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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年06月23日

インターハイ東京準決勝 成立学園×実践学園@駒沢第2

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seiritsu jissen.jpgインターハイで全国3位に輝いたのは8年前。選手権でもここ6年は檜舞台から遠ざかっており、結果の出ない時期が続いている成立学園。特に昨年はインターハイ予選準々決勝でかえつ有明に2-6という屈辱的なスコアで大敗。選手権も初戦で修徳に、双方がのべ13人ずつ蹴り合う壮絶なPK戦の末に敗退。悔しいシーズンとなりました。そんな成立に訪れた久々のチャンス。準々決勝で再び対峙したかえつ有明にリベンジを果たし、あと1勝で全国という所まで勝ち上がってきています。
対するは、こちらも近年は都内でもコンスタントに上位進出を果たし、存在感を高めている実践学園。関東大会予選では準優勝と躍進を遂げ、先週の準々決勝では強力2トップを擁する難敵・東京朝鮮を撃破。7年ぶりの全国へリーチを懸けています。長野への最終関門。東京のセミファイナルは満員の駒沢第2球技場でその火蓋が切って落とされました。
いきなりの先制弾は、開始わずか3分。奪ったのは実践。センターライン付近から伊藤健人(3年・横河武蔵野JY)が蹴ったFKを、飛び出したGKの鼻先で福岡将太(2年・JACPA東京)がヘディング。これをキャプテンの鴻田直人(3年・JACPA東京)が無人のゴールへ難なく押し込みます。あまりにも呆気なく入ったために、少しスタンドの反応も鈍いような感じになりましたが、当然ゴールはゴール。実践が早くも1点のアドバンテージを得ました。
以降もペースは「成立さんが相手だと引くチームが多いが、前から行こうと話した」と深町公一監督が明かしたように、アグレッシブなアタックを繰り出す実践。4分にもCKの流れから、徳山浩介(3年・AZ'86 tokyo-ome)が左クロスを送り、鴻田が合わせたヘディングは枠の右へ。8分にも伊藤のFKがこぼれると、粕川竜貴(3年・FC府中)のミドルはGKを弾いて左ポストを直撃。11分には成立も大友郁也(3年・成立ゼブラFC)のパスから、岩元翔平(3年・トリプレッタ)とスイッチした千葉嘉人(3年・成立ゼブラFC)が枠内ミドルでファーストシュートを放ったものの、2分後には再び実践に決定機。
佐藤剛(3年・あきる野FC)がフィードを送ると、DFと入れ替わった中里岳史(3年・青梅第三中)は独走。ここは成立GK芝崎寛文(2年・柏レイソルU-15)がファインセーブで凌ぎましたが、「1、2、3の"ワルツ"のリズム」と深町監督も話したパスワークと長いボールをうまくミックスさせた実践が、主導権を握った形でゲームは推移していきます。
さて、なかなか攻撃の時間を創れない成立。20分以降は、「横パスが増え、消極的になってしまった」(深町監督)相手の影響もあってか、芝崎も使って最終ラインではボールが回るため、ポゼッション率自体はアップしていく中、そこから縦に仕掛けるパスに精度を欠き、エリア内まで侵入できません。27分と39分には共に松井優斗(3年・横浜F・マリノスJYみなとみらい)のCKから、それぞれ大友と松崎颯介(3年・横浜F・マリノスみなとみらい)がヘディングを放ちましたが、いずれも枠外に。スコアでも内容でも実践が上回り、最初の40分間は終了しました。
後半もまずは実践が好機創出。41分、臼倉崇弘(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15習志野)が右へ振ると、SBの福岡がクロス。ニアへ入ったボールは、徳山の前で何とか成立DFがクリア。43分には、右から伊藤がカットインしながら枠の上へ外れる左足ミドル。流れを継続させて立ち上がります。
ところが、一瞬でスコアを振り出しに戻したのは成立の高速カウンター。45分、松崎が正確なフィードを左へ。抜け出した新田佑介(3年・成立ゼブラFC)が絶妙なグラウンダークロスを入れると、逆サイドから走り込んだ松井がダイレクトボレーで揺らしたネット。たった2本のパスで成立が果実をもぎ取り、実践のリードは消え去りました。
こうなると一気に流れは追い付いた側に。48分には千葉が左へ流れながら惜しいシュートをバーの上へ。活気付く成立。差し込まれた実践は「サイドからやられ出したので」(深町監督)、52分に本来のレギュラーという安齋柊(3年・FC府中)を右SBへ投入し、右SBだった福岡をSHへスライドさせます。
すると、その安齋がいきなり大仕事。53分、右から中央へ浮き球を入れると、GKの対応がやや中途半端なクリアに。これを見逃さなかった粕川が、がら空きのゴールに落ち着いて流し込みます。交替策がすぐさま奏功した格好で、またも実践の1点リードとなりました。
追い掛ける成立は61分に千葉のドリブルから最後は岩元が、62分には鈴木和希のパスから吉村郷史(3年・桶川西中)が、それぞれシュートを放ったものの、枠を捉えられず。63分に小原聖士郎(3年・名古屋FC)、66分には高溝黎磨(3年・横浜F・マリノスみなとみらい)、69分には松原海舟(3年・Forza'02)と相次いで3年生を送り込み、勝利への執念を打ち出します。
しかし、ゲームを決めたのは実践の交替カード。73分、左サイドでボールを持った途中出場の原大和(3年・横河武蔵野JY)は、やや強引なくらいのドリブルでゴリゴリ突き進むと、DFを引きずりながら反転シュート。これが見事に成立ゴールを打ち破ります。「ウチは途中から入れる選手のレベルが落ちない。入れた子がそれなりに仕事をしてくれたかな」とは深町監督。1-3。決定的とも言うべき2点差が付きました。
苦しくなった成立も最後まで諦めず、気持ちを切らさずに戦い続けましたが、焦る気持ちがプレー精度に現れ、フィニッシュまでは創れず。駒沢に鳴り響いたホイッスルは、晴れ舞台への挑戦を祝福するファンファーレ。実践が東京1枚目の全国切符を獲得する結果となりました。
「とりあえず4冠を目指そう」と今年のチームを立ち上げた実践は関東大会出場、インターハイ出場と早くも2冠を達成。深町監督も「信頼している選手」と公言する"10番"のCB鴻田を中心に、よくまとまった好チームです。「まだまだチームとしてやるべきことを決めている状態なので、まだまだ成長すると思う」と笑った指揮官。全国での躍進にも是非期待したいと思います。         土屋

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