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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2015年01月20日

東京都クラブユースU-17サッカー選手権大会決勝リーグ 横河武蔵野FCユース×FCトリプレッタユース@小平

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0119kodaira.jpg第2試合はオープニングマッチにして、西が丘進出を巡る上でも重要な90分間。横河武蔵野FCユースとFCトリプレッタユースが激突する一戦は引き続き小平です。
一昨年の参入戦で敗れたリベンジを果たすべく、その舞台に帰る誓いを立てて迎えたT1リーグは4位という結果に終わり、プリンス関東への昇格は今年へと持ち越しになった横河武蔵野FCユース。それでも昨年のJユースカップでは、夏のクラ選で全国制覇を達成した三菱養和SCユースを予選で退け、4年連続の出場となった全国大会でもFC東京U-18に肉薄するなど、その実力の高さは誰もが認める所。「見ていて面白いし、やっていて彼らも面白いし、ウチに来たいなって思わせるような、卒業してからも横河で良かったなと思ってもらえるようなサッカーをしたいなと思う」という増本浩平監督に率いられたチームは、東京制覇を虎視眈々と狙っています。
初めて挑んだT1リーグの舞台は苦戦の連続。開幕6連敗を喫するなど、前半戦は1勝も挙げられなかったチームが、夏を過ぎると一気に力強さを増し、リーグ戦は8位でフィニッシュ。惜しくも昨年末の入替戦に敗れ、T2降格ということになりましたが、近年メキメキと力を付けつつあるFCトリプレッタユース。「去年はT1に上がって守備をやらなきゃいけないと思って、それもやったけど、やっぱり攻撃のマインドをどれだけ打ち出しながら、守備をうまくやりながらにしていかないと、"らしく"なくなっちゃうかなと思うので、今年も獲りに行きますわ」と笑ったのは米原隆幸監督。まずはライバルを倒して、西が丘行きへ弾みを付けたい一戦です。試合前にトリプレッタの大貫雅之コーチが「いきなりの大一番ですよ」と話した通り、新チームの初陣ながらいきなりやってきたビッグマッチ。注目の90分間は13時30分にキックオフを迎えました。


いきなりの歓喜は4分。右サイドへと展開したボールから、上がってきたSBの泉黎(2年・FCトリプレッタJY)は低空クロスを中へ。抜けたボールに走り込んだ石川吉輝(1年・ヴィヴァイオ船橋)は、ファーストシュートにもかかわらず冷静に右足を振り抜くと、ボールはゴール右スミへ吸い込まれます。3トップの一角でスタメンに抜擢されたルーキーが早くも結果を。トリプレッタが先にスコアを動かしました。
ボールはある程度横河が回していく中で、中盤での速いプレスがハマった格好で手数を繰り出していくのはトリプレッタ。8分、右ウイングに入った家坂友太(2年・三菱養和巣鴨JY)が積極的に仕掛け、こぼれを自ら拾って枠へ収めたシュートは横河のGK西村大樹(1年・レッドスターJY)がキャッチ。9分にも左CKを坂下由真(2年・FCトリプレッタJY)がグラウンダーで入れると、ニアへ飛び込んだ廣瀬友紀(2年・FCトリプレッタJY)はスルー。後ろに入ってきた宮澤亮太朗(2年・FCトリプレッタJY)のシュートは西村が足で懸命に弾き出しましたが、「立ち上がりに『いつものウチらしく行こう』ということで入った」(米原監督)トリプレッタが発散する躍動感。
すると、19分に次の1点を手にしたのもトリプレッタ。左サイドで石川が粘って何とかクロスを上げ切ると、マーカーより一歩前に出たCFの小室優雅(1年・FC駒沢)は右足インサイドでボールを押し出し、ゴールネットを確実に揺らします。「サイドからのクロスは相当練習してきたので、それがうまく入って良かったかなという形。それも2人ともルーキーだったね」と指揮官も目を細めた通り、1年生の連続得点が飛び出したトリプレッタ。点差は2点に広がりました。
さて、早い段階で2点のビハインドを追い掛ける展開となった横河。「いつもだったらハメに行けている所も、少しずつ速くて逃げられている部分がサイドの所でしわ寄せで来ちゃって、クロスの所で慌てて2失点」ときっちり理由を説明した増本監督は、それでも「今年のチームはそんなに下手じゃないのでボールも動かせるし、相手が嫌なことはできると思うので、2点取られても自分も慌てなかった」と続けて。逆に2失点後はパススピードも一層上がり、25分には見木友哉(2年・横浜FC鶴見JY)、梅原陸(2年・FC PROUD)、渡辺将矢(2年・浦和レッズJY)と細かく繋いだ流れから、成実浩太郎(1年・Forza'02)のシュートはトリプレッタのGK片岡竜雅(1年・調布FC)がファインセーブで防ぎ、坂下が懸命にクリアしたものの、ファーストシュートを決定機にきっちり結び付けます。
26分も横河。CBの宇野木晟平(2年・横河武蔵野FC JY)がクサビを打ち込み、右へ持ち出した梅原の枠内シュートは片岡がキャッチ。31分も横河。中央でのスムーズなパス交換から、見木が放ったシュートも片岡がキャッチ。33分にはトリプレッタも原田游(2年・FCトリプレッタJY)の積極的なインターセプトから、泉の右クロスに石川が合わせたヘディングはクロスバーの上へ。それでもゲームリズムは「中央で奪った時はそこからスムーズに攻撃へ繋がって、守備と攻撃が別にならなかった」(増本監督)横河へ。
37分のアタックはまさに監督の狙い通り。中央でボールを奪った流れから、梅原はすかさず右サイドへスルーパス。走った太田がそのまま縦に運んで対角線にシュートを打ち込むと、ボールはゴール左スミを綺麗に貫きます。実は1点目を取られたすぐ直後に、前線の並びをスタート時から入れ替えていた横河。これで梅原は右ウイングから3トップ下へ、太田は左ウイングから右ウイングへスライドしており、結果的に奏功したこの配置換えに関して「まあうまくいっていなかったので、変えた方が良いかなと。ダメならまた変えれば良いかなと思っているから」と笑った増本監督。横河が1点を返しました。
勢いは完全に横河。38分、見木が左へ振り分け、ドリブルで突き進んだ渡辺のシュートは原田が何とかブロック。40分、左SBの森田幸紀(1年・三菱養和調布JY)、梅原と回ったボールを見木は左へ。ここも渡辺のシュートはDFのブロックに阻まれたものの、「今日は太田と見木をどうやって遮断するかという中で、思ったよりも陸が良かったから、あそこがちょっと誤算」と敵将も認めたように、梅原のアクセントがもたらす横河の好テンポ。
41分の同点弾も主役は14番。左から太田が蹴ったCKを宇野木が頭で残し、再び戻ってきたボールを太田は素早く右足で中へ。ファーに潜った梅原は高い打点でヘディングを敢行すると、ゆっくりとした軌道はゴール右スミへ収まります。「彼らもあまりに早く簡単に失点したので、あまり引きずっていなかったと思う」と増本監督。梅原は前半だけで1ゴール1アシストの大活躍。スコアは振り出しに引き戻された格好で、最初の45分間は終了しました。


後半もゲームリズムは変わらず横河に。50分、成実が右へスルーパスを繰り出すと、抜け出した太田のシュートは片岡が懸命にファインセーブで応酬。その右CKを太田が蹴り込み、高い打点で当てた渡辺のヘディングは緩やかにゴール方向へ向かい、片岡が何とかパンチング。52分、ここも太田の右CKからファーで森田が狙ったシュートは左のゴールポストを直撃。「6番の優真もあんなに捌けると思っていなかったからね。アンカーで出てきたからちょっとラッキーと思ったら、思いのほか捌けていた」と相手の米原監督も言及したアンカーの初田優真(1年・横河武蔵野FC JY)もうまく中盤で機能しながら、一層強まる横河の攻勢。
引っ繰り返ったスコア。53分、前半だけで早くも3本目となったCKを右からやはり太田が蹴り入れると、こぼれに反応した初田がアーリークロス。ファーで待っていた森田のヘディングが鮮やかにゴールを陥れます。直前にポストへ当たったシュートを帳消しにする貴重な逆転弾。「使い所がなかっただけで、去年から結構使いたかった」と指揮官も言及した森田のファインゴールで、横河が逆に1点のリードを手にしました。
「どっちみち持たないのはわかっていたし、前半1点で凌いでいればプランはやりやすかったんだけど、追い付かれちゃったから相当シンドかった」と話したのは米原監督。55分にはカウンターから林岳生(2年・FCトリプレッタJY)が右へ流し、小室が思い切った枠内ミドルで石川にファインセーブを強いると、56分には2枚替えを敢行。林とCBの佐々木龍(2年・FCトリプレッタJY)を下げて、山口ツンデローレンス(1年・ヴェルディSS AJUNT)と森慶太(2年・FCトリプレッタJY)をピッチへ送り込み、やり返す覚悟を鮮明に。
すぐさまやり返したのは「ここに来て相当良くなってきている」と指揮官も認めた10番。57分、右サイドで獲得したCKを宮澤がピンポイントでニアへ蹴り分けると、飛び込んだ廣瀬のヘディングはゴールネットへ飛び込みます。「本人は嫌がっていたんだけど『10番を背負え』『特別な番号だからオマエが背負ってくれ』と。『本当は7番がいい』とか言ってたんだけど『ダメだ』って言って」監督から託された10番が見事に結果を。再びスコアは振り出しに引き戻されました。
さらにやり返したのは青のキャプテン。60分、高い位置でボールを奪った横河は見木が中央にスルーパスをグサリ。左から走りながら受けた太田は、さらに右へと流れながらファーサイドを狙って右足一閃。ボールは人工芝を滑りながら、左スミギリギリのゴールネットを捕獲します。今シーズンのキャプテンを任された7番が圧巻のドッピエッタ。目まぐるしく変化するスコア。横河がまたも1点のリードを奪いました。
「昨日もレッズと90分練習試合やってるんだよ。そこで結構ガッツリやって連戦になるけど、今は経験が欲しいからね。最終的には終盤はへばるなとわかっていたから、逆に言えば交替も早くした」と米原監督。失点直後の61分には先制弾の石川を井上雄太(2年・多摩大目黒高)に入れ替え、前線の顔ぶれに変化を。62分は横河。左サイド、ゴールまで約30mの位置からこの日は慣れない右SBでの出場となった田代雄大(2年・Forza'02)がパーフェクトな無回転FKを打ち込み、片岡がわずかに触ったボールはクロスバーをヒット。66分はトリプレッタ。右サイドのCKを井上がショートで蹴り出し、坂下のクロスに小室がフリーで合わせたヘディングはクロスバーの上に消え、頭を抱えた1年生ストライカー。72分は横河。宇野木、見木、成実とスムーズにボールを繋ぎ、完全に抜け出した太田の1対1は左ポストの外側をなめて枠外へ。「突き放されても崩れなかったね」と米原監督が話せば、「フィジカル的にもうちょっとできないかなと思っていたので、そこをやってくれた部分は良かった」と増本監督。77分には米原監督も4枚目のカードとして内山健(1年・ジェファFC)をピッチへ解き放ち、熱戦もいよいよ最後の10分間へ。
絶好の同点機は意外な形から。81分の左CKはトリプレッタ。井上が蹴ったボールは一旦弾かれるも、井上、坂下と繋ぎ直し、再び井上がクロスを放り込むと、DFに当たったブロックがハンドを取られ、トリプレッタにPKが与えられます。同点が懸かる大事な局面。キッカーは井上自ら。短い助走から右スミを狙ったキックは、西村が完璧な反応で掻き出しましたが、運悪くボールは井上の足元に転がり、今度は丁寧に丁寧にプッシュ。スリリングな攻防はある意味で痛み分けながら、「昨日のレッズ戦でもアシストしているし、計算が立つからジョーカー的に取っておきたかった」という指揮官の期待に応える井上の一発。またも両者の点差は霧散しました。
双方が4点を奪い合う壮絶な殴り合いの中で、まだまだお互いノックアウトされる気は毛頭なし。83分はトリプレッタ。泉のパスカットから廣瀬が右へ展開し、井上が丁寧に送り込んだクロスを山口がニアで打ち切るも、ここは寄せた宇野木がギリギリでブロック。84分もトリプレッタ。右サイドで得たCKを宮澤が蹴ると、弧を描いた軌道はクロスバーにハードヒット。トリプレッタが5枚目のカードとして高見幸樹(2年・三鷹FA)を送り込んだ交替を挟み、87分は横河。中央やや左、ゴールまで25m弱の距離から太田が直接狙ったFKはわずかに枠の左へ。読めない結末はアディショナルタイムの攻防へ委ねられます。
90+1分はトリプレッタ。宮澤の右FKはDFにクリアされたものの、原田が再び奪い、山口のシュートはDFが何とかブロック。90+2分は横河。成実、見木と回して太田が右へ送り、途中出場の外山真永(1年・横河武蔵野FC JY)が上げたクロスは原田がギリギリでクリア。90+3分も横河。外山のパスを受けた田代が、成実からのリターンを右から狙ったシュートは片岡がファインセーブで仁王立ち。そのCKを太田が右から蹴り込むも、廣瀬がヘディングで掻き出すと、ピッチに響いたタイムアップのホイッスル。両者譲らず。「4点取れたというのは収穫かなと思う」(増本監督)「点が取れたということは大きいし良かったのかなと思う」(米原監督)と両指揮官が同じ感想を抱いた激闘は、4ゴールずつを奪い合う打ち合いの末に、双方へ勝ち点1が振り分けられる結果となりました。


昨年のTリーグでもこの日とまったく同じ、4-4というスコアでやり合った両雄。やはりこの2チームの対戦は常に面白いゲームになると、改めて再認識させられるような好バウトでした。試合後、増本監督にトリプレッタに関してお話を伺うと、「僕なんかが偉そうに言うことじゃないですけど」と前置きしながら、「僕がやり始めてから今で考えると、力の差はなくなってきているかなというのはあって、気持ちでどうにかしようとして飲まれて競った試合になることが多かったりしていたのが、技術的な部分で同じような内容のゲームになるということが凄く増えてきたので、上手さはウチの方がボールを動かす判断なんかはあったと思いますけど、全体的に嫌なことをやってくるし、やっぱり明るいし。アレがいいですよね。そういう所でウチは飲まれちゃうんだろうなという気がしますけどね。だって僕、好きですもん。トリプレッタ(笑)」とのこと。米原監督も「俺が思っていた以上に横河の球際が強かった。バチバチお互いやり合っていたからね」と評価の声を。前述したように敵将ながら初田を"優真"と、梅原を"陸"とファーストネームで呼ぶあたりに、両者の関係性が滲み出ている気もします。「僕は"街クラシコ"って言っていて、全然定着しないんですけど(笑)」と増本監督が笑ったこの対戦も、今年はリーグのカテゴリーが違うので公式戦ではカップ戦で当たるかどうかという状況に。それでも、リターンマッチが実現した際には是非また見に行きたくなるような、本当にスペクタクルな90分間の"街クラシコ"でした。      土屋

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