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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年08月22日

第20回東京都サッカートーナメント準決勝 町田×東洋大@西が丘

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0820nishigaoka.jpg3年ぶりの本大会出場を目指すJ3の強豪と、関東2部からの下剋上を狙う大学の対峙。FC町田ゼルビアと東洋大のセミファイナルはおなじみ味の素フィールド西が丘です。
第二次相馬直樹監督体制も2シーズン目を迎え、4年ぶりのJ2復帰へ向けて覚悟の1年を戦っているFC町田ゼルビア。リーグ戦では絶好調のレノファ山口FCに10ポイント差を付けられての2位と、自動昇格には黄色信号が灯っている状況ですが、LB-BRB TOKYOに2-0で勝利して勝ち上がってきた社会人系の部代表として、この大会できっちり天皇杯出場を勝ち獲り、その勢いをリーグ戦へと繋げたいのは間違いありません。
昨シーズンのリーグ戦では3位と昇格に一歩及ばず、今シーズンも関東2部を主戦場に戦うこととなった東洋大。総理大臣杯予選では東京学芸大や国士舘大などの強豪を相次いで撃破して関東を突破すると、今月行われた本大会でも大阪体育大を下してベスト8へ進出するなど、今季はスタートから好調をキープ。さらにこのトーナメントでも慶應義塾大、国士舘大と1部勢に連勝を果たし、学生系の部代表としてこのステージまで。「総理大臣杯で全国大会に出て初戦を勝てたというのは1つ大きな収穫でもあるんですけど、チームとしてはもっと上に行けたという悔いは残っていたので、この天皇杯でもう1回全国に行こうと話していた」と明かしたのは仙頭啓矢(3年・京都橘)。真剣に今年"2度目"の全国切符を手にするべく、この90分間に挑みます。平日ナイターのスタンドへ馳せ参じたサッカー好きは1071人。町田のキックオフでセミファイナルはスタートしました。


ファーストシュートは町田。3分、遠藤敬佑(26・ザスパクサツ群馬)の右CKに、CBの増田繁人(23・大分トリニータ)がヘディングするも、ボールはヒットせずに枠の右へ。東洋大も7分に仙頭と田中舟汰郎(3年・横浜FC JY)の連携でCKを奪うと、仙頭が左から蹴り込んだボールはDFにクリアされますが、まずは双方がセットプレーでお互いのゴール前を探り合います。
そんな中で先に決定機を迎えたのは東洋。10分にCBの郡司昌弥(4年・柏レイソルU-18)が好フィードを送ると、田中が繋いだボールをルーキーの坂元達裕(1年・前橋育英)は中へ。フリーで走り込んだ仙頭のシュートはクロスバーを越えましたが、13分にも仙頭が蹴った左CKの流れから、徳市寛人(3年・東福岡)が右クロスを放り込み、ここもボールを呼び込んだ仙頭のシュートはわずかに枠の左へ外れたものの、先制の雰囲気は学生代表の東洋に。
一方、「どちらかと言うとイメージ通り」と相馬監督は東洋を評した中、個での突破こそ見られるものの、なかなかコンビネーションは出て来ない町田。24分に宮崎泰右(23・ザスパクサツ群馬)が入れた左CKも、ラインを割ってしまってゴールキックに。そんなゲーム展開もあってか、27分には増田が、31分には遠藤が相次いでイエローカードをもらってしまうなど、イライラの募る時間帯が続きます。
対する東洋で目立っていたのは最前線に位置するキャプテンの遊馬将也(4年・武南)。「彼の所に圧力が掛かると思うんですけど、相手を押さえてワンタッチで落とすぐらいの時間は創れる選手」と古川毅監督が評したように、ペ・デウォン(27・東京ヴェルディ)に増田と180センチを優に超えるCB2人を相手に、身体を張ってボールを収めるシーンも多々。本人も「声援とか聞こえてはいけないと思うんですけど」と前置きしながら、「前半に相手のペ・デウォン選手を押さえた時に歓声が聞こえて、それを自信にできた所はありました」とのこと。遊馬がきっちり相手のCBに対抗できたことで、東洋に生まれたタメと勢い。
それでも、さすがに30分以降は町田が攻勢に。36分、遠藤の左CKに宙を舞った増田のヘディングは枠の左へ。38分、垣根拓也(23・立命館大)が左のハイサイドにボールを落とすと、重松健太郎(24・栃木SC)が左足のボレーで叩いたシュートはクロスバーの上へ。40分にはFKのチャンス。ゴール右、約30mの距離から宮崎が直接狙ったキックは、しかし枠の右へ。終盤は町田がやや盛り返したものの、お互いに決定機まではなかなか創れなかった前半は、スコアレスでハーフタイムに入りました。


後半は立ち上がりから町田に攻撃のリズムが。46分に重松が左サイドを運んでグラウンダーのクロスを送り込み、久木野聡(28・栃木SC)が枠に飛ばしたシュートは、カバーに戻った東洋のCB瀧澤修平(4年・東洋大牛久)が体でスーパーブロック。その左CKは宮崎が蹴り込み、こぼれを狙った星野悟(26・サスパクサツ群馬)のミドルはDFがきっちりブロックしたものの、町田が滲ませる勝利への意欲。
50分も町田。星野が右から鋭いクロスを上げると、ニアへ飛び込んだ遠藤のヘデイングは枠の右へ。51分も町田。重松のパスから左SBの松本怜大(24・コンサドーレ札幌)が打ったミドルはクロスバーの上へ。52分には東洋も仙頭がゴール前を横切る面白い右FKを蹴り込むも、ボールは流れてゴールキックに。逆に53分は再び町田。重松が粘って残すと、遠藤とのワンツーから宮崎が放ったシュートは枠の上へ。スコアを動かせません。
55分は東洋。「ぶつかる瞬間に自分がうまく合わせれば相手に負けないなという風に今日戦って思っていた」という遊馬がここも粘って残し、左から中へ送ったボールに仙頭のトラップは大きくなって町田のGK内藤圭佑(28・ザスパクサツ群馬)にキャッチされましたが、縦関係の2トップで惜しいチャンスを。58分も東洋。坂元が右サイドでスルーパスを通し、上がったSBの石坂元気(4年・サンフレッチェ広島ユース)のクロスはわずかに遊馬も触れず。60分も東洋。ルーズボールを拾った長谷川優希(4年・帝京)のミドルは仙頭に当たってコースが変わり、左スミへ飛んだ軌道は内藤が何とかセーブ。一段階踏み込まれた東洋のアクセル。
「思った以上に相手のサイドバックが高い位置を取ったので、本来は我々がそこを付かなければいけなかったんですけど、そこの所でパワーを出せなかったかなとは思っています」という相馬監督は、60分を過ぎて両サイドにテコ入れを。62分に宮崎と森村昂太(27・アビスパ福岡)、66分に遠藤と平石直人(23・東洋大)を相次いで入れ替え、サイドハーフのスイッチで再び主導権奪取を狙います。
70分は東洋。郡司がフィードを落とし、仙頭がヒールで残すと、石坂のクロスは中と合わなかったものの好トライ。71分も東洋。遊馬を起点に田中が縦へ放り込み、内藤ともつれたこぼれを仙頭が狙うも、DFが何とかブロック。73分も東洋。郡司の左フィードを長谷川はグラウンダーで右へ素晴らしいサイドチェンジ。遊馬のクロスにファーで田中が合わせたシュートはオフサイドになりましたが、「良いサポートの距離感を持っていれば、エリアやバイタルの所で前向きを創れるし、そうなればフィジカルの差は生まれないんじゃないかなと思っていたので、選手たちはそれを体現してくれたんじゃないかなと思います」と古川監督。ペースは完全に東洋へ。
75分を過ぎるとセットプレーの応酬。75分は町田。森村の左FKはシュートまで繋がらず。77分は東洋。仙頭の右CKを石坂が頭で折り返すも、徳市と田中の連続シュートはどちらもDFがブロック。79分も東洋。仙頭の左CKにニアで合わせた石坂のヘディングは枠の右へ。81分は町田。中央やや右、ゴールまで30m弱の位置から森村が直接狙ったFKはクロスバーの上へ。83分は東洋。仙頭の左CKにニアへ突っ込んだ坂元のヘディングは枠の右へ。ここでも手数で上回るのは東洋。
相馬監督も84分に久木野と中村祐也(29・湘南ベルマーレ)をスイッチすると、終盤は町田が意地のラッシュ。85分に森村が2本続けて蹴った左CKはDFのクリアに遭ったものの、86分にまたも森村が入れた左CKを増田はドンピシャヘッドで枠へ収めましたが、ここは徳市がライン上でスーパークリア。88分にも森村の右CKは一旦跳ね返されるも、垣根が右へ繋ぎ、森村のクロスに増田が当てたヘディングは東洋のGK沖野泰斗(4年・幕張総合)がしっかりキャッチ。変わらない0-0のスコア。
90分は再び東洋。遊馬が圧巻のキープで時間を創り、仙頭は左へ展開。開いた田中のクロスに飛び込んだ遊馬のヘディングがクロスバーの上へ外れると、これが90分間のラストチャンス。「チームとしても個人としても結構東洋の方が攻めていたこともあって、普通に戦えたと思います」とは仙頭。両者譲らず。試合は前後半10分ずつの延長戦へともつれ込むことになりました。


延長はスタートから東洋に勢い。93分、オーバーラップした石坂が右から折り返したボールを、遊馬はスルー。坂元との1対1は内藤が何とかキャッチしましたが、決定的なチャンスに沸き上がる東洋応援団。95分には古川監督も坂元を下げて小山大貴(4年・大宮アルディージャユース)を送り込み、「相手陣内でずっとボールを持てていたというのはわかっていた」(遊馬)という勢いのさらなる後押しを。
延長後半は完全に東洋ペース。102分は東洋。左から仙頭が入れたFKはゴール前にこぼれ、拾った田中のシュートはクロスバーの上へ。104分の決定機も東洋。カウンターから抜け出した遊馬は左へ送り、縦に運んだ仙頭は「切り返そうかと思ったけど、そのままの勢いで」シュートを放つと、ボールは枠の右へ外れたものの絶好の先制機を創出。「ちょっとだいぶ苦しいなと。マグ(増田)を上げるというのも当然考えはしましたけど、相手が引いてこっちがボールを持たないとパワープレーもできないので、それを考えた時にちょっと難しいなと感じた」と相馬監督。押し込む東洋。耐える町田。
106分は東洋の決定機。小山が裏へ送ったボールを、田中がシュートまで持ち込むも内藤がファインセーブで回避。108分も東洋のチャンス。遊馬が体を張って獲得したFK。エリアのすぐ外、ゴールまで約25mの距離から仙頭が狙ったキックは、ゴール左スミを捉えるも内藤がここもファインセーブで阻止。「ゴールまで何回もボールを運べていた中で、決め切れなかったというのは自分もフォワードとしての責任がある」とは遊馬。結局、スコアは最後まで動かず。決勝への切符はPK戦で奪い合うことになりました。


東洋1人目の遊馬は左上の素晴らしいコースに成功。町田1人目の中村は動かないGKを見てきっちり右スミへ。東洋2人目の小山北斗(4年・帝京)はGKの逆を突いて冷静に成功。町田2人目の森村は確実に左スミへ。東洋3人目の仙頭は中央右へ思い切りよく蹴り込み、町田3人目の重松は右スミへグサリ。3人が終わってまったくのイーブン。PK戦でもなかなか両者に差が付きません。
東洋4人目の郡司が中央に蹴ったボールは、内藤も触ったもののゴールネットへ。町田4人目のペ・デウォンはど真ん中へ勇気あるキックで成功。東洋5人目の瀧澤は右上の絶対GKが取れないコースに打ち込み、町田5人目の星野も左スミへ綺麗に沈め、規定の5人が終わっても決着付かず。ここからは外せば終わりのサドンデス。
東洋6人目の長谷川はGKの飛んだ方向と逆の左へ成功。町田6人目の松本はやや中央寄りの左へ成功。そして、東洋7人目の田中が短い助走から蹴ったボールは枠を捉え切れずにクロスバーの上へ。とうとう均衡にヒビが入ります。重要な町田の7人目を託されたのは松下純土(24・松本山雅FC)。スタジアム中の視線を集めながら、中央に堂々と蹴り込んだボールが揺らすゴールネット。沸騰した青のゴール裏。町田がPK戦を制して、ファイナルへと駒を進める結果となりました。


「決める所を決めなきゃいけないというのは総理大臣杯を経験して思っていた所なんですけど、もっともっとレベルが上がるとキツい戦いになるので、そういう所が大事になってくると思います」(遊馬)「チャンスはウチの方が多かったと思うんですけど、そこを決め切れなかったということが勝ち切れなかった要因だと思います。自分にも決定機が多かった中で、そういう所を決めていける選手にならないと上には行けないと思いますし、今日はそこが物凄く悔いが残りますね」(仙頭)と2人が声を揃えたように、東洋からすれば「決め切れていれば」というゲームだったと思います。「やれた手応えとトーナメントから敗退した無念さが半分半分だったと思います」と話した古川監督も、「惜しいで終わってしまうと相手も『ヤバかったな』で終わってしまうと思いますし、そこで勝つか負けるかという所は大きなところだと思います」と試合後は悔しさを滲ませていました。とはいえ、「自分たちが大学生で相手が格上という中で試合に臨んだんですけど、自分たちの中でも本当にやれるという自信は付いたと思うので、それに関しては良い収穫や良い自信になるんじゃないかなと思います」と遊馬が話したことも、おそらくはチームの共通認識。「東洋大としても『惜しいじゃダメだ』という所はみんな共有できたと思いますし、さらにもう1つ上のレベルで試合ができるように、上のカテゴリーでもできるようにという形を求めながらやっていければと思います」と古川監督。「1部でも戦えるというのはこの夏でわかりましたし、1部でやるべきチームだと思うので絶対に昇格したいと思います」という仙頭の言葉を証明するための東洋のリスタートは、この西が丘から幕を開けたのかもしれません。     土屋

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