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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
第2試合では九州第2の刺客と関東の伝統校が激突。こちらも興味深い対戦カードです。
初戦は高知大に後半かなり押し込まれながら、何とか逃げ切った鹿屋体育大。準々決勝では優勝候補筆頭と目されていた専修大に、後半以降は1本のシュートも打つことができなかったものの、PK戦でアップセットを完遂。初の準決勝まで勝ち上がってきました。
迎え撃つは古賀聡監督体制になってから初めてのインカレ挑戦で、セミファイナルへ駒を進めた早稲田大。大学界屈指のストライカー富山貴光(4年・矢板中央・大宮内定)が注目を集める中、「トミに近い位置で攻撃に絡んでいけるようになった」(菅井順平・4年・浦和ユース)アタッカー陣が、富山の1発も含めて2試合で5ゴールと好調を維持。5年ぶりの国立は目前に迫っています。十条側のバックスタンドには、ウルトラスワセダの"サンタクロース"も大量発生。1日早いプレゼントは果たしてどちらの手に。冬晴れの西が丘に中村太主審の笛が鳴り響き、ゲームは幕を開けました。
立ち上がりはお互いに比較的慎重なペース。最初のチャンスは9分の鹿屋。左で自らの蹴ったCKを拾った山崎侑輝(4年・FC東京U-18・熊本内定)がクロスを上げると、坂田良太(3年・大津)のヘディングは早稲田GK松澤香輝(2年・流通経済大柏・千葉特別指定)がファインセーブ。詰めた代田敦資(3年・前橋育英)より一瞬速く松澤が抑えたものの、まずは惜しいシーンを創出します。
16分も鹿屋。ボランチの村川大輔(3年・枚方フジタSC)を起点に大山直哉(3年・神村学園)を経由すると、坂田が1人外してチャレンジした30mミドルは枠を越えましたが、高いアジリティを持つアタッカーが躍動した薩摩隼人が、いいリズムを掴みました。
さて、「縦への速さを出すスイッチを窺いながら」(古賀監督)じっくり攻める早稲田が、19分に手繰り寄せた決定機。相手のクリアに右SBの奥山政幸(1年・名古屋U18)が頭で食らい付くと、ボールは富山の足元へ。右に持ち出しながら放ったシュートは、鹿屋GK井上亮太(4年・FC東京U-18)が驚異的な反応でブロックしましたが、エースのワンチャンスで変わり始めた風向き。
以降は明確な富山というターゲットのみならず、「個人でスペースを見つけて引き出せていた」と古賀監督も認めた榎本大希(3年・横浜FMユース)がうまく"間"で受けて、徐々に上がっていくテンポ。24分、島田譲(4年・鹿島ユース・岡山内定)のミドルはDFに当たって井上がキャッチ。27分、野村良平(4年・流通経済大柏)が右からマイナスに出したFKは、わずかに富山と呼吸が合いませんでしたが、チャンスが生まれ始めます。
すると32分に西が丘を包んだ"紺碧の空"。近藤洋史(2年・名古屋U18)から巧みにパスを引き出した榎本は右へ展開。受けた白井豪(4年・都立三鷹)はドリブルから、絶妙のタイミングでフイニッシュ。ボールは左のポストを叩いて、ゴールへ転がり込みます。大怪我で離脱している間も「リハビリをしながら、チームのために色々な仕事をしてくれていた」と指揮官も言及した白井の3戦連発となる今大会4ゴール目が飛び出し、早稲田がリードを手にしました。
なかなか攻撃の形を創れなくなった鹿屋は、右SHだった山崎をSBに落とし、その位置にいた粕川正樹(3年・前橋育英)を左SHへ。フリーマン的に動く小谷健悟(2年・神村学園)を一応右へ移し、配置を変えてギアチェンジを図ります。とはいえ、「相手がどうこうというのは、あまりウチにとって関係ない」と話す菅井を中心にした早稲田ディフェンスは安定した守備を披露。得点以降はシュートも許さず、リードをキープしてハーフタイムを迎えました。
後半はスタートから動いた鹿屋。左SBの下坂晃城(1年・東福岡)を下げて、岩崎司(3年・大津)を左SHへ投入。粕川を1つ落とす布陣にスライドします。しかし、次に生まれたのは「1-0で守るんじゃなくて、次の点を取りに行くぞと」(古賀監督)ロッカーを飛び出してきた早稲田の追加点。
50分、奥山が右から上げたクロスを近藤が落とすと、3列目から上がってきたのは「一番試合の流れを感じられる」と古賀監督も評価する島田。得意の左足から放たれたシュートは、一直線にゴール右スミを貫きます。パーフェクトな崩しから、パーフェクトなフィニッシュ。点差が広がりました。
畳み掛けるエンジ。53分、野村の縦パスから富山が抜け出すと、状況は既に2対1。富山はDFを引き付けてから冷静に中へ送り、フリーの榎本が豪快に一刺し。大きな3点目が記録されました。
大山と大瀬拓人(3年・鹿児島中央)の交替で、3失点目の直前から明確な2トップになった鹿屋でしたが、「守備はしっかり積み重ねてきたモノがある」と菅井が自信を口にした早稲田の前に、個の"足し算"がなかなかプラスへ転化しません。59分には山崎の右FKを、坂井達弥(4年・東福岡・鳥栖内定)が長身を折り曲げて頭に当てるも、ボールはわずかに枠の上へ。数字上でもこれが後半ファーストシュートと、繰り出せない手数。
対する早稲田は交替策もすぐさま結果に。72分、先制弾の白井に替わって起用された田中太郎(1年・藤枝東)は投入1分後、富山とのワンツーで右サイドを突破。丁寧に中央へ転がしたボールを、近藤はそのまま右スミへ綺麗に送り込むファインゴール。「前の試合は最初のプレーでボールを失って大ピンチに繋がったので、期するモノはあったと思う」(古賀監督)という1年生が一仕事。0-4。
さらに76分、三竿雄斗(3年・東京Vユース)のスルーパスを受け、左から腰を回して折り返した近藤のクロスをDFは弾き切れず、最後は富山がストライカーらしくねじ込みます。「トミのゴールがないと勝てないと、みんな思っている」と菅井も話す絶対的なエースの一発も飛び出し、0-5。
以降も、攻めては交替出場の秋岡活哉(2年・FC東京U-18)や三竿が決定機を掴み、守っては1試合通じて相手をわずか2本のシュートに抑えるなど、磐石のゲーム運びで収めた完勝。「自分たちの戦い方が、最初から最後までブレずにできた」(古賀監督)早稲田が、堂々のファイナル進出を決める結果となりました。
ここ数年はインカレ出場も逃し続けるなど、苦しい時期が続いていた早稲田でしたが、久々に訪れた日本一のチャンス。「ファイナリストになるとか、国立でやるとかいうのはまったく意味がない。僕らは年間を通して"1st"を取ることを目標にやってきた。頂点を極めたい」と古賀監督が話せば、「素晴らしい下級生やスタッフに、日本一の景色を見せてあげたい気持ちは物凄く強い」とは欠場している畑尾大翔(4年・FC東京U-18)の代わりにキャプテンマークを巻いている菅井。国立の空は"紺碧"に染まるのか。注目の決勝は1月6日、14時にキックオフを迎えます。 土屋
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