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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年07月11日

T2リーグ第12節 修徳×大成@駒沢第2

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0710komazawa2.jpg僕らの街にある平日のお楽しみ。一巡目の終わったT2リーグは迎えて早くも12節。亀戸の古豪と三鷹の新鋭が激突する舞台は、おなじみ駒沢第2です。
10試合を消化して2勝1分け7敗と黒星が大きく先行し、現在は最下位に沈んでいる修徳。ただ、インターハイ予選では堀越、東海大菅生と難敵を撃破して2次予選へ。最後は関東第一に延長で敗れましたが、相変わらずのトーナメントマスターぶりを発揮してくれました。本格的にやって来る"夏"へ向けて、「何にもプランはないよ」と笑うのは岩本慎二郎監督ですが、ここからの急激な進化は昨年のチームが証明済み。その足掛かりにしたい一戦へ臨みます。
同じく10試合を消化して引き分けなしの5勝5敗とまったくの五分。総得点と総失点の数はリーグで一番多く、出入りの激しいサッカーをしている印象もある大成。ただ、「守備面は課題だったが、特にインターハイで負けてからは失点数がだいぶ減ってきている」と豊島裕介監督も話したように、5月以降のリーグ戦は3試合でわずか1失点。その数字は3連勝という成果にも結び付いており、「まずはしっかりと守備から入って攻撃」(豊島監督)というスタンスにも定着の兆しが。強豪相手にさらなる自信を付けたい90分間です。駒沢の空は雨こそ持ち堪えているものの、強風が吹き荒れるコンディション。嵐を予感させるゲームは、大成のキックオフで幕を開けました。


ファーストシュートは修徳。開始1分経たない時間に、ルーズボールを拾った雪江悠人(3年・三郷JY)がミドルにチャレンジ。ボールは枠の左へ外れるも、1トップが積極的な姿勢を披露。4分は大成。左から桜井裕幹(2年・相原FC)が蹴ったCKに、CBの坂口諒馬(3年・小平第三中)が下がりながら当てた難しいヘディングは右スミを襲うも、修徳のGK鴇田龍平(3年・修徳中)がしっかりキャッチ。8分も大成。前坂隆之輔(3年・横河武蔵野FC JY)、濱川海人(2年・TACサルヴァトーレ)と繋ぎ、西尾裕也(2年・横河武蔵野FC JY)のシュートはDFのブロックに遭い、前坂のシュートは鴇田にキャッチされましたが、まずはお互いに手数を出し合います。
そんな中、決定的なチャンスを創ったのは修徳。10分、キャプテンの小野寺湧紀(3年・荒川第五中)が左から長いFKを蹴り込むと、こぼれに反応したCBの河野哲史(3年・ナサロットSC)は強烈なボレーを枠内へ。しかし、ここは大成のGK櫻井康佑(2年・帝京FC)が超ファインセーブで回避。先制とはいきません。
すると、徐々に前へのパワーで上回ったのは大成。12分に前坂が中央左、ゴールまで約30mの位置から直接狙ったFKはカベに当たりますが、16分には濱川が粘って残したボールを、高橋渉(3年・杉並アヤックス)が後方からかっさらって枠の左へ外れるフィニッシュ。さらに23分にも桜井の右CKを濱川がヘディングで叩き、ボールはわずかにゴール左へ外れたものの、続けてチャンスを創出します。
大成は「修徳さんが頑張るチームだということは知っているので、いかに今日はボールを先に拾うかという戦いになると思った」と豊島監督が言及した、"先に拾う"ための出足で上回った印象。CBの坂口と大城宜央(3年・FC杉野)はチャレンジとカバーのメリハリを効かせ、ボランチの桜井と共にセカンドをことごとく回収。そこから裏を素早く突くという形は徹底されており、27分にも高橋が裏へ落とすと、3列目から飛び出した濱川が収め、最後はエリア内で潰されましたが、迷いのないアタックで引き寄せたゲームリズム。
29分には修徳も小野寺がさすがのドリブルで右サイドをぶち抜き、上げたクロスは雪江へわずかに届かずも、その能力の一端を見せ付けたシーンを経て、32分も大成。右SBを務める清水拓(3年・横河武蔵野FC JY)のオーバーラップから獲得したCKを桜井が放り、こぼれを叩いた濱川のシュートは、修徳のCB足達広大(3年・レジスタFC)がブロックするも、変わらない流れ。
35分も大成。相手のミスを見逃さなかった左SBの梶原陽(3年・FC町田ゼルビアJY)が、そのまま持ち上がって枠外ミドルにトライ。37分も大成。桜井のクサビをバイタルに潜っていた濱川が捌き、前坂が放ったシュートは鴇田がキャッチ。44分も大成。ピッチ中央、約30mの距離を直接狙った坂口のFKは枠の上へ。あと少しが押し切れるか否か。
押し切った三鷹の青。前半終了間際の45分、中盤でボールを受けた前坂はターンからそのままDFラインの裏へフィード。飛び出したGKのキックへ果敢に飛び込んだ濱川が、1秒後に見た景色は転がるボールと無人のゴール。「攻撃が好きで、前にいるというよりも後ろからスピードに乗って出て行く選手」と指揮官も評した濱川の、再三に渡る飛び出しがここで成果に。「裏に出て行っての"事故"だけど、出て行かなければ起きなかったこと」(豊島監督)を生み出した執念が実り、大成が1点のアドバンテージを握ってハーフタイムへ入りました。


後半はスタートから動いた岩本監督。右SHの石原海(2年・ジェファFC)を下げて、笈川勇斗(2年・ヴェルディSSレスチ)をそのままの位置へ送り込み、もう一度サイド攻撃の徹底を図りますが、そのサイドから結果を手にしたのは、またも大成。47分、右サイドで得たCKを桜井が短く蹴り出すと、受けた西尾は鋭い反転で縦へ持ち出し、そのまま速いクロス。これがニアにいたDFの頭に当たり、そのままサイドネットへと吸い込まれます。記録上はオウンゴールかもしれませんが、ここは西尾の反転で勝負あり。点差は2点に広がりました。
52分にも大成の右SHを任された山田大哉(2年・帝京FC)のクロスから、最後は高橋のミドルが右のポストを直撃するなど、流れを引き戻せない修徳は、54分に左SHの宮腰一生(3年・江東大島西中)に替えて、大畑雄亮(2年・ジェファFC)を投入すると、ここが1つの潮目に。58分には雪江の右ロングスローから、こぼれをそのまま打ち切った足達のシュートはDFのブロックに遭うも、61分には再び雪江の右ロングスローがこぼれ、雪江自身が放ったミドルはわずかに枠の左へ。62分にも得意のカウンターは2対2。小野寺が左へ振り分け、雪江のラストパスはそのまま流れてしまったものの、「自分たちのボランチの所でボールを失っていたシーンが多かった」とは豊島監督。眠れる修徳がようやく目を覚まします。
63分には岩本監督も思い切った采配を。ドイスボランチの高橋奨平(2年・修徳中)と小澤翔(2年・荒川南千住第二中)を、石原健流(2年・ヴェルディSSレスチ)と和田裕太(2年・三郷JY)に入れ替える2枚替えを敢行。前者が右SB、後者が左SBへ入り、左SBにいた中村大志(2年・ジェファFC)がCBへスライド。CBだった河野は最前線に上がり、ボランチには右SBだった田原迫隼人(3年・Forza'02)と小野寺を置いて一気に仕掛けた勝負。68分には雪江の左ロングスローから、早速河野が惜しいヘディングを。変わった図式。攻勢は修徳。
61分に大河内星夜(2年・東京ベイフットボールJY)を投入していた豊島監督は、69分に2枚目のカードとして都築健太(2年・Forza'02)をピッチへ。さらに、坂口の枠越えミドルを見届けると、73分には左SBへ小島颯(3年・FC町田ゼルビアJY)を解き放ち、流れを奪い返しに掛かりますが、75分には小野寺の左FKがクロスバーを直撃し、77分には大畑、河野と回ったパスから、雪江のシュートも左のポストを直撃。修徳の押し寄せる圧力に、大成は何とか耐え続けます。
しかし、次に歓喜の咆哮を迎えたのも大成。80分、2トップの一角に入った都築が右へ絶妙のスルーパスを通すと、飛び出した高橋はそのまま切れ込んで枠内シュート。鴇田も素晴らしい反応で弾き出しましたが、このボールへ詰めていたのはまたしても濱川。「彼の"ウリ"が今日はしっかり出たかな」と豊島監督。90+2分に訪れたピンチも清水がしっかり消し去り、聞いたタイムアップのホイッスル。「ウチは撃ち合いができるチームではないと思っているので、そういう意味では今日3点入れたこととゼロで抑えられたことは良かったなと思う」と指揮官も納得の表情を浮かべた大成が確実に勝ち点3を積み上げ、白星を1つ先行させる結果となりました。


昨シーズンは昇格したT2でいきなりブロック3位に入り、インターハイ予選では全国へ出場した成立学園とPK戦までもつれる激闘を経験。今シーズンもここまで上々と言っていい数字を残すなど、近年は躍進が目立つ大成。就任当初を「正直に言うと生徒にあぐらをかいて挨拶をされた所からのスタートだったので、イチから変えていかなくてはいけないという所で、挨拶だとか靴の置き方だとか、そういったものをしっかり教えながら色々と浸透させていったんです」と苦笑交じりに振り返った指導9年目を迎える豊島監督は、「意識を高く持ってくれる選手が入ってきてくれるようになって、急激に伸びてきた訳ではなく、本当に一段ずつ上っているようなチームだと思います」とそのチームの変化を語ってくれました。最後には柔らかい口調ながら、「ここ1,2年で強豪校と戦えるという感触はあります。やっぱり引くようなことはしたくないので、とことんそれは貫き通したいなと思いますね」とキッパリ。大成が積み上げていく"一段ずつ"に今後も注目したいと思います。         土屋

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