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サッカー フットサル コラム 2024年2月9日

マルティネスの戦線離脱はテンハフの運命を左右するのか

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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4月上旬まで欠場するマルティネス。ユナイテッドにとって、あまりに大きすぎるダメージだ

4月上旬まで欠場するマルティネス。ユナイテッドにとって、あまりに大きすぎるダメージだ

悲劇が繰り返された──。

2月4日のウェストハム戦で、ウラジミル・ツォウファルと接触したリサンドロ・マルティネスが右ひざを抑えながら昏倒した。診断の結果は内側側副靭帯損傷。およそ二か月の欠場を余儀なくされる重傷だった。中足骨の骨折が癒えたばかりだというのに……。

この試合でもマルティネスは効いていた。前に出るディフェンスでピンチの芽を未然に摘み取り、ブルーノ・フェルナンデスに、ラスムス・ホイルンドにクサビのパスを刺す。

ビルドアップにも長けたセンターバックの存在は、ルーク・ショーのオーバーラップ、インナーラップを自然に促し、マンチェスター・ユナイテッドの左サイドは活性化した。

しかし、4月上旬までマルティネスは起用できない。エリク・テンハフ監督は、どのようなプランでやりくりするのだろうか。

ハリー・マグワイア、ヴィクトル・リンデレフ、ラファエル・ヴァラン、ジョニー・エヴァンズのローテーションが最有力だ。4選手とも経験豊富とはいえ、マルティネスのようには前に出ず、ビルドアップの質も低い。

また、揃いも揃ってスピード不足だ。最終ラインの設定が低くなり、三列目との間に大きなスペースを提供するリスクが付きまとう。レフトバックのショーも後顧に憂いを抱き、ビルドアップに貢献できなくなる。当然、マーカス・ラシュフォードが孤立する。

若手のウィリー・カンブワラを抜擢したり、カゼミロを一列下げたりする代案も考えられるが、マルティネス欠場の穴を埋めるのは難しい。

「リチャ(マルティネスの愛称)を欠くと、パフォーマンスがあからさまに低下する」

テンハフも戦力ダウンを正直に認めた。

もう少しだけオブラードに包んだ方がいい。テンハフの言い方では、マグワイアとリンデレフ、ヴァラン、エヴァンズのプライドが傷つく。「あなたたちはリチャより下」と宣告されたようなものだ。

クラブのなかでもっともすぐれたCBがマルティネスだとしても、指揮官は物言いに気を配る必要がある。

「リチャの戦線離脱は痛手だが、われわれは優秀なタレントを数多く擁している」

選手側にすれば悪い気はしない。

規律違反の対応も気にかかる。終始ジェイドン・サンチョ(ドルトムントにローン移籍)に厳しく、ラシュフォードとアントニーには寛容だ。テンハフのマンマネジメントは、少なからず疑問視されている。

「昨シーズンの貯金があるので、監督の座は安泰だと思う」

OBのポール・スコールズは、テンハフが即クビになるとは考えていない。昨シーズンの貯金とは、チャンピオンズリーグ出場権とリーグカップ優勝だ。このたびフットボール部門を統括することになったジム・ラトクリフ卿も、現時点で指揮官交代には消極的だという。

しかし、現状を放置するほど甘くはなく、とくに補強プランは完全にリセット。「テンハフの権限は制限される」とも伝えられはじめた。

ラトクリフ卿をはじめとする新執行部はスポーツビジネスに精通し、フットボール業界にも分厚いコネクションを築いてきた。グレイザー体制下とは、“人探し” で雲泥の差がある。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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