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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2011年10月26日

J2第7節 湘南×京都@平塚

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201110270804000[1]hiratsuka.jpg昨年の平塚では95分、湘南の勝利を誰もが疑わなかった終了間際に、柳沢敦のヘディングがゴールへ吸い込まれ、結果は2-2のドロー。ベンチの前で頭を抱える姿が印象的だった反町康治監督も「1つのターニングポイントだった」と語ったゲームを経て、湘南、京都と共に今シーズンはJ2へステージを移して戦っています。
8位の湘南はここ3試合負けなし。特に前節は反町監督こそ内容には満足いかない部分もあったようですが、クラブ最多タイの7ゴールを挙げて岐阜に大勝。確実に調子を上げてきています。対する13位の京都も前節、前々節で今シーズン2度目となる連勝を達成。「あそこで溜められるし、ボールもしっかり止まるし、裏にも出て行けるのは大きい」とCB秋本倫孝も絶賛する工藤浩平の復帰が、チームの好調にさらなる推進力を与えているのは間違いありません。降格組として今の中位に甘んじている訳にはいかない両者の対峙は、秋を通り越して冬の風が吹き荒ぶ中、湘南のキックオフで幕を開けました。
ゲームは序盤から「出足は湘南の方がよかった」と京都の大木武監督も認めたように、ホームチームが攻勢。5分、アジエルのヒールリターンを受けた永木亮太のクロスは京都DFが何とかクリア。6分、ハン・グギョンのパスを今日は左SBに入った鎌田翔雅がオーバーラップから受けると、積極的なカットインミドルを枠内へ。以降も「アクトもリアクトも早かった」(反町監督)「セカンドの反応で遅れを取った」(大木監督)と両指揮官も触れたボールアプローチの差が、そのまま流れに直結。湘南ペースが続きます。
さらに、少しずつ目立ち始めたのは左SHに入った高山薫。20分には左からクロスを送り、アジエルが2人かわしてふかしたシュートを演出。22分にも左サイドで永木、鎌田と繋いだボールを高山が再びクロス。田原豊の落としに反応した坂本絋司が右足でシュートを放ち、GK水谷雄一がキャッチしたものの、2つのチャンスに絡むなど「正直抑え切れなかった」と敵将に言わせるほど躍動。湘南は25分にもFKの流れから、アジエルが3人をかわすと、大井健太郎とのパス交換を挟み、枠内シュートで水谷を脅かすなど攻勢が続きます。
一方、「スペースのある所にボールを出されて、相手の得意な展開に持っていかれた」(工藤)京都は、ボランチのチョン・ウヨンも「ウチはSHが中へ入るので、SBが上がらないとサイド攻撃ができない」と話したように、とりわけ右SB酒井隆介が高山に押し込まれる場面が多く、サイドをうまく活用できません。加えて、チームのトップスコアラーでもある久保裕也がU-18日本代表で離脱したFWにはドゥトラが入りましたが、「裕也とは違うタイプ」(工藤)の9番は、ポストプレーヤーというよりもボールプレーヤー。なかなか周囲とのコンビネーションで崩すようなシーンを創れなかったのも、劣勢の一因だった印象です。
ただ、31分にチョン・ウヨンのCKから、最後は宮吉拓実がチーム初となるシュートを放つと、京都はセットプレーに活路。36分のCKは西部洋平のパンチングに遭いましたが、42分のCKは工藤のわずかにバーを越えたボレーへ直結。43分にはバイタルでフリーになった工藤が、ドゥトラのヒールリターンからループシュートにトライ。44分にはまたもCKを2本続けて獲得するなど、「前半の中盤くらいからよくなった」(大木監督)「30分から35分くらいまで我々の方が躍動感があった」(反町監督)とここも両指揮官が表現は違えど、ニュアンス的には口を揃えたように、少し京都が盛り返す格好で前半は終了しました。
ハーフタイムを挟むと、迎えた後半は両者へチャンスが交互に訪れる展開に。50分は京都。ドゥトラが右サイドをドリブルで持ち上がり、左へ振ると工藤はフリーでしたが、フィニッシュはバーの上へ。51分は湘南。アジエルのラストパスに抜け出した坂本は、エリア内で秋本ともつれて倒れるもノーホイッスル。53分は京都。1本のフィードに抜け出した宮吉のボレーは、わずかにヒットせず。
54分は湘南。田原、坂本と回り、再び田原が狙ったシュートは福村貴幸が体でブロック。56分も湘南。ロングボールを田原が粘って収め、坂本を経由して、フリーの高山が迎えた決定機もボールはバーの上へ。57分は京都。ゴール前で細かく繋ぎ、中山博貴が迎えた決定機もボールはバーの上へ。58分は湘南。高山がシザーズを交えたドリブルから放ったシュートは枠の右へ。お互いに少し守備時のボールアプローチが緩くなり、チャンスの数が一気に増えていきます。
そんな中、ゲームを動かしたのは前半の終盤から京都に増えていたセットプレー。63分、左サイドでFKのスポットに立ったチョン・ウヨンが「いつもの練習通り、反対側のゴールポストを狙って蹴った」鋭いボールは、田原の伸ばした頭に当たると、ゴール右スミギリギリへ飛び込みます。「7番がいいキックを蹴るので、少しでもズレたりすると危険だと思っていたが、それが的中してしまった」とは反町監督。オウンゴールという意外な形で、先制ゴールは京都が奪いました。
ここで勝ち点を落とすとJ1復帰が大きく遠のく湘南。68分には反町監督の決断。高山を下げて、石神直哉をピッチへ送り込むと、最終ラインに右から鎌田、大井、山口貴弘を並べ、3-4-2-1へシフトして勝負に出ます。71分にはアジエルが左へ展開すると、石神のアーリークロスへ飛び込んだのは臼井。ボレーは福村が体でブロックしたものの、いきなり高い位置を取ったWB同士でチャンスを創出。すると73分には大木監督も1枚目の交替カード。ボランチを中村充孝から、より守備面で力を発揮する加藤弘堅にスイッチ。バイタルを引き締めにかかります。
76分には反町監督が坂本を下げて、ルーカスを投入。81分、アジエルの左FKを山口がヘディングで狙うも枠外へ。84分、永木のミドルも枠外へ。85分、反町監督3枚目のカードはアジエルに替えて菊池大介。なくなる時間。浮かぶ焦り。すると86分は京都がカウンター。石神の右CKをクリアすると、拾った工藤がスルリと独走。数的不利の相手を尻目に、工藤は右へスルーパス。受けたドゥトラが丁寧にコースを狙うも、ここは飛び出した西部のビッグセーブ。87分、ドゥトラが右へ展開し、酒井からの低いクロスを収めたドゥトラのシュートはわずかに枠の左へ。
平塚に広がる勝利への渇望。88分、石神のアーリークロスがバウンドすると、田原は相手DFの上からダイビングヘッドを敢行しましたが、水谷がファインセーブ。92分、田原が獲得したFK。中央左寄り、ゴールまで25m強から永木が直接狙ったものの、ボールは枠の左へ。西村雄一主審の終了を告げるホイッスル。「最後のところで体が少しずつ投げ出せるようになってきた」と大木監督も守備面の向上を認めた京都が、ウノセロで今シーズン初の3連勝を飾る結果となりました。
勝った京都は、スタートから4バックを採用した札幌戦を皮切りに連勝がスタート。ただ、「ポジションはあってないようなもの」と秋本が話し、「スタートポジションが違ってもボールに行くのは変わらない。今なら3バックでもいいゲームができると思う」と工藤も言及したように、システム変更というより、ここに来てようやくチームのやり方が浸透してきた様子。「少しずつ勝てるゲームができるようになってきた」と大木監督。京都の反攻はまだまだ続きそうです。
負けた湘南は「先制できたら結果は変わっていたかな」と反町監督も話した通り、序盤の好リズム時に得点を奪えなかったことが最後まで響いた格好に。それでも「我々の良さも悪いところも出た、かなり表裏があるゲーム」(反町監督)だったことも確かで、なかなか安定して結果の出なかったシーズンを象徴するようなゲームになってしまいました。スケジュールの妙で、両者は3日後にすぐ西京極でリターンマッチ。残るは6試合。お互いに「全勝を目指して」(反町監督)最後まで戦うことが求められています。     土屋

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