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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2015年03月31日

J2第4節 千葉×岡山@フクアリ

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0329fukuari.jpgまだ開幕4試合目とはいえ、いきなり実現した2位と首位の直接対決。J1復帰のみを目指すイエロードッグとJ1昇格を明確に掲げる赤雉の対峙はフクダ電子アリーナです。
その実力を考えれば十分上位進出を狙える水戸と長崎という曲者を相次いで撃破し、4年ぶりとなる開幕連勝を飾った千葉。前節の栃木戦は「ブロックが凄く堅かった」と金井貢史が話したように、なかなか相手守備陣を崩せず、得点もPKの1点のみでドロー決着に終わったものの、それでもキャプテンのパウリーニョやネイツ・ペチュニク、金井など新戦力も早い段階で融合が進み、既にチームの大きな戦力に。上り調子の中で首位を叩いて、さらなるスタートダッシュを掛けるための90分間へ向かいます。
ホームで1万人を超えるサポーターを集めた開幕戦で岐阜を3-0と見事に倒すと、アウェイ大分では勝ち点3をもぎ取って千葉同様に開幕連勝という最高のスタートを切った岡山。迎えたホーム2戦目は難敵C大阪をCスタに招き入れ、先制された中でも終盤に追い付く執念を見せて勝ち点1をゲット。「『サポーターがちゃんと胸を張って駅まで行けるように』とミーティングで話しました」と語ったのは新指揮官の長澤徹監督。アウェイとはいえ昇格候補相手にその実力が試される一戦です。岡山サポーターが『桃太郎』のメロディに乗せてチャントを歌うと、「桃太郎さん、桃太郎さん、お腰に付けたきびだんご、いらない代わりに勝ち点3!」という趣深いチャントで千葉サポーターも応戦。降り続く雨にもかかわらず、スタンドに9177人を飲み込んだ注目の90分間は千葉のキックオフでスタートしました。


先にシュートを放ったのは岡山。2分に右サイドで粘った片山瑛一は、そのままカットインしながら左足でフィニッシュ。ボールは枠の右へ外れたものの、まずは成長著しい19番がゲームのファーストシュートを記録すると、3分には千葉も金井のフィードをペチュニクが頭で落とし、森本貴幸のミドルは岡山のGK中林洋次にキャッチされましたが、こちらも流れの中からフィニッシュまで。4分にも千葉は中村太亮が右CKを蹴り込み、こぼれを再び中村は右からクロス。ファーに突っ込んだキム・ヒョヌンのシュートは左ポストを叩いたものの、お互いにチャンスを創り合って立ち上がります。
ただ、フィフティに近い展開で始まったゲームも徐々にリズムはアウェイチームへ。「構えるというよりはボールに向かっていって、なるべく精度を落としたボールを入れてもらって、それを回収して攻めよう」(長澤監督)という狙いの中で、渡邊一仁と千明聖典のドイスボランチがセカンドをことごとく拾い上げ、そこからのアタックを徹底。10分に押谷祐樹が狙ったミドルは千葉のGK高木駿にキャッチされ、12分に片山が残したボールを千明がすかさすスルーパスを送り、押谷はわずかに届かず高木がキャッチしましたが、岡山が続ける好リズム。
一方、少し相手に攻撃される時間の長くなった千葉は、「サイドで少しボールをロストすることも、ちょっと今日は多かったかなという所もありました」と関塚隆監督が振り返ったように、サイドも含めた各エリアでイージーなパスミスが目立ち、相手にみすみすボールを渡してしまうシーンが散見。18分には攻守が目まぐるしく入れ替わった数秒を経て、中村が狙ったミドルはクロスバーの上へ。逆に20分は岡山も加地亮がシンプルにディフェンスラインの裏へフィードを付けると、走り込んだ片山がバックヘッド気味に枠へ収めたシュートは高木がキャッチしましたが、岡山に傾いた流れは変わりません。
23分も岡山。押谷、田所諒と繋いで、渡邊が放ったミドルはクロスバーの上へ。28分はセットプレーから千葉にビッグチャンス。中村が右から入れたCKに森本が頭から飛び込むも、ボールはわずかに枠の左へ。31分は岡山。スムーズなパスワークから押谷との連携で片山がエリア付近へ迫るも、シュートまでは持ち込めず。「ウチは良くも悪くも拮抗した試合になるようになっていますので」とは岩政大樹。落ち着いてゲームを進めるアウェイチーム。
40分には千葉に綺麗な流れが。パウリーニョ、ペチュニクとボールが回り、谷澤達也が右へサイドを変えると、「出せるタイミングでうまく走り込もうと思っていたんですけど、前半はなかなか走り込めなかった」と振り返る金井のダイレクトクロスはヒットせずに中林へ。45分には岡山が流れるような連携を。伊藤を起点に竹田忠嗣、伊藤、千明、押谷、伊藤、片山とボールが美しく動き続け、伊藤が右に持ち出しながら枠へ収めたシュートは高木がキャッチしたものの、狙いとする形を完璧に体現したワンシーンが。「前半はゲームをうまく進めたと思います」と長澤監督。やや岡山の攻勢で推移した前半はスコアレスのままでハーフタイムへ入りました。


後半に入って真っ先にゴールへの意欲を見せたのは千葉の7番。48分、左サイドから井出遥也がクロスを上げると、3列目から全力で飛び出してきた佐藤勇人はダイレクトボレー。ゴール方向へ飛んだボールはわずかに枠の右へ外れましたが、バンディエラのあわやという一撃で沸き上がったスタンド。49分にも左で谷澤のパスを受けた中村は、カットインしながら右足で強烈なシュートを枠内へ。何とか弾いた中林が懸命にリバウンドも収めたものの、ホームチームが先制への強い意欲を立ち上がりのチャンスに滲ませます。
52分には岡山にも決定機。田所のパスから千明が浮き球を中央へ。片山がDFと競ったこぼれに伊藤がいち早く反応し、左足でシュート。ボールはわずかに枠の右へ外れましたが、「スタジアムの雰囲気で決定的な感じにはならないんですけど、割と論理的にゴールまで運んでいった」と長澤監督。易々とリズムを明け渡すつもりはありません。
すると、56分に動いたのは関塚監督。「井出も少し森本との距離が開いてきて、ボールの失い方が悪く押し込まれ始めたかなという所もあった」と見ていた指揮官は井出と田中佑昌をスイッチ。「田中佑昌を右に入れながらネイツの高さやキープという所を生かしたい」と田中を右SHへ送り込み、ペチュニクを1トップ下の位置にスライドさせます。
57分は千葉のセットプレー。右からパウリーニョが蹴ったFKは加地が何とかクリア。62分も千葉のセットプレー。ここもパウリーニョがFKを蹴ると、ゴール左寄りでDFのクリアを拾った金井は狙いすましてシュート。ボールはわずかにゴール右へ外れたものの、惜しいシーンを。65分は流れの中から岡山にチャンス。上がってきた久木田が右へ流し、加地のクロスは高木がパンチングで弾き出すも、拾った田所は左サイドを縦に持ち出し中へ。押谷のヘディングはクロスバーを越えましたが、岡山も機を見て3バックの攻撃参加から悪くないアタックを。
それでも、ペースはやはり千葉サイドに。67分、またもパウリーニョが右サイドの深い位置からFKを蹴り入れ、ニアで金井がすらしたボールにキム・ヒョヌンが飛び込むもわずかに届かず。73分に「ペチュニクをセンターに入れてきて、そこにパワーポイントを創って、ボールを綺麗にバイタルに入れるというよりは、そこのリバウンドとかでボールを取る戦法を採ってきたと。ただ、それがやられる直接的な原因にはなっていなかった」と相手の配置転換を分析していた長澤監督も、1枚目の交替カードとして伊藤と関戸健二を入れ替えましたが、75分には中村の左CKを片山が何とか掻き出すと、佐藤勇人がトライした30m近いミドルは鋭くゴール方向へ向かい、わずかに枠の右へ外れたものの、時間帯も相まって「雨の中で多くのサポーターに我々の後押しをして頂いた」と関塚監督も認めたホームゴール裏のボルテージは再び上昇します。
そのボルテージが沸点に達したのは81分。中村が左へ付けたボールを谷澤は右足でファーサイドまでクロス。ここに走り込んでいたのは「左サイドは絶対取られないという信頼もありますし、佑昌さんが中に相手を引き連れてくれたので、スペースが見えた」金井。完全にフリーの状態で「GKが来ても頭でガンと押し込もうと思っていたので、潰れる覚悟で行きました」というダイビングヘッドはニアサイドを破って、ゴールネットへ飛び込みます。「ディフェンスをやっていても逆サイドから逆サイドに振られた時には、サイドバックはどうしても付くのが難しい部分があるので、『やられて嫌なことをやってみよう』というのは意識していた」という右サイドバックの先制点に「一瞬大外が空いた所を相手は見逃さずに入れてきたのは脱帽でした」と長澤監督。千葉が1点のリードを奪いました。
最終盤に差し掛かったタイミングで追い掛ける展開となった岡山。83分に千明の右CKへ久木田が合わせたヘディングが高木にキャッチされると、直後に長澤監督が振るった采配は2枚替え。千明と片山に替えて、染矢一樹と植田龍仁朗がピッチへ。ボランチには関戸と渡邊が並び、植田をCFに置いてその下に染矢と押谷が入る配置で最後の勝負に打って出ます。
85分は千葉。佐藤勇人が右から上げたクロスはDFが掻き出しきれず、ペチュニクが打ったシュートはクロスバーの上へ。87分は岡山。相手陣内で前を向いた押谷が、20m近くドリブルで運んでそのまま狙ったミドルはわずかに枠の右へ外れ、スタジアムに悲鳴と溜息が。89分も岡山。竹田の左FKがこぼれると、加地が強引に叩いたボレーはクロスバーの上へ。「ウチの選手は下を向いたりせずに、ギリギリの所までやってくれる」と長澤監督。岡山の意地はスコアに結び付くか。
90分に岡山へ訪れたラストチャンス。押谷、関戸とボールが回り、植田が懸命に落としたボールを関戸が枠へ収めたシュートは、高木が確実にキャッチで収めると、森本とオナイウ阿道の交替も使いながら、アディショナルタイムの3分間も消し去ったホームチームに凱歌。「今日は非常に我慢比べの試合でしたけど、よく選手たちがしっかりと11人で攻守一体となった形で、チャンスをモノにして勝ちを取れたなと思う」と関塚監督も手応えを口にした千葉がウノセロで勝ち切って、首位奪取に成功する結果となりました。


岡山で印象的だったのは岩政の試合後。「一瞬でやられた印象もありましたが?」という質問に「いえ、90分で負けているので。サッカーというのは一瞬で負けるものじゃないです」と即答し、「後半は押し込まれる時間が長かったが?」という問いに対しても「すみません」と丁寧に前置きしながら、「外から見ている印象はわからないですけど、中で押し込まれているという風には感じていなかったです」とキッパリ。ここまでの豊富な経験から1試合や、ひいてはワンプレーに答えを求めない姿勢が垣間見られた一幕でした。「力負けの所ははっきり認めます」とこちらも言い切った長澤監督も、続けて「ただ、我々はここからまだ連戦ですし、積み上げていかなければならない部分もありますのでこれをしっかり糧にして、この敗戦をしっかり全員で受け止めて、次に進んで良い薬にしたいと思います」とのこと。今シーズンの岡山が敗戦をきっちり経験にできるチームかどうかは、大宮という強敵と激突する次の90分間で試されます。
「このへんの我慢比べ、そしてワンチャンスをモノにする、このへんの勝負強さというのは今年のリーグ戦では付けていかなくてはいけないと。そういう面では1つ進歩、前進したのかなと思っています」と関塚監督も話した千葉は、これで3試合目の完封勝利。その内の2試合は1-0というスコアで勝ち点3を手繰り寄せており、「ディフェンスとしては嬉しい勝ち方ですよね」と笑った大岩の言葉からもディフェンス面での充実ぶりが窺えます。個人的に目に付いたのは佐藤勇人の躍動感。ここ数シーズンはベンチに座ることも少なくなく、なかなかピッチ上で納得の行くパフォーマンスが出し切れてない印象もありましたが、この日も2本の惜しいミドルを放つなど、パウリーニョというパートナーを得て本来の積極的な攻撃性が戻ってきた感も。やはり7番が輝くか否かが、このチームが唯一掲げる目標に到達できるかできないかを大きく左右するのは間違いないでしょう。       土屋

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