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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2013年09月02日

J2第32節 栃木×徳島@グリスタ

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tochigi0902.jpg60分の順延は恵みの雨か否か 9月ファーストマッチは雷雨により1時間キックオフ時間が伸びたグリスタです。
積み重ねた未勝利記録は11。苦しい状況が続いていた栃木に、前節差し込んだ光はアウェイで岡山を下した1-3の快勝。10勝10分け10敗という綺麗に並んだ3つの"10"は、次へのリスタートを切るのに絶好の数字。久々の連勝を、悪天候の中でキックオフを待ち続けていたサポーターへ送り届けたいゲームです。
一方、積み重ねた無敗記録は10。前節こそ終了間際の失点で難敵の京都と勝ち点を分け合ったものの、依然昇格プレーオフ圏内の5位をキープしている徳島。「年も一緒だし、ずっと前からやっているので刺激し合える」と語る福元洋平と青山隼のカナダワールドユースに出場していたCBコンビの安定感も抜群。「過去は関係ないですけど、4位になった時の雰囲気に近いかなとは少し感じる」と話した、"2年前"を知る津田知宏の視線の先には、明確に唯一無二の目標が映っているようです。
前述したように、雷雨で18時を予定していた試合開始時間は1時間後ろ倒しになって19時に。それでも一時避難しながら、スタンドに残ったサッカージャンキーは2742人。雨もほとんど上がり、23.8度と絶好のコンディションの下、栃木のキックオフでゲームはスタートしました。
ファーストシュートは栃木。3分、西澤代志也が右サイドからスローインを入れると、こぼれを本橋卓巳が利き足とは逆の右足でミドル。ボールは枠を越えたものの、まずは「ホームでサポーターのみなさんと勝利の喜びを分かち合いたい」(松田浩監督)という気持ちを感じさせるチャレンジで立ち上がります。ところが、公式記録上はこのシュートが栃木にとって前半の最初で最後のシュート。勢いを持続させられません。
10分に右SBへ入った藤原広太朗の鋭いクサビを受けて、キム・ジョンミンの放った反転ミドルがチームファーストシュートとなった徳島。このシュートは最初の20分間で見るとチーム唯一のシュートではありましたが、「ボールを繋いでいけというのは監督からも指示があるし、結果が出ていることと、個人でやれていることが重なって、自信を持って回せている部分もあると思う」と福元も話したように、それほど前に急ぐでもなく、きっちり最終ラインでボールを回しながら、隙を窺う徳島のスタイルにはある種の余裕すら。チャンス自体は多くない中でも、「守備をきちっとやることは、攻撃がうまくいくとボールをキープできることの裏返し」と小林監督も言及した通り、表裏一体の攻守バランスは高いクオリティを保ち、21分にFKの流れからサビアがエリア内で放ったシュートも、福元が体でブロック。うまく自分たちのペースを掴みながらゲームを進めていきます。
すると、徳島に増えた手数。25分、宮崎光平が浮き球を中へ送り、柴崎晃誠が1トラップから狙ったボレーは栃木GK榎本達也がキャッチ。29分、アレックスが右から蹴ったFKに、ファウルを獲得した津田が自ら合わせたヘディングは枠の右へ外れましたが、その2分後にアウェイゴール裏へ少なくない人数で駆け付けた青いサポーターの"鉦"を絶叫させたのはあの男。
31分、センターライン付近で相手のクリアミスを拾った津田は、ゴールまで35m近くはある距離からミドルを敢行。揺れて、揺れて、落ちたボールは名手・榎本も触ることはできず、ゴールネットへ綺麗に飛び込みます。「非常にスーパーなゴール」(松田監督)「良いミドルシュートが入ったのは、調子がいい津田だったから」(小林監督)と両指揮官も賞賛した一撃に、しかし本人は「あんなのは打ったことがないので、たぶんブレてると思いますけどマグレです」とあっさり。キャプテンマークを巻くストライカーのゴラッソで、徳島が1点のリードを奪って最初の45分間は終了しました。
「残り45分で逆転するため、フルパワーで闘おう」というメッセージと共に、松田監督が後半のピッチへ送り出したのは、杉本真に替わって久木野聡。「いい守備からいいカウンターという流れになっていたが、奪った後にシュートまで行く所の精度が欠けた」という判断の改善を、金髪のアタッカーに託します。
実際に後半はスタートから栃木に好リズム。49分には高木和正が左へ送り、赤井秀行が右足で上げたクロスはわずかにサビアも触れませんでしたが、50分にもクイックで出したFKから右CKを得ると、高木のキックに西澤が頭で合わせ、反応した廣瀬浩二の前には福元が体を入れてブロック。シュートまでは繰り出せずも、確実に黄色へ傾いたゲームリズム。
52分には徳島もアレックスの右FKから、最後はキム・ジョンミンがシュートを放つもCB當間建文が体でブロックすると、再び栃木の時間。55分、中央左、ゴールまで25m強の位置からクリスティアーノが狙ったFKはクロスバーの上へ。57分、高木が中へ放り込んだ右FKは、ゴール前の混戦を創るも宮崎光平が必死にクリア。58分、高木の左クロスを下がりながら頭に当てたサビアのシュートは、4試合ぶりにスタメン復帰した松井謙弥がしっかりキャッチ。59分、廣瀬が右へ付け、西澤がニアへ高速かつ低空で入れたクロスに、サビアが突っ込むも間一髪で松井がキャッチ。「後半の入りはDFラインがドタバタして流れが悪くなってしまった」と福元が話せば、「後半はちょっと受けてしまって入りが緩かった」と小林監督。スタンドに広がる同点への期待と希望。
小林監督も1人目の交替を63分に決断。キムとドウグラスをスイッチさせ、前線の変化に着手すると、64分には大﨑淳矢のスローインから、ゴールライン際へ潜った津田がえぐり、折り返したボールは榎本にキャッチされたものの、この一連で徳島に返ってきたゲームリズム。65分にはドウグラスが左へ展開した流れから、津田を経由して大﨑が狙ったシュートは枠外も好テンポでフィニッシュまで。「自分たちが悪いリズムの時に守備をしないといけないけど、そこをきちっとやると"何か"が生まれるし、勝てるということも感じている」(小林監督)というここ最近の成功体験が、チームに落ち着きと安定感をもたらしていることがピッチ上の選手から窺えます。
さて、67分にサビアと近藤祐介を入れ替え、前へのパワーを強化した栃木でしたが、「徳島の守備の方が、我々が点を取ろうとする部分よりも、コミットメントの度合いが高かった」と松田監督も話したように、福元を中心にした相手守備陣に穴を開けられません。81分には最後のカードとして、西澤に替えて湯澤洋介を送り込むと、82分には高木のFKからエリア内で近藤に決定的なシュートシーンが訪れましたが、「集中はしていたし、あのシーンは体が勝手が動いた」という福元が全身を投げ出してブロック成功。89分にもクリスティアーノの右CKから、最後は當間が押し込もうとしたヘディングも、ゴールライン上で津田が決死のクリア。「順位も順位で自分たちがいい形で試合を進めている中で、みんなが盛り上げていくという意識がある」と語ったキャプテンが守備面でビッグプレー。破れない徳島の堅牢。
加えて、最後のカードとして津田との交替でピッチに入ったのは高崎寛之。時間は90+1分であり、当然ゲームをクローズする意味合いの強い交替策を小林監督が選択した中で、「ほんのわずかな仕事かもしれないが、それでも高崎はFKのクリア1回、キープ1回、逆サイドに走って体を入れてゴールキックにしてくれた」とその指揮官も話したように、90+2分にバックスタンドサイドを赤井が抜け出しそうになったシーンで、最前線から最後尾までダッシュで戻り、絶妙な体の使い方でピンチをゴールキックで終わらせたのはFWの高崎。「僕が言うことじゃないと思いますけど」と前置きした津田が、「ああいうヒロ君みたいな選手が、あそこで最後まで走り切れるというのを、若いヤツらが見て何を感じるかだと思うし、ああいう選手がチームのためにという所を見ると、チームとして、グループとして成長しているんだなと感じます」と続けた言葉がおそらく勝因のすべて。「『ずっと勝っているチームだな』という印象を受けた」と敵将も認めた徳島が、無敗記録をまた1つ更新し、アウェイから勝ち点3を持ち帰る結果となりました。
派手さはないものの、徳島は勝負強いなという印象です。この11戦無敗を見ると、1-0の勝利はこの日で3度目。「京都戦では終了間際に入れられてしまったという所で、今回はみんながそこを意識して戦えたという面では良かった」と福元も言及したように、悔しい結果をすぐにチームとして修正できるあたりにも、今の好調さがよく現れていると思います。「前の人がハードワークしてくれるので最後に体を張るのは後ろの選手の役目だし、自分たちはそういう所で貢献していきたい」と福元が話せば、「後ろは組織としても個人としても体を張ってくれたし堅いので、前の仕事は得点だと思っている」と津田。いわゆる"両輪"が噛み合った状態で、徳島は「2年前のあのシーズンの悔しさ」(津田)を晴らすためのラスト10試合に挑みます。       土屋

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