mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2015/06

S M T W T F S
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年06月02日

関東大会Bグループ決勝 柏日体×佐野日大@西が丘

mas o menos
  • Line

0601nishigaoka.jpg3日連続で開催される関東大会もいよいよ最終日。Bグループを勝ち抜いてきた柏日体と佐野日大のファイナルは東京高校サッカーの聖地・西が丘です。
激戦の千葉県予選では幕張総合と暁星国際を1点差で退け、準決勝では習志野に競り勝って3年連続となる関東大会へ進出してきた柏日体。迎えた今大会は初戦で地元の國學院久我山を撃破すると、昨日は山梨学院に先制を許したものの、最後は延長で逆転弾を叩き込んでこのファイナルへ。今年からヘッドコーチに就任した永井俊太コーチのエッセンスを取り込みながら、高い技術力を武器にBグループ制覇を狙います。
水戸啓明、桐生第一と近年の全国を経験している曲者を相次いで倒し、昨年に引き続いて関東大会のグループファイナルへと駒を進めてきた佐野日大。「選手全員が誰がレギュラーかわからないよというのは常に言っている」という自らの言葉を証明するかのように、海老沼秀樹監督は前日からスタメン6人を入れ替えてこのファイナルへ。タイトル獲得という自信を得てインターハイ予選へ挑むためにも、大事な80分間に臨みます。西が丘には平日にもかかわらず500人近い観衆が。楽しみな一戦は佐日のキックオフでその幕が上がりました。


いきなりの決定機は柏日体。5分、右サイドでボールを受けたSBの村中海斗(3年・F.C KASUKABE)のアーリークロスに、飛び込んだ武井夏彦(3年・ヴェルディSSレスチ)のヘディングは左ポストを直撃。こぼれは佐日のCB木村皓亮(3年・クマガヤSC)がクリアしましたが、早くも脅かした佐日ゴール。7分にも左CKを折笠悠里(3年・VIVAIO船橋)が蹴り込むと、佐日のGK佐藤皐(3年・VIVAIO船橋)がパンチングで弾いたボールを、CBの常田航平(3年・三郷JY)はそのままミドル。そこに反応した武井がゴールを陥れたシュートはオフサイドになったものの、柏日体が主導権を握って立ち上がります。
柏日体は4-3-3のシステムを敷く中で、羽布津優之介(3年・勿来フォーウィンズ)と常田で組むCBの間にアンカーの折笠が落ちて、後方からきっちりビルドアップしながら左右にボールを動かし続けるスタイルを披露。そこに中盤シャドーの吉内雅人(3年・市川高谷中)と藤岡優也(3年・熊本長嶺中)が中距離のサイドチェンジを交えることで、相手をずらしながら縦へのスイッチを探る展開に。11分には佐日も佐藤が相手のビルドアップを引っ掛け、右へスルーパスを送りましたが、青木佑斗(3年・横河武蔵野FC JY)のドリブルは常田がきっちりカット。相手に攻撃の芽を創らせません。
ただ、「動かされてもゴール前にボールが来ないと点は生まれないので、サイドを取られても慌てないで中をきちっと閉めてという狙いは持っていました」と海老沼監督が明かした佐日も、20分を過ぎたあたりからは徐々に縦への推進力が。20分には左SBに入った平田悠太(3年・川崎西中原中)の突破でCKを獲得すると、26分に枠を越えた木村の35mミドルを経て、29分にもオーバーラップしてきた平田が好クロス。ファーに潜った小野智史(3年・町田JFC)のシュートは柏日体の左SB飯田蒼史(3年・クラブドラゴンズ柏)が体でブロックしたものの、平田の積極性が呼び込む好機。30分にはここも左から「スピードが武器なので永井謙佑選手のように縦に突破して行きたい」という末岡北都(3年・埼玉羽生南中)がクロスバーを越えるミドルにトライ。流れはややイーブンに近い所まで。
33分は柏日体にビッグチャンス。折笠のクサビから前を向いた吉内はそのままフィニッシュ。ここは佐藤皐がファインセーブで弾き出し、詰めた藤岡のシュートはよく戻った加藤亮太(3年・町田JFC)がきっちりブロック。38分も柏日体。村中のリターンでエリア内へ侵入した大久保賢人(3年・鹿島アントラーズノルテ)のシュートは木村が体でストップし、リバウンドに反応した大久保のシュートは佐藤皐がセーブ。40+1分は佐日にも決定機。末岡が左へはたくと、ここも上がってきた平田のクロスを小野はダイレクトで右へ。フリーで受けた加藤のシュートは柏日体のGK海老根滉大(3年・Wings U-15)が丁寧にキャッチ。終盤に双方が攻め合った前半はスコアレスでハーフタイムに入りました。


後半は立ち上がりから再び柏日体に勢い。44分、武井が左へ振り分け、吉内がフワリとしたクロスを入れると、飛び込んだ武井のヘディングは佐藤皐がファインセーブで応酬。45分、左CKを木崎湧仁(3年・SCH.FC)が蹴り入れ、佐日のCBを任された長谷川哲哉(3年・FCおおた)のクリアを大久保がダイレクトで叩いたボレーはクロスバーの上へ。47分に飯田のオーバーラップで奪った左CKを木崎が放り込み、懸命に残した藤岡はシュートまで持ち込めませんでしたが、蒼い柏が先制への意欲を続けてアタックに滲ませます。
50分に小矢島成輝(3年・ヴェルディSS小山)の展開から、佐藤拓海が送ったアーリーに青木が合わせたヘディングもオフサイドを取られ、なかなか攻撃の手数を繰り出せない佐日でしたが、「昨日の試合も同じように戦っていたので、我慢して我慢して行きました」と末岡が話せば、「最初はボランチが落ちてくるので、そこをケアするという意味で低い位置から入ってしまったんですけど、後半はそれがどんどん慣れてきた」と佐藤拓海。そして、この2人のイメージシンクロが呼び込んだ歓喜の瞬間。
55分、ピッチ中央でボールを受けた佐藤拓海は「小学校からずっとああいうプレーしかしていなかったし、ずっとトップ下をやってきました」という言葉も納得のスルーパスを左へ。受けた末岡は「あのパスは練習でもやっていたし、スピードに乗って前へ運ぶのは得意なので」そのまま縦に運ぶと、GKを外した完璧な浮き球クロス。このボールをファーに詰めていた加藤が蹴り込むと、静かに揺れたゴールネット。「ちょっと予想外というか、我々の予想を超える面白さがある」と海老沼監督も認める佐藤拓海は「アレは話していた通りで、タメを自分が創って、その間に2列目から飛び出すというのが自分たちの攻撃の1つですし、ファーに加藤が詰めるというのも約束だったので、良い攻撃だったと思います」と納得の表情。後半のファーストシュートを成果に結び付けた佐日が1点のアドバンテージを手にしました。
一瞬の隙を突かれてリードを許した柏日体は失点直後の56分に1人目の交替を決断。村中を下げて藤生凜太郎(3年・松戸クラッキス)を投入し、サイドに1つの変化を。さらに59分には中盤アンカーの折笠に替えて飯尾賢太(3年・愛媛新居浜北中)を送り込むと、システムも3-4-3気味にシフト。最終ラインにCBの2人と飯尾を組み込み、吉内と藤岡がボランチに並ぶ格好で追撃態勢を整えますが、61分のビッグチャンスは佐日。小矢島が左へ流し、粘って縦に持ち出した末岡のシュートは左ポストをハードヒット。「左足はあまり得意じゃないんですけど」と笑うアタッカーが、アシストのクロスも含めて苦手の左足でスタンドを沸かせます。
何とか追い付きたい柏日体も65分過ぎからはギアアップ。67分、藤生のパスから大久保がクロスを放り込み、武井が頭で合わせたシュートは佐藤皐がキャッチ。69分、カウンターから吉内が右へスルーパスを送り、走った大久保のシュートは佐日の左SB福田一成(2年・プログレッソ佐野)がタックルで回避。70分には決定的なシーン。大久保の右CKがゴール前にこぼれるも、フリーで右足を振り抜いた木崎のシュートはクロスバーの上へ外れ、思わずスタンドからは溜め息が。70分には双方に交替が。柏日体は2枚替え。木崎と武井に替えて、若月陸(3年・VIVAIO船橋)と宮崎亮(3年・VIVAIO船橋)をピッチへ解き放ち、藤岡を最前線に据えて狙うゴール。佐日は末岡と相良強(3年・ヴェルディSS小山)をスイッチして、ゲームは勝負のラスト10分間へ。
71分は柏日体。飯田の左クロスがこぼれ、大久保が叩いたミドルは右のサイドネット外側へグサリ。76分は佐日。佐藤拓海の左CKをファーで木村が折り返し、混戦の中から再びボールへ反応した木村のシュートは枠の右へ。77分は柏日体。大久保の左CKは佐藤皐が素晴らしいパンチングで危機回避。78分に海老沼監督は2人目の交替として「絶対にチームのために走ってやろうと思いました」とスタメン起用に応えた佐藤拓海と長﨑達也(2年・足利ユナイテッド)を入れ替え、着手するゲームクローズ。
80+1分は柏日体のラストチャンス。この日8本目のCKを左から大久保が放り込み、一旦はDFが掻き出したボールを右で拾った吉内はクロス。舞った藤岡のヘディングは良いコースに飛びましたが、わずかに枠の左へ逸れて万事休す。最後はスコアラーの加藤を上野貴章(3年・ヴェルディSS小山)と交替させる慎重さも見せた佐日に凱歌。「新人戦も関東大会も県大会では準優勝という結果なので、どんなタイトルでも獲ることで選手たちの自信にもなる」と海老沼監督も話した桜軍団がBグループの頂点へと登り詰める結果となりました。


佐野日大を2日続けて見ましたが、「前半はゼロで抑えようというのがチームの決まりとしてあって、後半相手が疲れた時に行こうと言っていたのがうまくハマって勝てたと思います」という末岡の言葉がまさに象徴するようなグループ制覇だったと思います。とりわけ「そんなにウチはボールを触れる方じゃないので、ゲームが間延びしていったらスペースを見つけて、そこをうまくやっていこうというのが狙い」と海老沼監督も話した戦い方を徹底できる強みは、今年の佐野日大の大きな武器になっていきそうな印象を受けました。前述した「選手全員が誰がレギュラーかわからないよというのは常に言っている」という話に続けて、「あの子たちがそういう緊張感で、『自分が出た時にしっかり結果を出さないと』という所も4月からずっとやってきて、そのへんは少しずつ浸透している感じがあります。今大会は18人でしたけど、今日のスタンドにいる子たちがキーになってくると思うので、その子たちを合わせてどうやってインターハイに向かうかですね」と部員全員で戦う姿勢を強調しながら、すぐそこに迫った大きなコンペティションを見据えた海老沼監督。「良い経験にはなったと思います。自分たちの持ち味が通用すると思いました」と今大会を振り返った佐藤拓海も「自分たちは県の新人戦も関東も矢板中央に負けているので、ここでの結果を繋げてインターハイで絶対に勝ちたいと思います」とリベンジを口に。全国へ向けた戦いの幕開けはもう2週間後に迫っています。      土屋

  • Line