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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年07月25日

クラ選1次ラウンドDグループ 京都U-18×新潟U-18@藤岡陸上

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0724fujioka2.jpg古都の紫と越後の橙。大会の常連同士がいきなり激突するオープニングマッチ。舞台は引き続き藤岡陸上です。
激戦の近畿でも全国大会の出場権獲得はマスト。ここ5年で2回のベスト4進出を果たし、トップチームにも数々の出身者を送り込むなど、育成と結果を高いレベルで融合させ続けている京都サンガU-18。今回のチームにも永島悠史(3年・京都サンガU-15)、奥川雅也(3年・京都サンガU-15)、大西勇輝(3年・京都サンガU-15)と3人の2種登録選手が在籍中。プレミアEASTでは現在7位とやや苦戦が続いていますが、強さを発揮するノックアウトコンペティションで真価を発揮したい所です。
北信越最強の名を欲しいままにし、今回で15回目の参加となるアルビレックス新潟U-18。ただ、昨年はその北信越でカターレ富山U-18の軍門に下り、夏の全国は2年ぶりの帰還。先日の新潟国際ユースではU-17新潟選抜の一員として優勝を勝ち取った阿部航斗(2年・アルビレックス新潟JY)や佐久間理央(2年・アルビレックス新潟JY)、鎌田啓義(2年・アルビレックス新潟JY)など年代別代表経験者も顔を揃えており、泉澤仁や早川史哉を擁してベスト4まで辿り着いた5年前を超えるべく、真夏の群馬抜けを誓います。気温は第1試合よりわずかに上がって36度。厳しい暑さの中、京都のキックオフでゲームはスタートしました。


序盤からパワーを持って前に出て行ったのは新潟。7分には左サイドへ展開されたボールから、SBの小池裕太(3年・FCアネーロ宇都宮U-15)が鋭いクロス。ニアへ飛び込んだ堀航輝(1年・アルビレックス新潟JY)の前で、京都のCBに入った麻田将吾(1年・アルフット安曇野JY)がクリアしますが、いきなり見応えのある1年生マッチアップが実現。10分には右SBの飯野七聖(3年・アルビレックス新潟JY)が繋ぎ、受けた斎藤宏太(2年・山形FC JY)の折り返しを、吉川佳介(3年・水原FC JY)がフリーで叩いたシュートはわずかに枠の右へ外れたものの、「サイドというのは1つウチの武器でもある」という入江徹監督の言葉通り、まずはサイドアタックから新潟が惜しいシーンを創出します。
ところが、先に歓喜の瞬間を迎えたのは紫のイレブンと応援団。12分、中盤でのボールカットからボランチの宅野海里(2年・島根益田中)が縦に鋭いクサビを付けると、完璧なターンでマーカーと入れ替わった永島は、GKとの1対1も難なく制し、ボールをゴールネットへ送り届けます。ハイレベルな一連の流れをきっちり成果に結び付けた京都が、まずはスコアを動かしました。
「暑さもあったので、できれば最初の方で1点でも多く取りたかったというのが正直な所」とは入江監督でしたが、ビハインドを追い掛ける新潟にさらなる追い討ちが。20分、これも中盤でのボールカットから大西が短く出すと、右サイドでボールを持った松下英右(2年・F.C.Alma大垣U-15)は縦に加速してマーカーをぶっちぎり、そのままフィニッシュまで。角度のない所から放たれたシュートはサイドネットへ一直線に突き刺さります。「松下が久しぶりにゴールを決めたので、それが今日の一番良いニュースかな」とは川勝博康監督。点差が広がりました。
さて、「立て続けのもったいない失点」(入江監督)で小さくないビハインドを背負ってしまった新潟。「最初に相手の9番を意識し過ぎたりして、ちょっと引き気味になった所ですぐ取られてしまった」とはCBの佐久間。実際、"相手の9番"こと奥川はかなりキレキレ。24分にはクリスティアーノ・ロナウドそっくりの助走と無回転ボールで枠内にFKを直接飛ばし、阿部が何とかファインセーブで応酬。25分には独力で左サイドを抜け出すと、シュートはわずかにゴール右へ。奥川を中心にサイドからきっちり攻める回数が増えてきた京都が、攻守にリズムを持ってゲームを進めていきます。
28分は新潟。小池が左から投げたスローインで吉川が抜け出し、反転しながらボレーで合わせたボールはわずかに枠の左へ。32分も新潟。相手GKのキックミスを奪った鎌田がスルーパスにトライし、堀が抜け出し掛けるも判定はオフサイド。36分は京都。永島がDFラインの裏へ落とし、大西のクロスをファーで当てた松下のヘッドはゴール左へ。ボールを動かしながらワイドを使った京都が相変わらず保持していたゲームリズム。
1本のキラーパスが一変させた局面。39分、ドイスボランチを組む藤田航(3年・アルビレックス新潟JY)のパスを引き出した手塚竣一朗(3年・ながいユナイテッドFC)は、中央の狭いスペースへ鋭い軌道を。スルリと抜け出した斎藤が飛び出したGKの右脇を冷静に破ると、ゆっくり揺れたゴールネット。「サイドの突破という所を意識させた中で、今度は逆に真ん中が手薄になった時に入っていこうという形」(入江監督)はチームの狙い通り。点差はたちまち1点に縮まり、最初の40分間が終了しました。


後半はスタートから新潟に選手交替が。「1年生なのでやれる所までやらせた」(入江監督)堀に替えて、「キープもできるし、前に行く推進力もある」(同)奥直仁(2年・あわら芦原中)をそのままの位置に送り込み、前線の顔触れに変化を加えると、44分には藤田が繰り出したスルーパスにまたも斎藤が飛び出すと、GKとの接触で転倒。和角敏之主審はPKの判定を下します。
絶好の同点機にスポットへと向かったのはレフティの小池。短い助走から蹴られたキックはゴール右スミへ飛び込みますが、新潟の選手がエリア内へ入ったという主審の判断で蹴り直しとなってしまいます。難しい"2本目"。小池の選択は"1本目"と逆の左スミ。京都のGK外山佳大(2年・FC KRILO)も読んではいましたが、わずかに及ばず。「前半の最後の最後で1点取れて少し楽になれた所はあった」と佐久間も語った自分たちの流れをうまく継続させた新潟が、スコアを振り出しに引き戻してみせました。
「"裏"というのはある程度狙われていたかなと思うが、そこはDFラインの集中力とディフェンスの対応で何とかなる範囲だった。ただ、そこでちょっと足が止まってしまった」と失点を振り返った川勝監督は、48分に右SBの酒井崇一(3年・UKI-C.FC)がカットインから放ったシュートが阿部にキャッチされるのを見ると、51分にボランチの武市穣太(2年・京都サンガU-15)と荻野広大(2年・京都サンガU-15)を、53分に前線の松下と沼大希(2年・京都サンガU-15)を相次いで入れ替え、「中盤でパワーがなくなった」部分のてこ入れに着手します。
すると、以降は沼と奥川の強烈な推進力を軸に京都のラッシュ。62分、SBの石岡巧丞(3年・京都サンガU-15)を起点に、奥川が左サイドを独力で切り裂き、そのまま狙ったシュートはサイドネット外側へ。66分、沼の繋ぎから完全に抜け出した奥川のシュートは、しかし阿部が左足でビッグセーブ。68分、奥川が左から放り込んだCKを、CBの平山悠大(3年・京都サンガU-15)が頭に当てるも枠の右へ。70分、大西のパスに反応した沼のシュートはここも阿部がワンハンドで弾き出し、こぼれに飛び付いた奥川はシュートまで持ち込めず。京都も決定的なチャンスを創出するものの、「守備ラインもシュートを打たれても航斗がいるからという所で、逆にそれがあるから粘り強く体を投げ出せるのかなと思う」と入江監督も言及した阿部が新潟ゴール前に仁王立ち。これ以上の失点を許しません。
73分には新潟に久々のチャンス到来。奥がシンプルにDFラインの裏へ入れると、斜めに飛び込んだ吉川はGKともつれて転倒。際どいシーンでしたが、ホイッスルは鳴らず。"3本目"のPKは新潟へ与えられません。ただ、奥は74分にもやはり左サイドを切り裂くなど、"槍"としての役割は十分に。既に宮崎幾笑(2年・ザスパクサツ群馬U-15)を投入していた入江監督は、76分に伊藤康平(2年・アルビレックス新潟JY)をピッチへ送り込み、中盤のバランス維持を託します。
最終盤は再び京都のラッシュ。79分、奥川がドリブルでエリア内へ侵入するも、新潟のCB有田光我(2年・アルビレックス新潟JY)が何とかカット。80分、沼が狙ったシュートはマーカーがきっちり寄せて阿部がキャッチ。80+2分、永島のパスから沼が切り返して打ち切ったシュートは伊藤が体でブロック。直後は決定機。左から奥川が鋭いCKを放り込み、ニアで宅野が合わせたヘディングは阿部が驚異的な反応で触ると、ボールは右のポストを直撃してピッチ内へ。「1人剥がされても2人目という所」(入江監督)「組織でという感じで2枚ぐらいで行って取る」(佐久間)と2人が声を揃えた厚みのある守備を新潟がやり切り、これ以上スコアは動かず。注目の好カードはお互いに勝ち点1ずつが振り分けられる結果となりました。


「2点取られて逆転されずに、最後に自分たちのペースに持ってこれたのは良かったかなと思います」と川勝監督が話した京都は、やはり個人能力で見ても組織で見ても優勝候補の呼び声にふさわしいチームだった印象です。特に左右両足でCKを蹴り分け、ドリブル突破にも抜群のキレを見せる奥川は別次元の活躍ぶり。それでも指揮官が「もっとできますけどね、実際は。本人が一番悔しいんじゃないですか」と言い切るあたりに、底知れぬポテンシャルを感じました。「初戦で勝ち点1なのでその部分は次に繋がるかなと思います」と川勝監督が話した通り、このゲームに関しては決して悪くないドローだったのではないでしょうか。
一方、「いつもやっている戦い方を変えるつもりはなかったので、自分たちのサッカーがどこまで通用するかとやった中で頑張った方なのかな」と入江監督が振り返った新潟にとっても、2点差を追い付いてのドローというのは上々の結果だったように感じます。こちらで目立ったのはCBの佐久間。本人も「サッカーは11人のスポーツだけど、やっぱり個が重要じゃないと強くはなれないかなと思っている。特にディフェンスの選手はFWとのマッチアップみたいなものなので、そこをどう抑えられるか。自分たちが抑えられれば前も推進力が出て、やる気も出てくると思うので、最終ラインということを考えながら個では負けないようにしたい」とキッパリ。新潟国際ユースでの経験も「自分たちのやってきたサッカーは間違っていないというか、それが本当に結果でも証明されたと思う」とポジティブに消化した様子。入江監督も「ハーフタイムには厳しいことを言いました」と笑いながら、「体をあれだけ投げ出せるというのは、彼にしかできない部分でもある」としっかり評価を口にされていました。今後の彼の活躍にも是非注目したいですね。         土屋

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