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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2011年10月30日

J2第33節 千葉×徳島@フクアリ

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201110310430000[1]fukuari.jpg最終盤に差し掛かっているJ2は残り6試合。今節フクアリで対峙するのは、5位千葉と4位徳島。昇格争い直接対決です。2位鳥栖とアウェイで対戦した前節は豊田陽平の決勝弾に沈み、痛恨の1敗を喫した千葉。4位札幌をホームに迎えた前節は、0-2とこちらも悔しい敗戦となった徳島。お互いにライバルとのサバイバルマッチに敗れて、今日の一戦に臨みます。
このゲームの前に熊本と対戦していた札幌が勝利したため、数字的には千葉が8ポイント差、徳島が4ポイント差で追い掛ける格好に。「勝たなきゃいけない状況」(徳島・美濃部直彦監督)なのはお互いに同じ。灰色の空からパラパラと小雨が落ち始める中、今後のJ2に大きな影響を与えるであろうビッグマッチは徳島のキックオフでスタートしました。
ゲームは開始2分、千葉にいきなり決定機。右サイドから入れた村井慎二のFKに、マーク・ミリガンが合わせたヘディングはわずかにゴール右へ。「緊迫したゲームでは当然大きな武器」と神戸清雄監督も話したセットプレーから、あわやというシーンを創出します。
6分には徳島もCBのエリゼウがオーバーラップからミドルを放ち、千葉GK岡本昌弘が何とかセーブしましたが、「相手の守備のプレスが速くて、収めるのが難しかった」とFWの佐藤晃大も振り返った通り、徳島は2トップに加えて、右に徳重隆明、左に柿谷曜一朗を配したSHもなかなかボールに触れず、攻撃の時間を創れません。
対する千葉は、シンプルな長いボールを久保裕一が体を張って収めると、周囲のサポートも速く攻勢に。10分には、伊藤大介の縦パスを受けた山口慶が右サイドからクロス。久保にはエリゼウがきっちりアプローチしており、シュートには行けなかったものの、14分、16分と続けてCKを獲得するなど、サイドをうまく使いながら、ジワジワと徳島ゴールへ迫ります。
すると19分、久保のクリアボールに走り込んだ深井正樹、三木隆司、倉貫一毅が交錯。いち早く立ち上がった深井がボールを拾うとエリア内へ侵入し、DF2人に囲まれると一度は体勢を崩しながら持ち直し、再度斉藤のタックルを受けて倒れた所で鳴らされた村上伸次主審のホイッスル。指し示されたのはペナルティスポット。かなり微妙な判定でしたが、千葉にPKが与えられます。昏倒した三木が担架でピッチ外へ運び出される2分近くのエアポケットを経て、深井が自ら左スミを狙って蹴ったキックは、しかし「レフェリーが決めたことだから、止めることだけを考えていた」というオ・スンフンが完璧なセーブでストップ。「1点は覚悟しなきゃいけない状況」(美濃部監督)を凌いだ徳島。千葉は絶好の先制機を生かせません。
以降はやや膠着状態に。基本構図は「中盤でボールを回されていた」と倉貫も話したように、長いボールを入れるよりも中盤でしっかり繋ぎ始めた千葉が、キープ率で上回りながら、これも倉貫が「ワンツーとかで崩されるシーンはなかった」と言及した通り、シュートシーンにまでは持ち込めず、逆に25分には西嶋弘之のFKを、ぺ・スンジンが頭で繋ぎ、津田知宏の枠内ヘッド。28分には徳重の30m枠内ミドル。37分、佐藤のポストプレーから倉貫が右へ展開し、ぺ・スンジンのクロスは佐藤の前でミリガンがクリア。攻撃の手数が多いのは徳島です。
ようやく千葉も43分、佐藤勇人、深井と回し、村井がうまくターンして放ったシュートはバーの上へ。44分にもフィードに抜け出した伊藤のリターンから、村井の右足シュートはオ・スンフンがキャッチ。ボールを持つ時間の分、千葉が優勢にも思えましたが、展開としてはほとんど五分の内容で、スコアレスの45分間は終了しました。
後半はスタートから徳島がラッシュ。46分、右サイドからぺ・スンジンが上げたクロスのこぼれを、西嶋が拾ったミドルはバーの上へ。49分、徳重の左CKからぺ・スンジンのヘディングは岡本キャッチ。52分、またも右サイドでぺ・スンジンがアーリークロスを入れると、ニアに飛び込んだ津田のヘディングはバーの上へ。「とりあえずクロスを上げるから、と試合前からFWには言っていた」というぺ・スンジンと、西嶋がアーリー気味に入れたクロスが、徳島のチャンスに直結します。
一方の千葉は押し込まれる時間が続き、65分に米倉恒貴がムリヤリ放った勢いのないミドルが後半初シュート。なかなか変わらない劣勢に業を煮やしたか、神戸監督が1枚目のカードを切ったのは67分。実に7月31日の横浜FC戦以来、3ヶ月ぶりに帰ってきたノルウェーの超絶タワー、オーロイ登場。沸き上がるスタンド。試合前には黄色の中に赤いハートを浮かび上がらせる素晴らしいコレオグラフィで選手を鼓舞した千葉サポーターも、声援のボリュームを一段上げて、ホームの雰囲気をさらに醸成します。
ところが69分は徳島にビッグチャンス。斉藤、柿谷と回ったボールは左の津田へ。右足で上げたアーリークロスはファーに抜け、上がってきたペ・スンジンのシュートは渡邊圭二が体を投げ出してブロックすると、青木良太に当たってCKへ。すると徳重が蹴り入れたボールに、飛び込んだ西嶋のヘディングは、カバーに入っていたDFも掻き出せず、ゴールネットへ到達します。千葉同様、「ウチの得点源」(倉貫)でもあるセットプレーからの先制ゴール。徳島がリードを奪いました。
「前節に続いてセットプレーからやられた」(神戸監督)千葉は、74分に2枚目の交替。米倉を下げて、ファン・ゲッセルを中盤に投入。村井を左ワイドに出して、オーロイへのクロスを徹底させます。ただ、「高さで勝てなくてもこぼれ球の反応が速かったので、危ないシーンはなかった」とペ・スンジンが胸を張ったように、"オーロイ後"に万全の対応を敷いた徳島は、ことごとくセカンドボールを拾い、懸命にクリア。さらに76分には津田と衛藤裕がスイッチしたことで、4-2-3-1となったチームの中、「前が自分1人になったのは仕方ない」と話す佐藤が、そのクリアを執念でキープし、前からフィードの起点を追い回すなど大奮闘。
「オーロイになかなかいいボールが入らず」(神戸監督)シュートまで持ち込めない千葉。83分には伊藤の左CKを、ニアでオーロイが合わせましたが、ボールはわずかに枠の左へ。追い込まれたホームチームは、このシュートが外れた直後からファン・ゲッセルも前に上げて、204センチと192センチを最前線に並べます。
すると美濃部監督も85分には徳重に替えて、「どこまでも付いていけって言われてた」と話した島村毅を送り込み、オーロイへのマンツーマンマークを指示。「ポジショニングがすべて。遅れたらジャンプしないでセカンドを拾う」という島村と、獅子奮迅という言葉がピッタリのエリゼウが、一歩も引かずに見応え十分のエアバトルを披露し、ことごとくチャンスの芽を摘んでいきます。
アディショナルタイムは4分。放り込む千葉。耐える徳島。92分、スローインの流れからミリガン の上げた左クロスはDFクリア。93分、村井の右CKはエリゼウがクリア。94分、渡邊の左アーリーがこぼれたボールを、ミリガンが狙ったシュートはわずかに枠の左へ。フクアリを切り裂いたのは、アウェイチームの勝ち点3奪取を告げるホイッスル。「最後まで1人1人が一生懸命チームのために、自分の仕事をしてくれた結果」と美濃部監督も選手を称賛した徳島が、貴重な勝利をもぎ取る結果となりました。
千葉は指揮官交替という劇薬も効果なく2連敗。前述したように、これで昇格圏内にいる3位札幌との勝ち点差が8となり、残り5試合ということを考えても「厳しい状況」(神戸監督)になったのは間違いありません。「ギブアップはしたくありません」と神戸監督は話しましたが、限りなく終戦に近い黒星となってしまいました。
勝った徳島は、「今日の勝ちは自分たちにとって本当に大きい」という佐藤の言葉通り、昇格戦線に生き残る大きな大きな勝ち点3獲得に。終盤はハイタワーを生かすパワープレーにさらされましたが、「それが得意な選手が多いので」と倉貫が笑ったようにペ・スンジンが、西嶋が、三木が、途中出場の島村が、そしてエリゼウが勇気を持って跳ね返し続ける姿は感動的ですらあったと思います。これで鳥栖とは3ポイント差、札幌とは1ポイント差に。実質、残り2枠を巡る昇格争いは、さらなる熾烈を極めてきました。     土屋

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