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CBとして、キャプテンとして、ファン・ダイクは絶対的な存在感を身にまとっている
「齢を重ね、周囲の意見に耳を貸せる者は絶対に必要だ」(サー・アレックス・ファーガソン)
「チームを創るうえで年齢的なバランスを考えなくてはならない。若手ばかりだと浮つく」(ディディエ・ドログバ)
マンチェスター・ユナイテッドを世界的な名門に仕立て上げた名伯楽も、チェルシーで一世を風靡したストライカーも、年齢の重要性を口にしている。
日本代表の森保一監督も同意見のようだ。北朝鮮とのワールドカップ予選に、長友佑都を呼び戻している。カタール・ワールドカップ以来、およそ一年半ぶりの復帰だ。ブラボー!
残念ながら、長友のピークは過ぎている。37歳という年齢には抗えず、スピード、パワーなどは下降線をたどらざるをえない。一般社会では働き盛りでも、フットボールの世界では高齢だ。レアル・マドリーのルカ・モドリッチ(38歳)でさえ、20代前半のジュード・ベリンガム、エドゥアルド・カマヴィンガに取って代わられた。
しかし、30代の選手には豊富な経験がある。窮地に陥った際の対処法を知っている。まして長友には、“いじられキャラ” を演じる器の大きさがある。日本サッカー協会が配信する『TEAM CAM』でも、彼の周りは笑いが絶えない。板倉滉や堂安律が、兄のように慕っていることが手に取るように伝わってくる。
吉田麻也に代わって新キャプテンに就任した遠藤航も、長友の経験値と明るさを頼りにしているに違いない。
かつてサー・アレックスは、ポール・スコールズやデイヴィッド・ベッカムの世代、いわゆる “ファギーズ・フレッジリングス”(ファーガソンのひな鳥たち)のお目付け役としてブライアン・ロブソン、ペーター・シュマイケル、スティーヴ・ブルースといった歴戦の勇士を起用した。
ウェイン・ルーニーやクリスチャーノ・ロナウドに対しては、リオ・ファーディナンドとエドウィン・ファン・デル・サールが睨みを利かせていた。
ベテランと若手が化学反応を起こしたユナイテッドがヨーロッパを、世界を制したことは改めていうまでもない。
また、近ごろのプレミアリーグでは、アーセナルのジョルジーニョが一目置かれている。マーティン・ウーデゴーア、デクラン・ライス、ブカヨ・サカなど、若手・中堅が主力を構成するノースロンドンの強豪でも、ロッカールームで最も信頼を集めるのはイタリア代表歴を持つプレーメーカーだという。
さらに、リヴァプールはフィルジル・ファン・ダイク、アリソン・ベッカー、アンディ・ロバートソン、そして遠藤といった30代のおとなたちが、ティーンエイジャーを次のレヴェルに引きあげようとしている。
先述したモドリッチも終盤戦に向けて調子を上げ、マドリーのカルロ・アンチェロッティ監督もその実力を再認識した。
みずみずしい若手の台頭には胸が躍るが、酸いも甘いも噛み分けた強者たちのエッセンスも捨てがたい。
灰のように燃え尽きる日が迫っていたとしても、勝利のために身を粉にする姿は美しい。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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