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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年05月21日

J2第15節 松本×横浜FC@アルウィン

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arwin0520.jpg序盤戦こそなかなか勝ち点を積み上げられなかったものの、8節から3連勝を飾ると、以降はわずかに1敗と好調をキープ。13位まで浮上してきた、Jリーグ初挑戦のシーズンとなる松本。気付けばプレーオフ圏内まで7ポイント差と、「上に行けるかどうかの大事な試合」(松本・小松憲太)という位置付けで、今日のホームゲームを迎えます。
一方、こちらも開幕から3試合勝ちなしで岸野靖之前監督を解任。山口素弘新監督も就任から4試合は勝ち星に恵まれませんでしたが、そこから連勝、連敗、連勝で15位に付けている横浜FC。勝てば順位の入れ替わる松本を倒し、3連勝でさらなる勢いを引き寄せたい所です。
また、このゲームは「僕がプロの選手になってからの付き合い」と山口監督も話したように、全日空と横浜Fではチームメイトとして、新潟では監督と選手として共に戦った反町康治監督と山口監督の初対決。「意識しないわけにはいかない」(山口監督)という2人の采配にも注目が集まります。緑と白で彩られたタオルマフラーの花が咲き乱れる中、横浜のキックオフでゲームはスタートしました。
先にチャンスを創ったのは松本。5分、最前線で常に体を張り続ける塩沢勝吾が頑張って繋ぎ、弦巻健人のミドルはバーの上へ。12分にも左サイドで鐵戸裕史の粘り強いキープを起点に、船山貴之がアーリークロス。塩沢が飛び込むも、横浜のCB森本良が何とかクリア。15分にはボランチの喜山康平が狙いすましたスルーパス。左サイドで抜け出した船山は、巻いて右スミという意識は感じ取れたものの、シュートは正面を突いてGKがキャッチ。続けて横浜ゴールを脅かします。
立ち上がりから松本が特に主導権を握ったのは、「テツさん(鐵戸)の所でうまく基点を創れていた」と小松も話した左サイド。攻撃のキーマンとも言うべき船山も左へ流れることが多く、再三いい形を創り出すと、19分には弦巻のパスを受けた小松が右へ展開。船山のアーリークロスに弦巻が飛び込み、GKにキャッチされたものの右からも好機を演出。21分にも浮き球を喜山がダイレクトで左へ。鐵戸がカットインしながら放ったシュートは、DFに当たって枠の右へ。ポゼッションでも上回り始めた松本。攻勢が続きます。
さて、シュートを打てない横浜は、長い芝生の影響もあって「ビルドアップでボールがうまく動いていなかった」と山口監督。加えて、大久保哲哉と田原豊がそびえ立つ前線へのロングボールも、「そこへの対応は一番考えていたし、セカンドもうまく拾えていた」と小松が振り返った通り、松本が確実に対応。時折、野崎陽介がギャップに潜ってドリブルで運びましたが、チャンスに結び付けるまでには至らず、リズムを引き寄せられません。
33分には左CKから、ゾーンを敷く横浜を尻目に鐵戸がマイナスへグラウンダー。空いた船山の強烈なミドルは横浜DFが体でブロック。38分にもペ・スンジンの軽率な横パスを船山がかっさらい、そのまま狙ったミドルは横浜GKシュナイダー潤之介が何とかセーブ。横浜も40分に森本のフィードを田原が落とし、大久保がわずかに枠の左へ外れるチームファーストシュートを打ちましたが、「前半は非常に厳しかった」という山口監督の言葉を待つまでもなく、ホームチームのペースで最初の45分間は推移しました。
後半は頭から山口監督が交替を決断。CBの森本を下げて、杉山新を右SBへ投入。ペ・スンジンが右SBから中央へスライドします。すると、46分には横浜にチャンス。佐藤謙介、大久保と繋いで、野崎が左足で狙ったミドルは枠の上へ。50分にも野崎が左へ送り、阿部巧が枠を越えたものの、ミドルにチャレンジ。少し積極性が出てきました。
出鼻を挫かれた松本も51分に続けて決定機。喜山のクサビを塩沢がチェストで落とし、弦巻が裏へ。抜け出した船山はエリア内でDFともつれて倒れるも、山内宏志主審のホイッスルは鳴らず。直後のスローインから、玉林睦実の右クロスに弦巻がフリーで当てたヘディングは枠の右へ。先制点を奪えません。
すると、この前後から徐々にお互い中盤が空き始め、ボールが行き来するような展開に。松本も優位性を保っていた左サイドを使えなくなり、膠着した時間が続くことになります。次にカードを切ったのは反町監督。65分、弦巻を下げて楠瀬章仁をピッチへ。ドリブラーの投入で、やや減退気味の推進力を取り戻しに掛かりました。
ところが、その4分後にスコアを動かしたのはアウェイチーム。69分、杉山のパスから八角剛史、佐藤と回し、CBとボランチのギャップで受けた野崎が思い切り良く左足を振り切ると、「爪先に当たってドライブがかかった感じ」と松本GK野澤洋輔が振り返ったボールは、ゴール右スミに突き刺さります。「一番嫌な所でボールを受けられてしまった」とは小松。横浜が1点をリードしました。
ビハインドを負った松本は76分、フィードに塩沢が競り勝ち、抜け出した船山がシュートを打たずにクロスを選択してチャンスが潰えると、「中盤でボールを動かしても、あまり効果がないような展開」と指揮官が見極め、77分に小松を下げて、今シーズン初出場となる伊藤竜司を3バックの右へ投入。そのポジションの飯田真輝を最前線へ上げる決断を下します。
しかし、このシフトで生まれた一瞬の「集中力の欠如」(野澤)を突いて、横浜が挙げた追加点は78分。自陣の深い位置から堀之内聖が蹴ったFKに大久保が競り勝つと、佐藤はまったくのフリー。左スミを狙ったシュートは、野澤もわずかに触りましたが、左ポストの内側を叩いてゴールの中へ。これが連勝しているチームの勢いか。「非常に良い流れと、良いバランスになって修正できた」(山口監督)横浜が点差を広げました。
苦しい終盤になった松本。79分には玉林のフィードを塩沢が繋ぎ、「初めて見た飯田の左足シュート」(反町監督)はシュナイダーがキャッチ。84分には塩沢とエイジソンをスイッチして、最後の勝負に出るも、「難波(宏明)とカズ(三浦知良)が短い時間の中でもボールを追い回して、ロングボールを出させないように汗をかいてくれた」と山口監督も称賛した2人の献身的なチェイスもあって、なかなかシュートまで持ち込めません。
93分、玉林が右から上げたクロスに、ファーサイドで飯田が合わせたヘディングも枠の左へ外れ、訪れた水色の歓喜。「山口には素直に『おめでとう』と言いたい」と反町監督。元同僚指揮官対決のファーストラウンドは、"後輩"が敵地で勝ち点3を獲得する結果となりました。
1つのポイントは「山口がよく替えてきたなと思う」と反町監督も言及した、右SBのシフトチェンジでしょうか。確かに攻撃面でもペ・スンジンの所でボール回しが停滞するシーンがありましたが、守備面でも「やはり真ん中の選手なので、ゾーンの感覚があまりない」と反町監督が触れたように、マーカーに食い付いて裏が空くシーンも散見。ここにアグレッシブな杉山を入れるのは1つのギャンブルにも見えましたが、結果としてそれが攻守に奏功した形になりました。そういう意味では采配ズバリというゲームになった印象です。
松本は「失点するまでは五分五分でやれていた」(野澤)だけに、「前半のいい時間帯にゴールを決められていれば」という船山の言葉が象徴するような展開に。ただ、「攻撃は形になってきている」(船山)のは間違いなく、何度も崩した形から惜しいシーンを創出していました。5勝3分け6敗で迎えたゲームだったため、五分の星にするチャンスを逃した形にはなりましたが、とりわけ前半はチームのベースアップを着実に現わすような、今後が楽しみになる内容だったと思います。
しかし、アルウィンでの松本山雅は初めて見ましたが、やはり最高の"ホーム"ですね。あの声援を送られたら、選手も最後まで走らない訳にはいかないでしょう。また、チャントのオリジナリティと中毒性は、先日ACLで柏と対戦したブリーラムに通じるモノがあるのではないでしょうか。是非また機会を見つけて、アルウィンに行きたいと思います。         土屋

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