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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年04月28日

J1第8節 柏×鳥栖@日立台

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kashiwa0428.jpg昨シーズンは一度もなかった連敗を喫し、13位と苦しい序盤戦を強いられている柏。リーグでも4番目に多い10得点と、攻撃力はある程度のクオリティを維持していますが、守備面はリーグで3番目に多い12失点を許しており、課題は明白と言えそうです。
対する鳥栖は前評判を覆すような好調さをキープ。3節の横浜FM戦でJ1初勝利を挙げると、ここ2試合は広島と新潟を共にホームで1-0と撃破。連勝中の5位として日立台へ乗り込みます。王者の意地が勝るか、昇格組の勢いが飲み込むか。注目の一戦は鳥栖のキックオフでスタートしました。
いきなり開始19秒、トジンが激しいチェイスでイエローカードをもらったように、鳥栖はかなり高い位置から積極的なプレスを敢行。豊田陽平と「監督に強く行けと言われているので」と話してくれたトジンをスイッチに、「本来は来ないような遠い距離からも寄せて来る」と大谷秀和も評した、前線からの連動した守備を繰り返します。
5分にはジョルジ・ワグネルの右CKからGKのパンチングが小さく、田中順也のボレーは枠の右へ外れるシーンを柏が創りましたが、以降は鳥栖ペース。7分、右サイドから水沼宏太が上げたクロスにトジンが合わせたヘディングは、わずかに枠の左へ。14分、豊田のパスを受けた水沼が中へ。こぼれを藤田直之が左足ボレーで狙うと、ボールはわずかに枠の左へ。ワイドの幅をうまく使った鳥栖が、まずは2度の惜しいシュートシーンを創出しました。
さて、5分以降はなかなかチャンスを生み出せない柏。今日は北嶋秀朗と田中で組んだ2トップが周囲との連携にスムーズさを欠き、前へとボールを付け切れません。これに関しては「相手のDFは来たボールを何とかしようと待ち構えているイメージだった」と北嶋。それに対して前の動きに乏しい柏は、確かにCBタイプを4枚並べた鳥栖の最終ラインに跳ね返されるシーンが目立ちます。
ただ、そこは北嶋も百戦錬磨のFWだけあって、「1度引いて基点になって、相手のバランスを崩した方がうまくいくなと」降りて受けてに腐心。すると、20分には近藤直也のフィードを北嶋が潰れながら落とし、こぼれをワグネルがフィニッシュまで。ゴールには繋がらなかったものの、このプレーを境にベテランの機転と献身が、徐々に落ち着きを取り戻したチームのキープ率上昇とリンクしたことで、柏にゲームリズムが移っていきます。
28分にはレアンドロの左FKをフリック気味に流した北嶋のヘディングは枠の上へ。34分には藤田の左右ロングスローに右CKという鳥栖の3連続セットプレーを凌ぐと、35分にはワグネルの左アーリーを北嶋がニアでヘディング。36分には田中とのコンビから、レアンドロのシュート。40分には北嶋のポストからワグネルが右へ流し、レアンドロはカットインから左足シュート。ゴールには結び付きませんが、惜しいシーンが続きます。
ところが、41分に大谷秀和のらしくないミスパスから鳥栖に決定機。トジンが右へ振り分けたボールはDFへ当たったものの、水沼は左足で左スミを狙った好シュート。ここに立ちはだかったのは、今日がJ1デビュー戦の柏GK稲田康志。「僕が出ても菅野が出ても、チームとしてやることは変わらない」と話した稲田のビッグセーブが飛び出し、柏は大きな危機を脱します。
そして、スコアが動いたのは前半終了間際の45+1分。ワグネルの右CKに、ニアへ飛び込んだのは北嶋。軌道を変えられたボールは、DFをかすめながらゴールへ飛び込みます。誰もが待ち望んだエースの今シーズン初ゴール。守る人が守り、点を取る人が点を取った柏が1点をリードして、最初の45分間は終了しました。
後半は開始から鳥栖に交替が。ユン・ジョンファン監督は「前半で体力的に凄く低下しているのが見えた」と判断した岡本知剛に替えて、黒木晃平を同じボランチヘ送り込みます。51分には豊田が獲得したFK。中央左、ゴールまで約25mの位置から藤田が直接狙うと、ボールはクロスバーに激しくヒット。沸き返る水色とピンクのサポーター。
直後に藤田が蹴った右CK、52分に藤田の右ロングスロー、55分にキム・ミヌの右CK、58分に藤田の左CKと7分間に5つのゴール前へ入れるセットプレーを掴んだ鳥栖が、柏に圧力を掛ける立ち上がりとなりました。
鳥栖のセットプレーで特徴的なのは「1回1回セットする」(大谷)こと。近くの選手へ短く繋ぐようなシーンはほとんどなく、しっかり時間を取って、中へ放り込むケースが大半を占めています。つまり、「ゲームが途切れるような展開の中で、なかなかリズムを創れなかった」(同)というのは、おそらく柏の選手の共通した感想。59分にはレアンドロが粘って左へ送ると、ワグネルのクロスを田中がボレーで狙い、クロスバーに当たりましたが、判定はオフサイド。記録上のシュートを打てません。
59分には水沼と岡田翔平をスイッチし、さらに全体の運動量を引き締めにかかった鳥栖が歓喜に包まれたのは、やはり「ゴールの匂いはしていた」(トジン)セットプレー。70分、右からキム・ミヌが蹴ったFKは少し短く、飛び出した稲田も触り切れず。こぼれたボールを右足で押し込んだのはCBの小林久晃。自身4シーズンぶりとなるゴールは貴重な同点弾。スコアは振り出しに戻りました。
追い付かれた柏は72分、田中に替えて工藤壮人を投入。73分にはレアンドロの左CKに、北嶋が得意のニアへ潜ったヘディングはわずかにクロスバーの上へ。ようやく後半のファーストシュートを記録しますが、ゴールには至りません。
ここからはお互いにセットプレーの応酬。75分は鳥栖。藤田のロングスローから、キム・クナンの右クロスを豊田が頭で狙うも枠の左へ。80分は大谷と茨田陽生をスイッチした柏。増嶋竜也のロングスローを、レアンドロが頭に当てるもGKキャッチ。83分は鳥栖。藤田の右CKからキム・クナンのヘディングは枠の上へ。85分は柏。レアンドロのFKから、増嶋の右クロスを2分前に投入された澤昌克がヘディングも枠の上へ。お互いに死力を尽くします。
ホームで負けられない柏は懸命のアタック。89分、今日はオーバーラップの回数が少なかった橋本和の持ち出しから、最後はレアンドロが左足で放ったシュートはクロスバーを大きく越える軌道に。90分のラストチャンスも柏。酒井宏樹がレアンドロとの連携から右サイドを抜け出します。中を見た酒井の選択は、ニアに飛び込んだ北嶋ではなく、マイナス気味のファーへ走った工藤。懸命に足を伸ばした工藤でしたが、シュートには持ち込めず、日立台を包んだ溜め息。「非常に拮抗したゲーム」(ネルシーニョ監督)はドロー決着。お互いに勝ち点1を分け合う結果となりました。
「チャレンジャーだという気持ちが運動量に繋がっている」とトジンが話した鳥栖は、「最後まで諦めない姿勢を出せるチーム」と敵将も称えたように、90分間運動量が落ちませんでした。特筆すべきはキム・ミヌ。とりわけ70分過ぎからの広範囲に渡ってボールを引き出す動きや、攻から守への切り替えは圧巻。アシスト以外でもかなり効いていたと思います。「選手たちは今日できる限りのものを、すべてグラウンドの中で出し切ってくれた」とユン監督。追い付いた鳥栖にとっては、価値あるドローだったのではないでしょうか。
柏は「リードしている時に、もう少しゲームをコントロールしなくては」と大谷が振り返った通り、ファウルが増えてセットプレーを与えてしまい、「前半に比べてロングボールの多い展開になってしまった」(大谷)後半開始から失点までの間は反省材料かなという印象です。とはいえ、エース北嶋の今シーズン初ゴールや橋本のフル出場、リーグ初出場となった稲田の好パフォーマンスなど、ポジティブな要素も。今のチーム状態を考えれば、こちらも「我々のチームワークと色は出せた」(ネルシーニョ監督)悪くない勝ち点1だったように感じました。         土屋

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