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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年02月25日

T1リーグ第2節 関東第一×駒澤大学高@駒沢補助

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0225komaho.jpg1週遅れで開催されるT1リーグ第2節のラストマッチ。都内の上位進出常連校同士の対峙はナイトゲームの駒沢補助です。
4年ぶりのT1制覇へ。開幕戦のカナリアダービーで帝京に1-0で粘り強く競り勝ち、白星で新シーズンのスタートを切った関東第一。「2年の所に"菌"があるみたいで(笑)」と小野貴裕監督も苦笑したように、2年生にインフルエンザが蔓延する中で、開幕戦の勝利に貢献した浦川眞世(2年・三井千葉SC)と鈴木隼平(2年・Forza'02)は今日の欠場を余儀なくされましたが、「今は同じメニューを全員でやっているので、いつでも引き上げられるようにしている」と指揮官も話したように、試合に飢えているメンバーは多士済々。全員が高いモチベーションを抱いて開幕連勝に挑みます。
5年ぶりのT1制覇へ。昇格組ながら都内屈指の実力を持つ都立東久留米総合との開幕戦は、高橋勇夢(1年・Forza'02)のヘディングによる1点を守り切って、幸先の良いシーズンの滑り出しとなった駒澤大学高。この日は10番を背負う副キャプテンの野本克啓(2年・FC多摩)が体調不良でベンチスタートとなりましたが、最前線では「いいモノは持っている」と大野祥司監督も評価する福地恒太(2年・調布神代中)がスタメンに。ベンチ入りも含めて例年より1年生の抜擢が目立つ中で、「2年生が化けてくれないと」と指揮官も口にしたように、上級生の奮起が期待される90分間に臨みます。一応アウェイ扱いとはいえ、学校の近さも相まってピッチの周囲には100人を超える駒澤サッカー部員による応援団がズラリ。2月の段階で実現した好カードは18時にキックオフを迎えました。


ファーストシュートは開始1分経たず。左サイドでボールを持った林健太(1年・FC.VIDA)は、冨山大輔(1年・SC習志野)とのワンツーでエリア内へ。素早く放ったシュートはやや勢いが弱く、駒澤のGK鈴木怜(1年・S.T.FC)にキャッチされましたが、1年生コンビでフィニッシュまで。一方の駒澤も2分にミドルレンジから矢崎一輝(1年・大豆戸FC)がシュートを狙い、関東第一のGK円谷亮介(2年・FC東京U-15深川)にキャッチされたものの、こちらも早々にファーストシュートを。3分にも駒澤はシンプルなフィードで獲得した右CKを佐藤瑛磨(2年・立川第四中)が蹴り込むと、高橋のヘディングはDFに跳ね返されるも、お互いに手数を出し合ってゲームは立ち上がります。
ただ、以降はなかなかシュートシーンが生まれない中で、少しリズムを掴んだのは駒澤。「ハイサイドを徹底して最初はやらせていたので、相手は嫌がっていたと思うんですけど」と大野監督も振り返ったように、キャプテンの竹上有祥(2年・ヴェルディSSレスチ)と春川龍哉(2年・Forza'02)のCBコンビも最終ラインから早めに前へボールを放り込み、福地と佐藤の2トップが流れながら右の栗原信一郎(1年・FC多摩)、左の矢崎とSHもフォローに入り、サイドアタックの狙いははっきり。14分に右サイドで獲得したFKを佐藤瑛磨が蹴ったボールは、カベに入った関東第一の左SB佐々木功輝(2年・アルドール狭山FC)が弾き出し、19分に左からSBの東方陸真(2年・FC東京U-15むさし)が投げ入れたロングスローはゴール前の混戦を生み出し、最後は関東第一のDFが蹴り出しましたが、ハイサイドを取ってのセットプレーにチャンスの萌芽が。
31分も駒澤。今度は高橋が右からロングスローを放り、こぼれを拾った栗原の落としから深見侑生(2年・FC東京U-15深川)が狙ったループ気味のミドルを円谷がキャッチすると、「ああいうやり方で相手が嫌がるかなというのもあったので、1点取れれば理想だったんですけどね」と前半について話した大野監督は1人目の交替を決断。早くもベンチスタートの野本を送り込み、中央でのポイント創出に着手します。
一方の関東第一も「左が高い位置を取れていなかったし、佐々木の状態が悪くなかったので、左の前に前向きになるヤツを置いておこうと思って」(小野監督)、1トップの高橋快斗(2年・P.B.J)と左SHの岡崎仁太朗(2年・杉並ソシオ)の位置をスイッチ。「CBが前に強い選手なので、あそこを斜めから背後を取れれば」(小野監督)という狙いをピッチへ落とし込むと、33分にはCBの鈴木友也(1年・VIVAIO船橋)のパスから冨山は縦へ浮き球でスルーパス。斜めに走った右SHの新藤貴輝(1年・フレンドリー)はオフサイドに掛かってしまいましたが、"斜めへ裏"という形から窺うゴール前。
以降はお互いにチャンスはセットプレー。36分は駒澤。佐藤瑛磨の右CKは円谷がキャッチ。41分も駒澤。野本の右FKはニアで道願翼(2年・VIVAIO船橋)がしっかりクリア。直後も駒澤。高橋の右ロングスローを深見がすらすも、DFが大きくクリア。44分は関東第一。林のドリブルで得た左FKを冨山が蹴り入れ、ファーでキャプテンの中村翼(2年・大豆戸FC)が合わせたヘディングは鈴木怜がキャッチ。44分は再び駒澤。東方の左ロングスローはニアで弾むも、飛び出した円谷がキャッチ。45+1分は関東第一。道願、林、岡崎と細かく繋ぎ、エリア内へ潜った道願のドリブルは、きっちり付いて来た深見がカットしましたが、ようやく"らしい"アタックを。ほとんどフィフティと言っていい前半は、スコアレスで45分間が終了しました。


後半はスタートから駒澤に勢い。開始早々の50分にボランチを武智悠人(1年・Forza'02)から松田拓海(2年・三菱養和調布JY)へ入れ替えると、51分には深見のパスから野本が狙ったミドルは関東第一ディフェンスが体でブロック。53分にも野本が蹴った左FKは、ファンブルしかけた円谷が何とか自分でリカバーしてキャッチ。54分にも右のハイサイドを取ってCKを奪い取るなど、「前回も後半の立ち上がりがダメだった」(大野監督)反省からか、駒澤の押し込む時間が続きます。
暗転したチャンス。野本の右CKは高橋が頭で残すも、ここから一転して関東第一のカウンター発動。右サイドへ繋いだボールを新藤が運び、アーリー気味にクロスを送ると、走り込んだ高橋はDFともつれてエリア内で転倒。主審は迷わずペナルティスポットを指し示します。PKという絶好の先制機に、キッカーは「いつものキッカーがいなかったので、みんなが『蹴れ』みたいな感じでした」と笑った岡崎。短い助走から蹴り込んだボールは左。鈴木怜も同じ方向へ飛んだものの、ポストに当たったボールはゴールネットへ吸い込まれます。「ちょっと左へ行き過ぎですけど、あそこを狙っていたので全然大丈夫でした」と話す岡崎の11メートル先制弾。関東第一がスコアを動かしました。
「後半の頭は絶対相手が出てくるから、そこはむしろウチの良い所を出しに行って、相手に上回られてる感を出すんだったら、相手が来るんだから少し受けておいてちょっとずつ自分たちの時間にしていけばいいかなと」(小野監督)いう狙いで後半に入り、まんまとリードも奪った関東第一は、パスワークにも落ち着きが随所に。59分にも岡崎が粘って右へ回し、新藤のクロスは鈴木怜にキャッチされましたが、惜しいサイドアタックを。「冨山と道願の関係が頑張ってやっていた」と指揮官も言及したドイスボランチを中心に、最終ラインへのバックパスも使いながらボールを回して、時計の針を進めていきます。
62分には野本の左CKをファーで高橋が折り返すも円谷にキャッチされ、65分には矢崎の展開から佐藤瑛磨の左クロスも円谷にキャッチされた駒澤は、67分に3枚目の交替カードを。佐藤瑛磨に替えて「1節でケガしちゃってジョギングくらいしかしていなかったので、使わないつもりだった」(大野監督)という佐藤瑶大(1年・FC多摩)をスクランブルで前線へ送り込み、深見をボランチから2トップの一角に上げて、一層の高さを最前線へ注ぎ込みますが、手数はなかなか繰り出せず。69分に春川が蹴り込んだFKも円谷ががっちりキャッチ。前への圧力をフィニッシュへ結び付けられません。
71分の決断は小野監督。右SHの新藤を下げて、「今まで公式戦には1回も出ていなかったんですけど、やれるのはわかっていた」という名取虎之介(2年・クラッキス松戸)を1トップ下へ投入し、林を右SHへスライドさせて「攻め急いじゃうシーンがあったので、あそこにわざとスピードが上がらない名取を置いてクドくやれって言って(笑)」ペースダウンによる攻撃の変化を狙うと、72分にはその名取が溜めたボールを冨山は鋭いスルーパスへ。岡崎はわずかに届かず、飛び出した鈴木怜がキャッチしたものの、75分にも名取が時間を創って右へ振り分け、上がってきたSBの大須賀琢真(2年・FC東京U-15深川)のピンポイントアーリーを、ファーで叩いた高橋のヘディングも鈴木怜にキャッチされましたが、名取を使ったペースチェンジが効果的に機能します。
78分も関東第一。「やっと10番が似合うようになってきた」と指揮官も口にした冨山は、中央で粘って絶妙のスルーパスを裏へ。抜け出した高橋はGKとの1対1を右へ打ち込み、ボールはポストをかすめて枠を外れるも、綺麗な中央突破を披露。79分には左サイドを崩し切って佐々木が中央へ戻し、岡崎のシュートは鈴木怜がファインセーブで掻き出したものの、「相手も疲れてきて、どんどん中盤とかで前を向けて良いリズムで動かせたので良かったなと思います」と岡崎も語ったスムーズなアタックで、狙うのはトドメの追加点。
追い付きたい駒澤が相次いで切った交替カード。81分に岩田光一朗(1年・大田東調布中)、83分に三浦岳文(1年・川崎フロンターレU-15)をピッチへ解き放ち、最後の勝負へ。88分には野本の右CKがゴール前を襲うも、林が懸命にクリア。直後の左スローインも東方がロングで投げ込み、ニアで野本が競り勝つもDFが何とかクリア。90分にも三浦を起点に野本が左へスルーパスを通し、走った矢崎は届かずに円谷が収めましたが、さすがの執念で押し込む赤黒軍団。
仕事をしたのは1年生アタッカー。アディショナルタイムに入った90+1分、野本が粘って繋いだボールからエリア内へ潜った岩田が転倒すると、主審が吹いたホイッスル。会場すべての視線が注がれたその判定はPK。関東第一サイドから見ればやや厳しいジャッジにも映りましたが、駒澤に千載一遇の同点機が訪れます。キッカーは深見。開幕戦でも再三チャンスを掴んでいた7番に託される勝ち点獲得の行方。静まり返るピッチ。駆け出した深見のキックは、しかしクロスバーを越えてしまい万事休す。最後は石島春輔(1年・JSC CHIBA JY)も送り込み、残り時間も消し切った関東第一が「子供にも『全然時期的に失うものはないけど、勝ったら得るものは凄いあるから』と言っていた」と小野監督も明かした大事なゲームを勝ち切って、3ポイントを獲得する結果となりました。


ある意味では非常に対照的なスタイルを有する両者の対戦に際し、「自分たちのやっていることと相反するチームに対するプライドを持ってもらいたい」と思っていたという小野監督。そんな指揮官は「今、練習を一生懸命やろうと思ってコツコツやっているので、今日も正直楽しみでしょうがなかった」そうです。そして、当然自らのスタイルを前面に押し出すのは大前提の中で、今日のゲームに当たっては「ヘソを自分で叩かせて『ここが懐だからね』って(笑) 『ここまで食い付かせろよ』と言っていて(笑) 『その代わりここまで守備しないと、足先で行ったらやられるぞ』『懐の所で勝負しろよ』と言ったんです」とのこと。とりわけ駒澤が終盤に見せたさすがのラッシュに対する守備に関しては、「今日もシュートストップとか最後の所で体を張れたのなんかもきっちり前にこぼしてくれていたし、入れ替わる所もちゃんと怖がらずに食い付かせてくれていたので、そこはちょっと良かったかなと思っています」とのこと。最後の局面で勝負へのこだわりをしっかり発揮して、勝ち点3を持ち帰ってきた選手に「アイツらに伝わっているのかわからないですけど(笑)」と笑いながらも一定の手応えを感じている様子でした。「良いリズムでボールを動かしたりしている時は最高ですね。楽しくやっています」と岡崎も語った"らしさ"に、2月の段階とはいえ見えてきた勝利への欲求。今シーズンの関東第一が、ここからさらにどう変化していくのかが非常に楽しみです。         土屋

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