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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2013年05月16日

ナビスコAグループ第6節 横浜FM×磐田@ニッパ球

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mitsuzawa0516.JPG1993年5月15日。あの日、国立競技場で栄えある開幕戦の舞台に立ったトリコロールが、まさに20年後の同じ日に三ツ沢へ帰ってきました。
11節終了時で2位をキープするなど好調を維持しているリーグ戦同様に、ナビスコカップでも結果を出し続けている横浜FM。グループ首位の磐田をホームに迎え、「二兎を追うものだけが二兎を得る」(小林慎二ヘッドコーチ)と頂上奪取を懸けて、ベストメンバーを揃えてきました。
一方、森下仁志前監督の退任を受け、長澤徹ヘッドコーチが監督に昇格して、これが3試合目の公式戦となる磐田。苦しい時間が続くリーグ戦とは対照的に、ナビスコカップでは3勝を挙げており、立っているのはリーグテーブルの一番上。グループ突破のために、そして何よりチームが自信を取り戻すためにも、アウェイとはいえ勝ち点3が求められる90分間になります。
ゲームが始まる前には、20年前の国立のピッチに立ち、この日は解説者として三ツ沢を訪れていた水沼貴史氏に、当時のチャントを大音量で贈った横浜サポーター。Jリーグが積み重ねてきた歴史の重み。5月15日の「勝った方が決勝トーナメントに近付く首位攻防戦」(栗原勇蔵)は、磐田のキックオフでその幕が上がりました。
いきなりの決定機はサックスブルー。3分、左サイドで相手のボールを奪った藤田義明のクリアは、風にも乗って中澤佑二の頭上を破ります。フリーで抜け出したのは山崎亮平。迫るゴールネットと、迫る榎本哲也。山崎のシュートが当たったのは後者。土曜日のリーグ戦では土壇場のPKストップで、チームに勝ち点3をもたらした守護神が今日もいきなりビッグセーブ。先制点は記録されません。
以降のペースを握ったのは横浜。7分、中村俊輔が右から蹴ったFKは駒野友一の頭をかすめて八田直樹がキャッチ。11分、再び右サイドで得たFK。中町公祐が少しずらし、中村がキックフェイントで1人かわして右足で上げたクロスは、DFが何とかクリア。その流れから中村の左CKを、ニアで中町が合わせたヘディングは枠の左へ。15分、中村の右FKはGKがパンチング。セットプレーでのチャンスが続きます。
横浜で目立ったのは右のハイサイドを狙うシーンが多かったこと。1トップ下に入っていた中村も比較的右へ流れることが多く、磐田ディフェンスが中村にはファウル覚悟で厳しく寄せていたことも手伝い、右サイドでのセットプレーが増加。また、徐々に富澤清太郎と中町の正確なサイドチェンジも有効に、両サイドを制圧し始めたホームチーム。
16分にマルキーニョスが兵藤慎剛とのワンツーで、流れの中からのファーストシュートを枠の上へ飛ばすと、20分、22分、23分といずれも中村がFK、FK、CKと鋭いボールを中へ。23分にもドゥトラが中村へサイドチェンジを付けると、レフティファンタジスタは縦に持ち出してフィニッシュまで。ここは伊野波雅彦が体でブロックしましたが、24分も中村の右CK。ニアで中澤佑二が当てたヘディングは、シュートにはカウントされずも迫力十分。中村のキック精度もジワジワと上がり、バリエーションも豊富。ゴールの予感が漂います。
さて、ややセットプレーを与え過ぎた印象もある磐田は、13分にチョン・ウヨンのクサビを山崎が捌き、「バイタルでプレーできる」と長澤監督も評したペク・ソンドンが放ったシュートも枠の左へ外れると、以降は30分近くフィニッシュを取れない状態に。2トップにもボールが入らず、前で時間を創れないために、全体に厚みのある攻撃が鳴りを潜めます。
それでも、42分には最高の形から2度目の決定機。中央をドリブルで運んだ前田遼一のパス。山田大記が預けた山崎は絶妙のヒールでラストパス。完全に崩して山田が放ったシュートは、しかし榎本が残した足でビッグセーブ。ペースを握りながら決定機は創れなかった横浜と、ペースを握られながら2度の決定機を創り出した磐田。ただ、スコアは動かず。0-0で最初の45分間は終了しました。
後半に入り、先にスタンドを沸かせたのは「残り45分、全力で戦い切ろう」と小林ヘッドコーチに送り出されたホームチーム。47分、ドゥトラの左クロスがこぼれると、もはや横浜の大きな武器となっている富澤のキャノンミドルが炸裂。惜しくもボールは枠の右へ逸れましたが、54分にも相手のパスミスを兵藤がかっさらい、最後は中村のシュートがDFに当たってゴール左へ。積極的にゴールを奪いに出て行きます。
55分は磐田。駒野、前田、ペク・ソンドンと繋ぎ、今季初出場となった松岡亮輔のミドルはクロスバーの上へ。56分は横浜。ドゥトラの左クロスに、逆サイドから走り込んだSBの小林祐三が折り返すと、兵藤のフィニッシュは松岡が体を挺してブロック。58分は磐田。左サイドで山田が超人的な身のこなしから縦へ送ると、上がってきたSBの藤田はカットインシュートまで持ち込むも、榎本がキャッチ。横浜ペースで推移する中、磐田にも少しずつ生まれ始めたチャンス。
トリコロールの歓喜は62分。チョン・ウヨンのサイドチェンジが届かず、横浜ボールになったビルドアップから、富澤は完璧なサイドチェンジを左へ。運ぶ齋藤学。切れ込む齋藤学。いなしたヒールを中町が中央へ入れると、「ニアへDF2枚が速く入って行ったので、ファーに入った」マルキーニョスは背筋の強さを最大限に生かしたヘディングで、八田の届かない位置へボールを送り届けます。「しっかりしたベースがあってこそのヘディング」(マルキーニョス)。エースの一撃で横浜が一歩前に出ました。
エリア内での決定機数では勝りながら、リードを許した磐田。65分には駒野のラストパスから松岡がエリア内へ飛び込むも、栗原がさすがの危機察知能力で回避。66分、67分と駒野が右、左と蹴ったCKもシュートには至りません。すると、長澤監督の決断は73分の2枚替え。72分に横浜がマルキーニョスと藤田祥史を入れ替えたのを見届けると、山崎とペク・ソンドンを下げて、金園英学と山本康裕をそのままのポジションへ送り込み、一気に勝負へ。76分にはその金園が中盤で中村からボールを奪い、最後は前田がゴール右へ外れるフィニッシュ。首位堅持へギアを一段上げに掛かります。
ところが、77分に記録された追加点。菅沼駿哉のミスパスを拾った齋藤は藤田に預けてゴー。リターンを受けると、軽やかなステップからGKの股下を高速で破るシュートがカウンターの帰結点。「受ける前にあのイメージはできていた」と自ら語った齋藤のゴラッソ。点差が広がりました。
64秒後のダメ押し。磐田最終ラインでのビルドアップ。ボールを持った伊野波に敢然と向かって行った藤田は、ショルダーチャージでボールを奪うとすぐさま中村へ。中村対八田。重心を見抜いた中村は、タイミングを外してゴール左へさすがの一刺し。3-0。勝敗は決しました。
伊野波の負傷で、最後のカードは金沢浄を切ることになった磐田。「全体のポジショニングと、少し重心が前に掛かってしまった」(長澤監督)ことで喫した3失点は重くのしかかり、82分に駒野とのコンビネーションで前田が狙ったシュートもヒットせず。「後半は相手のゴールを目指すということに対して少し問題が残った」と長澤監督。対照的に「全体的にいいゲームだったと評価している」と小林ヘッドコーチ。横浜が理想的な形で勝ち点3と首位の座を奪い取る結果となりました。
このゲームに関しては、ボランチの差が如実に勝敗へ直結したゲームだったと思います。横浜の先制点はチョン・ウヨンのサイドチェンジと、富澤のサイドチェンジが得点の大きな要因。この場面だけではなく、特にサイドチェンジのアイデアと精度は富澤と中町のコンビが大きく上回っていた印象を受けました。終盤はマルキーニョス、中村、中澤を相次いでベンチへ下げるなど、余裕を持ってゲームをクローズした横浜。2004年のリーグ優勝以来、9年間遠ざかっているタイトル奪取も十分現実味を帯びる、聖地・三ツ沢での快勝劇でした。       土屋

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