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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年02月18日

T2リーグ第1節 FCトリプレッタユース×国士舘@駒沢第2

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0215komazawa5.jpg18時キックオフはユース界の風雲児と全国出場経験を持つ曲者の邂逅。公式戦ではなかなか交わることのなかったFCトリプレッタユースと国士舘の対戦はもちろん駒沢第2です。
初挑戦となった昨シーズンのT1リーグでは、前期こそ未勝利と苦しんだものの、後期は怒涛の追い上げを見せて8位でフィニッシュ。最後は入れ替え戦で敗れ、T2リーグへ帰還することになりましたが、貴重な経験をチームとしても重ねてきているFCトリプレッタユース。新チームで臨んだ東京都クラブユースU-17選手権では、T1リーグ所属の横河武蔵野FCユース相手に4-4と撃ち合ったものの、あとの2試合は黒星を喫した上、3試合での失点は16点。ただ、「やっぱりそんなチームは守備を何とかしないといけないじゃん」と笑う米原隆幸監督が守備面の修正を図ったここ4試合の練習試合はいずれも無失点と一定以上の効果が。その真価が改めて問われる公式戦に挑みます。
インターハイ予選で前年は夏も冬も全国へ出場していた國學院久我山に1-0で競り勝つジャイントキリングを披露し、一躍脚光を浴びた昨シーズンの国士舘。そのインターハイ予選も最後は準決勝で成立学園に惜敗し、選手権予選では準々決勝で東京農業大第一にPK戦で敗れるなど、結果的に全国の舞台へは届きませんでしたが、古豪復活の息吹は確かなものに。「自分たちのやることをひたすらやり続けるのが基本」と話す上野晃慈監督の下、T1復帰と全国出場という明確な目標を掲げる1年間に歩み出します。「こんな寒いからどうかなと思ったけど、思いのほか人がいたね」と米原監督も言及した通り、苦行に近いコンディションの中でも熱心な観衆はスタンドに。カクテル光線に照らされた選手がピッチへ散らばり、トリプレッタのキックオフでゲームはスタートしました。


先にチャンスを掴んだのはトリプレッタ。6分に3列目から飛び出した廣瀬友紀(2年・FCトリプレッタJY)が、エリア内から決定的なシュートを放つと、国士舘のGK菊池大輝(2年・府ロクJY)はファインセーブで立ちはだかり、リバウンドを拾った廣瀬友紀のシュートもDFがきっちりブロック。10番が惜しいシーンを創出しますが、先制ゴールを奪うまでには至りません。
以降もボールを動かす回数はトリプレッタの方が多かったものの、「ウチがボールを握ろうと言ったんだけど、思いのほか相手の圧力にできなかった」と米原監督も話したように、国士舘も尾田航士(2年・府ロクJY)と藤原孟海(1年・クリアージュFC)の長身CBコンビに、細田晃輝(2年・三菱養和調布JY)と栗山健吾(2年・パルチーダFC龍ヶ崎)で組んだ強度の高いドイスボランチが中央にきっちり蓋をしたことで、効果的にバイタルを崩すまでには至らず。18分にはようやくピーダーセン世隠(2年・FCトリプレッタJY)、廣瀬友紀、泉黎(2年・FCトリプレッタJY)のスムーズな連携でCKを獲得したものの、右から宮澤亮太朗(1年・FCトリプレッタJY)が入れたキックは、国士舘のキャプテン長谷川未来(2年・三菱養和巣鴨JY)が冷静にクリア。20分にも泉がエリア内で1人かわしてシュートを放つも、寄せたDFが確実にブロック。「ウチの心臓だから」と指揮官も認める宮澤も厳しいマークにボールを引き出しきれず、手数を出せない時間が続きます。
すると、国士舘も徐々に長谷川と工藤夏仁(2年・三菱養和巣鴨JY)の推進力を生かして攻撃へのパワーを。28分にはFKのクイックリスタートから、レフティの廣瀬寛治(2年・横河武蔵野FC JY)がカットインしながら枠へ飛ばしたフィニッシュは、トリプレッタのGK片岡竜雅(1年・調布FC)がキャッチしましたが、ようやくファーストシュートを放つと、歓喜の瞬間はそのすぐ直後。30分、長谷川が左へ流したボールを工藤は巧みにすくってファーサイドへクロス。フリーで待っていた斉藤健心(2年・帝京FC)は丁寧なヘディングでボールをゴールネットへ送り届けます。最初の決定機でいきなり成果を。国士舘が1点のリードを手にしました。
握ったアドバンテージを追い風に、ゲームリズムは一気に国士館へ。33分に廣瀬寛治が時間を創ってから左へ展開すると、長谷川のシュートは枠の左へ。34分にも右から廣瀬寛治が蹴ったCKは、ピーダーセンが何とかクリア。41分、高い位置でボールを奪った工藤がそのまま30m近い距離からミドルを放ち、ボールはクロスバーの上へ外れたものの、「あの時間は相当苦しかったね」と米原監督も認めたように、25分以降は完全に勢いを掴んだ国士舘がアドバンテージを握った格好で、最初の45分間が終了しました。


「ちょっとシステムを変えて、守備で粘れるように3バックにした」(米原監督)トリプレッタでしたが、1点を失った上に「本当だったらもう少し亮太朗の所にボールが入るから、そこでタメを創って両サイドが上がれるんだけど、今日は完全にあそこを消されたでしょ」と指揮官が続けたように、パスワークのキーマンとも言うべき宮澤にボールが入らず、並んだ廣瀬友紀もケガ明けの影響からいつもの運動量を押し出せず。この状況に米原監督は、3バック中央の佐々木龍(2年・FCトリプレッタJY)が比較的前に出る形からの変化を試み、3バックのサイドに入った高野路万(1年・FCトリプレッタJY)と原田游(2年・FCトリプレッタJY)に「後半はとにかく持ち出せ」という策を授けて後半へ向かいます。
46分は国士舘。須恵皓太(2年・稲城第一中)が右へ付けると、廣瀬寛治の左足クロスはDFに当たって片岡がキャッチ。48分はトリプレッタ。宮澤の左FKに飛び込んだ原田がヘディングで合わせるも、菊池ががっちりキャッチ。50分は国士舘。廣瀬寛治の右CKをニアで泉がクリアすると、拾った廣瀬寛治の左足アーリーは中央を越えて、そのままゴール左へ。54分はトリプレッタ。左に開いたピーダーセンのクロスを、中央で収めた泉がシュートまで持ち込み、ボールは枠の左へ外れましたが、「原田の所と高野の所で1対1だから、そこで持ち出せれば相当チャンスも来るし中盤にも当てられる」という指揮官の狙いが徐々に出始め、トリプレッタに増加しつつあるチャンスの芽。
60分はトリプレッタのセットプレー。左から宮澤が蹴ったFKがクリアされると、一転して国士舘のカウンター。ここも廣瀬寛治が絡んで右へ振り分け、長谷川のクロスはDFのクリアに遭いましたが、ゴールトゥゴールのスリリングな攻防。61分はトリプレッタ。高見幸樹(2年・三鷹FA)の右クロスをファーまで上がってきていた坂下由真(2年・FCトリプレッタJY)が頭で折り返し、家坂友太(2年・三菱養和調布JY)のシュートは菊池が正面でキャッチしたものの、WBが同時に攻撃へ絡むなど、活性化し始めたトリプレッタの両サイド。
米原監督の決断は64分。高見と家坂を下げて、田村和己(1年・FC.GONA)と林岳生(2年・FCトリプレッタJY)を送り込み、「基本的にボールを持てるし動かせるのでリズムを創れる」田村を宮澤とボランチに並べ、「攻撃に対しての活動性を高めてくれる」林は右WBへ。廣瀬友紀をシャドーの位置へ移して狙う同点弾。国士舘も69分には殊勲の先制ゴールを叩き込んだ斉藤に替えて、礒川拓夢(2年・町田木曽中)を投入し、いよいよゲームは最後の20分間へ。
71分はトリプレッタ。坂下、廣瀬友紀、田村と細かく繋ぎ、飛び出してきた高野のミドルは菊池がファインセーブで弾き出したものの、まさに最終ラインからの飛び出しがフィニッシュに直結。そのCKを左から坂下がグラウンダーで蹴り込み、廣瀬友紀のスルーから宮澤がダイレクトで打ったシュートは枠の左へ。73分もトリプレッタ。宮澤の右CKは菊池がフィスティングで掻き出し、こぼれを坂下が低空クロスに変えると、ファーでフリーだった宮澤の決定的なシュートはクロスバーの上へ。思わず宮澤も頭を抱えましたが、アクセルを踏み込んだトリプレッタの猛攻。
75分もトリプレッタ。中盤で浮き球を捌いたピーダーセンは、リフティングからボレーでミドルにトライするも菊池がキャッチ。76分は国士舘。須恵を起点に細田がスルーパスを狙うも、長谷川には届かず片岡がキャッチ。77分はトリプレッタ。高い位置でボールを奪い切ったピーダーセンが残し、廣瀬友紀の折り返しは中央と合いませんでしたが、双方に漂うゴールの予感。
80分に生まれたのは同点弾。左サイドで獲得したCKを坂下が蹴り込むと、ゴール前の混戦を見極めて密集を外れた廣瀬友紀は、こぼれをそのまま左足でズドン。ボールは右のポストに当たって跳ね返りましたが、すかさず突っ込んだ高野のシュートはゴールネットへ飛び込みます。同点ゴールに一瞬できた歓喜の輪も、しかしすぐに解けてそれぞれが定位置へ。1-1。ここからが本当の勝負。勝つのはトリプレッタか、それとも国士舘か。
84分に米原監督が打った勝負の一手。同点アシストの廣瀬に替えて送り出すのは、「本当はスタートの予定だったんだけど、ケガもあったからちょっと取っておいた」井上雄太(2年・三鷹FA)。「『こういう試合とかでイケメンとかが点を取った方が盛り上がるんだよな』って言って。『イケメンがゲームを決める。そういうのがウチは欲しいんだよね』って送り出したよ」と笑った米原監督。残りは5分。負けたくない両者のラストスパート。
85分はトリプレッタ。原田が果敢に右サイドをえぐり切ってクロスを送るも、ニアで合わせた宮澤のシュートは枠の右へ。次に動いたのは上野監督。工藤と山田恭弥(2年・世田谷松沢中)をそのままスイッチして、前線に最後のパワーを。86分は国士舘。右サイドを長谷川がドリブルで運び出し、中へ入れたボールを細田が叩くも枠の左へ。双方へ触れる勝負の針。
イケメンはトリプを救う。88分、丁寧なパスワークから味方が託したボールを中央で受けた宮澤は、渾身のスルーパスを左へ。少し縦に持ち出した井上が角度のない位置から左足を振り抜くと、右のポスト内側を叩いたボールはゴールネットへ吸い込まれます。「あの子はウチのアタッカー陣の中では一番シュートがうまいの。最近結構外していたんだけどね」と"イケメン"を送り出した米原監督も笑顔。ジョーカー起用の井上が圧巻の決定力を発揮して、土壇場でトリプレッタが逆転まで漕ぎ着けました。
90分には両者が切った最後の交替カード。守り切りたいトリプレッタは坂下と村田永仁(1年・武相中)を、追い付きたい国士舘は栗山と千葉隆稀(1年・三菱養和調布JY)を入れ替え、アディショナルタイムの120秒間へ。90+2分は国士舘。左から細田が鋭いボールを蹴り込むも、片岡が的確なタイミングで飛び出してがっちりキャッチ。「押し込まれたああいう時に、GKが出てくれるとだいぶ助かる」と指揮官も守護神を評価したプレーが国士舘のラストチャンス。「『ちゃんと2点目を与えないでズルズル行かなければ1点2点は必ず取れるから、そこは慌てるな』と言ったら、そこはちゃんとやってくれるようになったから、それはそれで1つの進化かな」と米原監督も目を細めたトリプレッタが、終盤の逆転劇で貴重な開幕戦勝利を強奪する結果となりました。


実は米原監督が話した"イケメン"のくだりは、スタンドに詰め掛けていた観衆の多くが聞いていたと思います。「アレ、聞こえてたの?」と苦笑したのは当の米原監督ですが、その替わった井上が結果を出したことに対して、「言った通りになるなんてなかなか珍しいけど(笑)、開幕でああいうことが起きるとね。やっぱり後から出たヤツが活躍すると大きいじゃない。そういった意味では今日は良かったかなと」とチームに勢いを付ける逆転劇だったことを噛み締めている様子でした。東京都クラブユースU-17選手権では1分け2敗だったため、これがトリプレッタの新チームにとっては今シーズンの公式戦初勝利。お話の最後に米原監督も「でも、今日はホッとしたわ(笑)」と本音もチラリ。例年以上に戦い方に幅を隠し持っていそうな今年のトリプレッタにも、是非注目していきたいいと思います。       土屋

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