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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年12月29日

天皇杯準決勝 横浜FM×柏@国立

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優勝回数6回を誇るトリコロールの名門か、1970年代に3度の決勝進出を経験しているイエローの古豪か。天皇杯セミファイナルです。
昨年と同じステージで、同じ相手となった先週の名古屋戦は、やはり昨年同様にもつれ込んだPK戦で勝ち抜けを決めた横浜FM。実は最後に大会を制した92年以来、一度もファイナルへ駒を進めたことがなく、20年ぶりの晴れ舞台を懸けて戦います。
一方、熊谷で臨んだ準々決勝の大宮戦は前半で2点を奪われながら、澤昌克と増嶋竜也のゴールで追い付くと、最後は90+3分に工藤壮人の劇的な決勝弾で、14戦無敗中の難敵相手に大逆転勝利を手に入れた柏。こちらは1975年の日立製作所時代以来となる、37年ぶりの戴冠が当然最終目標になります。
先に終わった第1試合は、G大阪が1-0で鹿島を下し、一足先に決勝への切符を獲得。2013年最初の国立を踏みしめるのは果たしてどちらか。工藤壮人がボールを蹴り出し、時計の針は回り出しました。
いきなり飛び出したのは柏。1分に水野晃樹が右から投げたロングスローが横浜ゴール前を脅かすと、4分には近藤直也のフィードから、橋本和の出場停止を受けてスタメン出場した山中亮輔がダッシュ。これはオフサイドになりましたが、7分にもチャンス。右サイドでマーカーを振り切った那須大亮がクロスを上げると、ジョルジ・ワグネルが枠の左へ外れるヘディング。「立ち上がりは非常にいいリズムでできた」とネルシーニョ監督も言及したように、勢いを持って柏がゲームへ入ります。
守備面の要因は「相手の出足が速く、セカンドの奪い合いで激しいプレスを受けた」と横浜・樋口靖洋監督も認めた、中盤でのハイプレス。特に久々のコンビ結成となった栗澤僚一と大谷秀和が「相手の一番のポイント」(栗澤)と捉えた中村俊輔にボールが入らないよう、いいバランスで監視。前線の工藤と澤昌克もうまくコースを切りながらプレスに奔走し、「非常に落ち着かない状態」(樋口監督)に相手を陥れます。
一方、攻撃面ではサイドで主導権を確保したこと。「SBがどんどん上がれば、マークもズレていく」(栗澤)と那須も山中も積極的に前へ。「前回も晃樹といい関係ができていた」という那須と水野のコンビネーションは大きな武器に。"偶然"を"必然"に変えた2人が、チームに与えた推進力。16分に自らのCKから食らったカウンターも、大谷が素晴らしいタックルで回避。23分にも小林祐三の右クロスを、小野が合わせたシュートは那須が体でブロック。攻守で「目の前の相手に走り負けない」(那須)気持ちを前面に押し出します。
すると、23分に動いたスコア。山中のフィードに澤が競り合い、こぼれは左サイドのワグネルへ。綺麗なクロスを澤が高い打点で当てたヘディングは、ゆっくりと枠内へ吸い込まれるも、カバーに入った中澤佑二がライン上でスーバークリア。ところが、この一瞬を見逃さなかったのは「自分は好調だし、点が取れる意識はあった」と振り返った工藤。最前線に"戻った"ストライカーが見せた「狙っていた通り」の一撃。流れそのままに、柏がリードを奪いました。
さて、失点までほとんどチャンスを創れなかった横浜。ビハインドを追い掛ける展開になり、ようやく中村や兵藤慎剛がボールを引き出し始め、3列目から中町公祐も飛び出す回数が増えるなど、少しプレーエリアが高くはなったものの、柏ディフェンスを崩すまでには至りません。逆に30分は柏。那須のスローインから、澤がうまく左足で合わせたボレーは枠の右へ。36分も柏。水野が右から入れたCKを、近藤が狙ったヘディングはGKがキャッチ。追加点を窺います。
38分には横浜に初の枠内シュート。右サイドでこぼれを拾った中村は、ゴールまで30m近い距離から無回転ミドルにチャレンジ。ただ、好シュートも「距離があった分ブレたけど、いいことをしようとしないで弾こうと思った」という菅野がパンチングで同点を阻止。42分にも水野が惜しい左足ミドルを繰り出すなど、序盤よりは「少し受け身になってしまったのはあるかもしれない」(栗澤)「カウンターやタメを怖がって、引いてしまった」(ネルシーニョ監督)と2人が話した側面もありましたが、概ね柏がペースを握る格好で、最初の45分間は推移しました。
ハーフタイムに樋口監督が施した策は、前線の選手と配置の入れ替え。狩野健太を下げて、ケガから復帰したマルキーニョスを1トップへ投入。小野が左SHへスライドする形で、反撃態勢を整えます。
後半はスタートからかなり膠着した展開に。どちらも流れの中からはなかなかチャンスを創り切れない時間が続きます。ただ、少しずつコンタクトプレーに対して扇谷健司主審の笛が多く鳴り出し、FKの回数が増加。横浜は50分のFK、そこから得た51分のCK、52分のFKと、続けて中村という日本有数のキッカーが黄金の左足を振り抜きますが、柏も冷静に凌ぎ、59分には水野が左からのFKで逆襲するなど、主導権は渡しません。
インプレーの部分を見てみると、ほぼ互角に近い均衡状態。そんな中、横浜で気になったのはマルキーニョスへボールがうまく入らなかったこと。「CB2枚が跳ね返して、ボランチがそれを拾う。自分たちのやりやすい形」と栗澤が言及したように、近藤と増嶋がマルキーニョスへのチャレンジアンドカバーを徹底。セカンドも栗澤と大谷がスイープし続けると、マルキーニョスは孤立気味に。70分には中村がルーズボールを収め、ミドルを枠内へ飛ばすも菅野ががっちりキャッチ。スコアは動きません。
樋口監督は71分に決断。小林と齋藤学を入れ替え、齋藤は左SHへ。小野が右SHへ回り、兵藤を右SBへスライドさせて、勝負に打って出ます。74分は横浜。中村の右CKは菅野がキャッチ。76分も横浜。中村の右FKから、こぼれに反応した齋藤のボレーは大きく枠外へ。77分も横浜。中村の左FKから、最後にマルキーニョスが放ったミドルはクロスバーの上へ。79分も横浜。中村の右CKから、菅野が掻き出したボールを再び拾った中村のシュートは枠の遥か上へ。追い付けないトリコロール。
81分にも中村がゴール右寄り、約25m近い距離から直接狙ったFKもわずかに枠の左へ外れると、「相手のブロックの強さで、なかなかチーム全体の落ち着いたポゼッションはできなかった」(樋口監督)横浜は、86分に最後のカードとして谷口博之を投入すると、パワープレーへ移行。なりふり構わず1点を返しに出ました。
87分には山中の果敢な突破から、栗澤が枠へ収めた完璧なボレーは飯倉大樹がしっかりキャッチ。柏も突き放せず。90分に満を持して手札を切ったネルシーニョ監督。水野と田中順也の交替で、工藤を右SHへ。さらに、負傷でプレー続行不可能になった近藤に替わって、「正直出番が来るなと思っていた」渡部博文もピッチに入り、アディショナルタイムの5分を潰しに掛かります。
90+3分、齋藤のドリブルは止まらず、柏ディフェンスに空いた穴。菅野ともつれたボールは谷口の前へ。無人のゴールへ押し込む谷口。直後、立ちはだかったのは渡部。「カバーに行こうと思って、あとは体に当てるだけ」という懸命のブロックが許さなかった決壊。
90+5分に飯倉も上がってくる中で中村が蹴ったCKを防ぎ切ると、程なくして国立の夕闇に吸い込まれたホイッスル。「初歩的なことを怠らず、小さいことを積み重ねた」(那須)"日常"が引き寄せたファイナルステージ。柏が元日国立に立つ権利を得る結果となりました。
主力不在の状況を問われ、「誰かの不在を強く意識してしまうとチームはパワーを失ってしまうので、私は自分の選手を高く評価して、それを証明する良いチャンスだと思い、しっかり準備している」と胸を張ったネルシーニョ監督。「ボランチとのトライアングルがいい関係でできた」と那須が話した、水野、栗澤、そして那須は、いずれも2週間前の4回戦で出番のなかった選手たち。終盤の大ピンチを救った渡部も含めて、柏はまさに総力戦でここまで辿り着いた印象です。
2試合続けての決勝弾でチームをファイナルへ導きながら、警告を受けて出場停止となった工藤は「みんなが最高の状態で臨めるように、僕もサポートしていきたい」と決意を口に。ようやく"キング"が帰還する3日後、カップを、そしてアジアを懸けて、太陽王がラストダンスに挑みます。         土屋

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