mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2011/09

S M T W T F S
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2011年09月10日

J1第25節 柏×名古屋@日立台

mas o menos
  • Line

hitachidai2.jpg15勝2分け7敗。4位は昨シーズン、余儀なくされたJ2の戦いを圧倒的な力で駆け抜けた柏。14勝7分け3敗。2位は昨シーズン、クラブ史上初となるリーグ制覇を成し遂げた名古屋。4位と5位の間に9のポイント差が横たわっていることを考えれば、実質トップ4とも言うべき両チームの対峙。観衆も10914人とフルハウス。舞台は情熱の日立台です。
2分に藤本が蹴った左FKは、飛び込んだ増川もわずかに届かず。3分にゴール右寄り25mの距離から、藤本が得意の左足で狙ったFKはわずかにゴール右へ。序盤は山本雄大主審も比較的柏ゴール前でのディフェンスファウルを取る傾向があり、名古屋がセットプレーから攻勢に出ます。ただ、少し気になったのはジュロヴスキーコーチも「簡単にボールを失っていた」と話したように、自陣でのイージーなパスミス。6分には信じられないようなパスミスをレアンドロ・ドミンゲスにさらわれ、ジョルジ・ワグネルのクロスは中と合わなかったものの、名古屋にもいわゆるゲームリズムは出てきません。
それでも闘利王との接触でレアンドロがピッチアウトしていた17分、ケネディが橋本のファウルを誘って獲得したFK。やや右寄り、ゴールまで25m弱の距離から玉田が直接狙ったボールは、綺麗な軌道を描いて右スミのゴールネットへ到達。王者の貫禄。名古屋がワンチャンスで、大きなアドバンテージを握ってみせました。
さて、ビハインドを背負った上に、絶対的な司令塔のレアンドロまで負傷交替で失った柏。レアンドロの位置には澤を投入し、運動量の総和という意味では上方修正されましたが、得意の攻撃へ移った際のスピードアップという観点で捉えれば、やはりマイナス面は否めず。実際、名古屋がバイタルを空けるシーンも少なくなかっただけに、もったいないシーンが目立ちます。
とはいえ、失点以降は攻撃の手数で見れば圧倒的に柏。23分、ハーフウェーライン付近で玉田からボールを奪ったワグネルのドリブルシュートは、高木がセーブ。28分、酒井、澤と繋いで、またもワグネルのドリブルシュートはDFがブロック。こぼれを拾った茨田のミドルは枠の左へ。32分、工藤のパスを収めた田中順也が、左へ流れながら放ったシュートはゴール左へ。36分、酒井の右アーリーは、闘利王と増川を越えて、ファーサイドへ。田中隼磨のクリアに、ワグネルがダイレクトボレーを繰り出すもボールはバーの上へ。39分、田中順也とのワンツーで右サイドを抜け出した澤の折り返しは闘利王がクリア。39分、右サイドから酒井、茨田、栗澤を経由して、ワグネルが放ったミドルは田中隼磨が頭でブロック。45分、左サイドから橋本の上げたクロスを、ファーで澤が頭でリターン。至近距離から押し込んだワグネルのヘディングは、闘利王が体でブロック。この間、名古屋のシュートはゼロでしたが、おそらくボールキープは互角か名古屋がやや上。相手の猛攻を受ける形ながらやり過ごした名古屋が、1点をリードしてハーフタイムを迎えました。
ところが、「パスも凄く回ってて、負ける気がしなかった」と田中が語り、「前半終了時にはうまく整理されてまとまっていた」とはネルシーニョ監督。実際はおそらく前半の35分過ぎから、ゲームのリズムも柏が掌握。同点には至らなかったものの、CKの数も格段に多く、ゴールの雰囲気は確実に漂い始めていました。
そんな勢いを後押しする意味で、柏にとって大きかったのは49分に守護神が見せたビッグセーブ。ダニルソンが左サイドをゴリゴリ抜け出すと、ピンポイントクロス。走り込んだブルザノビッチのボレーは、飛び出した桐畑が体でブロック。「ブルザノビッチが決めていれば2-0というシーンがあった」とジュロヴスキーコーチも言及したこの攻防。このシーンを境に、柏が再びラッシュ。
49分、「サイドバックは積極的に顔を出し、トライアングルを創る」という指揮官の指示そのままに、酒井が右サイドを上がって中へ。澤はダイレクトで右へはたき、田中順也の右足クロスは澤の下へ戻ってきましたが、シュートは高木がファインセーブ。怒濤のワグネル3連続CKを挟み、57分にはやはり「ボランチ2枚が攻撃時に後ろからサポートする」という指揮官の指示を受けて、栗澤が絶妙のミドルフィード。抜け出した田中順也の胸トラップは狙っていたDFにクリアされましたが、監督の狙いを体現した柏が、前半よりさらに空いてきたダニルソンの両脇を効果的に活用し、名古屋を押し込みます。
60分にはダニルソンの強烈な高速FKを桐畑がファインセーブで阻止し、上がる日立台のボルテージ。すると65分、ボールを繋いで繋いだホームチーム。名古屋はクリアしきれず、こぼれ球を拾った茨田が右から中へ送ると、ワグネルは左足アウトで縦へ。「タイミングが難しかったが、落ち着いてトラップできた」田中順也が「自然に右で止めて」、利き足とは逆の右足で放ったシュートは、ゴール左スミへ一直線。1-1。スコアは振り出しに戻ります。
「我々がプレーを止めてしまった」というジュロヴスキーコーチの言葉を待つまでもなく、後半はガクッと運動量の落ちたチームに対し、ストイコビッチ監督も1枚目の処方箋。66分、ブルザノビッチに替えて永井を送り込むと、システムも玉田とケネディの2トップに、中盤は永井を右へ、小川を左へ配し、藤本とダニルソンをボランチへ並べる4-4-2へシフトします。しかしその1分後、ストイコビッチ監督に命じられた退席処分。スタンドからではよくわかりませんでしたが、とにかく名古屋は残りの20分近くを監督不在で戦うことになりました。
こうなると止まらない柏の勢い。69分、茨田が絶妙の浮かせたロブをラインの裏へ落とすと、抜け出した田中のシュートは高木を破り、ゆっくりとゴールへ向かいますが、カバーに入った阿部が間一髪でクリア。そして1分後の70分、栗澤が右へ展開すると酒井がアーリークロス。バウンドを合わせ損ねた高木がファンブルすると、ここへ走り込んだのは澤。「一言で言えばエクセレント。リズムに乗ってうまくゲームに入り、自分の良さも出した」とネルシーニョ監督も称賛を贈る、レアンドロと交替でピッチへ入った8番が大仕事。前節の川崎戦に続いて、またも訪れた逆転劇。力強く、しなやかに柏がスコアを引っ繰り返しました。
逆に1点を追い掛ける形になった名古屋は、74分に阿部を下げて磯村を右SBへ投入し、田中隼磨を左SBへ。さらに、81分には田中隼磨と金崎をスイッチし、小川が右SBに降りて、磯村が左SBへ。金崎が2トップの一角を務め、玉田が中盤に落ちるなど、いくつかの策を講じたものの、連携も運動量も上がらずにシュートを打つこともできません。91分に藤本が蹴った左CKを闘利王が執念で頭に当て、名古屋の選手がボールに殺到しましたが、今日はケネディをほぼ完璧に抑え込んでいた近藤が足を伸ばしてクリア。94分1秒、日立台に鳴り響いたホイッスル。「今日のレイソルは本当に気迫、戦術、技術すべてが前半から上回って、最後までそれが持続した。彼らに称賛の気持ちを全面に贈りたい」とはネルシーニョ監督。優勝争い直接対決は柏が制する結果となりました。
名古屋は勝ちパターンの"先制してカウンターで追加点"が珍しく不発。「我々はスペースを有効に使う手立てがなく、ボールを奪った後にカウンターへ行けるような形でもなかった」とジュロヴスキーコーチ。悔しい今シーズン初の逆転負けとなりました。
柏は「リーグ序盤から首位で来て、このラストスパートで3位。間違いなく力のあるチームに育っている」というネルシーニョ監督の言葉にも頷ける逆転勝ち。しかもレアンドロが交替してからの2ゴールにも大きな価値があります。「我々は成熟してきている段階にあるが、確実に成長している」とネルシーニョ監督が話したように、今後も含めた伸びしろという意味ではトップ4の中でも一番。史上初の昇格シーズンで優勝という偉業が、ハッキリとした形を伴って見えてきています。   土屋

  • Line