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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
首都たる所以を全国に示すべく、その時を待つ若き息吹の胎動。東京のクラブユース勢にとっての新人戦は、2次リーグを迎えています。今日はどちらにとっても新チームとして初めて臨む公式戦。FC東京U-18と横河武蔵野FCユースが激突することになりました。
昨年は長年続いた倉又体制が終焉を迎え、本吉剛監督が新たな指揮官に就任。そのスタイルにも変化が見られるなど、改革の年となったFC東京。クラ選とJユースカップは思うような成績を残せませんでしたが、プリンス関東1部では最終節まで優勝を争い、最後の最後で1つの成果をハッキリと示してみせました。今年の目標は「プレミア昇格と何か全国のタイトルを獲りたいとスタッフでは話している」と本吉監督。復権を懸けて挑む新シーズンです。
一方、昨年はクラ選で全国ベスト16という成績を収め、Jユースカップでも決勝トーナメントへ進出するなど、都内に収まらない存在感を発揮している横河。ユースのみならず、ジュニアユース出身者が強豪高校の主力を占めることも少なくなく、育成組織としての充実は目覚ましいものがあります。1月のナイターは底冷えの小平。注目の一戦は18時半にキックオフされました。
2分は横河。七枝拓己(2年・ディアマント鹿児島)が枠内へ鋭いミドルを放ち、東京GK伊東倖希(1年・FC東京U-15深川)にキャッチされましたが、まずはアウェイにも怯まず、積極的な姿勢を披露。5分は東京。川上翔平(2年・FC東京U-15深川)が左から蹴ったCKを、鴨池陽希(2年・FC東京U-15むさし)が頭で枠内に飛ばすも横河GK宗仲光(2年・横河武蔵野FC JY)がしっかりキャッチ。6分も東京。鴨池の左クロスを青木啓輔(2年・FC東京U-15むさし)が難しいボレーにチャレンジし、最後は矢島輝一(2年・FC東京U-15むさし)が押し込むも、判定はオフサイド。お互い意欲的に立ち上がります。
以降は手数こそ繰り出せないものの、スムーズな攻撃を見せていたのは横河。「こんなによくなると思っていなかったが、1トップに入れたらメキメキ伸びてきた」と増本浩平監督も高い評価を与えた佐野樹生(2年・横河武蔵野FC JY)がターゲットとしてしっかり機能。ここに入ったボールへ右の渡辺悠雅(1年・横河武蔵野FC JY)、左の七枝と4-3-2-1の"2"がうまく絡み、短いパス交換からチャンスを窺います。
もう1つ面白かったのは「位置取りは自由にやらせている」と増本監督も明言した"3"の部分。基本的には長岡克憲(2年・横河武蔵野FC JY)が少し高いポジションを取りながら、吉山遼馬(2年・Az'86tokyo-ome)と島村直利(1年・横河武蔵野FC JY)の3人がかなり流動的に動き回ります。ここがいわゆる"1"と"2"にも関わっていくことで、人が後方から湧き出していくようなアタックが可能になり、「飛び出していくオプションを意識している」(増本監督)というチームコンセプトがしっかり体現されていたように感じました。
対する「ベースは去年と変えていない」(本吉監督)東京は、伊藤裕也(2年・FC東京U-15むさし)と高橋宏季(1年・FC東京U-15むさし)を中心にしっかり繋ぎ、川上が左右に振り分けるという形は見えたものの、「せっかくサイドに振っても前に進んでいないので、相手にスライドされたりして、結局深い所を取れなかった」と本吉監督。サイドの"次"を効果的に創れない時間が続きます。
30分は横河。七枝の左CKを、ニアで根地嶋隼人(2年・横河武蔵野FC JY)が頭で合わせるも枠の左へ。33分は東京。右から田宮碧人(1年・FC東京U-15むさし)が上げたクロスを、柳澤優芽(2年・FC東京U-15むさし)が折り返し、岸寛太(2年・FC東京U-15深川)が狙ったシュートはヒットせず枠外へ。
37分には横河の狙いがキラリ。ボール回しから縦へのスピードアップで、佐野がきっちり落とすと、駆け上がったSBの松野崇紀(2年・横河武蔵野FC JY)がピンポイントクロス。走り込んだ佐野のヘディングは当たり切らずに枠を外れましたが、形としては前半で一番惜しいシーンを創出しました。
39分も横河。カウンターから渡辺が右に流し、佐野の思い切ったシュートチャレンジは東京のCB大西拓真(1年・FC東京U-15深川)が懸命にタックルで回避。43分は東京。川上の左CKから、最後は矢島がシュートを放つも枠の右へ。お互いに始動間もないということでしたが、見応えのある45分間はスコアレスで経過しました。
後半はボールをより保持し始めた東京がペースを奪取。53分、田宮を起点に高橋からのリターンを受けた川上が利き足とは逆の右足で激しく叩いたシュートは、曲線を描きながらクロスバーへハードヒット。55分には横河も渡辺とのコンビから古山が右のポストをかすめるシュートを放ったものの、56人には東京にさらなる決定機。矢島が右から中央へ送ると、岸がまったくのフリーに。しかし、ここはタイミング良く飛び出した宗仲のファインセーブで、スコアは動きません。
59分には横河の長岡が1人を股抜きでかわし、枠の左へ外れるミドルを飛ばすと、63分には両チームに交替が。東京は青木に替えて、古巣対決となる長澤皓祐(1年・横河武蔵野FC JY)をそのまま右SHへ投入。横河は七枝を下げて、佐藤大介(2年・横河武蔵野FC JY)をピッチヘ。どちらも攻撃的なポジションに変化を付けてきます。
さらに東京は、65分に川上がゴールまで30m近い距離からの直接FKを枠に収めた直後、ベンチからの指示で左SHの伊藤と「真ん中でそんなにリズムを創れていなかった」(本吉監督)ボランチの川上がポジションを入れ替え、その川上には「より高い位置でシュートやクロスを狙わせる」配置で決定的な仕事の遂行を託します。ボールキープは東京。カウンターを狙うのは横河という構図。68分には右サイドのスローインから、佐野がうまく収めて放った反転シュートは宗仲がキャッチ。試合は残り20分に。
すると、71分に生まれた先制点。奪ったのは"アウェイ"チーム。吉山が鋭いスルーパスを送ると、反応して走り込んだのはSBの松野。少し運んで打ち切ったシュートは、豪快にゴールネットを揺らします。「SBが出やすいシステムにしてやっている所もある」と増本監督が振り返れば、「簡単に裏を取られてしまった」と本吉監督。伏兵の一撃で横河が堂々と正面突破からリードを手にしました。
そこまで悪いリズムではなかったものの、追いかける展開となった東京。77分にはSHへスライドした川上が、左へ持ち出しながら強烈なミドルを放つも、わずかに枠の右へ。83分には高橋が浮かせたパスを送り、最後は岸が左足ボレーで狙うも宗仲がキャッチ。これ以外にもサイドからクロスを上げるシーンまでは創りますが、最後の局面では横河もCBの根地嶋と初田駿(2年・横河武蔵野FC JY)を中心にしっかり跳ね返し、築く堅牢。86分にも大西が鋭い出足でパスカットしたボールを、長澤が中へ綺麗に放り込むも、懸命に戻った吉山が確実にクリア。逆に90分は横河。怒涛の連続攻撃から、途中出場の服部光洋(2年・横河武蔵野FC JY)が放ったボレーは、何とか伊東がファインセーブで回避。あわや追加点という得点機を創り出してみせます。
長身の大西を最前線に上げ、何とか追い付きたい東京。90+3分のラストチャンス。田宮の右クロスがゴール前の混戦を呼び、矢島が"鼻の利く"ポジショニングでシュートを打ちましたが、ボールの行方はクロスバーの上。「90分通してお互いに声を掛け合っていた。雪かきを全員でやったこともよかったのかなと思う」と増本監督も笑顔を見せた横河が、ウノセロで勝利を掴み取る結果となりました。
「チームがスタートして1週間。コンディションも整わない中で、今の現状はどれぐらいできるかを見たかった」(本吉監督)という位置付けの中で、悔しい黒星スタートとなった東京。前述したようにサイドまではボールを運べるものの、そこからのクロス精度やワンアイデアがこのゲームに関しては伴わなかった印象を受けました。とはいえ、昨年からの主力も多く「攻守の方向性はまったく変えていない」と指揮官も言及するなど、継続性は間違いなく今年の強み。面白いチームになりそうな予感は漂っています。
「この間の雪で全然練習もできていないし、トレーニングマッチもほとんどキャンセルになってしまった」(増本監督)中、「毎年西が丘でやれればいいなと思ってやっている」(同)という今大会の目標に一歩近付いた横河。佐野への縦パスをスイッチに多くの人数が絡んで攻めるスタイルからは、かなりのパワーと勢いを感じました。「ジュニアユースの時は東京で何番手かわからないような子たちだったけど、こうやってユースへ上がってきてしっかりやっていればこれだけの選手になれるので、そういう所でもう少し注目を受けたいですよね」と増本監督。今シーズンの彼らがその取り組みも含めて注目を集める可能性は、決して低くないと私は思います。 土屋
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