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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年06月06日

インターハイ東京1回戦 東海大菅生×早稲田実業@駒沢第2

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0606koma2-1.jpgファイナリストのみに与えられる全国へと続く切符の争奪戦も、参加資格を有しているのはわずかに10の勇者たち。東海大菅生と早稲田実業のリターンマッチは駒沢第2です。
一次予選のファイナルでは、都立小松川相手に開始10分で2点を奪われる苦しい展開を強いられ、最後は小峰拓海(3年・東海大菅生中)の劇的な逆転ゴールで辛くもこの二次トーナメントへ駒を進めてきた東海大菅生。ただ、5年ぶりとなるこのステージにも手塚弘利監督率いるチームに必要以上の気負いはなし。「新チームになった時からキャプテンを中心にして、『一番上の学年がしっかりやっていこう』と言っていた」と話してくれたのは小峰拓海(3年・東海大菅生中)。その3年生を中心に12年ぶりの全国を虎視眈々と狙います。
支部予選からの登場となった今大会は都立拝島と創価を相次いで退け、一次予選へと勝ち上がってきた早稲田実業。その一次予選の初戦では延長までもつれ込む熱戦の末に都立日野台を下すと、昭和第一学園には1‐0で辛勝を収め、再び延長を戦った私立武蔵戦に3‐2で競り勝って、この二次トーナメントまで。実は関東大会予選でも菅生と早実は対戦しており、その時は前者が1‐0で勝利したという経緯も。「春に負けた時は正直ウチのシュートがゼロだったので、そこに対してある程度対策はしてきたつもり」とは早実の森泉武信監督。返り討ちか、リベンジか。因縁の再会を果たした両者の一戦は10時ジャストにキックオフの笛が吹かれました。


先に手数を繰り出したのは菅生。5分、大関倖弥(3年・東海大菅生中)のパスを小峰が落とし、三平涼平(3年・青梅第三中)が狙ったミドルはクロスバーを越えましたが、まずは積極的なトライでファーストシュートを記録すると、6分には三平と小峰の連携で奪った右CKを大関が蹴り入れ、ここは早実のCB長谷川絢也(3年・Forza'02)がクリアしたものの、ワイドを使ったアタックから攻勢に打って出ます。
一方の早実が最初のシュートを放ったのは13分。キャプテンマークを巻いた藤沢和也(3年・東京ヴェルディJY)が左からカットインしながら打ったシュートは、菅生のGK細川優志(3年・帝京FC)がキャッチしましたが、14分にも続けてチャンス。右から金田佑耶(2年・FC東京U-15深川)がCKを蹴り込み、山口剛輝(2年・クラブ与野)のヘディングはゴール左へ外れるも、「自分で行けと。逆に人に頼るなと言っていますね」と森泉監督も話した藤沢の仕掛けが漂わせる早実のチャンスの萌芽。
以降はお互いに手数が出てこない、やや膠着した時間に。29分には菅生も三平がクロスバーの上に消えるミドルを放つと、30分には早実にビッグチャンス。「前線の運動量が凄く増えて、最初に出ていた奥野もずっと走っていてくれた」と山口も言及した1トップの奥野立己(2年・モンテディオ山形JY村山)が果敢なプレスでボールを奪い、そのまま左へスルーパス。受けた藤沢がマーカーを振り切って枠へ収めたシュートは、細川がファインセーブで回避したものの、ショートカウンターから得点機を創出します。
31分にも金田の右CKを奥野が残し、農塚統太(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)のシュートは菅生の右SB臼井大登(3年・東海大菅生中)がクリアしましたが、「4月頃は中盤でのプレスが甘くて全部失点に繋がっていたので、そこは監督からも言われていた」と山口が話したように、山口、金田、村上大和(2年・Forza'02)で構成された2年生の中盤トリオはボールへの集散も速く、徐々に早実へ傾き始めたゲームリズム。
32分は菅生。大関の右CKから最後は氏家健太(3年・東海大菅生中)がエリア内へ切れ込むも、ここは村上がきっちり対応してゴールキックへ。38分は早実。中園健太郎(3年・川崎中野島中)の左CKがこぼれ、反応した中園が自ら叩いたミドルはクロスバーの上へ。39分も早実。CBの荒巻洸介(2年・大宮アルディージャJY)が好フィードを送り、走った奥野は一歩及ばずに細川がキャッチしましたが、中盤以降はボールアプローチの速さで上回った早実がやや攻撃の回数を増やしつつ、スコアは0‐0のままで最初の40分間は終了しました。


後半のファーストシュートは1分経たず。右サイドでキャプテンの小岩井亮(3年・東海大菅生中)が放ったシュートは荒巻がブロックし、こぼれを拾った氏家のシュートも荒巻がブロックで阻みましたが、後半へ懸ける意欲を連続シュートで前面に。44分には早実も村上が左へ振り分け、奥野の左足ミドルは細川がキャッチしたものの、父親の奥野僚右氏がピッチヘ熱い視線を注ぐ中、11番の1トップが菅生ゴールへ迫ります。
49分は早実のセットプレー。右から金田が蹴ったCKをニアで農塚がフリック。中央に飛んだボールは誰とも合いませんでしたが、1つ練習の成果をこの舞台で体現。49分は菅生に思わぬチャンス。早実のGK紫竹隼也(3年・リオFC)のクリアは中央に低く飛んでしまい、拾った氏家はゴールまで30m近い距離をものともせずに左足で枠内へ。ここは必死に戻った紫竹が決死のファインセーブで掻き出し、自分で責任を取ったものの、あわやというシーンにどよめくスタンド。
51分は早実。右サイドで粘った中園の左足ミドルは細川がしっかりキャッチ。55分は菅生。中央から思い切って狙った小岩井のミドルはDFをかすめてクロスバーの上へ。その右CKを大関が蹴るもDFが大きくクリア。59分も菅生。小岩井が右へ流し、大関のシュートは農塚が体でブロック。62分は早実。藤沢のパスから縦に持ち出した農塚のミドルは細川が丁寧にキャッチ。手数は双方が繰り出しあう中で、ゲームリズムはやや菅生に。
65分に氏家のロングスローを三平は打ち切れず、66分に大関が入れた右CKも長谷川にクリアされたシーンを経て、68分に訪れた菅生の決定機。細川が左へ飛ばしたロングキックから、大関は巧みなシャペウでDFをかわして中へ。氏家が右へ繋ぐと、小岩井が右スミギリギリへコントロールしたシュートは、しかし紫竹が横っ飛びでファインセーブ。直後の右CKも大関のボールに氏家がヘディングで競り勝つも、ボールは枠の左へ。黄黒がそのアクセルを一段階踏み込みます。
「耐えなきゃいけないなと思っていたんですけどね」と口にした森泉監督は、この一連を受けて69分に1人目の交替を決断。最前線で走り続けた奥野を下げて、木戸健太(2年・さいたま岸中)を中盤へ送り込み、金田を3トップの一角に上げて勝負に出ると、「途中から入ってうまくリズムを創ってくれる選手」と指揮官も認める木戸の躍動タイム。
70分、交替直後のファーストプレーで右CKを木戸が蹴ると、ファーで合わせた山口のヘディングは枠の右へ。菅生も71分には三平のパスから小峰が枠内シュートを打ち切るも、紫竹が確実にキャッチ。73分は藤沢がドリブルで獲得した左FKを木戸が直接狙うも、ボールはわずかに枠の右へ。直後の73分にも木戸のパスから藤沢のカットインシュートは枠の上へ。「持っているモノがある」(森泉監督)木戸のキック精度が引き寄せた早実の時間帯。
ゲームプランとして延長も視野に入ってきた菅生は75分、左サイドを大関がスルスル抜け出し、エリア内からシュートまで持ち込むも、懸命に戻った長谷川が渾身のブロック。76分は早実。荒巻がクイックFKから高精度キックを蹴り出し、藤沢が走るもシュートはマーカーがブロック。直後に木戸が入れた左CKはこぼれ、自ら突っ込んだ木戸のミドルは大きく枠の上へ。77分は早実。金田、中園と回し、村上が打ったシュートは臼井がブロック。最終盤に来て局面での反応速度は早実に分が。ただ、菅生も桑山大樹(3年・POMBA立川FC)と倉澤巧(3年・東海大菅生中)のCBコンビと、アンカー気味に構える小山歩夢(3年・昭島昭和中)が防波堤として中央を締め付け、相手のアタックを決定的なシーンには至らせません。
79分は菅生。梶原真樹(2年・東京ウエストFC)のスローインを三平が残し、氏家のミドルは紫竹がキャッチ。80分は早実に絶好の先制機。再三の鋭いキックが目立った荒巻はここも素晴らしいフィードを左へ通し、走った藤沢はダイレクトでシュート。スタンド中が息を止めて見守ったボールの行方は、しかしわずかに枠の右へ。80+2分に足の攣った金田と小山修世(2年・早稲田実業中)を入れ替えた直後、木戸が蹴った左CKもニアで臼井が確実にクリア。「4月にやった時からこういう拮抗したゲームになるというのはわかっていた」と山口も話した通り80分間では決着付かず。勝敗の行方は前後半10分ずつのエクストラタイムに引き延ばされました。


歓喜の主役は「ヘディングだけが取り柄なので」と笑った2年生ボランチ。83分に早実が左サイドで獲得したCK。69分からの登場で既に4本のセットプレーを蹴っていた木戸が5本目となるキックを蹴り込むと、ファーに走り込んだのは「1回後半の最後にコーナーキックになった時にニアにボールが来ちゃって。前の試合で他の人がファーで決めていたので、次はファーに蹴ってくれと言っていた」という山口。高い打点から振り下ろされたヘディングは、ニアサイドをぶち抜いてゴールネットへ飛び込みます。「山口はアレが特徴ですし、今までも木戸のキックから結構入っているので」という森泉監督も納得の先制弾。とうとう早実がスコアを動かしました。
延長開始早々にビハインドを負った菅生。86分に臼井が右から蹴ったFKが倉澤にクリアされるのを見て、手塚監督は89分に1人目の交替として大関に替えて、黒澤優介(3年・FCコラソン インファンチル)を投入。90分には早実も農塚の左ロングスローを藤沢が粘り、小山のシュートは枠の右へ。さらに手塚監督は90+2分に小峰と鈴木大智(1年・FC町田ゼルビアJY)も入れ替えると、90+3分には同点機。臼井が右へ繋ぎ、黒澤が枠へ収めたシュートは紫竹がファインセーブで応酬。1点差のままでいよいよゲームは泣いても笑っても最後の10分間へ。
92分には菅生に3人目の交替。小岩井と近藤伸太朗(3年・ヴェルディSS相模原)をスイッチして、氏家と黒澤が前線に並び、右に鈴木大智、左に近藤を配して狙う同点弾。94分は早実。藤沢の左カットインシュートは細川が好キャッチ。96分も早実。長谷川が前へ送ったボールを粘って収めた中園は、右へ持ち出しながらループを狙うもわずかにゴール左へ。97分は菅生。近藤の左クロスを氏家が捌き、臼井が放ったシュートはクロスバーの上へ外れ、頭を抱えるベンチと応援席。クライマックス。決着の瞬間はすぐそこまで。
100分は早実。運動量の落ちなかった藤沢が中央を独力で運び、そのまま打ったシュートは細川が果敢に体でブロックして保った1点差。100+1分も早実。中園が割り切って狙ったミドルはクロスバーの上へ。100+2分はラストプレー。氏家の左ロングスローは中央で混戦に。殺到した両チームの選手の中で1年生の鈴木大智が頭で繋ぎ、三平がやはり頭で押し込んだボールは弱く、紫竹がキャッチすると、程なくして吹かれたファイナルホイッスル。「このトーナメントに入って3回ぐらい延長をやっているんですけど、それでも勝ち切れているというのは気持ちの部分でしっかり早実らしくできているんじゃないかなと思います」と山口も言及した早実がリベンジ完遂。関東第一が待ち受ける来週のクォーターファイナルへと勝ち進む結果となりました。


どちらにも勝つ可能性のあった好ゲームでした。「随分やられましたね。想定はしていたんですけど、やっぱり個々の能力的に相当高いものがありました」と相手を称えた森泉監督の言葉も間違いなく本音だったと思います。そんな中で勝ち切った早実は「延長に慣れているというか、ずっと1回戦から延長みたいな感じで、そういう面での粘りというか集中力というのは、声も出ているので逆にこっちからは言わずに『お前たちに任せた』というような感じでやったことで、より一層強めてくれたかなと思います」と指揮官。とりわけ後半のラスト10分以降は全体の集中力と運動量で早実が上回っていたことも見逃せない勝因の1つでしょう。ベスト8進出を受けて「まずはこの大会で一番を獲ることが目標なので、あと3回勝ってしっかり優勝して全国へ行きたいと思っています。今日みたいに全員が戦えれば全然行けると思います」と山口はキッパリ。来週には今シーズン都内無敗を誇っている関東第一に挑む、要注目のクォーターファイナルが控えています。     土屋

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