立ち上がります。
千葉も7分には中村太亮のピンポイントクロスに、オナイウ阿道が頭で合わせましたが、ここは古巣対決となる長崎のGK大久保択生がしっかりキャッチ。逆に9分には梶川の右CKに、またしてもフリーでチョ・ミヌが折り返すと、古部健太のヘディングはヒットしなかったものの、セットプレーも含めて攻撃のリズムは長崎に。
「前節の入りが凄く悪くて、足元足元ばかりになってしまって相手に勢い付かれたというのがあったので、まずは相手を裏返して、こっちが前からプレッシャーを掛けたいという意図があった」と高杉が話した長崎は、最前線の木村裕、シャドーの梶川、東浩史と高さのあまりない陣容ながら、長いボールをハイサイドに蹴りつつ、拾われたボールにプレスを掛ける意識を徹底。「僕らとしては長いボールをうまく使って、プレスを掛けるという風にイメージとしては持って常にやっている」と高木監督も言及したように、その狙いがうまくハマった格好に。17分にはゴールまで約25mの位置から木村がFKをバーの上に外しますが、長崎が手数もより多く繰り出します。
「相手が予想よりも前の機動力を使ったメンバーで来て、我々がセカンドボールを拾われて、少し危ない場面が続いていた」と関塚監督も振り返った千葉は18分にチャンス創出。相手のクリアに反応した右SBの金井貢史が、そのままダイレクトでクロスを放り込み、飛び込んだ松田力のヘディングは大久保にキャッチされたものの、「クロスとかもメチャメチャ良い精度のボールが上がってくる」と口にした新加入のストライカーが、ワンプレーで漂わせたゴールへの可能性。
19分と28分に梶川が続けてミドルを放ったものの、少しペースを押し戻され始めていた長崎に絶好の先制機が訪れたのは31分。高い位置で井上がボールを奪うと、目の前には広大なスペースとGKとゴールのみ。右に流れながら運んだ井上のシュートは、しかし枠の左へ外れてしまい、思わず頭を抱えるアウェイゴール裏のサポーター。
ピンチの後にチャンスあり。千葉に訪れた絶好の先制機は直後の32分。井出遥也のパスを受けて抜け出した松田は、一旦マーカーに追い付かれながらも、「アイツの特徴もわかっていたし、たぶん俺の特徴もわかっていたので、縦に行くふりして中に切り返した」と名古屋時代のチームメイトでもある刀根亮輔をかわすと右足一閃。ボールは右のポストを叩きながら、ゴールネットへ飛び込みます。「もう絶対に負けられない戦いだったので、J1昇格のために僕も来ていて、そこで甘いことは言っていられない」と決意を秘めた新加入の松田がいきなり結果を。千葉が1点のリードを奪いました。
形勢逆転。35分は千葉。松田とのワンツーから佐藤勇人が放ったミドルはわずかに枠の右へ。42分も千葉。ピッチ中央、ゴールまで30m強の位置からネイツ・ペチュニクが直接狙ったFKがゴール左スミを捉え、「千葉ということで僕は気持ちも入っていましたし、やられたくないという気持ちが凄く強かった」という大久保もファインセーブで応酬しましたが、その大久保も「失点した後の流れが少し千葉に向いてしまった」と言及。45分も千葉。中村の右FKがこぼれると、1分前に負傷のキム・ヒョヌンに替わって投入されたCBの栗山直樹が頭で押し込むも、再び大久保がファインセーブ。「先制からだいぶ落ち着いて、サイドを崩すという狙いは出てきた」と関塚監督が話したように、終盤はサイドアタックも機能し始めた千葉がゲームリズムを奪い返し、1点のアドバンテージを持ってハーフタイムに入りました。


後半はスタートから動いた高木監督。「前半は我々の方も非常に背後だったり、ボールが足元に入った瞬間の所での変化は付けることができたんですが、ディフェンスラインの背後への、本当の意味でのスピード感というのはやや欠けていた」という判断から、梶川に替えてイ・ヨンジェを最前線に送り込み、木村がシャドーに1列落ちて反撃態勢を整えます。
それでもペースは千葉。53分、オナイウのパスから井出が繰り出したループミドルはクロスバーの上へ。54分、カウンターから中央を井出が運んで右へラストパス。ペチュニクが少し中に入って打ったシュートは、高杉が体で懸命にブロック。55分、中村の左クロスに走り込んだ井出のヘディングは大久保がキャッチしましたが、ホームチームが追加点への意欲を前面に。
58分も千葉。左から中村がFKを蹴り込み、大久保がパンチングで弾き出したボールを佐藤健太郎が拾い、そのまま狙ったミドルは枠の左へ。59分も千葉。うまくギャップに潜ってボールを引き出した松田は、思い切ってミドルレンジから強烈なシュート。ここも大久保が懸命の反応で何とか掻き出しましたが、2点目を切望するスタンドの黄色が一段階上げたボルテージ。
同点弾は唐突に。62分、東が井上とのワンツーから頭で中へ送り、イ・ヨンジェが粘り強く体を張って繋ぐと、ボールはエリア内に潜った木村の足元へ。「イメージとしてはファーのサイドネットに強いボールを打とうとしたんですけど、相手が後ろからも来ていて振りかぶる時間もなかったので、インサイドでニアに蹴ったらたぶんGKも反応できないだろうなと思って」コースを狙うシュートをニアサイドへ。タイミングを外されたGKは見送るしかなし。ボールはゆっくりとゴールネットへ転がり込みます。「去年のレイソルで出た天皇杯でもGKの高木さんとはやっているんですけど、あの時に僕は結構良いチャンスの時にファーにゴロでシュートを打って止められたというのがあって、今年のキャンプでもそれをやって止められたので、今日はちょっとニアに打った方が良いかなという風に思って、そのイメージでアップのシュート練習もやっていたので、そういうのもうまくゴールに繋がったのかなと思います」と伏線を明かした木村の貴重な同点弾。長崎はスコアを振り出しに引き戻しました。
65分に「自分の凄く好きな位置だったので得意な形だったんですけど、ちょっと打つのが久しぶり過ぎましたね」と笑った木村が良い位置での直接FKをカベに当てると、67分に高木監督は2枚目のカードを。東を下げて高橋祐太郎を最前線に投入し、木村とイ・ヨンジェをシャドーに並べて、高さという明らかなストロングを打ち出しつつ、一気に逆転を狙います。
追い付かれてからはなかなか攻撃のギアが上がらなかった千葉。関塚監督は68分に井出と谷澤達也をスイッチさせると、74分にはオナイウを下げて大岩一貴をピッチヘ送り込み、システム変更に着手。「我々の4枚に対して、非常に高さと裏へのスピードという所は出てきて、最終ラインが少し疲労も見られていたし、どうしても失点の所もそうですけど、サイドバックの絞りという所が1つのテーマだったので、そこを改善するために大岩を入れてしっかりと対応して、そこからの攻撃という風に持って行きました」と最終ラインを大岩、富澤清太郎、栗山の3バックに移行。前に松田とペチュニクを2トップ気味に配し、その下に谷澤を置いた3-4-1-2気味の形で勝負に出ます。
一進一退。77分は千葉。右サイドで繋いだ流れから金井がクロスを放り込み、ペチュニクが叩いたボレーはDFがコースに入ってブロック。黒木と前田悠佑を入れ替えた長崎はその1分後の80分、入ったばかりの前田が縦に打ち込み、反転した木村のミドルはクロスバーの上へ。83分は千葉。ここもバイタルでボールを収めた松田が、強引に持ち込んだシュートは枠の左へ。白熱の好ゲームは残り5分とアディショナルタイムへ。
85分は長崎のビッグチャンス。前田のパスをイ・ヨンジェが収めて中央へ付けると、受けた木村は1つタメてから左へスルーパス。長い距離を走ってきた古部はフリーでシュートを放ちましたが、少し左足の内側に当たってしまったシュートはゴール右へ。思わず天を仰ぐ古部。逆転まで持って行くことはできません。
88分は千葉にチャンス。中村がセンターライン付近から蹴り込んだFKを大岩がバックヘッドで合わせると、枠へ飛んできたボールを大久保はファンブル。すぐさま大久保がキャッチし直しましたが、あわやというシーンにどよめくスタンド。アディショナルタイムの掲示は4分。90+4分は長崎。大久保のキックに高橋が競り勝ち、イ・ヨンジェが残したボールを井上が狙うも、シュートは枠の右へ。10284人がスタンドを埋めた激闘もいよいよクライマックスへ。
千葉に到来した最後の決定機は90+4分。中村のシンプルなフィードに反応した松田は、「絶対に負けられなかったので、自分が何とか点を取ってやろうという気持ちで」少し無理な体勢からGKの頭上を浮かせるシュートを敢行。ゴール方向へ飛んだボールを、「僕は追い付くと思っていたんですけど高杉選手も来ていて、高杉選手が僕に声を掛けて引いてくれたので、2人でガチャってなったら入っちゃっていたかなと思うんですけど、うまく止められて良かったです」と振り返った大久保がゴールラインギリギリではたき出し、間一髪の所で失点を免れると、程なくして吹き鳴らされたファイナルホイッスル。同時にピッチへ倒れ込む両チームの選手たち。1-1。決着付かず。真夏の消耗戦は勝ち点1ずつが両者に振り分けられる結果となりました。     土屋

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