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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年05月17日

ナビスコ予選リーグBグループ第4節 大宮×札幌@NACK5

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NACK0516.jpgナビスコカップの予選リーグも今日で折り返しの4節。2試合を消化して1分け1敗といまだ白星のない大宮と、3試合を消化して1勝2敗と黒星が先行している札幌がNACK5で激突します。
「ケガで出遅れていた選手を中心に使った」(石崎信弘監督)という札幌はCBに櫛引一紀と奈良竜樹、ボランチに荒野拓馬と前貴之を配置。センターラインを「10代の2人のコンビ」(石崎監督)に託し、右SHには今シーズン初スタメンとなる34歳の砂川誠を、左SHにはナビスコで2ゴールをマークしている18歳の榊翔太を、最前線にはケガから復帰した32歳の大島秀夫を起用するなど、楽しみなメンバー構成でこのアウェイゲームに臨みます。
さて、「スタートはいい入り方ができた」と砂川が話したように、まず勢いを持ってゲームに入ったのは札幌。「Jリーグでは開始1分で点を取られたので、しっかり入ろうと話していた」(砂川)中、ボールアプローチも速く、中盤でガツガツとセカンド制圧にも成功。3分には右に流れた内村圭宏のクロスから、こぼれを砂川が狙ったシュートはバーの上へ。5分には荒野がうまく右へ展開すると、今日は右SBに入ったジェイド・ノースがクロスまで持ち込み、大島のヘディングはGKがキャッチ。12分には砂川の左CKをフリーのノースが頭で合わせるも、ボールは枠の右へ。続けて手数を繰り出します。
逆になかなか反発できない大宮は14分にようやくファーストシュート。上田康太の左FKから、ラファエルのワントラップボレーは枠の左へ逸れましたが、16分にもカウンターからチャンス到来。左サイドから鈴木規郎、チョ・ヨンチョルと繋ぎ、東慶悟のシュートはタイミング良く飛び出した札幌GKイ・ホスンが体でセーブ。そのCKから金久保順が蹴ったボールにラファエルが飛び込むも、ボールは枠の上へ。ゴールには届かなかったものの、カウンターとセットプレーでチャンスを窺うと、22分と23分には立て続けにカルリーニョスが、前者はイ・ホスンに阻まれ、後者はわずかに枠を越えるミドルを連発。少しずつ形勢が入れ替わっていきます。
「バイタルに入ってからのコンビネーションをできるだけ高められるようなメンバー」(鈴木淳監督)を配した大宮は、15分前後からラファエル、東、チョ・ヨンチョルのアタッカートリオにボールタッチが増え始め、攻撃の時間こそ長くなっていきましたが、鈴木監督も「右サイドに置いた金久保の運動量で背後を突きたかったが、その形はあまり出なかった」と振り返ったように、なかなかサイドを攻略するシーンは見られません。
対する札幌も「全然収まらなかった」と本人が振り返った大島のポストワークはそれでもやはり高次元で、多少無理な体勢でもうまく味方へボールを繋ぎますが、「サポートや3人目の動きができれば、もっといい形ができる」と石崎監督が話したように、そこから次の展開への繋がりは薄く、こちらもサイドを使いきれません。
25分以降は荒野の粘り強いキープを起点に、内村が放った26分のカットインシュートと、荒野と榊が繋いで、最後は砂川が枠を外した31分のミドルと、両チーム合わせてシュートは2本だけ。膠着した展開のまま、スコアレスで前半は終了しました。
後半は大宮がすぐにペースを奪取。48分に左からの展開に渡部大輔がチェストで落とすと、ラファエルの反転左足ボレーは枠の左へ。52分にはCKの流れからキム・ヨングォンが強烈な枠内ボレー。イ・ホスンも懸命に掻き出しますが、攻勢を強めます。すると、このCKが呼び込んだオレンジの咆哮。53分、金久保が右から蹴り入れたボールをキム・ヨングォンが確実に頭でヒットすると、揺れたのは大宮サポーターが陣取る目の前のゴールネット。勢いそのままにホームチームが先手を取りました。
追い掛ける展開となった札幌。55分には相手の横パスを高い位置で奪った荒野が左へ付け、内村がDFに当たってわずかに枠の右へ外れるシュートを放ちましたが、「相手のボランチに回されて、なかなかプレッシャーが掛からなくなった」(大島)ことで守る時間が長くなる中、「攻め急ぎがあったのは課題」(砂川)「焦って攻撃のミスが多くなった」(石崎監督)と2人が口を揃えたように、札幌はせっかく奪ったボールもイージーミスですぐに失うシーンが多く、どうしても押し込まれてしまいます。
66分にはカルリーニョス、東、チョ・ヨンチョルと綺麗に回り、ラファエルが打ったシュートは日高拓磨が何とか体でブロック。続く苦境に、石崎監督が選択したのは2枚の交替策。67分には榊と芳賀博信、70分には内村と近藤祐介を相次いで入れ替え、カルリーニョスの高精度フィードからチョ・ヨンチョルに際どいシュートを打たれた直後の74分には、荒野を下げて前田俊介を投入。大島と前田を前線に並べ、右に近藤、左に砂川と、経験のあるアタッカー陣に終盤を任せます。
79分は大宮。東、チョ・ヨンチョル、カルリーニョスがまたも華麗に繋ぎ、渡部のシュートは枠の右へ外れましたが、惜しい得点機。82分は札幌。大島の巧みなポストを基点に、ノースが近藤とのワンツーから右サイドを崩してクロス。ニアに走り込んだ砂川のシュートはDFに当たって枠の右へ。双方にとって「攻めて攻められてが多くなった」(鈴木監督)とはいえ、追い付けない札幌。
ところが、諦めない気持ちが引き寄せた歓喜。88分、自陣からのクリアが相手陣内で弾んだ瞬間を見逃さず、近藤が執念でヘッド。拾った砂川はすぐさま前田へ。侵入したエリア内で前田は1人かわし、2人かわして、利き足とは逆の右足を振り抜くと、ボールはゴールネットへグサリ。「パスが良かったんで決めるだけだった」という本人のサラリとした発言とはかけ離れた、さすがの個人技が炸裂。「追い付いたのは今までになかった形」と指揮官も一定の評価を与えた札幌が、土壇場の同点劇で勝ち点1を強奪する結果となりました。
大宮は「勝ち点1しか取れなかった」という指揮官の言葉がすべて。「攻撃ができるようなシステムとメンバーで構成した」(鈴木監督)ゲームは、立ち上がりを除けば大半でリズムを握って進めたものの、結果的には「2点目を取れなかったのが痛かった」(鈴木監督)という、何とも追い付かれるチームにありがちな展開になってしまいました。
一方、「先制されてズルズル行きそうだったけど、何とか耐えることができて」(大島)、終盤のゴールでドローを勝ち取った格好の札幌。今シーズン初めて追い付いての勝ち点獲得に、「諦めない気持ちはいつもあったけど、気持ちだけじゃなく結果として追い付くことができたのは、プラスに捉えられる」と砂川。石崎監督も「選手たちの粘りは素晴らしかった」と話すなど、今後に向けて収穫の多いゲームになったようです。          土屋

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