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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年01月27日

東京都クラブユースU-17サッカー選手権大会決勝リーグ 横河武蔵野FCユース×三菱養和SCユース@横河G

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yokogawa0126①.jpg昨年の決勝リーグでも激突した、東京"街クラブ"最強決定戦。舞台は昨年からホームとアウェイが反転。荒天の三鷹は横河電機グラウンドです。
飛躍の2013年は、この新人戦でFC東京U-18と三菱養和SCユースを連破して西が丘のファイナルへ。T1リーグでもわずか1敗と磐石の戦いぶりで優勝に輝くなど、都内のコンペティションにおいては十分な結果を出した横河武蔵野FCユース。とはいえ、クラ選では逆に養和に屈して関東2次予選で敗退。予選を突破して全国へと勝ち上がったJユースカップも、ベスト16で鹿島アントラーズユースに大敗。さらに先月のプリンス関東昇格決定戦では準決勝でPK戦負けと、もう一段階ステップを駆け上がる余地が残されている今シーズンの開幕シリーズで、まずは昨年1勝1分け1敗だった養和との決着をホームで付けたい一戦です。
創設初年度から2年続けてギリギリでの残留を果たしてきたプレミアリーグEASTで、昨年はある程度の余力を持ちながらクラブ最高位の7位でシーズンを終えた三菱養和SCユース。前述したように1年前のこの大会では横河に敗れて3位決定戦へ回っているだけに、「相手も良いチームですし、この東京都の大会は公式戦として大事だと思う」と山本信夫監督が口にした以上に、選手たちはこの一戦にリベンジを懸ける想いも強いはず。「現時点のベストメンバー」(山本監督)でアウェイゲームに挑みます。試合直前からポツポツと降り出したのはみぞれ混じりの氷雨。注目のビッグマッチは15時ジャストにキックオフされました。
先に勢い良く飛び出したのは養和。2分に早くもCKを獲得すると、直後には高橋瞭斗(2年・三菱養和巣鴨JY)のパスから伊東駿(2年・三菱養和巣鴨JY)がファーストシュート。ここは横河の左SB菅波錬(2年・横河武蔵野FC JY)にブロックされましたが、7分にも左からのクロスを高橋が繋ぎ、瀬古樹(1年・三菱養和巣鴨JY)が枠の上へ外れるミドルにチャレンジ。11分にも瀬古を起点に伊東が右へ振り分け、高橋のクロスを収めた相馬勇紀(2年・三菱養和調布JY)が右へ持ち出しながら枠の左へ逸れるシュートまで。先週のゲームで5点を奪った好リズムを、このゲームでも序盤から披露して見せます。
さて、「最初は相手が去年の3-1-4-2みたいな形で来るかと思ったが、3-4-3みたいな形でやってきた」と増本浩平監督も話した横河は、いつもアウトサイドをやることの多い渡辺悠雅(2年・横河武蔵野FC JY)を「アンカーの脇を取りに行くのにあの2人だったら面白いかな」(増本監督)という狙いで北原祐希(2年・JACPA東京FC)と揃ってインサイドの中盤に起用。守備面では渡辺のボール奪取が目立ったものの、攻撃ではボールが中盤に集まらず、なかなかチャンスを創り切れない状況に。15分には菅波のパスを関口雄大(2年・横河武蔵野FC JY)が裏へ付けるも、走った添田賢司(2年・BANFF横浜)には届かず。攻撃をシュートで終わらせられません。
15分は養和にビッグチャンス。瀬古と相馬を経由したボールは根上鉄平(1年・三菱養和巣鴨JY)へ。渾身のミドルは右のポストを激しく叩いたものの、ドイスボランチが積極的にフィニッシュへ絡み、惜しいシーンを創出。19分にも養和は瀬古の右CKから、最後は相馬が強烈なミドルを枠の左へ。21分には横河も太田翔(1年・三菱養和調布JY)が裏へ落とし、DFと入れ替わった高木涼介(2年・横河武蔵野FC JY)が枠内シュートを放つも、養和GK畚野直柔(2年・三菱養和調布JY)がしっかりキャッチ。リズムは養和のままでゲームは推移していきます。
養和は下田悠哉(2年・三菱養和巣鴨JY)を頂点に置きながら、アウトサイドのイメージも強い相馬を伊東と2シャドー的に並べる布陣の中で、その3人がいい距離感で中央突破を狙いつつ、右の高橋を使ってサイドを崩すという形が頻発。22分には右サイドのスローインから、下田が横河GK吉江竜太郎(2年・横河武蔵野FC JY)にキャッチされる枠内シュート。23分にも右CBの佐藤大介(1年・FCトレーロスJY)と相馬のパス交換から、最後は下田が放ったシュートも吉江がキャッチ。33分には伊東が右へ回したボールを高橋が折り返し、走り込んだ下田のシュートはヒットしませんでしたが、うまく中と外を使い分けながら得点の機会を窺います。
すると、先制点はやはり右のサイドアタックから。33分、相馬が右に振ったボールを高橋は柔らかいクロス。最後尾からニアへ突っ込んでいた佐藤がフリックすると、ファーで待っていた伊東のボレーがゴールネットを揺らします。「クロスの質自体は昨年から引き続きの課題」とは山本監督ですが、「1人だけじゃなくて、1人がニアで、2人や3人がクロスに入るというのは大事なことだと思う」と続けた指揮官の言葉通り、このシーンはエリア内に選手が殺到しての先制弾。まずは養和がスコアを動かしました。
先に失点を許した横河もようやく反撃の糸口が。38分にはCBの小林雅実(2年・横河武蔵野FC JY)が1本のフィードを送るも、高木には届かず畚野がキャッチ。42分には添田のトライで得た右CKも、太田が入れたボールはDFがクリア。直後にここも太田が右から蹴ったFKへ、ニアで北原が合わせたヘディングもわずかに枠の左へ。「今年のチームは縦に速いという特徴がある」と増本監督も言及した部分が、わずかながらも顔を覗かせ始めます。
その"縦への速さ"の結実は前半終了間際。推進力はやはりこの男。45分、中盤でぴったり付かれたマーカーを、抜群のボディバランスで吹っ飛ばした渡辺はそのまま右サイドを独走。エリアのやや外から放ったシュートへ、逆サイドから突っ込んできた太田が合わせると、GKも弾き切れずにボールはゴールネットへ到達します。「キャプテンで10番でエースでと全部背負ってもらって。でも、それを跳ね返して結果を出していって認められないと、プロにはなれないと思うし、彼は目標がそういう所にあるので全部押し付けてやろうと」いう指揮官の期待に応える渡辺の突破から、増本監督も「ドルトムントのロイスみたいになれと言っている」という養和調布出身の太田が"古巣"相手に痛烈な一撃。養和が押し気味に進めた最初の45分間はタイスコアで終了しました。
後半はいきなり養和にビッグチャンス。開始から1分も経たない46分、根上が右へ当てると相馬はグングン加速。そのまま狙ったシュートは吉江のファインセーブに阻まれましたが、「彼には外ともう1個前のトップ下みたいな所と、両方できるようになって欲しい」という山本監督の狙いをフィニッシュワークで体現します。
47分は横河。左から太田が上げたクロスに、ニアへ飛び込んだ高木はシュートまで行けなかったものの、サイドアタックから1ついいシーンを。51分には中盤で粘った渡辺が裏を狙い、高木には届きませんでしたが、前半に比べるとボールを落ち着いて回す場面も格段に増加。ようやく出てきた攻撃の"準備段階"を構築するような流れ。
一方の養和は52分に下田、57分にも下田、60分には瀬古と続けてミドルレンジからのシュートを連発したものの、いずれも吉江の範囲内か枠外へ。「相手に読まれない攻撃ということを考えると、クロスもあり、スルーパスもあり、でもシュートもあるよというのが理想」と山本監督も話す中で、"シュート"の選択への比重が増し始めるも、やや遠い距離からのトライが多く、前半のようなサイドアタックは少なくなっていきます。
そんな中で迎えた61分、久々にサイドを崩した形から掴んだ絶好の勝ち越し機。「左足のキックが得意で、前の動き出しを見て狙っている」という左CBの池田樹雷人(2年・三菱養和巣鴨JY)がその左足で縦に付けると、WBの鯨井広夢(1年・三菱養和巣鴨JY)はそのままカットインでエリア内へ潜り、DFに倒されてPKを獲得します。キッカーはレフティの下田。丁寧にコースを狙ったキックは、しかし吉江が完璧に読み切ったセーブで仁王立ち。守護神のビッグプレーが横河のビハインドを許しません。
65分に根上と下田の連携から、相馬がクロスバーを越える左足ミドルを放つと、先に動いたのは増本監督。ミドル直後の65分、添田に替えて大橋敦(2年・横河武蔵野FC JY)をインサイドの中盤へ送り込み、右サイドへスライドさせた渡辺の役割をより明確に。さらに69分には下田がミドルを、同じく69分には相馬がミドルを、70分には下田が縦に抜け出し、最後は鯨井がシュートをそれぞれ繰り出すのを見て、71分に増本監督はアンカーを関口から槇廉(1年・芝中)にスイッチ。少しボールが回るようになった副産物として、「いいようにボランチの脇を使われ始めた」(増本監督)状況の打開を図りつつ、二の矢、三の矢をピッチへ解き放ちます。
一方、74分には小原拓磨(1年・三菱養和調布JY)、相馬、下田と流れるようにボールが繋がり、相馬の強烈なシュートは吉江に正面でキャッチされるも、素晴らしい崩しを見せた養和でしたが、その前後は「やっぱりシュートを打っても入らないなと相手がなってしまったら、『そこはいいよ』みたいな形になってしまうと思う」と山本監督も振り返った通り、フィフティより可能性の低いシュートチャレンジが目立っていた中で、山本監督の決断は1人目の交替と配置変え。75分、鯨井に替えて萩原大揮(1年・三菱養和巣鴨JY)をシャドーの位置へ送り込み、相馬が右WBへ。「右も左も苦もなくできる」と山本監督も太鼓判を押す右WBの高橋は、左WBへとポジションを移し、ギアを上げに掛かる最後の15分間。
ポゼッション率の向上にも「何となくボールを回しているだけなので、結局フィニッシュまで行けてない」と厳しい見方をした増本監督も、75分には北原と渡辺将矢(1年・浦和レッズJY)を、81分には高木と田代雄大(1年・Forza'02)をそれぞれスイッチさせ、最前線には大橋を、中盤はアンカーに槇、その前に渡辺と田代を配し、中央の4枚をスタートからそっくり入れ替えて勝負に出ます。
83分は養和。池田が裏へ放り込み、下田が打ち切ったシュートはDFに当たって枠の左へ。84分も養和。瀬古の左CKからこぼれを叩いた高橋のミドルは枠の上へ。「前半の途中くらいからインターセプトをするような場面が結構あった」と増本監督も一定の評価を口にした加藤優志(1年・横河武蔵野FC JY)と小林のCBを中心に、横河守備陣の切れない集中力。
88分には養和に再び訪れた決勝点のチャンス。中盤から瀬古は糸を引くようなスルーパスを中央右へ。信じて走った根上はマーカーと並走しながら縦に持ち出し、そのまま枠内へシュートを飛ばしましたが、吉江がファインセーブで回避すると、スコアはこれ以上動かず。「チャンスがあったので、得点はちゃんと決めなきゃいけない。そこはやっぱり課題として受け止めます」と山本監督が話せば、「昨日久我山と練習試合をやって、ほぼみんな80分くらい出た中でやってみた割には良かったんじゃないですか」と増本監督。東京"街クラブ"最強決定戦は、やや意味合いの違う勝ち点1ずつが平等に振り分けられる結果となりました。
「前半の最後の失点はいらなかった。今日は勝ちたかったですね」という池田の言葉が、養和イレブンの総意をそのまま代弁していたと思います。とはいえ、「ああいうワンプレーで勝負が決まってしまったりとか、そういうのが大事なんだよというのもわかると思うので、そういう意味では勉強になったということで僕はプラスに捉えています」と山本監督。昨年からメンバーの入れ替えも少なくない中で、「個人としてもベースをもっともっと上げないと。プレミアで勝っていくには、いくら戦術でとか言っても難しいので、この期間は持っているものを最大限発揮できるようにしたい」(山本監督)という"この期間"でしっかり難しいゲームを経験できたことには、小さくない意味があったのかもしれません。
こちらも昨年のレギュラークラスがごっそり卒業し、まさに新チームといった雰囲気の横河は、試合全体の流れを考えると悪くない"勝ち点1"だった印象です。「あまりポゼッションの所をどうこうというのはなくて、効率的にフィニッシュまで持っていく所に時間を掛けたいなと思う」と自ら話したように、今年の特徴の1つは"縦への速さ"だと見定め、今後も柔軟にチーム創りを進めていきそうな増本監督の手腕にも大きな注目が集まります。そして、やはりこの日も圧巻のプレーを見せていた渡辺悠雅は今年の東京年代、ひいては全国で見ても間違いなく要注目選手。指揮官からのそれも含め、彼が色々なプレッシャーをどう自分の力に変えていくのかは、1年間継続して見ていきたいと思います。        土屋

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