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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年12月14日

インカレ1回戦 宮崎産業経営大×北陸大@荻野

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ogino1214①.jpgサッカーにその身を捧げてきた24校の大学生が、最後の国立だけを目指して鎬を削る全国舞台。参加チームも一気に拡大された今大会のオープニングゲームが行われるのは、厚木にある荻野運動公園陸上競技場です。
常に激戦を強いられる九州の中で、リーグ最多となる55得点という圧倒的な攻撃力を武器に福岡大を抑えて2位で抜け出し、6年ぶりに全国へと挑戦する切符を掴んだのは宮崎産業経営大。昨年の高校選手権で宮崎県に初の全国制覇をもたらした鵬翔高校出身の1年生がメンバーに加わったことも、「選手層の底上げだったり、先輩の危機感だったり、チームの活性化という意味ではプラスの意味があった」と笛真人監督。九州代表として、そして宮崎代表としての誇りを胸に大事な初戦に挑みます。
対するは北信越1部に昇格してから5年目にして、12勝2分けという圧倒的な成績を叩き出し、悲願だった優勝というタイトルを引っ提げ、同校初の全国大会へと駆け上がってきた北陸大。その施設の充実ぶりに言及する高校年代の指導者も多く、近年は全国からタレントが集結。日本代表も経験している越田剛史総監督の下、さらなるステップアップをこのステージで狙います。澄んだ空気を纏った荻野は美しい快晴。300人近い観衆が見守る中、北陸大のキックオフでゲームはスタートしました。
立ち上がりは4-3-3の布陣で、中盤センターに入った中山雄登(4年・津工業)を中心にしっかりパスを回しに掛かった北陸大のペース。6分には小林大介(3年・新潟工業)が粘って獲得した右FKを橋爪健斗(4年・伏見工業)が蹴り込み、こぼれを狙った高橋和雅(3年・桐生第一)のシュートはクロスバーの上に消えたものの、ファーストシュートを記録。12分には宮崎産経大も左サイドで細かく繋ぎ、加藤直也(4年・鵬翔)がシュートを放つもボールは枠の左へ外れると、直後の決定機は北陸大。13分、左から橋爪が浮かせたラストパスはDFラインの裏へ。フリーで走り込んだ御宿貴之(3年・前橋育英)のシュートは枠の左へ外れ、緑の応援団も頭を抱えましたが、「ちょっと緊張していたのか、最初はパスで回されたなというのはあった」と笛監督も話したように、全国初登場の北陸大が積極的に飛び出します。
ただ、15分に中央から江崎大志(3年・神村学園)がクロスバーを越えるミドルにチャレンジしたあたりから、少しずつ変化が訪れた両者の攻守バランス。「両サイドは状況に応じて、リスクを持って攻めろと言っている」と笛監督も言及したように、とりわけ左SBに入った平河智博(2年・鵬翔)が果敢にサイドを駆け上がり出し、それに呼応するかのように同サイドは神田傑(3年・日章学園)、逆サイドは江崎が配されたSHもボールを引き出し始め、幅を使ったサイドアタックが増加。20分には連続でCKを奪うなど、「序盤は相手のペースで焦ったが、チャンスが掴めてからは落ち着いてプレーできた」と江崎も振り返った通り、ジワジワと移っていくゲームリズム。
咆哮の時は24分。左サイドでボールを持った神田が縦に付けると、追い越したのはここも平河。上げ切ったボールはファーまで届き、「監督からも積極的に仕掛けろと言われていた」江崎が収めて振り抜いたのは利き足の左。ゴールネットへ突き刺さった球体。「右サイドだったら左足でシュートが打てるのでやりやすい」と語るレフティの華麗な一撃。掴んだ流れを確実に結果へ生かした宮崎産経大が1点のリードを奪いました。
29分にも江崎を起点に1.5列目に位置する東聖二(1年・鵬翔)がヒールで落とし、神田が枠の左へ外れるボレーを放つなど、「いい時間帯に1点取れて、みんな緊張感が取れた」(徳永大輝・4年・アミーゴス鹿児島U-18)宮崎産経大の時間帯は継続。何とか序盤のリズムを取り戻したい北陸大も、32分には高橋のフィードに御宿が競り勝ち、近藤教文(3年・桐生第一)が当てたボレーは枠の右へ。42分にもカウンターから近藤が右へ流し、御宿がドリブルから枠へ飛ばしたシュートは宮崎産経大GK米倉史晃(4年・アミーゴス鹿児島U-18)にキャッチされましたが、繰り出す手数に同点への意欲を滲ませます。
それでも次に記録されたのは追加点。43分、最終ラインでボールを持った大久保正千栄(4年・神村学園)がシンプルにフィードを送ると、中央を加藤がまったくのフリーで抜け出します。DFはオフサイドをアピールするも、副審のフラッグは上がらず。加藤は向かって左に運び、北陸大のGK原田洋斗(4年・東京ヴェルディJY)もわずかにボールへ触りましたが、何とか振り切った加藤は無人のゴールへフィニッシュ。開いた点差。
「畳み掛ける所や、勝負所のタイミングとか、そういうのはわかっていたと思う。もうリーグでずっと1年間やってきたので、そこは表現できたかな」とは笛監督。"畳み掛ける勝負所"を逃さない嗅覚が発揮されたのは45分。今度は右SBの西星哉(2年・神村学園)が早めにクロスを送ると、こぼれたボールは徳永の足元へ。「時間もそんなになかったので、繋ぐよりは思い切って蹴ってみようとシンプルに」、ゴールまで30mを超える位置から直接狙ったミドルはゴール右スミギリギリへ吸い込まれます。完全に主導権を握った宮崎産経大が前半で積み上げたゴールは何と3つ。想像以上の点差が付いて、最初の45分間は終了しました。
後半はスタートから動いた北陸大ベンチ。御宿に替えて、投入されたのは越博康(2年・作陽)。越をそのまま3トップの右へ送り込み、1つずつ返していきたいビハインドですが、ゲームが再開するとやはりペースは宮崎産経大。50分には神田、加藤、宮路徹(4年・鵬翔)の連携で左CKを獲得すると、神田のキックに合わせた平河のヘディングはゴール右へ。55分にも平河の突破で得た左CKを神田が蹴り込み、ここも平河がファーでヘッド。少し勢いの弱いボールは原田にキャッチされましたが、4点目を狙う積極的な姿勢は衰えません。
スムーズにゲームへ入った越がボールによく関与し、57分には右CKを、58分にはゴールまで35m近い位置から直接狙ったFKをいずれもその越が蹴るなど、何とかゴールへの可能性を探りつつある北陸大でしたが、それ以上に勢いを増したのは宮崎産経大のサイドアタック。59分、神田が上げた左クロスから、こぼれを拾った江崎のシュートは枠の左へ、。61分、逆からのクロスが右へ流れ、拾った西が縦に持ち出してピンポイントで合わせたグラウンダーを、至近距離から打った神田のシュートは枠の上へ。64分にも西が右へ流し、江崎が折り返したボールを神田が狙ったシュートは味方に当たってオフサイドの判定。それでも、江崎と神田が前半以上に両サイドで躍動し、「速い攻撃で仕掛けて、ショートカウンターという武器」(江崎)を遺憾なく発揮した宮崎産経大が押し込みます。
残り20分で笛監督が最初に切ったカードはサイドアタッカー。神田を下げて、宮路優大(2年・鵬翔)を右SHへ投入すると、いきなり創り出した決定機は71分。東が左へ展開したボールを平河はピンポイントでファーへ。まったくのフリーで走り込んだ宮路のヘディングは枠を捉えられませんでしたが、ファーストプレーであわやというシーンに顔を出すと、78分にも江崎のクロスに飛び込んだのは、自らパスを左へ振り分けた宮路優大。ここもシュートはクロスバーを越えたとはいえ、交替選手もスムーズにゲームへ入り、いよいよ時間帯はクローズの10分間へ。
何とか全国の舞台でゴールという結果が欲しい北陸大。80分には右SBの望月湧斗(2年・洛北)が倒されて得たFKを、高橋和雅がゴールまで約30mの位置から枠に収めるも、米倉がしっかりキャッチ。85分には小林とブーゾ基アモス(1年・FC東京U-18)も入れ替え、最後の勝負に打って出た北信越王者に、後半最初で最後の決定機が訪れたのは90分。左サイドの高い位置で相手ボールを奪った越が中へ送ると、受けたブーゾ基アモスの視界に開けたゴール。しかし、きっちり寄せた宮崎産経大のCB鈴木義宣(3年・宮崎日大)の厳しい寄せにシュートは打ち切れず、オフェンスファウルを取られて万事休す。「点が取れて何回かチャンスも創れたので、及第点は及第点だと思う。全国は簡単に勝てるチームばかりじゃないので、3-0というのはいい結果」と笛監督も評価を口にした宮崎産経大が、完封勝利で明治大が待ち受けるベスト8へと駒を進める結果となりました。
例えば前述したように鵬翔の高校選手権優勝。あるいは昨年の夏に延岡学園が成し遂げた甲子園準優勝。さらに"宮崎牛"も含めた全国に誇れる各種の物産。こういう近年の動向が笛監督によると「比較的県民性として宮崎の方言で『いっちゃが、いっちゃが』という、『まあそんな頑張らなくてもいいじゃない』というような感じがあったんですけど、結果を残してきたことで宮崎県民にも『俺たちでもできるんじゃないか』というメンタルができてきた」そうです。今大会の目標を聞くと「チームとして全国に通用するようなレベルに来たので、優勝を狙って頑張りたい」と江崎が話せば、「下手ですけど、一応優勝を目指しています」と笑顔の笛監督。九州を飛び越えつつあり、『いっちゃが、いっちゃが』を脱却しつつある宮崎の雄が、目標の聖地行きへ向けて最高のスタートを切りました。         土屋

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